ボンネビルを楽しんで10年 その1 「初代復刻モデル」
ボンネビルに快適さを求めるか、心地よさを求めるかと言われれば心地よさを求める事だと思う。だが、メーカー出荷の工業製品では満たされないところもあるが、メンテナンスを施して心地よさを体感できる道具に仕上げれば、ハイメカやスペックに惑わされず、乗ること=操ることの愉しさを味わえる魅力ある一台に生まれ変わる。
スペックや価格をお伝えする事も大切ですが、現在までボンネビルに関わってきた経過から、一人のツーリングユーザーとしての目線とメカニックとしての目線とバイク屋として、ボンネビルが価値ある道具であり、素敵なバイクライフを楽しめる魅力的な一台である事をお伝えしたいと思います。
現在のボンネビルは三代目で初代からもう10年目を迎える。初代は800ccでスタートしたが二代目は860に排気量UPされ900となり、三代目は環境にも対応してインジェクション化されても伝統的なスタイリングを守りながら、正常進化していると思う。最初の復刻モデルを見たときは懐かしく、当時は憧れたこともありましたが、高嶺の花で手も足もでませんでした。東京ジャイロの谷名さんがボンネビルでナラシ・ツーリングの途中に立ち寄よられた時に、お借りして試乗したのが始まりでした。
試乗は良くも悪くも、工業製品としては完成品でしたが、楽しむ道具としては色々と問題点が見え隠れする半完成車でした。英国らしい伝統的なツインエンジンでクラシックなデザインはファッション系のイメージにも見えるが、体感性能の良さと何と無く素性の良さを試乗の時に感じたので、じっくりと付き合って良さを見つけ出し問題点を改善しながら個人的に楽しみたいと思った。デザインは、OHVからDOHC8バルブとエンジンは全く別物だが色も含み何と無く当時の面影を残していたし、個人的に今なら乗れると思い、半ば衝動買いのような感じでジャイロの谷名さんにオーダーしたのがボンネビルとの始まりでした。
乗り始めてから特に不満は無かったが、遠くへ走りに行く事を楽しみたいとは思わなかった。スタイルは別として乗り味まで60s’では今の時代には合わないとも思いました。所有している‘68HONDA CB450K1のような旧いモデルにも似た、乗り味では気楽に楽しめるバイクとは思えなかったし、旧式に乗っているときはそれを楽しむことを目的としていますから苦も無く楽しめますが、エンジンは最新のDOHCで、各部も新しい現代版でありながら、どこか違和感を持っていました。
足回りを決める為、最初に手を入れたのはエンジン調整でした。8バルブ中8バルブ全てが、基準値外で全てクリアランスが大きかったのは、何と無くこんなもの・・・という予感が大当たりだった。
タチが強いとか色々と雑誌などでは言われたり、W650と比較されたりとあまり良い印象を与えていないのは、エンジンのコンデションが整っていない試乗車を使っての比較なら当然のことだと思う。併しコンデションを整えたボンネは800ccのツインらしく低速域では粘りを見せ、車体が一回り小さくなったような軽快感を産み出し、体感性能は素晴らしく、素性の良さを見せ始めたと思う。本来の良さと軽く廻り始めるのは距離にして7000Kmを超えたあたりから本調子が出始めると思う。
その頃は2次エアーをカットする方法が情報としてあったが、エンジン調整等も施さず安易に手軽な改造をすることは本来の良さも見失ってしまう事となると思い2次エアーのカットは行わなかった。
量産の工業製品を楽しめる道具とするために、エンジンのコンディションは足回り等ライディングに大きく影響を与えるところです。エンジンのメンテナンスで特にバルブクリアランスの調整はエンジン性能に大きく影響します。ボンネビル等空冷エンジンでは冷却も含めて必須項目です。初回のオイルとフィルター等の消耗品交換、点火系統や2次エアーのカットでは本来のコンディションを得る事は不可能だと思う。
ライディングポジション
車種によっては外車に有りがちな体形の違いからの少し無理なハンドルポジションやステップ位置がバイクとの相性にも大きく影響する事を実感しているライダーも多いと思います。跨った時には何ら違和感はなかったが、200Kmも走ってくると膝や腕に変な力が入り何となく違和感が在りました。原因は、表皮と梱包のビニールは接着剤で固定してあったが体重が掛かることでボンドが簡単に剥離してしまい、表皮とフォームが一体にならず、表皮がフォームの上を滑り腰の安定感を失った事がわかった。対策は、シートの表皮を開けてフォームを包んでいるビニール袋を外すか、ビニールと表皮の間を両面テープか接着剤で広い面で固定すれば解決できた。何時も使っているBMW R1100GSや80GSのシートはRSAレザーズで企画したバックスキンに変更してあることもありとても大きな違いを感じた。防水の表皮を使いバックスキンで腰の安定感を増し、皮の利点である透湿性を活かし蒸れず快適なシートなのでMyボンネにも迷わずRSAレザーズのバックスキンのシートを準備した。期待通り腰はしっかりと収まり、スタンダードのシートとは比べ物にならない、はるかに快適なシートで全体的には未完成だが問題点を一つ克服できた。
センタースタンドを純正のOPで取り付けたが車体側に手を掛ける所が無いので、所有するHONDA CB450のアシストグリップを参考に試作しました。試作を見た人達の評判もよかったのでボンネビルでは最初のNWJCオリジナルパーツとなりました。
次に手を入れたのはブレーキペダルとチェンジペダルでした。全体に長く、26CMの足のサイズでもステップに足を乗せてシフトやブレーキングはタンク底のブーツでは無理でとても操作がやりにくかった。チェンジペダルはペダル部分がネジ加工で固定されているので穴位置を少し後方へ約20mm下げる加工で使いやすくなり、ブレーキ側はペダル部分を切り取り、ブレーキペダル同様に後方約20mmへ下げ溶接加工で対処しました。社外品でもパーツはありましたが、左右セットでの販売でしたから、ペダルを加工するという方法で対策しました。
全体にしっくりとくる感じとなりチョイ乗りも楽しく亦、一日に走る走行距離が長くなりのんびりツーリングには最適なバイクだと満足していました。併し、ある程度のハイペースである程度の長距離を心地よく楽しむ時や、タンデム状態等で荷重が増えてくると何とも頼りなく不満が溜まってくる・・・・・・。
元々、ボンネビルに合わない使い方を求めている事に問題があるのだろうか?
少しハードに走らせた場合、頼りなくなってくるリアーサスは社外品で幾つかのメーカーも試してみたがスタンダードよりは動きは良いが、少しハードに使うとスタンダードと同じような問題が顔を見せ始めどれもシックリとこない、フロントサスもプリロードアジャスター等を咬ませて試してはみたが・・・・。色々と試行錯誤をしながらのツーリングは頼りなさもあったが、正直なところサスをはじめ各部の設定を変えることにより、色々な変化を楽しめて多くの情報を得る事が出来たことは価値があったと思うし楽しい時間でもありました。
HPで公開しているNWJCオリジナルスクランブラーのタンクは初期のボンネビルのものを流用している。
・ボンネビルを楽しんで10年 その3 「T100はインジェクションModelとなった」