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提灯記事に思う事 その1

  • カブ110NWJCコンプリートからトライアンフ空冷スクランブラー900までお気に入りのバイクを楽しまれている、寺山さんから「提灯記事に思う事」のレポートが届きました。

    メンテナンスによりコンディションを整えることが、今までにないバイクライフを得るキッカケになる事を実体験され、その体験談を職場のバイク仲間に話されているようですが、その実体験は世間では一般的とは思われないことも多々あり、所有欲や自己顕示欲を煽る提灯記事など売るための情緒的価値観による先入観や偏見の壁が厚く、具体的で現実的な体験談が上手く伝えられないことを実感されているようです。

最近、僕の周りでSNS等の投稿に想像を搔き立てられて惑わされている人が結構いることに気付く機会が多くなったように思う。

僕自身も2015年に○○○に関する某雑誌の内容が提灯記事だった事にガッカリした経験があり、それ以来雑誌や製品カタログのスペックに一切興味がなくなり、読むこと買うことがなくなってしまった。

YouTubeの影響

ある日、KLX125に乗っている会社の後輩が、「YouTubeでハンターカブCT125の林道走行を最近よく観ているが、丸太越えや急な登り坂をスイスイ走るのを見ていいなと思うのですがどう思いますか?」

カブCT125は流行りで芸能人の動画にもよく出てくるから、そんなに乗りやすくて楽しいなら乗らなくなったKLXを手放して買い替えようかなと悩んでいると聞いた。

僕も何回か同じような動画を観たことがあり同じものか確認したら同一のものだった。

僕が観た印象は、ライダーはトライアルかモトクロスやエンデューロの上級ライダーのデモランと気付き、流石上手だなと感心しましたが、自分にはこんな真似は絶対できないと直ぐに確信。

しかし、彼は自分もこんな風に楽しむことができると購買意欲が湧いたようだ。古くなったKLXに飽きがきて乗らなくなり、新たなハンターカブで芸能人のチョイ乗り投稿や、林道の一部分のアクションに魅力を感じた、正に動画投稿者の思惑通りである。

ハンターカブのツインショックよりもKLXのモノサスの方がサスストロークもあり、路面追従性が良く断然乗りやすく、林道走行に限ってはサスペンションの性能が違いすぎだから、KLXのほうが安全に楽しめると思う。

カブはツインショックでしょ、限界が低いから素人が真似すると怪我するよ!と、僕は彼にこう返した。

するともう一つカブの魅力があると!

荷物を積んでキャンプにも行ってみたい、確かにカブでキャンプは僕も行っているので気持ちは解る。

そこで、今年の春にキャンプへ出かけたときに出会ったハンターカブの話も付け加えた。

ハイエースにハンターカブを積んできてキャンプ場で降ろしテントの前に車両を飾りリヤには大きな箱も付け釣竿用のパイプもついていた。そこだけ見れば自走でキャンプを楽しんでいる絵なのだが、実際、ハンターカブでキャンプ旅を頻繁に楽しんでいる方は極僅かであると思っている。

それはツーリング先で見かけた事がなく一時的に流行りで乗っていた連中すら最近は見なくなったからだ。

カブ110NWJCコンプリートの深化

重心の高いハンターカブにキャンプ道具を積んで走る事が楽しく安全かどうかも定かではない。と伝えた。すると彼は僕に聞いて良かった。イメージだけで欲しいと思ってしまった。と、納得してくれた。

元々KLXも友達が乗っていて維持費が安く車格も小さいから安心と勧められた。その友達はCRF250へ買い替えたが、一年もしないうちに乗りにくいからとセローへ乗り換えてしまい置いてきぼりにされて、今度はセローが欲しいけど維持費を考えるとハンターカブCT125なら、という経緯が全てだったようだ。

周りの影響を受け車両を選択するのはよくあるとは思うが、量販店では何もアドバイスしないのだろう。

その経緯は僕のK1600GTL-Exclusiveと同じ。

カブ仲間???とツーリング

そんなハンターカブCT125の話題に、今度は定年を迎えられた先輩がHMドリーム店で新車のハンターカブを衝動買いし、カブ乗りになったからどこか一緒に行こうと誘われた。

先輩は200km以内の行程でルートは任せると言われたが、そんな短い距離なら走った気にならないからお断りした。するとカブ仲間やろ?一度は付き合えと言われた。

「カブ仲間???」一度も一緒に走ったことないしそのフレーズ自体もSNS譲り?

後日、軽く林道も含め日本の小道的なルートを走った。先輩は60kmで走る車の流れにも乗れず40~50kmで後続車を貯めに溜めて走り、後続車にあおられるのではないかとバックミラー越しに心配の一日になってしまった。

稲刈り前の棚田を見ようと正ヶ洞棚田に寄り展望台にカブを停めて写真を撮っていたら先輩はハンターカブを恐る恐る取り回しをしていたが僕の所まで下りてこなかった。

自分も過去に2014BMW K1600GTL-Exclusiveに乗っている時に経験したから、この光景はよくわかる。

自分の体型が乗り物に合っていないのだ。本人はただ怖いだけ。

先輩の体型からハンターカブは足つきが悪く車重も重いと感じているようだ。
確かにSL230より排気量は約半分なのに車重は20kg近く重く常に不安を抱えているのだとわかった。

リターンライダー??

先輩はリターンライダーと言っていたが、若いころに限定解除しSRX600に一年程乗り手放し還暦を迎えSNSで話題の125ccを手に入れた。しかし、思うように扱えないでいる。

HMドリーム店でも足つきが悪く恐々乗る先輩に欲しいだけで売ってしまうのか?

一言でも違う車種の提案はあったのか?

先輩は憧れだけで買ったハンターカブを楽しいと思って乗れる日がくるのか?

SRX600のように直ぐに乗らなくなり手放すのか?

原付二種は維持費が安いから取り敢えず手元に置いておくのか?

娯楽の小道具としての買いモノになってないか?

販売店も売れればいいだけのお店ばかりで、店員自体もSNSで情報を集めているのではないか?

本当に楽しめる提案をしないと後に繋がる事は無くなると思うが、何も分からないにわかリターンライダーや情緒的にスタイルや色等を好むヤングライダーが後に続いているから心配することはないか。

昔、にわかに乗っていた経験でも再び乗ればリターンライダーというのは如何なものか?

そういった人たちが今回の様に最新のバイクをSNSや雑誌で知り過去のバイクより最新デバイスでライダーを補助し乗りやすくなっていると勘違いさせて、50代のライダーが多く亡くなっているのも現実で、この秋も10月に入り何件も50代のライダーが亡くなる記事をみた。

今回のハンターカブとのツーリング写真の画像を貼り付けたかったがカメラが壊れデータが無くなってしまい、後輩が撮った写真を貼ることにした。

ツーリングセローで危険な思いをした同僚は

同僚がツーリングセローに乗っており、最近キャンプに行ってる?と聞いたところ当の昔に手放したと返事がきた。気に入って乗っていると思っていたので正直驚いた。

手放した理由は、キャンプ道具を積んで剣山スーパー林道を目指した時に高速道路でハンドルが振られ80km/hが限界で恐々走り続け、剣山に入る前の一般道でフロントの接地感がなくなり転んでしまいキャリアが損傷しツーリング続行を諦め帰路に・・・こんな怖い乗り物は二度と乗りたくないと手放したそうです。

ツーリングセローもキャンプ道具を積んで森の中でソロキャンプしている絵を見たことがある。キャンプ道具を積んで走るとフロントの接地感がなくなり生きた心地がしないと他にも聞いたことがあり本当だったようだ。
こちらの絵も残念だが提灯記事だったのか。

セロー250NWJC-TMとSTDセローの乗り比べで分ったこと

フロントタイヤの接地感がない対策をステアリングダンパーなるものをボルトオンして振れを抑えるようにしている他のセローもみかけた。これもSNSか販売店が、耐荷重対策としてサスペンションの見直しを提案せず、安易な取り付けのボルトオンパーツで対策としたのか?

乗っていれば接地感があるかないか直ぐに判断できるようなものだが。セローNWJC-TM仕様をフル積載で乗らせてもらった時にそういったセローの負の部分を全て取り除き、旅バイクとして完成させた乗り心地は圧巻でした。

バイクに乗るバイク屋さんだからこそ安全に楽しめる乗り物に深化させる提案をしているNWJCの高田さんは、「バイクは、危険な乗り物だから一つ間違うと人生そのものが大きく歪んで終わりとなってしまうし、周りの人々にも多大な迷惑をかけることになる。」だから提灯記事により如何に売るかよりも、乗り出してからメンテナンスやモディファイによりコンディションを整えて、気負うことなく如何に楽しめるか、それが今のライダーに伝えてあげたい事だと真剣に考えている。

提灯記事に思う事「その2」では、ライダーとして一生の不覚と思えるBMW K1600GTLについて伝えたいと思う。

レポート寺山

あとがき

乗れば消耗して不具合となるところと馴染みが良くなり扱いやすくところがあるのは当然のことですが、走行距離が伸びてもあるレベルでコンディションを維持できる事や、新車がすべてにGoodコンディションではなく、メンテナンスやモディファイにより本来の良さを発揮させることができるのが事実です。

しかし、工業製品としては完成品でも道具としては未熟である事など、一般的には受け入れられることでは無く、荒唐無稽な話のようで驚き唖然されることもあるようですが、違和感や問題は頭で理解することでは無く五感で体感することですから、それらは実体験した人にしか解らないことなのです。

バイクに乗らない実体験が無い人には解らないことなのですが、「解らない」とは云わず、「こんなものです」とした何となく納得できたような気にさせる中途半端で便利な言葉もあるようです。

お付き合いのための小道具か、娯楽か、趣味か、それもまた「よし」です。人それぞれのバイクライフは十人十色ですから。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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