SL230TM(ツーリングマスター)でキャンプへ
前回からの予定通りGWの前半と後半でSL230TMを駆ってキャンプツーリングを楽しんできた。前半はXR230TMのH君、SL230TMに乗るギター職人のS・O君と里見君も参加して暖かくなった信州へキャンプに出かけた。
SL230とXR230の230TM仕様4台でのキャンプとなったが、距離が近いこともあり230TM仕様で日帰りするメンバーが4人参加することになり230TM仕様8台が偶然集まった。日帰りは夫々が思うところをソロで自由気ままに楽しんでいるからマスになるのはめずらしく意外なこととなった。
後半は、H君の計画でS・O君も共に京丹後へキャンプに出かけた。親子ほど年の違うH君のルート設定は、直線距離なら僅かだが東西南北を縦横無尽に県道から九十九折れのワインディングなど延々と走りつなぐのは遠い昔に楽しんだスタイルであり、バイクを操り走り続けるのは懐かしくもあり楽しいツーリングとなった。
前半と後半のどちらも日帰りで参加したCRFの土岐さんとSLの西やんは、20代のころRSやCRでレース活動に情熱を燃やした旧くからのバイク仲間である。いつものメンバーの村田さんはGWも仕事や家事に追い回されているようで、相当ストレスが溜まっているようである。
岐阜県下唯一のHonda専門店のWing Pro’sだったノースウイングJC北店が3月末で移転して、4月1日からBMWやトライアンフの正規ディーラーでもあった岐阜市宇佐東町にあるノースウイングJC南店と合体したノースウイングJCとなった。
おっさんライダーは今年から以前のようにバイク三昧の日々を過ごすことを望んでいるが、北店と南店が合体したノースウイングJCとなってからそれを受け入れる気配が漂い始めたのは何よりであると思う今日この頃である。
市場が求める車格は変化している
発売から20年以上も経った旧いSL230やXR230をベースとしたNWJCオリジナルのTM(ツーリングマスター)は、旧くからのバイク仲間やいつものメンバーなどの顔見知りがジャストサイジングで楽しむ為の特別仕様だから、それらが偶然集まった光景は少し異様に映るようで、道の駅などでは他のライダーが230TM仕様を珍しそうに眺めていた。
参加メンバーの多くがカブ110NWJCコンプリートと大型バイクはトライアンフ空冷モダンクラシックやBMW R100系などの旧型への後戻りが進み、ライダーが関わる領域が広い昔ながらの素朴な乗り味を感性で楽しむ傾向となっている。まさに「速さより心地よさで走り続ける」ことが主流となり始めているようだ。
余談だが、飛騨のアツシからトレッキングごっこを楽しんだSL230が本当に気負わず自由気ままに旅を楽しめるのか確かめてみたいと連絡が入った。試乗後の第一声は「同じSL230とは思えないまるで別物」とのこと、同時に長年SL230を所有していたことは幸運で、トレッキング仕様からTM仕様へ変更する依頼を受けると同時に相談があるとのこと。
それは、以前乗っていたBMW R1100GSのほうがツーリングを楽しむには使いやすかったことや、トライアンフ空冷ボンネビルT100 2014仕様を手放さなければと後悔し悩んでいるとのこと。悩みの種は「帯に短し、たすきに長し」のCRF1000アフリカツインのことのようだが、早々とアフリカツインを手放したKさん同様に日本の道路事情でどのように楽しめるのか、思い描くバイクライフは現実的か妄想か検討するまでも無いだろう。
Hondaの大型に乗る多くは、ゴールドウイングをはじめCB1100EXやVFR800Xにアフリカツインなど多彩だが、新しい大型モデルほどガレージのオブジェとなり年間では数回動かす程度となり乗らなくなる傾向はトライアンフやBMW等の外国車の新型と同様で、新製品効果は短命となり市場が求める車格が変化し始めていることはバイク屋のバイク乗りとして実感している。
何度も云うようだが、歳を重ねたことも含み日本の道路事情で大型バイクはどのように楽しめるのか、思い描くバイクライフは現実的か妄想か、時間が経つとともに乗らなくなったのは、コンディションが悪くなったこと以外で何故なのかと検討する余地があるのか。と思う次第である。
230TMへジャストサイジング
キャンプ道具などを積載した230TM4台と、日帰りのため荷物らしきものを積載していない230TM4台が同じルートを走り、ワインディングでは積載状態でもそれなりのハイペースで引っ張るおっさんライダーを同じ積載状態の里見君やH君は更なるハイペースでプッシュしてくる。
「速さより心地よさで走り続ける楽しさで、自由気ままに使いこなすこと」をテーマとする230TMは、積載状態でのハイペースの走りでは操縦性と安定性の相反する要素が巧くバランスしていることや、荷物を積載していない230TMとの走りの比較など、夫々の230TM仕様はスタンダードのSLやXRからでは想像できない、トータルバランスの高さと懐の深さで心地よい走りを実感できたようである。
長年バイクライフを愉しんできた諸兄が、体力的なことも含めてこれからのバイクライフを心地よく楽しむうえで気負う事のない程よい車格へのジャストサイジングを検討するのは自明の理であり、大型バイクはそのままにジャストサイジングするオッサンライダーがひそかに増殖中であるのも事実である。
歳を重ねたバイク屋のおっさんライダーが自ら楽しむ為の構想を色々と練って、SL230をベース車とした「欲張りなおっさん仕様」への具体的な活動は2016年からが始まりである。
コンディションの悪い250クラスは所詮250だからと格下に見下げる傾向にあるが、バイク屋自らが楽しむために仕上げたSL230TMは、販売を最優先するメーカー系の専売店とは異なり、「バイク屋の備忘録」の中の「SL230」を閲覧して頂けばバイク屋NWJCとしての観点やバイク屋のバイク乗りの本音を垣間見ることができると思う次第である。
「速さより心地よさで走り続ける楽しさで、自由気ままに使いこなす」素敵なバイクライフのためのジャストサイジングは、カブ110NWJCコンプリートをはじめSL230TMやVTRに限らず、バイク屋のバイク乗りとしての観点や深化の過程は実体験の現在進行形であり、いつも「旬」であることからのフィードバックである。
SL230でトレッキングからツーリングまで云々と、似た様な語りでコピーペーストしたかのような話があるようだが、SL230TM仕様はNWJCのオリジナルだから、仕様、装備、メンテナンス内容などに関してもNWJC独自であり、他店の仕様やメンテナンス等には何ら関わりが無いこともお伝えしておく。
それぞれのツーリングマスター
偶然にも複数の230TM仕様でのツーリングでは、空冷シングル2バルブ特有のエンジン特性は流れに乗ってポコポコと走る心地よさと、積載状態の230TMがワインディングでのS字の切り返しでもヨレの無い安定感のある走りは、まさに「速さより心地よさで走り続ける楽しさ」で、夫々が230TMの懐の深さを改めて実感することが出来たと思う。
カブ110NWJCコンプリートと同様で移動だけが目的ではない旅仕様の230TMは、積載状態でも立ち止まる事や脇道へそれることも厭わない手軽さと、ワインディングから九十九折れの峠道やフラットダートでも安定性と操縦性のトータルバランスの高さ等、バイク屋自らの実体験からのフィードバックによる仕様は参加メンバーの皆が納得のようである。
20数年前のSL230ではもう旧いから云々というのが一般的な考え方だが、気負わず扱える車格と使いこなせる排気量へのジャストサイジングと、楽しむ為のメンテナンスとモディファイなどによる深化はバイク屋NWJC独自のこだわりの具現化であり、操る楽しさと気負うことの無い自由気ままなツーリングを楽しむために蘇った夫々の230TMは、時の流れに埋もれる事なく輝いている。
先月、カブ110Type2で伊勢志摩方面のキャンプを共に楽しんだH君は、XR230TMは高速にも乗れるカブ感覚で楽しむつもりのようで、XR230TMのメーターをデジタル化して、チェーンへの自動給油装置を取り付け、安全確保のためのハザード機能を追加するなど、旅仕様としての装備を充実させてそれらのチェックも兼ねてキャンプを共に楽しんできた。
ギター職人S・O君は、大型バイクのW650を手放してSL230TMに乗り換えた。230TMに乗ることでバイクライフに広がりが生まれたようで、バイク屋としては嬉しい限りである。
詳しくは、S・O君のレポートを覗いて頂きたい。
→NWJC公式サイト『SL230TMレビュー – 疑似体験から実体験へ -』
里見君は、大型バイクのトライアンフ空冷スラクストンは車検が切れたままで眠らせているが、SL230TM仕様を誰よりも早く手にして、企画したおっさんライダーよりも先に日本各地をSL230TMで楽しんでいる。
最近はカブ110Type2で山歩きに出かけたりキャンプに出かけたりと楽しんでいるが、今回はSL230TMとXR230TMが多く参加するツーリングとなったため、カブ110Type2から230TMに乗り換えて前日のキャンプ地からの参加となりキャンプで連泊となった。
土岐さんは、ただ一人CRF250で参加して、無い物ねだりではだめだからと現行のCRFでTM仕様を早急に企画するようにとのこと。長年のバイク仲間の要請は断れないから早急に準備する事となったが、現行CRFのツーリングマスター化は色々と厄介な事がある。
西やん・御大Oji・料理長Nomu君・Kさんたちも久々のマスツーリングでモディファイされた230TM仕様のポテンシャルを実感すると同時に、ジャストサイジングによる楽しみ方には新たな拡がりがある事も実感したようで、実体験は何にも勝るようである。
時代への最適化
SuzukiのVストローム・Kawasakiの・・・・Yamahaのツーリングセローと、ジャストサイジングには最適な積載力のあるツアラーが各社あるのだが、何故、Honda車だけ積載力のあるツアラーがないのだろ。国内市場は縮小の一途をたどっているから国内向けには適当に海外のモデルを投入するだけのことか・・・・。
高齢化により市場規模が縮小している日本国内では、各メーカーの寡占的な政策でメーカー系専売店では最後の青田刈りを目指し、バイクに乗らないバイクショップも台数至上主義か成果主義で不埒であるが、バイク屋ノースウイングJCは、いつまでもライダー目線で自らの実体験に基づいて、素敵なバイクライフのための提案が出来るバイク屋であり続けたいと思う次第である。