バイク屋の備忘録

試乗車VTR-Fで能登ツーリングを楽しむ

カブ110に乗って中国地方を走り廻ったり、XR230でプチ林道ツーリングを楽しんだりと、一人で小排気量を楽しむ事が増えてきたため、スタッフの明君とツーリングに行く機会がめっきりと減っていた。

しかし、今回は珍しくCB1100に乗ると云い、タイガー800に乗る中島君を誘って二人が飛び入り参加となり、三人で能登を走る事になった。

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何故CB1100なのか・・・?いつもなら中島君と二人で、定休日の月曜日に、タイガー800かエクスプローラーを駆ってツーリングかキャンプを楽しんでいるのだが・・。

7,000Km走行後に初のメンテナンスとサスセッティングが終わった、試乗車VTR-Fのチェックを兼ねて、お気に入りの能登を往復で780Kmほど走り、相変わらずバイク三昧の日々を楽しんでいる。

お気に入りのルートを走る

田植え前の能登へ、スクランブラーに乗って出掛けて以来の能登となり、砺波平野の散居村や能登は、田植えが終わって緑に覆われていた。

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東海北陸道を走らせてみると、高回転まで心地よく吹き上がるVツインエンジンは、CBR250Rより力強く、登り坂もグングンと登っていき、高回転で回っている時のエンジン音は、やはりVTのVツインエンジンらしい音がしている。CB1100やタイガー800等のBigバイクと一緒に走っても、250クラスのVTRならではの面白さがある事に気づいた。

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東海北陸道を五箇山ICで降りて、五箇山トンネルを抜けて、城端の田園風景を眺めてから能登へ向かうのがいつものルートである。五箇山トンネルを抜けると濃霧で下界はまったく見えず、散居村の展望を眺めることはできなかった。

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お気に入りの城端の田園風景を横目で眺めながら、交通量の少ないワインディングを軽快に走り、羽咋を目指す。史跡を訪ねる時はあらかじめルートをある程度決めて走るが、車両をチェックするときは、いつもの事だが、雲行きをみながら思いつきでルートを決め、気ままに走らせるのがパターンとなっている。しかし、 今回は明君と中島君がいる・・・。

能登を再発見

タイガー800に乗る中島君もツーリング好きで、能登へはキャンプツーリングで何度も来ているようだ。そこで、今回は中島君も知らない能登を走る事にした。

押水手前の道沿いから海が見える所で、海を眺めて見ると、水平線に雲も無くすっきりと日本海が見えるので、水平線が丸く見えるポイントを目指すことにした。勿論彼らにはナイショである。

羽咋からは、恒例の千里浜を通ったとき、砂浜のごみを除去しているのか、砂浜を均しているのかヤンマーのトラクターのような車両が水際を走っていた。

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300Km弱でガソリン補給をして、風力発電の風車をすぐそばで見ることの出来る所を経由していくルートを選んで、山道へ入って行く。狭い坂道を登りドンドンと登って行くと、遠くに見えた風車がすぐ側に見える所に到着した。下を見下ろすと、お気に入りの能登らしい風景が見えている。

狭い坂道をVTR-Fで登って来たが、エンジンは粘りのある力強さで、低速から心地よく吹き上がって、スイスイと登って行く。狭い峠道でも軽量コンパクトな車体だから気負うことなく、ヒラヒラと心地よい走りを楽しめた。

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明君のCB1100はナビを装備していないので、細い山道をグルグルと走るうちに、地図を見てもどこにいるのか分らなくなっているのでは・・・、狭い道から県道に出て少し走ると、見覚えのある風景を見てホッとした事だろう。ナビが無かった頃、地図にも載っていないような道に迷い、道を覚えたことが懐かしく思い出される。

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そこからまた、細い山道へ入り込み、脇道に入って到着。高台に上がって下を見ると、彼ら二人は、何故こんなところへ来たんだろう・・・という顔をしている。上がってこいよ、と声を掛けると二人が揃って上がって来た。

水平線がくっきりと見える海を見た途端、二人からほぼ同時に、ワ~という驚嘆の声が上がる。そして、能登にも潮岬のように水平線が丸く見えるところが有るんですね、と驚きのようだ。

それから、深い草むらをかき分けるような道を抜けて、アップダウンを繰り返す裏道のワインディングをVTR-Fは、CB1100とタイガー800をリードしながら軽快に走り繋いで輪島を目指した。

何故、明君はCB1100なのか?

輪島からは国道を走り、観光地となっている千枚田で、少し遅い昼食をとって小休止していると、明君がCB1100を眺めながら、フラットなトルクで軽々と吹き上がるエンジンと、コンパクトな車体は軽快な走りを楽しめると、絶賛している。

そして、シートのみ最新の1100EXに変更してきたが、以前取り付けていた社外品のハイシートとは比べ物にならないほど、EXのシートの坐り心地が良いと、とにかくCB1100をベタ褒めしている。

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何故、CB1100に乗って来たのだろうか・・・、VTR-FがVT250Fとして30年前のこと、CB1100は20年まえのBigバイクブーム到来のCB1000と重なり(CB1000の発展型はCB1300)、どちらも彼が乗っていたバイクの最新版のようなものだから、今回はクラシックな雰囲気のCB1100に乗って、バイク屋のメカニックとしての観点と、ツーリングライダーとしての観点から、永年バイクを楽しんで来た、自らのバイクライフを振り返っているのでは・・・・、と勝手に想像してみた。

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狼煙から珠洲を経由して、ワインディングの県道を走り繋いで、押水では宝達山へ登り、日が暮れ始めた日本海を眺めて、五箇山から美濃までR304とR156を走り繋いで岐阜を目指した。

夜間のワインディングを走る

暗い国道を走り続けることとなったが、コーナーリング中でもある程度見やすく、走りやすいVTR-Fのヘッドライトの配光が、旧CBR250Rと同じであることを思い出した。デザインを見れば判りそうなものだが、夜間のワインディングを走るまでは気づかなかった。

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御母衣ダム付近は見通しが悪く、道を探りながらの走りで、深くバンクするコーナーも沢山あるが、軽量なVTR-Fは、自在にバンク角を変えながらドンドン先行して、後方を走る明君のヘッドライトの明かりが時々遠ざかると、ペースを落とすゆとりがあるほど、VTR-Fの軽快な走りを楽しめた。

VTR-Fをスポーツツアラーとして

慣らしを終えた後、各部をチェックしてメンテナンスやセッテイングを施すことで、全域でトルクが太く感じられてタイトコーナー等では速度が落ちてエンジン回転が下がっても、シフトダウンをすることも無くアクセルをあければ、滑らかに素早く、車速が上がってくる。

VTR-FのVツインエンジンは、30年も前から現在まで、進化しながら色々な機種に使われてきた。今ではインジェクション化されて、同じエンジンであっても全域で250+αのトルク感と力強さがあり、別物と云えるほど扱いやすく、軽快な走りを楽しむ事が出来る。

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今回のツーリングではBigバイク2台と、高速からワインディングまで様々な道を走らせて、進化したVTエンジンをベストコンディションに整えたうえで、ツーリングライダーとしてその実力を充分に知ることが出来た。バイク屋としては、積載力を高めてロングツーリングも楽しめるスポーツツアラー仕様に仕上げたら楽しいだろうと、仕様や装備に思いを巡らせている次第である。

→NWJC公式サイト『VTR-F レビュー』

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