バイク屋の備忘録

カブ110 Pro NWJC仕様 日本武尊 岐阜編 その1

「古代への道」日本武尊伝説を訪ねる。岐阜編 その1

この季節は、天候の影響もありBigで遠くへ出かけることは少なく、雪が降れば尚の事、春が待ち遠しい毎日ですが、Cubなら多少の雪でもブラブラと出かける事も出来るので冬の間は、「仕事の道具」から「趣味の道具」へとカスタムしたNWJCオリジナルのカブ110コンプリートのチェックも兼ねてツーリングがてら岐阜周辺の「ヤマトタケルノミコト」神話に関連したところを訪ね歩く事にした。

今回は、ヤマトタケルノミコト伝説を訪ね歩く予定だが、伝説は九州から東北まで広い範囲に残っていて岐阜市周辺にも八剣神社や伊吹山をはじめ日本武尊ゆかりの地が数多く残っている。

神話や古代史を訪ね歩くには、記紀をはじめ読書は欠かすことが出来ない。神話の場合、実証主義の観点からすれば胡散臭いと思われているのだろう。併し、物証により信じる事よりも目に映るモノから想像力を膨らませ感じる事が古代の煌きを垣間見ることだと思うし、またそのように楽しんでいる。本を読んで、神話と地理を組み合わせて地図をメインにツーリングルートを作ることから始まるが、訪ね歩くポイントは、地図とナビを併用しながら訪ね歩いている。
ツーリングルート.jpg

現在使っているナビはガーミン60CSXからアトラスに変更したがアトラスはマップルをベースとしているので残念ながらあまり役には立たないがナビと併用したレーダー機能には安心感があり、ガーミンはポイントを経緯度で登録することが出来るのでとても重宝している。

一長一短だが出来る事ならガーミンにレーダー探知機能が付くことを望む。アトラスに経緯度入力やグーグルとのアクセスが出来ればと思っているがマップルベースでは、古代史を訪ね歩くには使えない。

バイクで日本神話や古代史を訪ね歩くことを長年楽しんでいるが、車では狭い道での駐車スペースなど使い難いところもあるが、観光地化されていない歴史を訪ね歩くにはバイクの機動力は最高だと思う。

一般的に大型バイクには違和感を覚える人が多いように思うが、生活に密着したカブの威力は、地図に載っていないようなポイントを探しながら閑静な住宅街に入ってもカブはその地域に溶け込み、誰一人違和感なく受け入れられて好奇の目で見られることもなかった。

岐阜県可児市久々利「泳(ククリ)宮古跡」にて
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日本神話のヤマトタケルは、古事記では倭建命、日本書紀では日本武尊と二つの表記がある。日本(ヤマト)の読みがお気に入りなので日本書紀の日本武尊で表記する。山口県熊毛郡田布施町にある神籠石が有名な石城山には「石城神社」の近くに「日本(ヤマト)神社」がある。

日本武尊は第12代景行天皇の皇子として誕生した。幼名は小碓命(オウスノミコト)といい、兄の大碓命(オオウスノミコト)と双子の兄弟で、武勇に秀でていたが気性が激しく、兄の大碓命を殺害したかのように『答へて白しけらく、「朝曙(あさげ)に厠(かわや)に入りし時、待ち捕へて搤(つか)み批(ひし)ぎて、その枝を引き闕(か)きて、薦(こも)に裹(つつ)みて投げ棄(う)てつ。」とまをしき。』と古事記には記されている。

併し、日本書紀巻第七には『爰(ここ)に天皇責(せ)めて曰はく、「汝(いまし)が欲(ほり)せざらむを、豈強(あにあながち)に遺さむや。何ぞ未だ賊(あた)に對(むか)はずして、豫(まだき)に懼(おそるること)甚(はなはだ)しき」とのたまふ。此(これ)に因(よ)りて遂(つい)に美濃に封(ことよ)さす。仍(よ)りて封地(ことよさすくに)に如(まか)る』と兄の大碓命は美濃に赴いたと記されている。

これを裏付けるかのように岐阜市からR256にのって30Kmほど北に位置する山県市柿野には、「垣野神社」と「清瀬神社」がある。柿野へ向かうR256の急な長い登り坂で、Cub110は4速では力が無く、3速全開で小排気量Cub110らしさを実感しながら登って行った。

垣野神社の由緒は創祀未詳。日本武尊牛に乗りて大碓命の後を尋ねて乱賊を討伐しつつ本区の南口に来座せしに、其の牛遂に斃れために依り、其処に遺骸を埋め碑を建て給ひしと伝へて古来是を牛塚・牛象と云ひ伝へ来る。尊の賊を平らげ民を救ひ給ふを以て奉斎したると伝ふ。とある。

垣野神社.jpg

そこからしばらく進むと「御旅所」があり「清瀬神社」がある。「大碓命美濃國に座し此の柿野に住給ひし、後に其の霊を祀る」とある。外宮柿野明神西宮と称し、内宮柿野明神東宮は清瀬神社なりと云われている。
清瀬神社.jpg

特殊神事、垣野神社と清瀬神社は兄弟神なれば、御旅所へ神幸両神社を合せて祭祀を行うとある。
看板.jpg

御旅所の前の県道は除雪こそしてあるものの側道は雪がタップリでバイクですら停めることが出来ないので雪の中へ乗り入れて駐車した。Bigバイクでは取り回しも苦労するが、小型のカブならではの使い勝手だと思った。
御旅所.jpg
また垣野のとなり日永集落に大碓命と小碓命を祀ると云われる双六神社があり、訪ねようと思い道を登って行くと、道にも雪が残り凍結したところもあったがスタッドレスタイヤを履いたカブは悠々と登って行ったが、民家のところで除雪が終わっていてそれ以上進むことが出来なかったので次回とした。
行止り1.jpg 行止り2.jpg

まだ雪があるにも拘らず、春を待つ田植え機が日向ぼっこを楽しむかのようにトレーラーの上に載っていた。
田植機.jpg

柿野から洞戸を経由して美濃加茂から可児市の久々利を目指した。久々利にある泳宮古跡は父である景行天皇がこの地の行幸し給ひ、その行在所となったと伝えられている。そこからの県道は、アクセルを一杯に開けながらCub110Proは軽快に土岐市へ向かった。

土岐市ではR19号沿いの熊野神社へ立ち寄ってきた。此の宮は日本武尊が信濃の山地を平定して尾張の熱田に帰られる時に日が暮れてしまい、ここで駐泊され「日暮らしの宮」とも言われている。高架になったR19の真横に見えていたが入り口が判らず下に降りて細い住宅街の道をグルグルと周りながらたどり着くことが出来た。此処でもカブならではの使い勝手の良さを実感。
熊野神社より土岐市街を.jpg

熊野神社からR363沿いにある鶴里町柿野にある白鳥神社と他の白鳥神社二社も訪ねた。

里伝に曰く即ち本村当國土岐郡南方の山間に在りて三河國加茂郡と接す。同郡猿枝山に鎮座の神は大碓命なり。之れ当社に祭る神小碓命の御兄に坐せり。故に当社は猿枝山同時に鎮座ありと云へり。
白鳥神社1.jpg 白鳥神社2.jpg

岐阜市近郊の岐南町と土岐市には八剣神社があり、羽島にある阿遅加神社も八剱様と親しまれている。これらすべての神社が日本武尊ゆかりの地であるようで他にもたくさんあるが日が暮れてきたのでR19から愛知県春日井市内津にある内津神社の傍を通り岐阜を目指した。土岐市にある八剣神社などへはカブのファイナルを変更して再チェックの為、次回のお楽しみとした。

R19夕暮れ.jpg

出発がAM:11:00過ぎからだったが、一般道では後続車を気にすることも無く、流れに乗りながら走れて今回の走行距離は210Kmほどで意外と走り周ることが出来て、CT110とは一味違うCub110Proの新たな楽しみ方を見つけた。

→「古代への道」Cub110 Pro NWJC仕様 日本武尊 岐阜編 その3

→「古代への道」Cub110 Pro NWJC仕様 日本武尊 岐阜編 その2

→小排気量で緩やかな時を楽しむ『七馬力紀行』

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