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CB250NWJC-TMを通勤で試乗

若かりし頃、エンデューロやモトクロス中部選手権などスポーツライクに楽しんできたベテランライダーの寺山さんは、歳を重ねてBMWは R1200STからK1600GTへ乗り換え、最新の電子制御にはうんざりするものがあり、その後長年所有したハーレーも手放して、昔ながらの素朴なトライアンフ空冷スクランブラーへと乗り換えて、のんびりとアナログ回帰を楽しまれています。

年齢と共に大型バイクでの楽しみ方が何となくぼやけてきた事もあり、BAJA250やSL230TMにカブ110NWJCコンプリートとカブC125NWJCコンプリート等々、気負うことのないダウンサイジングの面白さもよく御存知です。そんな寺山さんから、CB250NWJC-TMの普段使いと通勤試乗レポートが届きました。

NWJCさんにお世話になる様になったのは、BMW R1200STから始まり14年ほどのお付き合いですが、社長の高田さんといつものメンバーの方々とのツーリングに誘ってもらってまだ4年程の新参者ですが、この4年間で得た事はとても大きく豊かな体験です。

僕のSPECは、1968製 172cm 80kg  残念ながら見栄えの良いスタイルではない。お店のブログによく出てくる「おっさん」世代です。

昨年末、愛車のXLR-BAJAはオイル消費大のためNWJCさんで上部のオーバーホールして頂き、季節柄天候のこともあり半年掛けてやっと慣らしを終え、慣らし後に再度バブルクリアランス調整や各部のチェックとオイル交換を終え、次回のオイル交換までにGoodの当たりをつけるためにブン回してOK!となった。

一日も早くGoodからBestへの当たりを着けるために、久しぶりに高速道路を利用し600km程走ってきたが結構しんどかった。それはスクリーンが無くて風が体にまともに当たりインカムの音楽も全く聞こえない。

また、ファイナルの関係で120km/hがMAXのため、後続車に追いつかれ道を譲った後の再加速にまた時間がかかり、スピードがのった頃にまた後続車に譲る、の繰り返しに結構神経を使い疲れました。

エンジンの調子はすこぶる良くピックアップや加速も以前とは別物だったのに、高速を使った長距離では少し250ccバイクに対する思いにどこか隙間風が吹いていたのが最近のモヤモヤでした。

そんな時に社長からCB250NWJC-TMを通勤も含めて普段使いしてみない?と提案され心が踊った。

日常生活の通勤でもバイクを楽しむ

日々通い慣れた通勤ルートは、僕自身とバイクのコンディションのチェックにもなっています。
整備後の変化 部品交換後の変化など、違いがあるのかないのかを探りながら走ることはとても楽しいと思っています。

変化を感じた時は、経年変化や劣化に気づいて良くなった事に満足すると同時にそれに気づけなかったことを反省し、良くなった状態を忘れないように心掛けているからです。

今回の通勤も含めた普段使いで、CB250NWJC-TMは水冷単発DOHC 4バルブで、僕のBAJAは空冷単発SOHC 4バルブというところで比較してみようと思いました。

オンロードバイクとオフロードバイクの差はありますが、CB250NWJC-TMのコンセプトは、速さより心地よさと何かに特化しない曖昧さと和洋折衷の大らかさで、どこでも気ままにふらっと行けるバイクだからBAJAも同じでは。

CBのポジショニングはハイシートを基準にハンドル嵩上げし、姿勢のバランスはそのままに膝の曲りを少なくし負担を軽減しています。かと言って足つきが悪い訳でもなく座面も広くお尻が痛くなりにくい設定でした。

そして上記のポジショニングに絶妙の高さのスクリーンは一般道でも防風効果を発揮していました。BAJAにはスクリーンが無いので、この差は思った以上にデカかったですね。

サスペンションはフロントが倒立の為剛性が高くカチッとしており、リアは荷物をフル積載できる仕様がNWJC-TM(ツーリングマスター)たるいわれで積載状態でも問題ないセッティングでしたが、初期作動がしっかり動くため通勤の荷物程度でも快適でした。

サスは前後のバランスが良いためコーナーの切込みが良くBAJAよりも小さいRで回れるし、車体のよじれもないのでコーナーが楽しく直角左折もスムーズでした。

エンジン特性は、新しい物は排ガス規制でパワーが落ちているからBAJAに分があると思いきや全然走るではないか!えっなんで? 流石にこれは納得がいかず社長に電話で聞いてしまった。

こちらはオーバーホールまでしてベストコンディションなのに・・・。

社長「それが面白さと楽しさのCB250NWJC-TMなのよ(笑)」

いまひとつ納得はいかないが、明らかにCBの方が全域で勝っていたのだ。例え話で言うと、信号機のタイミングがBAJAでは赤になる所がCBでは青で通過できるって感じかな。中速域からの伸びが気持ちいいのなんのって。

僕はせっかちなので、裏道や抜け道が大好きでチョコチョコ忙しい乗り方をするタイプなんですが、CBの車格とエンジン特性は全く問題ありませんでした。

低速域のトルクの出方もマイルドで社長が林道を楽しむのも解る気がして、僕も試してはみたかったのですが流石に気が引けました。

過去の社長の記事で、林道の画像の中にかなり荒れたクレパスだらけのものがあったのを思い出して、CBはアンダースポイラーがついているからクレパスにハマったらヒットして割れてしまう、クレパスを避けて走るには荒れた路面のキャンバー走行が必要だが社長はこのCBでいとも簡単に走り抜けたんだなと、CBを走らせながら考えていました。

大型バイクとダウンサイジング

オンロードバイクでもオンモデルに拘ることのない発想は、短い期間の試乗でしたがその意外性は正に何かに特化することの無い曖昧さで、非の打ち所が無いとても楽しいCB250NWJC-TMでした。

通勤での燃費もCBは40km/ℓ、BAJAは平均28km/ℓとこちらも完敗です。

しかし、そんなBAJAは過去に大型バイクで高速を使い単調なツーリングに疑問を抱き、なんかつまんないと思っていた時に手に入れ、軽くヒラヒラと走れてどこへでも気の向くまま入り込める感覚を思い出させてくれた原点回帰の1台なのでこれからも大切に思う存分楽しみたいと思っています。

大型バイクでは「あっ今の所に寄りたかった」とか「この道興味あるけど道が狭いからUターンできないしな~」とか、片側1車線のUターン中に立ちごけしたら、回りきれずに切り返し中に対向車きたらと、バイクなのに車みたいな道しか走ってなかった。

BAJAは小僧だった頃に毎日あちこち走りまわって、バイクという乗り物に夢中になっていた高揚感を見事に思い出させてくれた良き相棒です。

NWJCさんは、そんな良き相棒を定期的なメンテナンスでコンディションを維持してくれて、僕の知っているお店(バイクに限らず)の様な古い物から新しい物へと買い替えを促す事は決してしない。

メンテナンス後の試走を必ずさせてくれて、バイク屋のバイク乗りとしてのライダー目線で乗り手の意見を真摯に受け止めてくれます。それは、一緒にツーリングに行ってライダーとしての思いや好みを話すようになった頃からか、何度か夜の10時過ぎまで僕が納得できるまでセッティングに付き合って頂いた事もあります。

その後、僕はNWJCさんにお邪魔するようになってから次の休みはどこへ行こうかな?とか乗りたくて夜眠れず何度も目が覚めるなんてワクワク感を与えてくれるバイクを所有できる様になりました。

もともと僕にバイクの楽しさを教えてくれた近所のオジさんのNさんは随分前に亡くなられたのですが、実は社長とは昔からの大の仲良しで、もっと早くにそのことを伝えていたらと過去を思い返す時もありますが、ご近所に理想のバイク屋さんがある恵まれた環境に日々感謝です。

最後にCB250NWJC-TMに乗らせて頂き、60歳を過ぎたら欲しいなと思いつつ今後の世情で電子制御化が進み現状のSPECのまま新車入手することは難しいでしょう。弱い消費者には辛い世の中ですね。

大好きなバイクライフを楽しんでいる方々で愛車の健康状態に不満を抱えている方に、バイク屋のバイク乗りとしての経験からライダー目線で接して色々な提案をして頂けるお店が在る事が伝われば幸いです。

レポート 寺山

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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