バイク屋の備忘録

カブ110NWJCコンプリートで東北ツーリング

7月は月初めにチョットした不注意から肋骨を痛めて、咳をしても右腕を動かしても痛みが走り、それを庇うような動きから腰に負担が掛ったのか腰痛も伴い日々の雑用にも支障をきたして、バイク三昧の日々とは縁遠い少し情けないグレーな日々を過ごしていた。

毎年7月は、十和田湖で行われる古神道の神事に参列しているため、十和田湖へは、バイクを駆って速さより心地良さで走り続ける楽しみを満喫するのが恒例となっている。

発荷峠

バイク屋のバイク乗りが個人的な好みから、ボンネビルT100・スクランブラー・タイガー800・NC700X・Gold Wing等をメンテナンスによりスタンダードコンディションに整えてから、其々の本来の良さを引出すNWJC独自のメンテナンスやモディファイを重ねて深化の過程をバイク乗りとして自らが楽しんでいる。

親不知2

昨年の十和田湖へはGold Wingを走らせたが、あるペースを超えるとリアタイヤの接地感が薄れ一体感が失せて思うように扱えず違和感を覚えた。村田さんも同様の感覚であった。その後足回りなど各部を見直して再チェックを兼ねて村田さんと共に西日本の定番ルートへツーリングに出掛けて、違和感を払拭したGold Wingはさらに扱い易くなったことが共に実感できた。

海岸沿い

昨年同様にGold Wingを駆って十和田湖への道中で違和感を覚えたルートにて深化したGold Wingで再度チェックするつもりでいたのだが、おっさんライダーのコンディションが最悪のため今回の十和田湖は断念するつもりでいた。

Gold Wingで共に走る予定をしていた村田さんには、今回は一緒に行く事が出来ない旨を伝えようと思っていた矢先、それを察した村田さんから「バイクが無理なら車で行きましょうか?」と気遣いをして頂いた。

雑談の中からカブでも無理ですか・・との問いには躊躇することなく、カブなら何とかなるかも・・と条件反射のように応えている おっさんライダーであった。

十和田湖の神事に参列される秋田の知人は脳外科医で療養施設も有るから、最悪の場合は無理を承知でお願いして秋田で暫く療養すればいいか・・、と軽い冗談を交わしながらカブ110NWJCコンプリートで出掛ける準備をするなか、グレーな気持ちから少し余裕が生まれてきたような・・・。

準備をすすめながら、今回のツーリングに参加を希望されていた小藤さんにカブ110で行く事になった旨を伝えて、カブ110NWJCコンプリート3台で東北ツーリングに出掛けることになった。因みに今回の顔ぶれは、今年の1月にカブ110NWJCコンプリート駆って、四国経由のキャンプツーリングを楽しんだときと同じである。

→「2016年はカブ110NWJCコンプリートで始まった」

カブ110NWJCコンプリートを楽しむ

小雨が降るなかNWJC南店を出発した時、おっさんライダーのコンディションは最悪のため小排気量のカブと云えども恐る恐る走り始めた。肋骨は腕の動かし方でも痛みが走るときがあったが、無理をしなければ何とかなりそうだから気持ちだけは何時までも若々しく有りたいものだ、と改めて思った次第である。

R341

カブ110NWJCコンプリートを駆って東北方面へ出かけるのは2度目となる。一般道を流れに乗って走る110ccのカブは気負うことなく、長い距離を走ってもさほど疲れが無い。また、ビッグバイクでは気づかなかった新たな発見がいくつも有り、軽量なカブならではの、あっちへフラフラ、こっちへフラフラと、自由度のある楽しみ方が魅力でもある。

大場谷地湿原

一般的には小排気量でのロングツーリングは疲れると思われがちだが、カブ110NWJCコンプリートでの列島縦断や、VTR250、CBR250など軽二輪を駆って九州や北海道など、バイク屋のバイク乗りが自ら楽しんだ実体験に基づいて振り返ると、無意識ではあるのだが妙な緊張感が無いせいなのか疲労感はビッグバイクよりも少なく、ロングツーリングにはビッグバイクが最適であると思いこんでいたようである。

玉川温泉エリア

ビッグバイクのように無意識の内に気負うこともなく気軽に走り続ける楽しさと、速度は知れているがエンジンをフルに回して使いこなせる爽快感があるから、ビッグバイクからダウンサイジングして楽しむのもこれからのバイクライフの一つであるように思う。

タイガー800

カブ110NWJCコンプリートはスポーツバイクに近いステップ位置で、遠心クラッチではあるがシフトチェンジも必要だから、スポーツバイクと同じ感覚の操作で楽しめるからスクーターとは明らかに違う。

砂浜2

一般的には17インチのクロスカブなどがロングツーリングに向いているように思われているが、14インチリムの剛性が活かされて、ビッグバイク並みのフル積載状態でも安定感のある走りはツアラーとして楽しむことが出来る。

カブコンプリート

一般道の実際の常用速度域でも余裕を持って走れるよう、110ccの性能をフルに発揮するエンジンコンディションに整える事やファイナルレシオの最適化などトータルバランスを整えることが、誰でも手軽に楽しめるツアラーとしての必須要件でもある。

R341-2

一般道を走り続けるロングツーリングではビッグバイクと比べても疲労感が少なく、悠々と走り続けるロングツーリングに出掛けると、ビッグバイクとは一味違う面白さがジワジワと溢れてくることを実感できるのが面白い。

バイク乗りとしての実体験

予定よりも少し遅れて『磨墨の里』で小藤さんと合流、新潟県柏崎を目指して走り始める。参加メンバー全員がスクランブラーだったときも小藤さんは参加しているが、いつものメンバーとは走るペースに違いがあって一定の車間を保たずムラがあるため、全体のペースを乱す厄介な面があるからポジションはいつも最後尾となっている。

小藤さん曰く、タンタンとしたペースではついつい眠気が・・とのことだが、バイクとの対話があれば走り続ける楽しさがあり深く理解できる絶好の機会だから眠気なんて、と思うのだが楽しみ方は十人十色のようである。

大湯環状列石

カブは走行距離が10,000Kmを超えたあたりからエンジンが軽くなり、長い上り坂でも軽快な走りが出来るようになってきた。ビッグバイクも含み走行距離は10,000km超えた辺りからどんなバイクでも本調子となってくるが、基本性能を発揮させるメンテナンスを施していない車両はその違いが判り難く、違和感に思っていた症状が顕著に出るなどコンディションが悪くなる場合が大半を占めている。

トンネル

今回のツーリングは往復で1,800Km程度の距離になるから、10,000Kmを超えたカブ110NWJCコンプリートは、どんな特性が顕れてくるか楽しみである。
走り続ける中でカブとの会話が弾めば、新たに何かを知り、文字や言葉にはできない感覚的な事を得ることもあり、バイク屋としての閃きやヒントが生まれて新たな楽しみが拡がることが、おっさんライダーの楽しみでもある。

道すがら

MAP

初日の走行距離は、おっさんの体調を考慮して頂き少し抑えて柏崎までの約400キロであった。

親不知

2日目は柏崎から十和田湖へ向けての約500Kmを走り始めて、不安だった腰が意外にも軽く回復の兆しである。バイクに乗るために使う体幹が無意識に優先されているようで腰痛の原因だった緊張が解きほぐされたようだから余裕も生まれて、海岸沿いを走りながら砂浜へ下りて、カブならではの自由度のある楽しみ方を満喫。

秋田県

3日目は十和田湖を午后3時過ぎの出発となりR341号沿いで湧き水を汲み、鶴岡までの約300Kmと僅かな移動距離となった。カブのトップケースに装着している水タンクは途中で湧き水を汲み、気の向いたところでコーヒータイムとしゃれ込み、ゆるやかな時間を過ごすのがカブ110NWJCコンプリートでは定番となっている。

湧き水

4日目、鶴岡から岐阜までは約600キロだったが、海岸沿いの砂浜ではR341沿いで汲んだ湧き水で小藤さんが淹れてくれたコーヒーを飲みながらカブと海を眺めて暫し雑談する。
昼食ものんびりとした時間を過ごしたが、カブ110NWJCコンプリートで出掛けると総ての事に時間がゆるやかに流れていくようで、妙にゆとりが生まれてくるのが面白い。

砂浜

県境近くのR41号沿いの道の駅から、現在進行中のVFR800Xと同じ仕様に乗る飛騨の上ちゃんへ連絡を入れ合流して暫し歓談したのち、最後のガス補給を終えて岐阜をめざし今回のツーリングも無事終了した。

VFR800Xとカブ

バイクは健康療具であることを実感

精神科医の村田さんが提唱されている「バイクは健康療具」について、コンディションが最悪のおっさんライダーが期待と不安が入り混じるなか、肋骨の痛みは相変わらずだったが、腰は距離が伸びるごとに回復して岐阜へ戻るころには完治していたから驚きである。

長年ツーリングを共に楽しんで来た村田さんの狙いが見事に的中して、おっさんライダーに最適な治癒力を引き出していただいたことに感謝するとともにカブ110NWJCコンプリートにも感謝である。

→バイクは健康療具『東北、十和田湖ツーリング』

砂浜0

後日、村田さんからNWJCオリジナルパーツのシートスタビライザーが装着されていなければ、カブのシートは不安定だからコーナーリング中は無意識に変な動きが腰に生まれて逆に悪化したかも、と怖いことを聞かされたが、ドクター村田さんのバイク乗りとしての実体験により蓄積されたノウハウは見事に的を射ていた。

翌日は通常通りの雑用に追われたが、寝覚めも良く疲れも無く、気分爽快でまさに「バイクは健康療具」であることを実感した次第である。

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