バイク屋の備忘録

SL230TMで桃太郎伝説を訪ねる

日に日に暖かくなり、SL230TMはハンドルカバーも取り外すことが出来て、コロナ禍も治まり自由気ままにフィールドを拡げて心地良く楽しめる季節となったのは嬉しい限りである。

よき時代のSL230をベース車両として、素敵なバイクライフを満喫するために「速さより心地よさ」「何かに特化することのない曖昧さ」「和洋折衷のような大らかさ」をコンセプトとして、NWJC独自のメンテナンスとモディファイにより具体化したSL230ツーリングマスター(以下TM)を駆って先月と同様に定番の西を楽しんできた。

夜明けと共に走り始める予定でいたが、外気温が低い為少し陽が高くなってから走り始めることにした。

積載状態で安八ICから名神高速に乗り1回のトイレ休憩で山陽ICまでの300Kmを一走りの高速巡航も楽々のSL230TM2024仕様は、エンジンコンディションと専用スクリーンによる防風効果も高く長距離では必須であり、大排気量でも防風効果が低いと高速移動は苦痛となるのが現実である。

持て余すことのない車格と使いこなせる排気量によるSL230TMの使い勝手の良さは格別で、日本的な常用速度域では積載状態でも道を選ぶ事も無く、自由気ままにフィールドを拡げて素敵なバイクライフを満喫するための実力はSL230TMを楽しむライダー諸兄は皆納得のこと。

桃太郎の鬼退治ゆかりの地を訪ねる

前回はSL230TMを駆って美作後南朝ゆかりの地にほんの少しだけ触れ、今回は日本昔話の桃太郎の鬼退治伝説の地を訪ねることにした。

今回、桃太郎の鬼退治の地を訪ねることとなった発端は、先日、CT125に乗っている若いライダーのY・Hさんより、茨城から名古屋への長期出張の休日を利用してカブ110NWJCコンプリートを試乗したいと問い合わせがあった。

試乗を終えたY・HさんにCT125に乗り始めて間なしなのに何故カブ110NWJCコンプリートを試乗したかったのかと訊ねてみると、CT125は車格や排気量に対してセロー250に近い車重があることを指摘していたことと、プロトタイプからType4へとシリーズ化してカブ110NWJCコンプリートに拘っているからどんな走りなのか興味があったとの事。

Type4の感想を聞いてみると、「CT125と比べて、車両は軽く軽快な走りであんなに乗りやすいとは」と、思った以上の乗り味であったようで、カブ110NWJCコンプリートへのコダワリには納得のようであった。

バイク歴半年の若いライダーは、おっさんライダーの「バイク屋の備忘録」を時々のぞいて日本神話にも興味があるとのこと。でも、最近の桃太郎の鬼退治は、懲らしめて最後には許してあげるように改ざんされているようでそのことには違和感があるとのこと。

桃太郎の鬼退治は吉備津彦と温羅の戦いであり、大江山の酒天童子と源頼光公、飛騨の両面スクナ伝説、蝦夷の長アテルイと坂上田村麻呂公など、権力に「まつろわぬ」モノはすべて何らかの理由により鬼として成敗されている。

いつの時代も権力、武力、権勢欲などに従わぬ場合、理不尽なこととなるのは世の常であり、2輪業界でも理不尽な事については、文春オンラインでもささやかれているようである。

日本神話や日本昔話を実証や唯物の観点から見れば胡散臭い話の話となるようだが、身をもってその地に立ち古事記や日本書紀・続日本記・風土記に加えてその地の云い伝えや由緒などに基づいて想像力を膨らませ古代や神代の煌めきを垣間見ることができればと思う。それが、おっさんライダー流である。

桃太郎の鬼退治の昔話は懲らしめて最後には許してあげるように改ざんされているのは他からも聞いていたが、吉備津神社の御竈殿の御竈殿鳴動神事は何と説明するのか?

また、備中神楽の演目にも吉備津があり懲らしめた後に許すような筋書きではない。

昔話を昨今の諸事情により歪曲することには若いライダーと同様に違和感を覚える次第である。

吉備津神社・矢喰神社・鯉喰神社・阿宗神社・鼓神社などを訪ねれば、桃太郎(吉備津彦命)のお供である犬・猿・雉たちは臣下であり、鬼の城は屋島や岩城山と同じ目的による築城かと勝手な想像力が膨らむ。余談だが、阿宗神社では珍しく古神道の禊祓詞が掲げてあった。

日本神話や日本昔話は日本人のルーツであり、勝手な想像力で楽しむのがおっさんライダー流であるが、ベースとなるものを持たないと勝手な想像力で楽しむこともできないのが現実であり、日本神話や神楽にはほとんど縁のない若いライダーと共にその地を訪ねることが出来ればと思うが、まずは持続可能となる素敵なバイクライフの為に何かお手伝いができればと思う。

SL230TM2024仕様を楽しむ

メーカー出荷のSTDは工業製品としては完成品であるが、それぞれのバイクライフを満喫するためのベース車量であり用途に応じたメンテナンスやモディファイが必須となるが、そのことには触れない(借り物であれば触れる事が出来ない)で、販売を最優先して万能であるかのような良いことばかりを並べ立てるレビューは、胡散臭い提灯記事と云わざるを得ないのが現実である。

26年前の旧いSL230の開発キーワードは「もっと自由に気軽に」であったように思うが、メーカー出荷のSTDは工業製品として完成品だが、もっと自由に気軽に楽しむための道具としては未熟で未完成だが、違和感や問題を「こんなもの」と捉えると思い込みや先入観となり、そのモノ本来の良さを知る事やその良さを引き出す事が出来なくなるから要注意である。

新しいモノがすべてに良いとした提灯記事は、所有欲や自己顕示欲を煽り、台数至上主義と成果主義による使い捨ての消費文化が主流の日本の2輪業界は相変わらずだが、バイク屋自らの実体験に基づいて用途や目的に応じたメンテナンスやモディファイにより、26年前の旧いSL230でもその良さを存分に発揮できるよう、NWJCツーリングマスター化は新旧に関わらず乗り始めてから始まる持続可能な素敵なバイクライフへの提案であると考えている。

欲張りなおっさん仕様のSL230がツーリングマスターへと深化して、自由気ままにフィールドを拡げて思うままに走り続ける楽しさは格別で、今回は桃太郎伝説を訪ねるだけの予定だったが、速さより心地よさと春爛漫の景色に誘われて西へ西へと700Km弱を夕暮れ時まで楽しむ事ができた。

田んぼの代掻きにはまだ少し早く、トラクターの姿をほとんど見かける事がなかったのは残念だったが、桜や花桃、スイセンに菜の花が満開で何度も思わずアクセルが緩む。柔らかな若葉色がモコモコと盛り上がり山桜が彩りを添える山々を眺め、細い山道の途中にぽつんとある大きなシダレ桜を目指してたどり着いてみると、もう葉桜となっていたのは残念だったが来年の楽しみとした。

今回は海沿いに出る事は無く、欲張りなおっさんライダーは桜の花が綺麗な山の中をあそこは、ここはと、ほとんど立ち止まることも無くポコポコと駆け続けて春爛漫の一期一会とSL230TM2024仕様の心地よい走りを満喫した次第である。

持て余すことのない車格と使いこなせる排気量により脇道へ入り込んでは道草を楽しみ。積載状態でも操縦性や安定性には何ら違和感や問題も無く、人車一体でワインディングを駆け抜ける面白さと楽しさは五感が格別と納得である。

新製品が云々とかスペックやブランドが云々と、売るがための所有欲や自己顕示欲をあおる提灯記事とは次元が違うバイク屋自らの素敵なバイクライフである。

NWJCツーリングマスターのコンセプトである、速さより心地よさ・何かに特化する事のない曖昧さ・和洋折衷のような大らかさを具体化したSL230TM2024仕様は、そのモノが持つ良さを引き出して大切に使い続ける事により、価値と価値観の違いを知ることができるかと思う。

バイク旅を満喫するために必須の積載について

メーカー出荷のSTDは工業製品としては完成品であるが、バイク旅では必須の積載力はリアキャリアやトップケースを装備するだけでは心地よい走りで楽しむ事ができなくなる場合が多々あるのが現実である。

バイク屋自らがバイクに乗って楽しむ事により物理的な問題は対策できるから「こんなものです」とか「所詮は250だから云々」とした対応には成らないが、実体験が無いと売るがための提灯記事に通ずる商品説明やボルトオンパーツの話題に終始することとなり、違和感や問題への対策は「こんなモノです」とか「所詮は250だから」とした対応となるようである。

また、250クラスによる積載状態で心地よい走りを楽しめない場合は、対策を施すことよりも「250クラスではこんなもの」とした対応で代替を奨めるのが当然のようで、機能よりも見た目重視のドレスアップカスタムのファッションと同様で、使い捨ての消費文化が主流の2輪業界は昔から何も変わる事が無い。

気負うことも無く自由気ままにフィールドを拡げて走り続ける面白さと楽しさのバイク旅では積載力は必須であり、具体化するための機能パーツはバイク屋自らの実体験に基づいた企画であり、積載状態での操縦性や安定性はトータルバランスを整えたNWJC独自のツーリングマスターとして具体化している。

SL230TM2024仕様の積載力は大型ツアラーと比べても遜色なく、低重心で積載量を確保するために新たに採用したサイドバックはサイドラックも新設計して左右で68ℓの容量を得て安定感のある走りに貢献して100ℓ以上の積載量でもトータルバランスを整えることにより、高速道からワインディングまで軽快な走りで楽しめる2024仕様へと深化している。

メーカー出荷のSTDは工業製品としては完成品でも、もっと自由に気ままにフィールドを拡げて楽しむ道具としては未完成で未熟だから、持続可能な素敵なバイクライフのためにNWJCツーリングマスターへの提案は、メーカーや新旧に関わらずVTR・ツーリングセロー・CRF250・CB250R・CB400ss・SR500などツーリングマスターへと深化させて素敵なバイクライフへのお手伝いができればと思う次第である。

また、カブ110NWJCコンプリートとトライアンフ空冷モダンクラシック2014仕様は、台数至上主義や成果主義による使い捨ての消費が主流の2輪業界とは一線を画したNWJCツーリングマスターと同じコンセプトの企画であり、NWJC独自のメンテナンスやモディファイにより素敵なバイクライフを提案したいと思う事をここにお伝えする次第である。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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