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VTRがTM(ツーリングマスター)へと深化する(前編)

VTRで丹後半島へ

昨年にNWJCにてバルブクリアランスの調整も含んだエンジンのメンテナンスを行い、コンディションの整ったVTRはだんだんと軽く回るようになって、エンジン音は調和のとれた太い音色になってきています。

寒さも少しやわらいだ3月には前から気になっていた丹後半島方面へ走らせてみました。岐阜からだと300km弱ほどの距離で、この時は日帰りでも行ける距離かなぁ?とすこし不安に思っていましたが、以前WEBサイトでたまたま見た伊根町の漁港の風景が実際はどんなものなのか気になっていて、自分の目で見てみたいなぁと思っていたのです。

同じルートを繰り返し辿ること

岐阜の市街地を抜け、山陰道方面からまずは天橋立に向かいました。この時期は毎週のように西に向けて同じ道を通って走っていてお馴染みになったルートなのですが、見慣れた景色も目的地までの通過点という感じではなく、楽しんで走ることができました。走る、止まる、曲がるという各動作をそのたび楽しめるようなバイクであれば飽きることなく走れるのが面白いところだと思います。

目的地 ー 伊根町へ

京丹後に到着すると海を眺めながらゆったりと走る道になり、” 海なし県 ” の岐阜で育った私は綺麗な海が見えてバイクが停められそうな場所があるとすぐ写真を撮ったりしていました。やはり海のある景色は日常的ではないのでちょっと特別な感覚になるようです。結果として撮った写真のほとんどが似通ってしまいましたが…。

伊根町に到着すると、海沿いに並んだ舟屋を見ていつもどんな生活なんだろうかと思ったりしながら見て回りました。重要伝統的建築物として選定されているので休みの日は観光客も多いのだと思いますが、今回は平日で普段ののどかな漁村の風景を見ることができたようで良かったです。

伊根町からは海沿いを車の速度に合わせて走るような道でゆったりペースでしたが、日本海の景色を楽しみながら帰路につきました。今回は往復でちょうど600kmのツーリングでしたが、一生懸命何百キロも走ってきたんだという量的な達成感ではなく、行きたいところにのんびり楽しんで帰りもバイクを楽しめたという充実感がありました。

より楽しむために

丹後半島への日帰りツーリングでは1日じゅう走って楽しむことはできましたが、実のところ細かいところで物足りなさを感じることもありました。すこし荒れた路面を走るとリアがコツコツと跳ねるような感じがあったので、プリロードを強くかけてみると今度は手にゴツゴツとした感触が強くなる感じがすることやキャンプ道具を積んだ場合はバランスが悪くなりそうな気がするという話をしたところ、NWJCからVTR用の試作のスプリングを入れてみてはどうかという提案をしてもらいました。

写真は上がVTRの純正スプリング、下がNWJCの試作スプリングです。丹後半島ツーリングの時は標準のカラーにさらにカラーを挟んでプリロードを掛けていましたが、試作のスプリングはそれよりも長く、スプリング部分でいうと純正のものより20cm近く長いものとなります。

スプリングを組み込んだ後試走してみると、フロントは多少渋いような、硬いような感じがありましたが、数百kmも走るとスムーズになりスプリングも慣らしの時間が必要なんだというのを理解しました。

今までのスプリングはブレーキ時にすぐに沈み込んで底の方で効くような印象があったのが、交換後はいきなり沈まずググッと効きながら沈んでいく感じがあり、すごくなった!というよりも自然な動きになったという気がします。最初からこれを入れていれば…とも思いましたが、私としては長い距離使ってきたスプリングとの違いを知ることができたのも良かったです。

ストリートの高性能とレースの高性能

「ストリートでの高性能とレースでの高性能は全く違う。」NWJCの高田社長とお話しする中で印象に残った言葉ですが、確かに目的も走り方も違う、車両の扱いも違うというなかで、レースで評価が高いメーカーだからということで売り出すパーツなどはツーリングライダーに適しているのだろうか?ということも考えさせられます。

路面の状況は異なり、様々なカーブを描くコーナー、交通状況を判断して走行するツーリングライダーにとっては、ある状況に突出した性能ではなく「可もなく不可もなく、曖昧さのある車両」が高性能だと思うと話をされていましたが、言い換えるとトータルバランスの高い車両と言えるのでしょうか、様々な道を走り続けることと車両のこと、両方を知っているバイク屋だから提案できることだなぁと思います。

いま、楽器とバイクに感じること

今まで汎用のスクリーンを取り付けたりはしていたものの純正のままの状態で走っていましたが、今回初めてバランスを変える意味でのパーツ交換を行いました。

私は楽器を扱っていてバイクにも似たものを感じるのですが、こうしたパーツ交換はしばらく使ってみてどうしたいか、どこが不満かを明確にしてから行うのがベターだと思っています。

数多く販売されているリプレイスメントパーツは、換装すればなにかしら変化を見つけることができると思いますが、変わった!という楽しさの反面、求めている方向と別の向きに変化していることも多々あります。

NWJCで扱っているパーツは、実際に走ってみた時の違和感をなくすように、バランスを整えるように、必要なところに必要なものを使う、という印象がありますが、着せ替えを楽しむようにパーツを変えたり取り付けていっても、その趣味の醍醐味というか、楽器やバイクそのものの楽しみを味わうのは難しいのではと思います。

やはりほぼ全ての製品が大勢に向けて作られるものである以上、自分の使い方に合わせたり、自分の体格に合わせたり、個々に合わせたメンテナンスが必要で、それを重ねていくことでより自分に合った道具として、馴染んで楽しめるのではないでしょうか。

次回は 「荷物を積んでも 道を選ばず旅ができる欲張り仕様」=TM仕様 へと深化していくVTRについて、感じることをお伝えできればと思います。

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