バイク屋の備忘録

トライアンフ空冷ボンネビルT100で木曽路へ

毎年3月下旬から4月中旬にかけて信州から飛騨方面をのんびりと駆けることがここ数年定番となっているが、今年は少し時期がずれて4月下旬となった。

SL230TM・SR500TM・カブ110NWJCコンプリートなどを駆って桜・シダレ桜・スイセン・こぶし・ツツジに名も知らない花々が一斉に咲き乱れて春爛漫とはこんな景色のことかなと、Go&Stopを繰り返す道草も持て余すことのないダウンサイジングしたバイクならではの大らかな時間は心地よく何よりである。

今年は、トライアンフ空冷ボンネビルT100NWJC2014仕様を駆って高速道から地道の脇道まで、自由気ままにフィールドを拡げて春の木曽路から信州方面を楽しんできた。

おっさんライダーお気に入りの空冷ボンネビルT100

空冷ボンネビルとの付き合いはボンネビルが復刻した2001年から始まり、2014年には空冷ボンネビルT100とスクランブラー900はエンジンコンディションをはじめ足回りから積載力やライディングポジションに至るまで、NWJC独自のメンテナンスとモディファイにより自由気ままにフィールドを拡げてタンデムでのバイク旅でも心地よい走りを楽しめるNWJC2014仕様へと深化して10年が経った。

ホンダ・BMW・トライアンフ等のビッグバイクではツアラーからアドベンチャーまで様々な機種を長年楽しんできたが、空冷モダンクラシック2014仕様のエンジンフィーリングの良さと、持て余すことの無い車格は、タンデムで脇道へ入り込む道草でも気負うことは無く、おっさんライダーとの相性は格別である。

また、おっさんライダーが歳を重ねビッグバイクに乗れなくなるその時まで、普段のチョイ乗りからタンデムでのバイク旅まで自由気ままにフィールドを拡げてバイクライフを満喫したいと思う良き相棒である。

トライアンフ最後の空冷モダンクラシックが時代の流行り廃りに流されることも無く守り続けてきたものは、バイクと人の間に電子制御装置などが介在する事の無い、操る人の五感を第一とした分りやすさと素朴な乗り味が魅力であり、多くのライダー諸兄がその価値を享受している。

メーカー出荷のSTDは工業製品としては完成品でも、素敵なバイクライフを満喫するための道具としては未熟で未完成であり、NWJC独自のメンテナンスとモディファイによるNWJC2014仕様への深化は素敵なバイクライフへの提案である。

空冷ボンネビルT100 NWJC2014仕様の素朴な乗り味と懐の深さを楽しむ

日中は夏日となるような天候でも早朝はまだまだ寒く、出発は少しゆっくりして各務原ICから中津川ICまで高速で一気に移動して木曽路を楽しむ事から始めた。

木曽路の出発点から馬籠峠を軽快に駆け抜けて、清内路、伊那谷、権兵衛トンネルを抜けて薮原から野麦峠を目指したが通行止のため引き返して、木曽福島から開田経由で飛騨清見から山越えでせせらぎ街道を抜けて岐阜へと、自由気ままにフィールドを拡げて未舗装の脇道へも入り込みGo&Stopを繰り返す道草も存分楽しめて良き時間を過ごすことができた。

空冷ボンネビルT100 NWJC2014仕様ならではの素朴な乗り味と心地よさは格別でお気に入りである。これはと思う風景に出会う度に立ち止まることが苦にならない手軽さで、ワインディングは人車一体を五感で楽しみながらあちらこちらへと欲張って道草を繰り返して存分に楽しめたのは何より。

高速道では少しペースが速い車両と変わらない速度域でもNWJC2014仕様ならではの高速巡航性能はT100専用のオリジナルスクリーンによる防風効果が実感できる。一般道でも防風雨効果は疲労軽減とヘルメットのシールドの汚れも軽減できてバイク旅をより快適で面白くしてくれる。

純正スクリーンの場合、風を巻き込んでヘルメットの中に下から吹き込んでくるような事もあり、大型スクリーンにしては防風効果に疑問を感じる事もあり、コンパクトで防風効果が高いスクリーンを新たに企画してその効果には納得している。

☆走らない?

エンジン特性の良さに加えて気負うことのないサイズ感は、ワインディングも軽快に駆け抜けて脇道へ入り込んでGo&Stopを繰り返す道草も楽しめる使い勝手の良さは格別であるが、メーカー出荷のSTDではこの心地よさは想像もできないことであろう。

NWJC2014仕様のギア比はF18T:R41Tに変更しているが、低速域は5速1,500回転でも大らかさとゆとりを感じさせて、中高速域では回転を上げるとツインカム4バルブらしい力強さを発揮する加速感が心地よく思うままの走りでバイク旅を楽しませてくれる良き相棒でもある。

☆曲がらない?

足回りを社外品のサスペンションに組み替えても、コーナーリング中のある速度域やバンク角では接地感が希薄になるところがあるが、それはライテクではカバー出来ないことであり根本的な原因を物理的に対策することで感覚的にも問題は解消されて、その深化は多くのライダー諸兄も納得である。

積載状態での安定性や操縦性は足回りの調整により対策できることと、積載方法など様々な対策があるが、タンデムも含めて積載量が増えればサスペンションのプリロードを変更することは当然の事であり、違和感や問題は調整によって整う場合もあるから要検討である。

エンジンコンディションも大きく影響している事も含め、様々な問題を解決して仕上げていくことはバイク屋自らの実体験であり楽しみでもあると おっさんライダー思っている。

☆止まらない?

一般道を心地よく楽しむには空冷モダンクラシックのブレーキは使い勝手が悪く、ハイペースではコントロール性も悪く、その対策は足回りの仕様変更も含めてトータルバランスを整えることで使い勝手の良さは格段に向上させることが可能である。

メーカー出荷のスタンダードは工業製品としては完成品でも道具としては未完成で未熟だから、用途に応じてバイク屋の実体験基づいた提案が必須であると実感している。

☆トライアンフ空冷モダンクラシックNWJC2014仕様

空冷ボンネビルT100NWJC2014仕様のエンジン特性の良さと、持て余すことのない車格のサイズ感は、積載状態のタンデムでもフレーム剛性の高さによる操縦性と安定性が相俟ってダウンサイジングしたバイクで楽しんでいるかのようで気負うことも無く、速さより心地よさで自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を楽しめる使い勝手の良さはまた格別であると五感がその価値を実感している。

メーカー出荷のスタンダードは工業製品としては完成品でも道具としては未熟で未完成だが、提灯記事は売ることが最終目的だから良いことばかりで問題には決して触れることは無い。

乗り出してからの理想と現実のギャップとなる物理的な問題や違和感などは「こんなものです」では納得できるバイクライフには程遠いから、素敵なバイクライフのためにはバイク屋の実体験に基づいた提案が必須であると常々思う次第である。

理想と現実のギャップ

トライアンフ空冷モダンクラシックのメーカー出荷時のSTDでは、走らない、曲がらない、止まらない、まさにモダンクラシックなデザインのファッションバイクだったが、発売当時のレビューは売るが為に良いことと慣れれば何とかなるようなことを並べ立てている提灯記事ばかりで問題や違和感に触れた記事は見る限り皆無ではなかったか。

乗り始めてからの理想としたイメージと現実のギャップは、消耗品交換やボルトオンパーツの組み付け程度では埋める事が出来ないほどの隔たりがあるが、提灯記事により様々な問題は慣れれば何とかなることでありボルトオンパーツに依存することで解決できると思い込む傾向にあるのは何時の時代も変わりない。

ボルトオンパーツによるドレスアップカスタムは情緒的には満足できるだろうが、「こんなものです」とした違和感や問題に関する理想と現実のギャップは簡単には埋まらない。

トライアンフ空冷モダンクラシックに限らず新しいモノがすべてに良いとした提灯記事の語感は所有欲や自己顕示欲を煽り、理想と現実の隔たりは「こんなものです」とした対応で台数至上主義と成果主義による使い捨ての消費文化が主流の2輪業界だが、バイク屋自らが「乗らないと判らないこと」と「乗り続けて解かること」は、実体験により気づくことが持続可能で素敵なバイクライフへの始まりであると考えている。

今年のGWは好天に恵まれてチョイ乗りを楽しむ

GW前半は、ライフワークのボランティアも滞りなく順調のリターン4年目のS・Yさんとは久々で、空冷ボンネビルT100-2014仕様で近場のワインディングを軽快に駆け抜けてその走り楽しんできた。

つい最近バージョン・アップして更に深化したボンネビルT100-2014仕様は、外観からは想像もできない走りで今までとは次元が違うとご満悦。葉桜となった桜の名所でウグイスが鳴くのを聞きながら、おにぎりをほお張り、コーヒーも淹れて楽しみ、S・Yさんと共に緩やかな良き時間を過ごす事ができた。

GW後半は、SL230ツーリングマスター(TM)を楽しむ西やん・アツシ・Kさん・S・Oさんたちと奥美濃のワインディングを軽快に駆け回って青空ランチを楽しみ、SL230TMの極上とGoodコンディションの違い(深化の過程)を乗り比べにより皆に伝えることもできて、良き時間を共に楽しむ事ができたのは何よりでした。

おっさんライダーのバイクライフにおいて、チョイ乗りの普段使いから気負うことなく自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を満喫するもくろみがSL230をベースとした欲張りなおっさん仕様であり、更に熟成していつものメンバーへ提案したのが元祖NWJCツーリングマスターのSL230ツーリングマスター(TM)である。

カブ110NWJCコンプリート、SL230TM、VTR-TM、SR500TM、CB400ss-TM、CB250R-TM、セロー250TM、CRF250L-TM等のNWJCツーリングマスター群とトライアンフ空冷モダンクラシックシリーズは、「速さより心地よさ、何かに特化することの無い曖昧さ、和洋折衷のような大らかさ」をコンセプトとしている。それはバイク屋自らの実体験に基づいての事である。

提灯記事などによるモノがすべてに良いとした流行りの型に嵌まる事も無く、それぞれのバイクライフを満喫する為に新旧問わずメンテナンスやモディファイにより持続可能で素敵なバイクライフへの提案ができる事は、バイク屋自らの実体験に基づくことが必須要件であると常々思う次第である。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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