SL230TMでトレッキングごっこを体感
今年は、GWの休暇をまるっと使って、九州へキャンプツーリングに出かける予定でしたが、あいにくコロナウイルスのことがあり残念ながら見送りとしました。
せっかく冬の寒さも遠のきバイクシーズンになったにも関わらず、ツーリングを控える日々で、コンディション維持のためにチョイ乗りするくらいでしたが、GWは「トレッキングごっこ」を楽しむことができました。
トレッキングごっことは?
トレッキングごっこを楽しみ、感じたことは「何がとは説明できないけど、なんか分かるようになってきた感じがする」ということでした。
きっと、何を言ってるかわからないとは思いますが、私も体感するまでは何を言ってるのかわからなかった…。感覚で得たことを言葉に表すのは難しいですが、どんな風に感じたかを伝えれたらと思います。
低速は難しい。
GWは予定もないし、自宅の近くで何か練習になるようなことができないかな?そんな風に、NWJCの高田さんに話を聞いたのがきっかけですが、
「じゃあ、ちょっとお店先でこんなことをやってみようか。」
と、高田さんのXR230をお借りし、トレッキングごっこのさわりをレクチャーしてもらえることになりました。
まずは、車両のアイドリングをさげ、敷地内を足をつきながらゆっくりゆっくり歩くような速度で動かしてみようということでした。トレッキングごっこでは、発進時や必要な変速時以外はクラッチのお触りなし、半クラ厳禁となっているので、アイドリングを下げている状態だと、アスファルトのちょっとした凸凹でも、パスンとエンストしてしまいます。
平たい場所だと思っていても、少しの凸凹でもエンストしてしまうほどの抵抗があるというのは意外でした。
高低差のある部分でスロットルを開けようと意識すると、歩くような速度ではなくなってしまい、ごく低速で、一定の速度で滑らかに動かす事が目線も含めてこうも難しいとは…。
しばらく繰り返して、ようやく一定の速度で店先をぐるぐると回れるようになったあたりで、今まで結構、雑なスロットルの開け方をしていたことを感じ始めました。
TM(トレッキングマスター)仕様にして河原へ。
その後、店先でやったことを、今度は小石ばかりの河原でやってみようか!となり、私とHさんはそれぞれの車両のフロントスプロケット交換し、トレッキング仕様へ変更。
「これはTM(ツーリングマスター)かな、TM(トレッキングマスター)かな」と笑って話をしていたけれど、SL230TMは本当にちょっとしたセッティングの変更でいろんな面を見せてくれる懐の深いバイクだと感じます。
私は高田さんに鍛えてもらうつもりで課題を出してもらうことに期待していたので、店先でやったのと同じと聞いて最初は「えー、それでいいの?」と思ってしまいました。
ただ、それは最初だけで、実際には河原のゴロゴロと転がる小石の上を走るのはかなり難しく、練習に良さげな場所まで高田さんが移動するのについていく時点で精一杯。
車体は揺れる、ハンドルは振れる、スロットルを開けるとズルッと滑っていきそうで、ついハンドルを強く握ってしまう。そして車体の揺れに体も振られるという悪循環。
「そういった状況に対処できるよう、スロットルの持ち方はこうなんだよ。」と高田さんに以前からスロットルの持ち方については教えてもらっていたので、形はできているように思ったけれど、実際に車体がゴトゴトと動くような場所を走ると、慣れずにギュッとハンドルを握ってしまうようでした。
改めてスロットルの持ち方を見せてもらい、繰り返し走らせながらハンドルを持つ手の角度や力加減を模索していきます。実際に繊細な操作が必要なフィールドを走り、感覚的な部分とイメージを繋げていくうちに、ようやく、こんな感じかなと自分の感覚として掴めてきたように思いました。
しかし、思いだせば私は教習所でもHONDAのメーカー系販売店主催のライディングスクールでも、スロットルの持ち方を教えられなかったけれど、どうしてこういうところに触れないんだろう?と少々不思議に感じました。
河原で走ったり、草むらを走ってみたり、砂の上を走ったり、遊んでいるようなものだけれど、そんな感じでもだんだんと、安定した動きで走らせることできるようになっていきました。
ある意味で、今までで一番、気兼ねなくバイクで遊んだ時間かもしれません。
いざ、トレッキングごっこ
河原遊びを楽しんだ後、高田さんやベテランライダーの皆さんと運良く予定が合い、みんなで林道へトレッキングに行ってみようかということになりました。
初めて行く場所はどんな場所かと思ってついていきますが、進んだ林道はだんだんと荒れて…予想しなかった荒れ具合に、どんな所にいくんですか!と思いつつも、この感じ河原でもあったなぁとか、ここはむしろ河原よりスロットル開けて走れる、と思う場所があったりして意外に走れるものだなぁと感じながら走っていました。
河原遊びの時間がなければ、トレッキングどころではなかったかもしれない…。
河原ではほとんど平地だったけれど、今度は登り下りができる場所で、またいろんな場所を走らせることを楽しみます。河原ではほとんどブレーキを使いませんでしたが、下る時もしっかりフロントブレーキを使い、ゆっくり下りていきます。
急な下りでフロント掛けたらひっくり返りそうな気がして怖さもありましたが、おそるおそるレバーを握ると、軽く滑りつつもしっかり効いてくれました。
砂利道では、強くブレーキをかければ低速でも滑るので、滑る、滑らない、ロックするロックしない、その境の微妙な部分を繰り返し探ってみます。そうやって何度も繰り返していくうちに、下り斜面でのブレーキングもズルッと滑らずに、じわっと掛けながらゆっくり下りられるようになってきました。
逆に、故意に滑らそうと思ってレバーを握ってみても結構強く握らないと滑らないことに気づき、短時間の反復でもブレーキの強弱の付け方の幅が広がっていくのを感じました。
上り坂でも、無闇にスロットルを吹かさないでも一定に開けていけば、ドッドッドッとゆっくりとよじ登っていけます。
結構な斜面に思えましたが、特にオフやトライアルなんかの練習もしてない自分がという点でも、オフロードに特化していない車両でもという点でも、こんな所を登れてしまうんだなぁという事に驚きました。
私のバイクはトライアル車でもないし、トレッキング直前に履き替えたタイヤもツーリング前提のオンオフ用のものです。高性能なオフタイヤじゃなくても、これで十分なんだ、ということも分かり、高田さんがよく言う 可もなく不可もない曖昧さなのか和洋折衷のおおらかさでSL230/XR230の懐の深さ というのもじわじわと感じられてきました。
坂を登る、下る、登る途中で方向転換するなど、様々な動きを河原でやったようにあちこちで楽しんで、本当に感じられることがたくさんあり、自分のバイクってこんなところを走れるんだという事も気付けて本当に良い時間を過ごせました。
構えることのない気楽さが大事だった
連休の数日間、自分にとって初めてのフィールドでバイクを走らせましたが、課題を出してもらうことではなく、遊び感覚で体感することが一番大事なことだったかも、と思い出します。まさに「ごっこ」です。
もし、ライディングスクールのように課題を与えられていたら、出来た、出来なかったという事を気にして、その間に感じたことをなおざりにしてしまったかもしれませんし、自分は出来ているぞ!と思えるよう、ごまかすような操作をしていたかもしれません。見栄っ張りな部分がないなんて言えないので…。
その点、『ごっこの遊び感覚』でのトレッキングは、数え切れないくらいエンストしたことも、ミスして恥ずかしいと感じる必要もなく、また、極低速のため怖さを感じることもなく、ブレーキのかけ具合やバンクのさせ具合に見合ったアクセル開度など、どのくらいなら大丈夫なのか?ということも何度も試してみることができました。
結局、トレッキングごっこはバイクを操るテクニックを教えてもらったということでも、こういう技ができるようになったとかではないため、「何がとは説明できないけど、なんかわかるような感じがする」とか「バイクとの距離感か一体感と言えば良いのか」という、冒頭の言葉に戻るわけですが、このくらいの道なら大丈夫、という感覚は養えてきたのではと思います。
昔見かけた道も、その時は無理!やめよう!と引き返したけれど、今なら行けるのではという楽しみに変わり始めています。気になっていた道の先を想像し、フィールドを拡げ始めたことににんまりとする。
そんな自分の中の拡がりを感じられる体験ができ、これからのバイクライフもより一層楽しめそうです。