バイク屋の備忘録

SL230TMと共に2024年が始まった

今年の初乗りは、SL230ツーリングマスター(以下TM)を駆って木之本から福井方面へのチョイ乗りを楽しむことから始まった。

融雪剤による錆びの発生が厄介だから、走り始める前にブレーキとタイヤ以外は防錆剤をタップリと吹き付けたが、道は融雪剤のため水しぶきが上がる度にエンジンとその下回りは瞬く間に白く汚れていく。

錆びのことが頭の中をぐるぐるとまわっていたが、速さより心地よさのSL230TMを駆ってこの季節ならではの雪景色を楽しむことからバイク屋のバイクライフが始まった。

SL230との付き合いは長く今年で26年目となる。

二輪二足のトレッキングごっこを長年楽しんだ後、積載状態でも自由気ままにフィールドを拡げて素敵なバイクライフを満喫できればと、スペックやブランドでもなく、何が必要で何が不要か、「欲張りなおっさん仕様」として蘇らせる試行錯誤が始まったのは8年前の2016年春のこと。

欲張りなおっさん仕様の構想を練るべく、SL230では初めて定番の西へ走ったのは2017年3月の事。

あの頃のSL230は、積載力も無くバイク旅を楽しむには程遠い状態であったが、何故、どうすればと思案することはバイク屋のおっさんライダーにとって楽しみな事であった。

新しいモノがすべてに良いとした提灯記事などにより所有欲を煽り、台数至上主義と成果主義が最優先の使い捨ての消費文化が主流の2輪業界だが、流行り廃りに流されることとは一線を画してよき時代のバイクにて本来の良さを引き出す事は立ち止まり省みることへ一石を投じる事でもあり、新しいモノがすべてに良いわけでもなく、失うモノもあることを伝えることができればと常々思う次第である。

電子制御満載のアクセルワイヤーの無い電スロのバイク等が主流となりつつあるが、機械式のアナログは人の関わる領域が広く操る人の感性が第一であるという素朴な乗り味が魅力であり、これから益々希少となるから良き時代のバイクならではの魅力を引き出してその良さを共に楽しみたいと思う次第である。

SL230ツーリングマスターで今年初の西へ

3月18(月)~19日(火)の2日間で定番の西をSL230TMで楽しんできた。
昨年の3月19日(日)も土岐さんと共にCRF250TMを走らせ、西やん、里見君、S・Oさんの3人はSL230TMを駆って、900Km前後の行程で定番の西を皆と日帰りで楽しんだことが思い出される。

今年は天候も悪く昨年よりも寒く、早朝と深夜の寒さはおっさんライダーには過酷なことだから無理をしない程度に少し余裕を持って1泊2日で900Km前後をのんびりと楽しむことにした。

朝は僅かに小雨がパラついていたようで9時過ぎからのんびりと走り始めたが、名神高速の伊吹PAを過ぎたあたりから暴風と雪が舞い始めて気温はドンドン下がり寒さが厳しく、弱気なおっさんライダーは今日はやめて帰ろかな、と思ったほど大荒れの天候であった。

今回は一人で走るため夜明けと共にと思っていたが、天候が悪く出発はのんびりして山陽道の龍野西ICまで一気に走り、出雲街道では速さより心地よさで美作後南朝ゆかりの地をすこし訪ねることにした。

南北朝時代に関する史跡や伝承地は、主にトライアンフ空冷スクランブラー900を駆って村田さんと共に九州から東北まで長年にわたり訪ね歩き楽しんできた。

美作後南朝に関しては、児島高徳公顕彰忠桜会発行の「長慶天皇と児島高徳 太平記」私本太平記のなかで「燼余八咫鏡」に関することに始まり、「正さねばならぬ美作の歴史」なる書も得ることができて色々な事を知ることができたが、日本はもとより世界中の理不尽な事は、権力、武力、欲などによって引き起こされるのがいつの世も常であるように思う。

日本神話は我々日本人のルーツでもあり、歴史も含めて勝手な想像力で楽しむのがおっさん流であるが、ベースとなるものが無いと勝手な想像力で楽しむこともできないのが現実である。

限られた時間で神話や歴史を訪ね歩くときは、積載状態で長距離を移動して様々な路面状況でゴー&ストップやUターンを繰り返す事になるから、NWJCツーリングマスターのコンセプトである「速さより心地よさ」「何かに特化することのない曖昧さ」「和洋折衷のような大らかさ」は、バイク旅を悠々と面白く楽しむための必須要件であると実感している。

SL230TMは2024仕様へと深化

今回の悪天候でも何ら苦も無く楽しめたのは、まずは100Km/hでの高速巡航も楽々のエンジンコンディションの良さはシリンダー上部のO/H効果に伴ってファイナルレシオの変更も影響して、専用スクリーンによる防風雨効果と専用ハンドルカバーなどによる防寒の恩恵がおっさんライダーには何よりであった。

積載に関してサイドバッグはエンデュリスタンのモンスーンエボに変更して片側34リットルを左右に装備できるサイドラックを新たに企画して100リットル以上の積載を可能にして、コット以外のキャンプ道具を積載して走らせて重いものを低く積み込む事の効果は高速での直進安定性とワインディングでの操縦性の良さなど、SL230TMのトータルバランスの良さが発揮されていることを実感できた。

走り続けてもお尻が痛くなることの無いコンフォートシートは専用のシートホルダーにより更に安定感がアップ、視認性アップと霧や雨の峠道での効果が大きいフォグランプも装備して、アナログで地図を眺めながらの専用タンクバッグの新たな企画など、その使い勝手のチェックも含み良き時間を楽しめたのは何よりである。

バイク屋のおっさんライダーが自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を心地よく楽しむための「SL230欲張りなおっさん仕様」は、自らの実体験に基づいて違和感や不満などに対策を施し専用オリジナルパーツを企画してエンジンから足回りまでのトータルバランスを整え、SL230TM2024仕様へと深化している。

素敵なバイクライフへの第1歩

250クラスへダウンサイジングすると様々な問題が浮かび上がってくるが、メーカー出荷のSTDは工業製品としては完成品だが、バイク旅を満喫するための道具としては未完成で未熟であり、メンテナンスやモディファイが必須となるのは当然のこと。

日帰り程度の積載量ならリアキャリア等のボルトオンパーツを組み付ける程度で充分のように思われるが、キャンプ道具などを積載すると安定感が無く、高速ではハンドルが振られる場合もあり、ワインディングでは操縦性にも不安が残り、長距離ではお尻が痛くなるシートなど、様々な問題に直面し、所詮は250だからと早々と見切りをつける事は耳にする事があるが、緩和や対策は可能なことだから乗り始めてから始まる素敵なバイクライフのために簡単に諦めないで頂きたいと常々思うのである。

バイク旅必須の積載力は、積載量が増えても操縦性や安定性への影響を最小限に抑える為に低くできるだけ前への積載が理想だが、ボルトオンパーツによるトップケースの装着例をみると一般的にはリアシートのかなり後方となっているから操安に問題が発生する場合があるのは当然のこと。

所詮は250クラスだからどの程度の速度や積載量なら許容範囲として妥協できるかが一般的のようであるが、症状と原因は別のことだからそれは何かが違う。

新しいモノがすべてに良いとした提灯記事などにより所有欲を煽り、台数至上主義か成果主義を最優先とした流行り廃りの使い捨て消費文化が主流の2輪業界では、違和感や問題に気づけば「こんなものです」とか「所詮250では」となるようだが、それはとんでもない勘違いで何かが違う。

乗り始めてからの違和感や問題に気づけば、「こんなものです」とか「所詮250では」の思い込みよりも、どうすれば問題を解決できるかと思案や相談することが素敵なバイクライフへの第1歩だから、バイク屋として素敵なバイクライフのためのお手伝いや提案は、バイク屋自らの実体験に基づいてこそ可能な事であると過去の経験より思う。

みんな、おっさんライダーとなってもSL230TMを楽しんでいる

みんなのSL230も暫く啼かず飛ばずであったようだが、おっさんライダー自らが楽しむために「欲張りなおっさん仕様」として蘇らせて、自由気ままにフィールドを拡げて「速さより心地よさ」で楽しめるツーリングマスター(TM)へと深化した事は意外だったようで皆のバイクライフにも大きく影響したのは何よりである。

SL230による「トレッキングごっこ」では二輪二足走行でポコポコと楽しみながら林道から獣道までバイクとの一体感は五感で楽しみ、20数年来SL230を楽しんできた皆もライダーとしての感性が刺激され鍛えられて、年を重ね経験豊富なおっさんライダーとしてバイクライフを満喫されていることも何よりです。

SL230はトレッキングごっこ仕様から自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を存分に楽しめるNWJCツーリングマスターへと深化して、その懐の深さや意外さは、SL230を大切に長年乗り続けてきたおっさんライダー達にしか解らない、新しいモノや希少なモノなどが持てはやされる流行廃りの使い捨ての消費文化とは次元が異なることは皆が承知のこと。

お気に入りのBigバイクとは一味違うSL230TMを駆って自由気ままにフィールドを拡げてバイクライフを満喫しているおっさんライダーたちにとって、スペックやブランドでは得難いその価値を誰よりもよくご存知であることも素敵なバイクライフではないか。

バイク屋の実体険により

バイク屋自らがバイクに乗って楽しむ事が出来ないと、違和感など感覚的な問題は理解できないから「こんなものです」とか「所詮は250だから云々・・」とかで、売るがための提灯記事に通ずる商品説明やボルトオンパーツの話題に終始することになるようだが、乗り始めてから始まるバイクライフでは違和感や問題への対策は具体的で現実的なことが求められていることは云うまでもない。

小排気量よりも大型のスペックや車格であれば思うがまま楽しめるのではと、憧れや好奇心に売るがための提灯記事に所有欲を刺激されて、乗り始めると多くの場合持て余すことに気づくと乗ることが億劫となり、思いのままになるのは幹線道路や自動車専用道くらいのもの。

所有した感動は時間と共に薄れてそれに合わせるように乗らなくなってガレージでオブジェ化しているか、近場の道の駅までのお出かけで皆とのコミュニケーションツールと化しているのが実情では・・・。

メーカー出荷の工業製品としては完成品でも、もっと自由に気ままにフィールドを拡げて楽しむ道具としては未完成で未熟だから、バイク屋の実体験に基づいたダウンサイジングへの提案では、旧いSL230に始まりVTR・ツーリングセロー・CRF250・CB250R・CB400ss・SR500などツーリングマスターへと深化させている実体験により、素敵なバイクライフへのお手伝いができればと思う次第である。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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