バイク屋の備忘録

SR500 1周年

何かの縁で40年ぶりに再び乗る機会を得たSR500はNWJC Traditionalとして深化させながら1年が過ぎた。

SR500でお気に入りの西の定番ルートを駆けてちょうど1年が過ぎて、深化したSR500と共に1周年を記念して再び定番ルートを楽しんできた。

定番ルートを同じバイクで何度も走ると、モディファイの方向性やメンテナンスに関して深化の度合いが分りやすく、荒れた路面からハイペースで流すワインディング、ノンビリしたペースで大型トラックの後ろに続き、定ポイントからフラットダートも含む脇道へも入り込み、積載状態での操縦性や安定性もチェックして、バイク屋が自ら走らせることは、バイク屋の実体験に基づいた提案の第1歩であると考えている。

乗らなければ紋切り型の消耗品交換と、ボルトオンパーツの組みつけ等がメンテナンスの全てとなり「こんなものです」となってしまう。

昨年の今頃もコロナ禍により油断できない状況で、遠乗りはある程度自粛してSRでの年間走行距離は9,000Kmほどだった。走らせる度に各部の見直しも進み、コンディションはGoodで積載時のトータルバランスも整ってツーリングマスターとしても深化して、NWJC Traditionalとして提案できる1台へと仕上がったことが実感できる。

一般道の流れにのると、5速2,000~3,000回転辺りでのタッタッタッタと小気味良い鼓動感と空走の繰り返しが心地よく、五感で判りやすく感じることができる昔ながらの素朴な乗り味は、体感フィーリングの好さで良き時間を過ごす事ができた。

YamahaのSRが時代に流されること無く守り続けた不変性は、バイクと人の間に多くの電子制御装置などが介在することもなく、スペックやカテゴリー云々でもなく、操る人の感性を第一としたモノ作りであったと改めて思う次第である。

旧型SR VS 新型GB

旧いSRは40数年もの間、時代に流されることも無く造られてきた名車である。SRの生産が終了するタイミングでGB350なるインド生産のバイクが発売されるようだが、最新のGB350と旧いSR400のスペックを比較するのは何の為だろうか、提灯記事による話題つくりには違和感がある。

ロングストロークを話題としているようだが、もともとインドでの対抗馬であるロイヤルエンフィールド350とのストロークはわずか0.5mmの違いしかない。日本で長きに亘り販売されてきたSRとの比較は何の為か良くわからないし不自然である。

また、動画によりコンセプトが巧く表現されている現行モデルのロイヤルエンフィールド350との比較が本来ではないか。

ロングストロークが云々、スペックが云々のイメージだけでSRとの比較には違和感を覚えるのは当然で、柳の下のドジョウを探しているかのようで滑稽でもある。

CT125のときはCT110と比較したが、今回はHondaでSRの対抗馬として登場したGB400・500、CL400、CB400SS等のボアXストロークのスペックも含めて過去のHonda車と比較しないのはなぜか、売るがための話題つくりの提灯記事も、度が過ぎるとバイク乗りを甘く見ているのが透けて見えてくる。

ブランドにとって歴史に意味があるのは、時間が不変的な価値を証明することであり不変性が強いほどブランドの価値が高いようで、SRは40数年間基本的に何ら変わる事の無い不変性はブランドであり名車である。

それに比べてSRの対抗馬で登場したHonda GB500・400、CL400、CB400SSは4バルブRFVC等SRとは方向性が違うメカに拘ったそれぞれに良いバイクだったが、いつの間にか残らず姿を消して長続きしないのがHondaのスタイルのようだ。

Hondaの空冷Bigシングルは、XLV750の後に発売となったファラオ600に始まり、FT500は無限Bajaコマンダー500のパーツやFT400のピストンを流用する等、Bigシングルの走りをカフェスタイルのSRとは異なるダートトラックスタイルで楽しみ、GB500、CL400、CB400SSと乗り継いで楽しんできた。

よき時代のHonda空冷 BigシングルであるCB400SSとCL400は、SRと同様にNWJC Traditionalとしてツーリングマスターへと深化させて蘇らせるため現在進行中である。

SR500で西の定番ルートを楽しむ

日本海側から内陸をあちらこちらへと駆け抜けて、穏やかな瀬戸内海を眺め、再び内陸を日本海側へ駆け抜ける定番ルートで1,700Kmほど走り、SRならではの速さより心地よさで駆け抜けて、人車一体の操る楽しさを存分に楽しむことができた。

始動性の悪さはピカイチだったが、基本に忠実なメンテナンスにより始動性の良さを得る事ができて、脇道へ入り込みゴー&ストップを繰り返し、油温が100℃ちかくあっても再始動は楽々で、キックでエンジンを掛けることも昔懐かしく楽しみなことである。

定番ルートの定ポイントは道標のようなもので、遠回りをしたり脇道へ逸れたりと自由気ままに楽しみ、同じルートで同じ季節と同じ時間帯でも同じ景色に出会うことは二度となく、同じルートで新たな風景と出会うのも楽しく、季節が変われば趣も変わり、バイクならではの肌で感じる季節感がお気に入りである。

昨年の3月も西の定番ルートをSRで走っているが、今年は寒さが厳しく曇り空で3度から8度前後の中を走り続けたが、SRの防寒対策は万全で、スクリーンはロングタイプに変更して新たにハンドガードも装着してその防風効果も実感できた。

SRを駆ってのロングツーリングかバイク旅なのか定かではないが、ヘッドライト・ウインカー・テールなどのバルブ類、レバー類、チェーンオイルやスペアチューブからパンク修理Kitは勿論の事、電動ポンプも含み携帯用ツールセット等を積載できるよう、NWJCオリジナルのリアキャリア専用RSA製本皮ツールバックを特注して万が一のトラブルでも安心して走り続けて楽しむ為に装備することにした。

その他の装備は昨年とほぼ同じで出かけたが、凍結防止剤が大量散布されてボンネT100で今までに無い錆の発生を体験して、特に下回りには防錆効果のあるワックスをタップリとスプレーしてきたからその効果も確認できると思っていたが、路面状況は雪解け水でシブキが上がるところもあり、防錆効果よりも錆の発生が恐ろしく、帰り着いたら早々に洗車して汚れを取り去った次第である。

SR500 NWJCツーリングマスター

スーパースポーツ系はワインディングではそれなりに楽しめるが、走りに拘ったハイパワーモデルは高速道で右から左から強引な追い越しをしているのを目撃することがあるが、カテゴリーに特化した仕様は環境や条件を満たすことができないとストレスの塊となる場合が多いのが現実である。

オフ系のアドベンチャーなのかマルチパーパスなのかよく分からないが、日本の林道では大型アドベンチャーでは持て余して存分に楽しむことはできず、積載してのロングツーリングでもダートは僅かでなかなか楽しめず、250クラスでのフル積載では安定感も無く思うようにならないのが現実である。

カテゴリーに特化すればするほど楽しめるフィールドは狭く、性能を引き出して思いっきり楽しむにはクローズドコースとなるのは当然の事だから、一般道ではストレスの塊となるのが現実では・・・。

クルーザーモデルは単調な走りでも心地よい鼓動感が魅力であるが、ワインディングや九十九折れの峠は不得手で、フラットダートでもスタンディングができないライディングポジションは環境や条件を満たすことができないと心地よい走りを楽しめないのが現実である。

NWJCツーリングマスター(TM仕様)は、カブ110NWJCコンプリートも含み車格や排気量を問わず、速さより心地よさをコンセプトに何かに特化することのない曖昧さと、和洋折衷の大らかさをテーマとしている。

それは一般道で最も使い勝手が良くマルチパーパスに楽しめるTM仕様が最適であるとバイク屋のバイク乗りとして実感している次第である。

現行モデルと生産が終了した旧型モデルの中よりベース車両を選りすぐり、実体験に基づいたNWJC独自のメンテナンスとモディファイにより、普段使いのチョイ乗りから荷物満載のバイク旅でも気負うことや持て余すことも無く、自由気ままにフィールドを拡げて楽しめる、素敵なバイクライフを提案する次第である。

SR500 NWJC Traditional

NWJC Traditionalは、昔ながらの素朴な乗り味の空冷シングルと空冷ツインに関して、速さより心地よさをテーマとして、何かに特化することも無く和洋折衷のような大らかさで自由気ままにフィールドを拡げて其々の良さを最大限に発揮できるメンテナンスとモディファイにより、失われつつある昔ながらの素朴な乗り味を活かして、今までにない新たなバイクライフを提案したいと考えている。

NWJC Traditionalとして新たなバイクライフを提案している車両は、バイク屋の経験とバイク乗りとしての実体験に基づいて、トライアンフ空冷ボンネビルT100・スクランブラー900、HondaCB400SS・CL400、YamahaSR400・500、BMW R100系などの空冷シングルとツインで、1台でも多くGoodコンディションに整えてその良さを存分に楽しんで頂きたいと思う次第である。

NWJC Traditionalとして提案している車両の多くは、目で見て触れて確かめられる実態があり、見立てや調整などメンテナンスは楽しく、経験は勘を養うが、最近主流の電子制御はテスターによるチェックではその実態が目に見えず、勘を養うことも無くアッセンブリー交換ではGoodコンディションに整えていく過程においても「こんなものです」という対応になるのでは・・。

乗り味もメンテナンスと同様で、昔ながらの機械式を操作する事は、どの様に可動しているかイメージできて操作感と直結しているから、微妙なところまで分りやすく体感できる面白さがあり、五感で判りやすく感じることができる昔ながらの素朴な乗り味はスペック云々よりも操る人の感性が優先である。

バイク屋NorthWingJCが提案するNWJC Traditionalは、外観だけクラシックスタイルを纏って、ABS・フライバイワイヤー・トラクションコントロール・インジェクションなどの電子制御満載の最新モデルでは味わうことが出来ない昔ながらの素朴な乗り味は、スペック云々よりも人の感性を大切にしたアナログであり、如何に売るかよりも、如何に楽しめるかである。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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