バイク屋の備忘録

トライアンフ ボンネビルを楽しんで10年 その3 「T100はインジェクションModelとなった」

3代目のボンネビルT100 はエンジ色にしました。08モデルよりインジェクション化に伴いタンクが少しふっくらとしてスタイリングについては賛否両論のようだが、ニーグリップの感触は良くなったと思う。インジェクションにも賛否両論色々な意見もあるようだが、ボンネのインジェクションはキャブに近いフィーリングで違和感無くトルクが一回り太い感じで使いやすくなった。エンジンには必須の基本のメンテナンスを行う事で更に扱いやすくなるし、インジェクション化に伴いスピードに乗りやすくなった。初代ボンネビルからの鉄リムは低速域では安定感を与え、高速ではある速度域から車体がグッと重くなり、これ以上のスピードは・・・・・と危険信号が出されて人にやさしい一台だと思う。モダンクラシックでそれなりの走りを求めるのであればスラクストンのアルミリムは軽量化に伴いブレーキ性能や立ち上がり、コーナーリング時等に於いて乗り味の違いを如実に顕していると思う。

初代・2代目と問題点を少しずつクリアにしながら3代目となったT100は少しずつ快適になりはじめたが、足回りの問題はリアーサスの交換とフロントはオイルの油面やプリロードのみでは問題解決が難しいのでWPと相談した結果。フロントスプリングを色々とトライすることとなった。フロントスプリングには色々な意見がありシングルレートの方が高性能であるというようなことを何かで見たが、決してそうだとは思わない。特定のクローズドコース等ではシングルレートも良いと思うが、フィールドを広げてあらゆる条件の中を楽しむにはマルチレートの方がベストだと思いWPと共同で試行錯誤を繰り返してきた結果、コーナーリング時やブレーキング時等にしなやかで接地感を体感できて、路面変化からの不意に来るアノ嫌な突き上げを解消することができるフロントスプリングを準備できた。フロントスプリングを交換することで路面への追従性が大幅にあがり結果としてフロントブレーキの効きも良くなった。WPのリアーサスもNWJCオリジナルとして試行錯誤した結果程良いところに落ち着いた。WPのショックは40φと容量があるので積載量が増えた状態でのタンデムでも何ら不具合を感じる事が無く楽しめる仕様に仕上がってきた。

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14.WP・T100用フロントスプリング.jpg
14.WP・T100用Rサス.jpg


シートも純正のOPでsixty8に変更した。同じ形状のスラクストンのシートはフレームに上手く乗っからず前回りがフワフワした感じで安定感の無いシートだった事があるので、シートを発注した時は少し不安だったが、シート表皮の張り具合も良くなかなかシックリときて色も好みでお気に入りです。

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NWJCオリジナルのフロントスプリングとリアーサスが程良いところに落ち着いて、エンジンをはじめ各部が総合的に纏り始めてからというものは、物足らなさを感じることもなく乗る事の楽しさが倍増したように思う。今年の4月にはスクランブラー1台、ボンネ2台で九州を訪ね、帰り路は国道や県道をメインに後半は雨の中を走ってきたが、明らかに楽しさは倍増している。スクランブラーも荷物をたっぷりと積んで走らせていたが以前とは別物とのこと。

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荷物を積んで高速やワインデイングに県道等を走り、色々な条件下を走ってきて、一番の問題点であった足回りにも問題は無く、スクランブラーには少し遅れたが軽快なツーリング仕様が出来上がったと思う。チョイ乗りからフラリツーリングに長距離ツーリングと道を選ばずフィールドを拡げる事が出来て軽快に楽しめる一台に仕上がりつつあると思う。併し、勘違いして欲しくないのはスタンダードのボンネを否定しているわけでもなく、受け狙いのカスタム化や話題性を狙って色々な試行錯誤を繰り返したわけではない。初代から最新のモデルまで、より楽しむために改良や改善等の試行錯誤の過程で得たノウハウの蓄積は、色々なアドバイスもできると思うし、何時までも楽しむために手放せない価値ある一台であり、自信を持ってお勧めできる一台に仕上がったと思います。

ボンネビルやスクランブラーは可も無く不可もない曖昧さをもった、万能な高性能なバイクだと思う。
サーキットやスポーツ走行では何らかの結果を求めるために、そのための高性能(雨が降ればレインタイヤで寒ければソフトコンパウンドのタイヤを求められるように)が求められますが、ツーリングや一般道で求められるモノは可も無く不可も無い、悪く云えば曖昧で、良く云えば万能な高性能(雨にも、多少のダートでも、寒さ暑さにも耐久力にも対応できるタイヤ)とでも云うのでしょうか? 乗り手次第で楽しみ方は無限にあると思います。

ライダーとメカニックの目線でじっくりと時間をかけて、工業製品としては完成品でも、楽しむための道具としては未完成のボンネビルやスクランブラーから本来の性能を引き出しながら用途に合わせて、価値ある道具に仕上げていく試行錯誤の過程も亦楽しくとても満足しています。ボンネビルやスクランブラーのスタイリング同様におおらかに日本の道を楽しめる一台だと思う。何となく流しながら走っている、一生懸命操りながら走らせている、どちらでも楽しめる体感性能の良さは、ピカイチだと思います。

・ボンネビルを楽しんで10年 その2 「T100が900になって登場」

・ボンネビルを楽しんで10年 その1 「初代復刻モデル」

→NWJC トライアンフ ボンネビルのレビュー

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