バイク屋の備忘録

トライアンフ ボンネビルT100を楽しむ その4【メンテナンスとNWJCオリジナルパーツ】

メーカー出荷のスタンダードへのメンテナンスについて

いつも云うことだが、メーカー出荷の状態は工業製品としての完成品であり、ツーリング等心地よく楽しめる状態の車両には仕上がっていない。それは組み立て精度が一番高いと思うHONDA製でも調整部分は、許容範囲にはあるが最大値であったりする場合もある。その他は例外なく調整の許容範囲外の場合が圧倒的に多いことも事実である。まずはスタンダードのコンディションに整える事が肝要である。

32..ボンネ・エンジン調整.jpg

新車であれば・・・と云うのが極々一般的な捉え方や考え方ではあるが、バイク屋が物流業者でなければ手間を惜しまずチェックする必要があると思うが、残念ながらこの考え方は一般的ではないようだ。

機能パーツについて

何の為にそのパーツを必要としているか、目的は何のためなのか?走りの為?ドレスアップのため?
マフラー交換など色々なパーツを組み込む事は否定しないが、トータルバランスを高めてより楽しめる車両にすることがパーツ選びのポイントだと思う。

ノースウイングJCオリジナルWPサスペンション

トライアンフ ボンネビルT100やスクランブラーに代表されるモダンクラシック系をストリートから長距離ツーリングまで「速さより心地よさで走り続ける楽しさ」を満たすためにノースウイングJCでは、何故?フロントサスにWP製プログレッシブスプリングを採用しているかを紹介しておきたいと思う。

モダンクラシック系にもフロントスプリングはシングルレートでなければ・・・という風潮があるようだが、ノースウイングJCでは一般道を心地よく楽しむために、WPとの共同企画により実走テストも繰り返した結果、プログレッシブスプリングを採用している。理由としては以下の通りです。

WP社でもレース用にはシングルレートスプリングを採用している

それは、セッティングを出しやすいというメリットがあるからです。併し、セッティング用にレートの違うスプリングが揃っていることが条件となりそのコースに合ったセッティングを出せて初めて威力を発揮する。

しかし、ツーリングではクローズドコースのように特定の条件化で走るということはありません。

亦、よく言われるリニア感云々も確かにスプリング単体ではレート変化が無いためリニアかもしれませんが、フォークに組み込んだ状態では油面の設定やダンパーの設定によりその辺のフィーリングは大きく変化することを伝えておく。

一般道での使用は、路面の良い道、荒れた道、雨天時、ダートなど刻々と変化する状況に加えてタンデムや荷物の積載など色々な条件下での使用が前提となりますからノースウイングJCではWPプログレッシブスプリングを推奨している。

33.WP・T100用フロントスプリング.jpg

WP社がストリートやツーリングではプログレッシブスプリングを推奨する理由がある。

その1・・・初期レートが適正であるから

  • 低速、低荷重のシティーライディングでも乗り心地が良い。
  • 追従性が良いので雨天時やダート等での接地感が分り易くグリップが確保される。
  • アクセルのオンオフでバイクの姿勢が制御できて初心者にも乗り易くなる。

その2・・・メインレートが絶妙だから

  • ブレーキング時の過大なノーズダイブを抑えて、タイヤのグリップを確保しています。
  • 特に下りの峠道やタンデムや荷物を積載しているときに威力を発揮します。
  • タイヤを効果的に抑えつけることにより高速時に頼りなくなりがちなフロントに絶大な接地感を確保します。リアサスもツインショック最大の41φでダンパー効果も高く、フロントスプリングとの相性抜群のWPを使っている。

34.WPボンネビルRサス.jpg

ワイドステップは機能パーツ

一日目の宿泊地である会津若松の宿に到着した時、玄関脇にBMW R100GSが泊まっていた。何気なく見ると見慣れたノースウイングJCオリジナルのワイドステップが装着されていた。

35.ワイドステップ.jpg

BMW用に企画開発したワイドステップはとても好評で多くのBMW・GSユーザーに支持されたオリジナルパーツです。そのノウハウを活かしてスクランブラーやボンネビル用のワイドステップはツーリングライダーの目線で企画開発されて製品化している。

36.ワイドステップ.jpg

ボンネビルT100の場合、ブレーキ・チェンジペダル共に少し長く使い難いが、ステップを変更することにより操作性が上がり、万が一の転倒時でもステップが折れる心配が無い。また多少のダート走行でもスタンディングが容易で長距離ツーリングには必須の機能パーツでもあるが、スタンダードのままペダル類を短くすることもできる。

37.ワイドステップーS.jpg 38.破損したステップ.jpg

ダールパニアケース

ツーリングでの荷物の積載はツーリングの楽しさを左右する重要ポイントでもある。ダールパニアケースはアルミ製で着脱の容易さと防水性、施錠、積載性はハードケースと同等。強度はソフトバックとハードケースの中間でハードケースより柔らかくソフトケースよりは硬い。

39.ダールパニアケース.jpg

何故かというと、万が一の転倒時などに於いてケースが硬く強度がある場合、フィッテイングのステーや車体のフレーム側にダメージを受け、シートレールの歪みやケースの変形によりフタができず走行不能になる場合がある。樹脂製の場合は破損などにより積載不能になる場合もある。

しかしこのダールパニアケースの場合は、ハードケース同様に変形は起きるが簡単な応急処置で修正が容易にできて車体へのダメージが少なく走り続ける事が出来る。

●サイズは内寸法 W×D×Hmm 454×210×355 容量 31L

ツールバック

取り付けはリアキャリアかドレスバーをベースに取り付けも好みで選び、ケースの内側にできるスペースは工具やパンク修理キット、スペアパーツなどを収納できるバックも用意している。

ドライブスプロケットは機能パーツ

今回のツーリングでも定番のISA製ドライブスプロケットを使っている。ファイナルは40丁を使ってみたが個人的には41Tのほうが好みだ。ISA製のスプロケットは、真円度の高さと強度があり減速時には滑らかにエンジンブレーキが掛かり、加速時には40Tでも5速30Kmからの超低速からでもギクシャク感もなく滑らかな加速を得ることができるほど違いがある。ただし、エンジンコンディションが整っていることが必須条件となることは云うまでも無い。

40.ISA.jpg

キャブレターのメンテナンスについて

キャブ車の場合ギクシャク感などはキャブレターに問題があると思われている方も多いと思うが、エンジン本体のコンディションを整えることが優先される。キャブレターはその後のこととなるが、油面調整はキャブレターのメンテナンスにおいて最優先される作業であり、その後にセッティングなどが行われるのがベストであることをお伝えしておく。

41.キャブレター油面調整.jpg

インジェクション仕様の場合、ある程度距離が出た時点でのメンテナンスは心地好く楽しむために必要です。

スクリーンは長距離ツーリングに有効なアイテム

着脱が手軽なトライアンフ純正スクリーンは、長距離ツーリングでは胸元への雨風の浸入を緩和できて有効なアイテムだと思う。ただ座布団のようなデザインには閉口するものがあるので少し形を変えて使っている。

試乗車

その他メンテナンスやパーツに関しては数多く色々とあるが、楽しみ方のスタイルや好みにより仕様は十人十色となる。ストリートから長距離ツーリングを楽しむために参考とできる車両を試乗車として用意してありますから気軽に来店してチェックしてみて下さい。

モダンクラシックユーザーを応援しています。

ボンネビル、スクランブラー等モダンクラシックは、キャブ仕様・インジェクション仕様問わず蓄積したノウハウのフィードバックによるメンテナンスやアドバイス、オリジナルパーツの提供などにより、モダンクラシックをこれから乗り始める人、すでに乗っているライダー達が、其々に心地よく楽しめる様これからも応援したいと思っています。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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