バイク屋の備忘録

SR500NWJC-TMで再び西の定番ルートへ

違和感が残るSR500

コロナウイルスは中休みでも油断できない状況は相変わらずのようだが、非常事態も緩和されて少しは外へ出ることもできるようになったからか、週末はバイクも数多く見かけるようになってきた。

Yamaha SR500をツーリングマスター仕様へと深化させる過程で、西の定番ルートを走り各部をチェックしてみると全体にはまずまずの出来あがりだが、違和感を覚えるところがあり充分なメンテナンスが施されることも無かったところと本来の調子を引き出せなかったところがあった。

SR500

チョイ乗りの試運転では判らないことも少し長い距離を走れば判ることもあるが、問題点を見つけ出してメンテナンスや対策を施せば必ずコンディションは整い違和感が消えて乗り味が変わっていくのだが、その過程を数多く経験して培うことは価値があるが感覚的なことは繊細さが求められることでもある。

違和感

おっさんライダーが心地よく楽しむ為に、原因の一つであるキャブレターを分解してみると、油面も調整済みで正常、ジェット類の詰りも無いようだが、老眼鏡では見えにくい為ルーペ越しにチェックして観ると、ジェット類は何度も分解した為か歪みや旧い傷がいくつもあり他にも不調の原因が見えてきた。

大山1

感覚的なことも物理的な原因が見つかれば、その症状について納得できるのは嬉しい限りで、バイク屋のバイク乗りとしてGoodからBestへとコンディションが整う過程で感覚的なことも含めて、情報による疑似体験では何も得られないから実体験に勝るものはないと常々思う次第である。

再びお気に入りの西日本へ

各部を見直してGoodからBestへとコンディションが整ってきたから、各部をチェックする為にお気に入りの西の定番ルートへ出かけて2日間で1,500Kmを走り、深化したSR500NWJCツーリングマスターの走りを楽しんできた。

大山2

時間があればもっとのんびりとあちこちへと時間をかけて周りたいところだが、まだその自由は無い。しかし、その自由を手にした時の事を見越して、キャンプ道具も積み込みフル積載状態にして道を選ぶことも無く脇道へも入り込んで、トラクターと田園風景を眺めながら心地よい走りを満喫できた。

比婆山駅

トラクターやコンバインを見つけると何度も脇道へ逸れて記念撮影。峠のアップダウンを高回転でガンガン走り続けた為か外気温度も高く油温計が100℃前後を指していても、再びエンジンを掛けるためキックを踏みおろすと軽々とエンジンが掛かるから、このSRが抱えていた問題も解決できたようである。

トラクター1

ワインディングを想像以上のハイペースで駆け抜けると、荒れた路面のうねりには最も廉価な耐荷重対策を施した足回りが後れを取ることもあるが、おっさんライダー自身が補助のサス機能を担当するのが面白く、SR500NWJCツーリングマスターを駆る事はとにかく楽しい。

麦畑

足回りの対策は幾通りもあるが、総てに最上か最高を求めないことでトータルバランスを整えると操ることに深みが増して、SR500からSR500NWJCツーリングマスターへの深化は、可もなく不可もない曖昧さと和洋折衷のおおらかさはライダーとの一体感により醸し出されるから、ライディングは感性で楽しむことをより強く実感できてその出来具合には大いに満足である。

一般道では大型トラックが続くノンビリした流れの速度域でもストレスは無く、高速道では長距離を楽々と移動して、フル積載状態ではワインディングを軽快に駆け抜けて、SR500NWJCツーリングマスターは意外にも日本の道路事情には最適な旅バイクに仕上がったと納得である。

速さより心地よさで楽しむNWJCツーリングマスター

流行り廃りに関わらず、40年以上も同じスタイルで素朴な乗り味も何ら変わることのないYamahaSRの500を普段使いからバイク旅まで楽しめるNWJCツーリングマスターとして蘇らせることができたが、フル積載状態でも速さより心地よさで楽しめるトータルバランスをバイク屋のバイク乗りとして模索することは楽しみの一つである。

R433

SR500のエンジンはパリダカラリー第1回の優勝車両であるYamahaXT500のエンジンがベースで、耐久ロードレースでは4気筒エンジンと互角の戦いで活躍した傑作エンジンでもあり、SRと云えばカフェスタイルのベース車と思われがちだったが、ライダーの平均年齢も上がり楽しみ方も変化しているようである。

アナログの塊のようなSRはカフェスタイルに特化するよりも、普段使いは勿論のことフル積載でも気負うことも無く、ワインディングを心地よく駆け抜けて自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅も楽しめる、そんなSRが日本の道路事情には最適であるとおっさんライダーは考えている。

普段使いからバイク旅まで自由気ままに楽しめるSR500NWJCツーリングマスターは、高速道や長距離を苦もなく走り続けられるよう防風効果を高めたSR専用のスクリーンや、走り続けてもお尻や腰が痛くなることを緩和できるコンフォートシートなどの機能パーツは、ライダーが心地よく走り続ける環境を整えるためのバイク屋自らの実体験に基づいた提案である。

比和町

バイク旅には必須の積載力を高めるマルチリアキャリアやサイドラックなどのNWJCオリジナルパーツは、すべてハンドメイドの日本製で、新たなバイクライフを具体化するNWJC独自の提案であると自負している。

今回はトップケースの装着もできる多用途に使えるマルチキャリアの試作を装備した仕様を走らせて、剛性感や取付け位置による積載状態での操縦性と安定性の両立も含めたトータルバランスもチェックすることができた。

いざなみ街道

トップケースの装着は、SLやXR230をTM仕様に仕上げる過程において、トップケースを装着できれば普段の使い勝手もよく施錠もできるから安心感もあり何かと便利であると皆からの意見を反映した。但しトップケースを装着してのタンデムは前提としていないから「アシカラズ」である。

バイク屋NorthWingJCは、販売のために所有欲を煽るブランドやスペック・カテゴリーなどの提灯記事による疑似体験やセールストークよりも、実体験に基づいてそれぞれのバイクが持つ潜在能力や特性を発揮させて、素敵なバイクライフの為の提案が出来ることが何よりであると考えている次第である。

アナログ回帰

今回のツーリングに出かける前に、飛騨のアツシからカミさんが新車から愛用しているHonda CB400SSをNWJCツーリングマスターへと深化させたいと相談があり、CB400SSとSR500TMの空冷シングル2台の乗り比べでビッグシングルのツーリングマスターをイメージできるよう飛騨方面から奥美濃をツーリングで楽しんできた。

CB400SS

CB400SSのツーリングマスター化は、カミさんがSL230ツーリングマスターにローシートを取り付けて、アフリカツインと共に長距離に出かけたところ、愛用のCB400SSよりもSL230ツーリングマスターのほうが、排気量や車格に関係なく快適に走り続けて楽しめたのが事の発端のようである。

余談だが、CB400SSの積載力を高める純正リアキャリアは、強度不足だったか取り付け部分だったかに不具合があり販売中止となり、取り付けた車両にはHondaより代替品が用意されて交換したような記憶があり、アツシに尋ねるとリアキャリアを対策品と交換したとのこと。

たたら

昔のHondaは不具合があればバイクライフには必要な機能パーツとしてのリアキャリア等は対策品と交換していたが、最近では不具合の発生した純正アクセサリーのリアキャリアは回収後に返金して、必要であれば社外品での対応となり、これもグローバル化という時代の流れなのか、Hondaの流儀も変わったようで、昔のHondaファンとしては少し残念だが詮無い事でもある。

CL400NWJC

BMW R1100GSを長年楽しみ、空冷T100からトリコロールカラーとアフリカツインのネーミングに惑わされたかHondaアフリカツインに乗り換えて暫くは頻繁に走らせていたアツシだったが、Kさんが好奇心で乗り始めたアフリカツインに早々と見切りをつけた頃からアツシのアフリカツインも動かなくなりはじめた。

それに引き換え長年楽しんできたトレッキング仕様のSL230をツーリングマスター仕様へと深化させてXL250R BAJAの250クラスやカブ110NWJCコンプリートへのダウンサイジングとアナログ感を楽しむ機会が増えているのは何故だろう。

奥出雲

瑞浪の和尚と村田さんは長年乗り続けたGoldWing1800を手放すとのことで、長年大型を楽しんできた方々が次々と大型を手放す傾向が顕著であるが、トライアンフ空冷ボンネビルT100やスクランブラーなど、昔ながらの素朴な乗り味とアナログ感が魅力のバイクを誰も手放すと云わないのは何故だろう。

田園風景

速さより心地よさで楽しむために、気負わず楽しめる程よい車格へのジャストサイジングと感覚的にアナログならではの良さを見直すアナログ回帰が無意識のうちに始まったように思う今日この頃である。

近頃のバイクはスロットルやブレーキにサスペンション等、各部が電子制御となってアクセルワイヤーも無くなりつつあり、新しさと引き換えにアナログならではの良さが失われつつあることは、新型でほしいと思うバイクが無いとか、最新モデルへの違和感を訴えるライダーの聲を耳にする機会が増えているのも事実である。

トラクター

世の中は、疑う余地もなく新しいほど良いと思い込むのが現実だが、バイクは人の関わる領域が広いほど操る悦びがあり充実感があるから、素朴なアナログ感は色あせることもなく、時代の流れに埋もれることもなく輝いているのは何よりである。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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