トライアンフ最後の空冷スクランブラーNWJC2014を楽しむ ―岐阜 寺山さん
コロナ禍も少し収まり始めて、ボンネやスクランブラーなどNWJCトラディショナルを走らせるには最適な季節がやってきた。いつものメンバーと定番の西へ出かけて自由気ままにバイク旅を存分に楽しみたいと思う今日この頃である。
3年前もススキが綺麗な季節に、空冷ボンネビルT100NWJC2014仕様を駆って寺山さんのK1600GTと村田さんのGoldWing1800、KさんのCRF1000アフリカツインの3台と共に大山の周りをツーリングで楽しんだ事がある。
その時のことだが、K1600GTを駆る寺山さんはNWJCトラディショナルとして提唱しているボンネビルT100の走りは驚きのようで、ツーリングから帰ってきてボンネの事が気になり始めたようで乗ってみたいとのこと。
試乗すると意外な事実を知ることになり、外観からは想像もできない走りと操作性は、人の関わる領域が広い昔ながらの素朴な乗り味のアナログ感と直接的な感覚は目から鱗とのことで「こんなバイクがあるんですね」と、半信半疑というか上手く言葉にならないようでもあった。
それから寺山さんは、空冷ボンネとスクランブラーが気になりはじめて、オフ好きの寺山さんはスクランブラーに関して、長年スクランブラーを楽しんできた村田さんや御大のオジたちから情報収集を始めたようである。
K1600GTをワインディングで悠々と置き去りにしたT100ボンネ2014仕様が気になっていたようだが、スクランブラー2014仕様の270度の鼓動感がVツインにも似て心地よいことを知ると、乗る機会が激減していたおっさんライダーの空冷スクランブラー2014仕様が気になり始めたようであった。
それは、空冷スクランブラー2014仕様は、NWJCトラディショナルの中でも楽しんでいる人が最も多い車両であり、おっさんライダーがボンネT100-2014仕様を走らせる機会を増やしたのは、それぞれの良さを引き出して楽しむためである。
とはいえ、スクランブラーを楽しむことが減っていたのも事実である。
ボンネビルT100ではタンデムでロングツーリングに出かける事もあり、パセンジャーと共に悠々とバイク旅を楽しめる仕様を現在進行中であり、その話をうっかり寺山さんに話した事が発端となり、待ってました!とばかりにスクランブラーを是非にも譲ってほしいとのこと・・・。
欲張りなおっさんはダメ!ダメ!と拒否!!でも・・・寺山さんは諦めることなく迫ってくる!! ついには欲張りなおっさんも根負けして、バイク好きの寺山さんにスクランブラーを譲ることになった次第である。
でも、スクランブラーはすんなりと寺山さんのところへは行かなかった。寺山さんがツーリングで乗るたびに問題が発生。1回目はレギュレターが壊れて、2回目はピックアップコイルが壊れて、出かけた先でエンジンが止まってしまうトラブルが発生した。
空冷モダンクラシックでは唯一のトラブルと思える電気系は点火系と充電系で前触れが無く突然症状が出始めるからやむを得ないところでもあるが、経験豊富な寺山さんは諦めることなく「経年劣化で寿命だったから仕方が無い」と割り切り、始まりは最悪だったがジックリと付き合い最良の相棒となったようである。
モトクロスやエンデューロを選手として楽しんできた寺山さんは、ライダーとして感性の感度もよく、空冷スクランブラー2014仕様との相性も抜群で、素敵なバイクライフを存分に楽しまれていることは何よりである。
そんな経緯で、おっさんライダーの空冷スクランブラー2014を強奪していった寺山さんからトライアンフ最後の空冷スクランブラーを楽しむレポートが届いた。
トライアンフ最後の空冷スクランブラー NWJC2014仕様を楽しむ
3年前に社長のボンネT100を試乗した時、世の中にこんなに扱いやすく楽しいコンディションのバイクがあるのだと衝撃を受けました。
NWJCのお店から出た瞬間、自分の手足のように扱える感覚で人のバイクなのに全く不安がなかったのです。
エンジンは極低の粘りがあり止まる気がせず渋滞の中で止まるのか進むのかジタバタする状況でもクラッチは触らずアクセル操作のみで操れたのです。
走る曲がる停止するといった当たり前の動作は全て高次元で完璧だったのです。
僕のバイク歴35年は何だったんだ?世の中にこんなコンディションのバイクに仕上げて楽しんでいる人たちがいるのだと、ライダーとバイクのトータルバランスが重要でライテクやスペック云々では無いことに気づき、良いバイクとは?と真剣に考えるようになった瞬間でした。
そんな社長の思い入れの入ったトライアンフ 空冷スクランブラーが僕の所に来ました。(強引に奪い取ったかも・・・)
好みもあると思いますが、乗り味はボンネよりも鼓動感があり楽しいですよと、ボンネ800T100からスクランブラーに乗り換えた、トライアンフ空冷モダンクラシック歴20年の村田さんには聞いていましたが、ビックリするくらい楽しいのです。
(社長はまったくそのことは教えてくれませんでした!!何故でしょうか・・・)
基本的な車両作りのコンセプトはボンネと同じだと思いますが、以前乗っていたハーレー TwinCam88Bのエンジンよりも分かりやすいVツインにも似た鼓動感があり、マフラーからは歯切れのいい心地よい音が聴こえてきます。
エンジンは極低からアクセルワークにしっかりついてきて、フロントやリヤタイヤの接地感を感じやすい。
このアクセルワークもガバァ~と開けるのとは違いほんの少しだけ、それってアクセルを捻っているの?というくらいの動きにもしっかりと反応してくれるからコーナーでも常にトラクションを掛けた状態で走れるから車体が安定するんです。
余談ですが過去に所有していた電子制御満載の車両のアクセルワークではタイムラグが大きく反応も大雑把で上記の扱いはできませんでした。これがアナログならではのトライアンフ空冷スクランブラーがNWJC2014仕様へと熟成と深化させた良さなんですね。
そんな感じだから一生懸命走るというよりも、意のままというか、体感フィーリングの良さでダラァ~と流しても走り続けられるし疲れないしずっと乗っていたくなるんですよね。
でも、アクセルをワイドオープンすると、どこまでも加速していくDOHC 4バルブのパワーは怖いくらいです。リヤタイヤが前へ前へと蹴り出していく感じの加速ですね。
ここまでの領域は僕にはオーバースペックかもしれませんが、コンディションが整っていると下から上まで気持ちよく、体の延長線上にバイクがあり体の一部のような感覚でもあり、意のままにとはトータルバランスが高く判りやすく扱える感覚のことなんですね。
後で知ったことなんですが、スクランブラーのガソリンタンクは他のスクランブラーには無いカラーのようで、社長が2001年に復刻したボンネビルに乗り始めたときのタンクを使い続けていたそうで、空冷モダンクラシックの熟成と深化による20年であることや、社長のスクランブラーへのコダワリや愛着もよく解かりました。大切にします。
ツーリングかバイク旅か
つい最近のことですが、「ツーリングとは、距離や目的を楽しむことを言い、バイク旅とは、お気に入りのバイクと共によき時間を楽しむことじゃないかな」って。
こんな話を社長から伺い、居ても立っても居られなくなりました。
社長の車両作りのコンセプトは、速さより心地よさの快適な旅仕様でしたよね。
なるほど!僕はツーリングしかした事がなかった。いつも何時までに次の目的地へ、何時までに宿へ、晩食は自宅で等々、時間を計りながらのツーリングでした。
時間に縛られることなく自由気ままな旅をこのスクランブラーでしてみたい。とワクワクしながら日々カレンダーと地図をにらめっこしています。
次の休みはどこへ行こうかな?少しでも時間があれば、あるいは時間を作れれば乗りたいな!そんな有意義な毎日を送れるようになったし、バイクライフが益々充実しているように思えて毎日が楽しみです。
トライアンフ空冷スクランブラーNWJC2014仕様という、今までにない経験ができる価値あるバイクで、僕のバイクライフは大切な宝物というか良き相棒に出会えたことに感謝です。
社長と出会い常々思うことがある。
医療関係ではセカンドピニオン・サードピニオンを受けた方が良いとよく聞くが、バイクに関してはNorth Wing JCさんしかあり得ない。と実感しています。
真剣にバイクという乗りものに真っ直ぐな姿勢で向き合い、流行り廃りや話題などに惑わされることなく、お気に入りのバイクで自信を持って存分にバイクライフを楽しむことへの提案は、ライダーとお気に入りのバイクが主役でお店は脇役というスタイルを強く感じる素敵なバイク屋さんだから、きっとこちらに通われている方々は同じ思いでしょうね。
レポート 寺山