トライアンフ ボンネビルT100を楽しむ その3【速さより心地好さで走り続ける楽しさ】
お気に入りのボンネビル(モダンクラシック)を・・・
お気に入りのボンネビルやスクランブラーを心地よく楽しむための創意工夫は、ライダーの目線とメカニックの感性からの発想です。いかに売るか、売れるかよりも、愛着を持っていかに楽しむかを最優先に考えています。
ボンネビルやスクランブラーが何故面白いのか
ノースウイングJCのテーマでもある「速さより心地よさで走り続ける楽しさ」について、長くバイクを楽しんで来て具体的な事は何も思わなかったが、何となく意識し始めたのは、車格と排気量はドンドンと大きくなり、ハイメカによるスペック重視の新型バイクが続々と登場することに違和感を覚えていた矢先、12年前にトライアンフからボンネビルが復刻して乗り始めた頃からだったと思う。
復刻したボンネビルに乗ってみると現行の最新バイクに比べれば走らないし、ある速度域を超えると重くなり曲がらない。リアのディスクブレーキはドラムブレーキのような感じでロックするか止まらないかでコントロールなどと云うことは全く無縁。要するに使い方によっては思い通りにならないことに妙な懐かしさがあり不思議な魅力を覚えた。
独自のノウハウを蓄積
数値的なスペックに拘らず「速さより心地よさで走り続ける楽しさ」を満たすためにトータルバランスを高めるメンテナンスやモディファイはボンネビルやスクランブラーの魅力を引き出す要点となる。
初代のボンネビルからT100やスクランブラーを乗り続けて12年目になるが、違和感や不具合と思われるネガティブな面についてライダーの目線とメカニックの感性で、何故だろう・・という探究心により、不具合さを感じるところへは、丁寧なメンテナンスやモディフアイを加えながらの試行錯誤により独自のノウハウを数多く蓄積できた。
安易にボルトオンパーツをインターネットから探し出して取り付ける、或いは取り付け作業を行うことだけでは、「速さより心地よさで走りつづける楽しさ」は満たされない。
数値的なスペックだけでは・・・
日本の道で一般道を常識的な速度でツーリングを楽しむのであれば、有り余るパワーや爆発的な加速力を絶えずセーブしながら、アクセルを心地よく開けることのできないバイクはストレスの方が大きくて楽しめない。
併し、ボンネビルやスクランブラーのようにアクセルを開けた分だけ程良いパワーが絞り出される穏やかな出力特性はストレスが無い。だから一般道に於いてスペック的な事はあまり重要な事だとは思わない。
曖昧さが魅力
ある程度道を選ばず自由度を持って楽しむ為には、可もなく不可も無い曖昧さも大切なことだと思う。その点トライアンフのモダンクラシックは、スタイリングこそクラシックだが、何かに特化していない曖昧さが、使い勝手の自由度を高くしている魅力の一つでもあると思う。断じてスタイリングだけのファッションバイクでは無い!!
バイク屋の楽しみは?
ネガティブな箇所にモディファイを加えることにより「速さより心地よさで走り続ける楽しさ」を満たせるトータルバランスの高い一台に仕上げて行く過程は実に楽しいことでもあるが、メンテナンスやモディファイを施したモダンクラシックを楽しむユーザーからの要望などは、意見交換した後に何らかの形で対応することも大切なことだと思う。
また、経験から得たノウハウをフィードバックするためには、インターネット等を情報源とする部品交換やイベント参加だけではなく、バイク屋は「触れて」「乗って」バイクとの対話を楽しむ実体験が無ければ、本当の意味でのメンテナンスやアドバイスの提供はできないと考えている。
乗りこなす事より使いこなして楽しもう!
コンディションの整っていないバイクによるライテク云々、スクール云々は疑似体験と同様で無意味だと思う。何がバイクライフを素適に楽しくできるか?バイクは乗りこなす事よりテーマを持って使いこなす事の方がはるかに楽しく有意義だと思う。