僕んちのバイクライフ SL230TM
雪に埋もれた飛騨の冬は長く、融雪剤が春雨で流されて路面状況が整うのを待ちわびながら、2台のSL230ツーリングマスター(以下TM)をはじめCB400SS-TMやXL250R-PDなど定期的にエンジンを掛けたり磨き上げたり手入れをしながら、今年のバイクライフについてあれこれと思いをはせていたが、気づくと春は瞬く間に過ぎ去って入梅のニュースが流れていた。
SL230は乗り始めてから22年が経ち、トレッキングごっこや獣道へ入り込むこと以外ではほとんど乗る事はなく、走行距離はあまり延びてはいないのでシーズンオフには綺麗に磨き上げるのも楽しみな事で、程度は極上でツーリングマスター(TM)へと深化したことにより益々お気に入りである。
極上とベストコンディションの違いを知る
カブキャンプでおなじみの皆さんと共にSL230TMをチョイ乗りで楽しみたく、GWには奥美濃方面で合流してワインディングを軽快に走り青空ランチを皆で楽しむ事が出来た。
青空ランチを楽しみながらバイク談義の最中に、高田さんから「アツシ、ちょっとこれに乗ってみよ」と言われて6万キロ近い走行距離となっている高田さんのSL230TM2024仕様?に試乗する機会を得たのである。
走行距離が2万キロちょっとのSL230TMと6万キロ近いSL230TMを乗り比べてみる?何のために・・・?
何これ?滑らかに回るエンジンは私のSLとはスピードの乗りが違う。6速で流すとSL230のエンジンがこんなにも心地よくなるのか、タッタッタと歯切れの良い鼓動感を発してその走りは私のSLとは大違い。なんでこうなるの?
なんで6万キロ近いSL230TMのほうが力強く軽快な走りなのか?スピードの乗りが速く、なんで・・・どうして・・・?同じSL230に乗る者としてその違いはなるほどと思うことができない違和感がある。
西やんも走行距離の少ない極上のSL230TMに乗っているので、続いて乗り比べて「ここまで違いが出るのか・・・」とメンテナンスによる深化を実感していた。
走行距離が短く外観が綺麗な車両を極上車としているが、乗り込んであるが各部のメンテナンスが行き届いたベストコンディションとの違いを実感できる貴重な経験をする事が出来た。
それは、高田さんが最近よく口にする、理想と現実の隔たりについての具体的な提案であることや、価値観と価値の違いは乗り続けて初めて判る事など、このチョイ乗りで大いに納得である。
後日、西やんのSL230TMに続き、私のSL230TMも大急ぎで欲張りなおっさん2024仕様へとバージョンUPのために早速NWJCへ。
平日の閉店間近に車両を持ち込み代車のFTR230で引き返す予定でしたが、スタッフとのチョットした行き違いで代車は他で使う予定があったようで帰りの足が・・・。
でも、高田さんからは「アツシこれに乗って行けよ」とデモ車のCRF250TMを用意していただいた。
CRF250ツーリングマスター(TM)を試す
SL230TMの更なるバージョンアップの為のメンテナンスを依頼してデモ車のCRF250TMに乗って帰ることに。
高田さん曰く、『旧いバイクばかりが良いと言っているわけではなく、現行モデルでも経験豊富なベテランが心地よく楽しめる仕様を提案することもぬかりは無い』とのこと。
『バイク屋の備忘録でUPしたように理想と現実のギャップを埋めCRF250TMも乗ってみてCRF1000アフリカツインからダウンサイジングしたCRF250TMの乗り味を試してみては』とのこと。
また、『現行モデルでも深化させるとどうなるか、それとダウンサイジング効果を実感してみては』との事でもあった。
CRF1000アフリカツインに乗っていた私ならではのCRF250TMへダウンサイジングしての乗り比べであるのは中々面白い提案であり、高田さん流の遊び心であることも納得です。
この機会は、CRF250Lのメーカー系レビューと一般ニューザーのレビューでは理想と現実の違いを理解できることであり、それに対する、NWJCからの提案であるCRF250TMはどんな乗り味なのか?
CRF1000アフリカツインからCRF250へのダウンサイジングも実体験する機会を得ることができたのである。
高速道路での移動でも、周囲の流れを楽々とリードするその走りは車格が1ランク上のような安定感で『えっ、これホントにオフロード250?』と疑ってしまうほどの余裕と安心感。
高速走行では必須の専用スクリーンのフェアリング効果も絶妙で、風圧を受けることの無い走りは何処までも行けることを直感的に確信した。
余談ですが、うちのカミさんがCB400ssからSL230TMへの乗り換えを希望したのは、SL230TMの専用スクリーンによるフェアリング効果が絶妙で、能登道ではCB400ssよりもSL230TMの方が意外にも楽に走ることができて、疲労感も少なく旅バイクには必須アイテムであることを実感したのが始まりでした。
STDのCRFがどの程度のものなのかの正直良く分らないが、CRF250TMのエンジンは滑らかに加速し、車体を支えるフレームはがっしりとした剛性感があり安心感がある。
ツーリングマスター専用のリアキャリアKitは片側34ℓ左右で64ℓのエンデュリスタン製が装着可能となっている。
SL230TMの専用リアキャリアKitでもエンデュリスタンのBagが装着可能な仕様があり、低重心は荷物満載のキャンプツーリングでも安定感のある走りを楽しめることが判る。
この車格なら持て余すことも無く、積極的に脇道へも入り込みたくなるようなダウンサイジング効果も実感!!
サスペンションはNWJCオリジナルで、時間と共にクタクタになり荷物を積むと駐車する場所が悪いと倒れてしまうようなSTDの軟な足回りではないとのことで、車体の挙動は座り心地が最高のコンフォートシートの下で全て完了となる安定感のある走りは、ツーリングマスターらしいと言えばよいのか『さすがツーリングマスター!』と言えばよいのか。
飛騨の山道は、名も無き脇道とよく遭遇する。
ある日アフリカツインで出かけたときの事だが、おそらく知っている道に抜けているだろうと脇道へ入ってみるも行き止まり、登りの1車線に満たない場所での方向転換は容赦なく僕の体力を奪っていった。
CRF1000アフリカツインはCRF250に比べて4倍の排気量だからパワーもあるが、車体重量は1.6倍で230kgを超える。さて、その4倍のパワーを何処で生かせたのか、そして230kgの車重は持て余すことばかりであったことも事実であり、憧れと所有欲を満たすだけの価値があったのだろうか、その結果は言うまでもない詮無い事!!
そんな儚い経験もしつつCRF250TMでは、飛騨のワインディングをストレスなど感じること無く標高の高いところではインジェクション効果も発揮して軽快に走り、寄り道も気兼ねなくスイスイと入っていける。
心地よい体験をしつつ、飛騨でCRF250TMを満喫していると高田さんより連絡があり、僕のSL230TM欲張りなおっさん2024仕様ができあがったとのこと。早速引き取りに岐阜へ。
私が実感したCRF250TMの走りは中々理解されることが無いようにも思うのですが、バイク屋RBRさんも、荷物満載状態でCRF250TMを長距離で走らせてその走りを実体験されています。
良い事ばかりの提灯記事と比べても、私の感想はヤラセではなく事実である事を分かってもらえると思うのです。ぜひ見てください。
RBR公式サイト『CRF250L-TMをキャンプ道具満載で楽しむ』
SL230が22年目にして覚醒
バイク本来の性能とは何ぞや、と疑問になる。
規格を満たす部品を手順に沿って組み立て仕上げられた新品の車両は良い車両?
では無く、キズの無い綺麗な車両なのだと実感する。
また、高田さんが言うところの、メーカー出荷のSTDは工業製品としては完成品でも、自由気ままにフィールドを拡げて楽しむ道具としては未熟で未完成であること。
また、『良き時代のMade In Japan』この言葉は私の若かりし頃と重なり合ってグッと来るものがある。
まさによき時代のMade In JapanのSL230の懐の深さには驚くばかりである。
『SL230の設計チームが本当に造りたかった車両は、林道からバイク旅まで自由気ままにフィールドを拡げて楽しめる懐の深い車両だったかもしれないな』と高田さんに言われた事が今まさに実感できているが、どんなバイク屋と関わっているかによりそのバイクライフには大きな違いがあることは当然であろう。
トレッキング仕様からツーリングマスターへと深化させて行く過程ではあちらこちらと手を加えてもらった。その度に更に楽しめる懐の深さを実感できる車両へと仕上がっていき、益々良き相棒になった。
そこから今回の2024仕様への深化は、最も凄いと感じている。
慣しは必要らしいが、岐阜市から飛騨への道中では滑らかさと力がどんどん増してくる不思議な感覚を体験。今までとはまったく別物の乗り味を持つSL230TM2024仕様。
基本に忠実に組み直されたエンジンはポートの段付きも修正されてメンテナンス経過を写真で確認できるのは安心感があり、まるでボアUPしたかのようなトルク感はシングルらしい鼓動感を発してどんどん先へ先へと走りたくさせてくれる。
また、CRF250TMと比べてもシングルらしい鼓動感はSL230の方が心地よく、まさに速さより心地よさである。
高田さんが言われる、『道具としての価値はスペック云々を頭で理解する事じゃなく五感で知る事』それは、SL230でトレッキングごっこを続けたことにより私のセンサーも感度良好となり、まさに五感で知ることであった。
それを実感させてくれたのがSL230であり、今回もまたまた大化けしてその七変化ぶりには只ただ驚くばかり。
また、GWに青空ランチを楽しんだSL230TM仲間も全車2024仕様へとバージョンUPしているから、皆もキャンプツーリング計画には大賛成で同時進行中である。
今は慣しも終えオイル交換も済み、飛騨の短いバイクシーズンを思う存分に楽しむために、さぁ何処へ行こうかとカミさんと計画を練りつつの日々である。
カブ110NWJCコンプリートType3もバージョンUPにより、カミさんが絶賛するType4に肉薄する軽快感を手にしつつ、カミさんと共に楽しんでいる僕んちのバイクライフのカブ編を近々お届けできればと・・・。