バイク屋の備忘録

カブ110NWJCコンプリートType2で能登へ

4月下旬はバイク旅には最適な季節となりカブ110NWJCコンプリートType3を駆って春爛漫の木曽路を楽しみ、5月下旬は定番の西をいつものメンバーと共にトライアンフ空冷ボンネビルT100NWJC2014仕様を存分に楽しむことができた。

今月はもう梅雨入りしてチョイ乗りからバイク旅まですべてが小休止となった。その前に良き相棒のカブ110NWJCコンプリートType2を駆って奥能登の小径を楽しんできた。
 
カブ110NWJCコンプリートシリーズは、07型のプロトタイプからJA10型のType2を経てJA42型のType3へと続き、チョイ乗りや通勤快速の普段使いからフル積載の旅バイクまで、多用途に活躍して多くのベテランライダーにも好評で走行距離も4~6万キロと延びている。

2万、4万、6万キロと走行距離が延びてもNWJC独自のメンテナンスにより其々にGoodコンディションを維持している。

新しいほどすべてに良いものであるとしたイメージを刷り込み、売ることが最終目的の提灯記事とは異なり、乗り始めてからがすべての始まりで、走行距離が延びても旧いから「こんなモノです」ではなくGoodコンディショを維持することは可能なことであることを改めてお伝えする次第である。

積載状態での操縦性や安定性は外観からではその良し悪しは判断出来ないが、カブ110NWJCコンプリートに乗り続けているライダー諸兄は、コンディションを維持するメンテナンスと心地よい走りの為に各部を見直すモディファイなど、深化していく過程も含めて夫々に愛着をもって楽しまれていることは嬉しい限りである。

奥能登をブラブラと

カブ110NWJCコンプリートでの能登は、アツシのType3と共にCT110で能登神話を訪ねた以来である。

岐阜をAM4:00に走り始めてType2の心地よい走りで能登を目指してR156を北上した。

白川郷から五箇山を経て城端と福光の田園風景を眺め羽咋へ出てその先から小径へ入り込んだ。

能登へ出かけたときは千里浜を抜けてレストハウスの「イカだんご」を食べるのが恒例だったが、昨年SR500-TMで訪ねた時に砂浜が浸食されて半分以下になっているのを目にして、狭くなった千里浜へは何となく足が向かなくなったように思う。

小径を抜け皆月でキャンプをしようかと思ったが、トイレも壊れて荒れた状態だったので再び小径を抜けて今日のキャンプ地はどこにしようかとブラブラと北上しながら、出雲の国引き神話ゆかりの地である珠洲を目指すことにした。

北上する道すがら海沿いの広い駐車ペースを見つけ立ち寄ったときのことだが、突然あわやの転倒になりかけて冷や汗ものだった。

カブを端へ寄せて停車しようとしたその瞬間フロントタイヤがめり込み、いきなりハンドルが切れ込んで転倒しそうになったが、無我夢中での立直しが功を奏したか、フル積載でもカブ110NWJCコンプリートならではの低重心と低いハンドルポジションにより抑えが効き何とかなったが、もう少し大きい車両だったら悲惨なことになったかも・・・。

カブ110NWJCコンプリートなら砂地や雪道など、どんなところへでも入り込むことに躊躇する事は無く、その手軽さと使い勝手の良さが仇となったようで、その駐車スペースには側溝のようなところがありその場を足で掘ると側溝にたまった砂が他と同じ路面に見えてフロントタイヤがはまり込んでいきなり切れ込んだようだ。

そんな路面状況とは気づかず手軽さゆえの不注意であり、事なきを得たのは幸運であり、まさに油断大敵であることを肝に銘じた次第である。

珠洲でキャンプすることにしてテントとタープの設営を終えて今回のキャンプでは何十年も前の旧いEPIランタンを引っ張り出して使ってみることにした。昨年アツシ主催の飛騨のキャンプでは明るいが目に刺さるよなLEDの光が苦になり、ガスランタンの明るさではLEDに劣るが、その灯りは昔懐かしく好感が持てる。

ガスボンベも必要でコンパクトさに欠けてマントルを交換することの手間も掛るが、バイクと同様で昔ながらの素朴な道具を使うことは面白く楽しい事である。

天気予報では雨は降らないはずだったが、夜中の激しい雷雨で目が覚めて少し寝不足で、朝方まで降り続いた雨で撤収に手間取り出発が少し遅れた。

キャンプ場を後にして狼煙へと向かい小径へ入りこみ、フル積載でも気負うことも無くカブ110NWJCコンプリートならではの良さが発揮されて小径を存分に楽しむ事が出来た。

カブ110NWJCコンプリートType2を更に深化させて楽しむ

先月の木曽路ではJA10のType2より進化したJA42のType3を走らせて、Type2を深化させるちょっとしたヒントを得てそのチェックとマフラーもSTDスタイルに変更したチェックも兼ねて能登を楽しんできた。

マフラーをSTDスタイルに変更したのは、最近やたらうるさいマフラーを装備したカブを見かけるが、静かなキャンプ場では迷惑千万なことであり、少しでも静かなマフラーで楽しむことを提案したいと思う次第である。

提灯記事をイメージした疑似体験で、外観の見た目を変更した着せ替え人形のようなカスタムなのか奇を衒うためなのか、マフラーも交換してやたら排気音がうるさいカブが増えているようだが、どこでも住民権が認められているカブには必要以上にうるさいマフラーは似合わない。

実体験が乏しいバイクショップやスタッフはイメージには便乗するようで、NWJCカブコンプリートが外観だけを組み替えた着せ替え人形のような仕様と同じであるようなイメージでダシに使われて誤解を招くことも度々あるが、扱うバイクが同じでもバイク乗りとしての実体験か提灯記事による疑似体験かではオリジナルパーツも含めて随所に違いがあり、似て非なるものであることを再度お伝えする次第である。

カブ110NWJCコンプリートシリーズはJA07のプロトタイプから始まり、Type2からType3へと進化して10年目を迎えて、キャストホイールとなったNewモデルのJA61型によるType4を現在準備中である。

おっさんライダーと同じ仕様のカブ110NWJCコンプリートType2は最近キャンプに嵌まっている寺山さんが先行して走らせているが、実走行に基づいたバイク乗りとしての意見交換により、Type2は更に深化した仕様として提案することなど、カブ110NWJCコンプリートはいつものメンバーの協力も得て今日に至る。

バイク屋も売るが為なのか乗り始めてから楽しむ為なのか、売るが為の提灯記事に便乗した疑似体験により、さも実体験したような会話がまかり通っていることもあるようだが、乗り続けないと判らないことも多々あるのが現実だから乗り続けているベテランはそこのところの違和感も充分承知である。

バイク屋のバイクに乗りとして、乗り始めてから始まるバイクライフには実体験に基づいた独自の提案ができることが求められていると、バイク屋のおっさんライダーは実感している。

今回の能登は更に深化したType2で小径へ入り込むことを繰り返し、フル積載を気にする事の無い操縦性と安定性が実感できた。気負うことも無く自由気ままにフィールドを拡げるその面白さには納得である。

帰り道の飛騨ではトンネルを抜けると突然のドシャ降りに見舞われたが、オリジナルのスクリーンとカブならではのレッグシールドによるフェアリング効果は、レインを着る前にずぶ濡れにもならず通り過ぎる事が出来た。

バイク旅ではライダーの心地よい走りのため、カブならではのレッグシールドやNWJCオリジナルのスクリーンによる防風雨効果には春夏秋冬いつの季節でも感謝である。

キャンプも含めて自由気ままにフィールドを拡げて約800Kmを駆けて「速さより心地よさ」「何かに特化する事の無い曖昧さ」「和洋折衷の大らかさ」のカブ110NWJCコンプリートによるバイク旅を満喫できた。

また、バイク屋のおっさんライダー自らが存分に楽しんで、深化させたType2のGoodコンディションが確認出来た。

バイク屋のバイク乗りとしての実体験は、流行り廃りや時代に流されることのない素敵なバイクライフのためのヒントやひらめきを得ることができる唯一の手段であることを改めて実感できたのは何よりであり、乗り続けなければ何もわからないし、何も始まらない。と改めて実感した次第である。

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