バイク屋の備忘録

突然やってきた27年ぶりのリターンライダー その1

数か月前、空冷ボンネビルT100でチョイ乗りに出かける準備をしていると、どこかで見かけたような、懐かしいような、誰だったかな・・・そんなオヤジがやってきて「お久しぶりですS・Yです」と云う。

XR250で林道を走りエルシノア250でもツーリングに出かけ、共にバイクを楽しんだ旧知のバイク仲間は転職を機にバイクを乗らなくなったようで27年ぶりの突然の来店にはびっくりである。何かあったのかと「どうしたの・・・?」と聞いてみた。

書籍を借りっぱなしのままから始まり、軽い脳梗塞をやったことなど空白の時について云々、息子さんが免許をとり再びバイクに乗り始めたいとのこと。息子さんは当時幼稚園だったが今ではお父さんとなり、親父のS・Yさんとバイクを一緒に楽しみたいと、いい話ではないか。

S・Yさんより メンテナンス依頼について (メールより抜粋)

ここ数年、またバイクに乗ろう、乗ろうと考えていた。

27年前、あれほど楽しんでいたバイクを転職もあり、仕事のせいにして乗らなくなった。
いや、乗らないでおこう。と自分に言い聞かせることで逃げていた。

出向先で定年を迎え、再雇用となったいまバイクに乗るきっかけ、それは意外なことだった。

幼稚園からQR50にのり鈴鹿のキッズQRレースにも参加しゴール前で転倒し3位入賞した息子(QR50はノースウィングJCでパワーアップ)(笑)が、急にバイクに乗って現れたのだ。

「おやじ免許とった。乗るからにはハーレーや」、「あれだけバイクに乗っていたんだからまた乗ったらどう、一緒に乗ろう」と。

おいおい、聞いてないぞ。って、話から急に居てもたってもいられなくなり、車検がきれた状態でシートを被ったバイクを出してみた。

出したはいいが、さぁこまった、「バイクに乗るならノースウィングJCにメンテから楽しみ方をお願いしないといけない。んー、JCかぁ、」 あれほどお世話になったノースウィングJCの髙田さんには27年前から音信不通で不義理。それも髙田さんの大事な書籍まで借りっぱなし。

でもバイクには乗りたい。乗るならノースウィングJCは外せない。よし、行こう。と思いノースウィングJCを突然訪問。さすがにドキドキした。笑。

髙田さんも当然ビックリ! 「どうしたの? 頭きてるね~(薄くなった)」と笑って神対応。その笑顔で救われた。「またバイクに乗りたいんですけどお願いできますか」「もちろん。困ったことあったら言って。いいと思うことは提案するから」と27年前までと同じ返答がかえってきた。

短い言葉ではあるが、ある意味すごい。変わってない。何回も何回も自分で実体験から得た事を最高のパフォーマンスで提案してくれる。

ノースウィングJCは以前、プライベートチームで全日本ロードレースにも参戦しワークスマシンに対してプライベートチームで挑み結果を出していた。メーカー(HRC)で生産されるレーサーでも、当然、エンジンはかかるが手を入れないと、そのままレースには出られない、てか、十分なポテンシャルではない。

全てをモデファイしてからのスタートラインである。そんなノウハウからも趣味のバイクをストレスなく楽しむには絶対に外せないバイク屋である。

趣味である以上、自分の余暇を楽しみ、有意義な時間を過ごしたい。ストレスもなくなりまたいい仕事が出来る。バイクに対する心配は全くなくなった。

と言うことで、今回、約10年前に衝動買いしたホンダCB400SS(2008年式)の整備をお願いした。ほとんど乗っていないが、これから以前のように乗るならNWJCのメンテは必要不可欠である。

CB400SSはNWJC独自のメンテナンスにお任せあれ

27年ぶりのリターンライダーのCB400SSをGoodコンディションに整えることはお任せあれ、であるが、スタンダードとは異なるNWJC独自のツーリングマスター仕様が最適であるのだが、リターンライダーとなったS・Yさんの慣らしも兼ねて少しずつNWJC独自のツーリングマスター仕様へと深化させることにした。

走行距離は3,000Km未満と長年乗ってなかったようで、シフトも硬く全体に渋くシリンダーには錆が浮いている感じだから、エンジンコンディションを整えることから始めることにして、オイル交換サイクルも少し早めにすることを提案した。

リターンライダーとなったS・Yさんの慣らしも兼ねてメンテナンスは基本的なことだけに留めて少しずつコンディションを整えることにして、まずはエンジン調整とフロントサスのオイルを交換することにした。

バルブクリアランスは広く最大値付近であったから基準値に合わせて調整を終えて、長年乗っていなかったキャブレターの通路は全体に狭く本調子ではない場合があるため、分解清掃して組み直すことにした。

エンジンはオイルの交換を終えてまずはここまでとして、フロントサスのオイル交換も終えて徐々に変化してくる乗り味を体感してもらうことにした。

全体に力強さが増して、エンジンの回りが滑らかになったとのことだったが、飛騨のアツシのCB400SS-TM仕様が気になるようである。

「小出しにせずエンジンや足回りを一気にTM仕様へと深化させてほしい」と、ジックリと煮詰めるよりも一足飛びにと、逸る気持ちを抑えられないS・Yさんが昔と変わってないのは懐かしくもあり面白くもある。

ある程度走らせて、熱をかけ負荷をかけてアラをとってからGoodコンディションへと導くのが最良であることと、次回のメンテナンス内容を大雑把に伝えてすべてお任せあれである。

その後2度目のメンテナンスを終えて新たなバイクライフへの準備が整った次第である。

S・Yさんより メンテナンス後のCB400SSについて (メールより抜粋)

CB400SSは、ビッグシングル、4バルブRFVC、XR400とほぼ同じエンジンのはず。車重も約160kgとそんなに重くない、なのに出足から走行中のコーナー、ストレートから止まるまで、なんかホントにXR400のデチューン版エンジン?って感じでもない。

整備としては、あくまで標準、スタンダードに調整するとの事だが、2回に分けたメンテナンスの仕上がりを体感してハッキリ、クッキリ違う、違いすぎる・・・なにした? 1回目のメンテナンスからなぜこんなに違う? 同じバイク? これでスタンダードに調整したと言われても、にわかに信じがたい。

エキゾーストバルブ、インテークバルブのクリアランス調整。フロントフォークオイル交換、調整。タイヤ交換。キャブレター調整。大まかにはこれだけ、のはず。

調整といっても何をどうしたかはわからないが、とにかく違う。無茶苦茶スムーズになり、走りも軽快、余裕をもって走行できる。ストレスフリーだ。

それに2回目のメンテナンスでは、ノースウィングJCツーリングマスター仕様のCB400SSオリジナルスクリーンを装着。これがまた一見からは分からない働きをしてくれた。

体験から計算され尽くした形状であるのか、それほど大きいスクリーンではないが風圧をかなり軽減してくれ疲れも半減。首への負担等もほとんどない。

一日走って帰宅するとグッタリ、なんてことはなく次を計画できる余裕がある。

これはすごい。ノースウィングJCにお願いして良かった。(^_^) 
のんびり風景を、風を感じツーリングを楽しもうと思う。

娯楽ではない、趣味であるバイク。物ではなく道具。華美にするのではなく、自分の楽しみ方にあった提案。引き続きよろしくお願いいたします。

バイク屋のバイク乗りより一言

CB400SSもコンディションが整い、S・Yさんも速さより心地よさで新たなバイクライフを息子さんと楽しまれるのは何よりです。

ヤマハSRの対抗機種として登場したCB400SSは、昨今流行の外観がネオクラシックで電子制御満載の最新モデルでは味わえない昔ながらの素朴な乗り味はアナログ回帰への魅力であふれている。

売るがための提灯記事による話題や擬似体験からは何も生まれないが、旧いからこんなものではなく、Goodコンディションに整えてその良さを引き出すことは実体験に基づいた提案であり、モノとしての価値観より楽しむ為の道具としての価値を伝えることでもあると、バイク屋のおっさんライダーは考えている次第である。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

お問い合わせ