VTR250TMでは久々の定番の西を楽しむ
今年もあと二十日ばかりとなったが、まだまだ暖かく久々にVTR-TMを駆って定番の西を楽しんできた。
第2の日月は定休日となっているから存分に楽しみたいところだが、月曜日はどうしても外せない野暮用があり、日曜日を存分に楽しむために前日の夕方から岡山の津山へ向けて出発した。
土曜日の5時頃にNWJCを出発して渋滞を抜けて5時半頃には名神高速に乗る事が出来た。VTRツーリングマスター(以下TM)のVツインエンジンの特性の良さとNWJCオリジナルスクリーンによる防風効果が相まった高速巡航は速さより心地よさで、9時には320Km先の津山の宿に到着することができた。
もう少し早く出発できれば広島の三次か山口の岩国でも無理をすることも無く余裕で走る事もできるのだが、この季節の夜間走行は おっさんライダーには寒さが骨身にしみるから無理をせず早めに切り上げて明日に備えることにしたのだが、翌朝は霧が深く何も見えず8時過ぎからどんなルートで行こうかなと思案しながらフラフラと走り始めた。
北上していくうちに霧は晴れてきたが、蒜山高原から見る大山は雲に覆われていて、あと僅かでここら辺のわき道は冬季通行止めとなる。
曇り空では風景も楽しめないから大山の周りをのんびりと楽しむ事にしたのだが、日本海側は晴天でVTR250TMと共に良き時間を過ごすことができた。
2013年式のVTRに思う
売るがための提灯記事は所有欲をあおるが、所有しても充実感が得られず乗り始めてからの違和感などについては「こんなものです」とか「新型では・・・」の対応やボルトオンパーツの組付けでは何も解決はしない場合が多く、絶えず所有欲をあおる日本の2輪文化は消費文化でもあると思う今日この頃である。
新しいモノがすべてに良いとして、バイクもメーカー出荷の新車状態が最高であるとした傾向は世の常で、VTRも軟らかい足回りや足つきを重視した低いシートなど、苦もなく取り回すことができるような初心者の所有欲をあおる提灯記事のネタには最適で、所有した感動は時間の経過と共に薄れて充実感が無く満たされないのは何故だろうか。
VTRもカラーリングなどによる雰囲気でOTONA MOTOという謳い文句の語感で情緒を刺激して所有欲を煽ること等、売る事がすべてだから乗り始めてから始まるバイクライフへのフォローはオーナーズクラブ等イベントへの参加呼びかけ程度であるのもメーカー主導の2輪文化か。
今回走らせたVTRのメーカー出荷状態は、駐車する場所が悪いと車体が立ちすぎて反対側へ転倒することもあるクタクタの足回りで、足つき重視のために膝が窮屈なシートは数10キロ先の道の駅まで出かけるのがせいぜいで、荷物を満載してバイク旅を楽しもうと思うことなど決してないシロモノであり、所有欲は満たされても価値ある道具であり良き相棒としては充実感を得られないのが現実ではなかったか。
VTRは初心者向けに設定されていたが、経験豊富なベテランライダーをも魅了する素性の良さと懐の深さが魅力でもあり、乗り始めてからその良さを存分に発揮させるメンテナンスやモディファイへの提案により、流行廃りの時代に流されること無く価値ある道具へと仕上げていくことが、バイク屋の役割ではないかと考えるようになったのは随分前のこと。
VTRがVTR250TMとして蘇る
VTRを駆って大型バイクと共に北海道ツーリングを楽しんだのは9年前の2014年の事。
VTR-Fにメンテナンスとモディファイを加えて大型バイクと共に北海道を走り、持て余すことの無い車格で使いこなせる排気量へのダウンサイジングは自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を楽しめる事が実感出来た。
VTRのメーカー出荷状態のSTDでは、自由きままにフィールドを拡げてバイク旅を楽しむ事には無理があり、バイク旅には必須の積載力はリアキャリア等のボルトオンパーツを組みつけた程度では心地よい走りを味わえない事は多くのライダー諸兄もご存じの事である。
バイク屋自らの実体験に基づいたメンテナンスとモディファイにより、Goodコンディションに整えたVツインエンジンと積載状態でも操縦性と安定性に優れた専用のリアキャリアKitとモディファイされた足回りによるトータルバランスの良さは、メーカー出荷のSTDからでは想像もできない心地よい走りと懐の深さを存分に発揮させたVTR250TMへと深化させる事を提案する次第である。
NWJCツーリングマスター(TM)のコンセプトは、「速さより心地よさで、何かに特化しない曖昧さと、和洋折衷のような大らかさ」であり、気負う事や持て余すことも無く、自由気ままにフィールドを拡げて素敵なバイクライフを満喫するためにバイク屋自らの実体験に基づいた提案により、1台でも多くのバイクをGoodコンディションに整えることが出来ればと思う次第である。
VTR250TMで良き時代のVツインの実力を実感
2013年式のVTRが2023年式VTR250TMへと深化して、トップケースは大小を問わずパッキングが楽々で施錠もできるから、VTRユーザーからの要望もありトップケースを装備できるよう新たにリアキャリアを企画した。
ソロとタンデムでも対応できるよう2タイプを準備して、リアサスはダンパーのセッテイングを変更してさらに心地よい走りを手にすることができた。
今回楽しんだVTR250TMが装着しているリアキャリアKitはソロ用で、トップケースは容量52ℓのGIVIを装着している。
70リットル以上のツーリングバックを積載するとシートの端は柔らかいため安定感を得る事が出来ないから確実に固定できるよう、リアキャリアKitのサイドパイプはリアシートと同じ高さとしてキャンプなどのフル積載状態でもヨレは無く、操縦性と安定性は更に向上して心地よい走りを楽しむ事ができる仕様としている。
バイク旅には積載力が必須であり、キャンプなどの装備は大容量となり、これからの季節をバイク旅で楽しむにも、防寒用のオーバーパンツやオーバーグローブにインナーも色々準備して天候の変化に対応できれば「備えあれば憂いなし」で素敵なバイクライフを満喫できるだろう。
また、景色の良いところではのんびりとするための装備も必須であり、今回は蒜山の道の駅で買った「ずんだ餅」を交通量が全くない道沿いのポケットパークで少し遅め朝食とした。
ソロで走るときは人気のない海沿いや展望の良いところで朝食や昼食を楽しむのはいつもの事で、四季折々の風景を楽しむポイントと時間帯による得も言われぬ景色に出会うこともあり、良き時間を楽しむための装備は常備しているから積載力は必須であり、季節を肌で感じられる自由気ままなバイク旅がお気に入りである。
メーカー出荷のVTRは工業製品としては完成品でも、バイクライフを満喫するための道具としては未完成だからバイク屋の実体験に基づいたメンテナンスとモディファイにより深化したVTR250TMは、速さより心地よさであちらこちらと自由気ままにフィールドを拡げて道草をも楽しみ、所有欲を満たすモノではなく、充実感のある道具としての価値と、良き相棒として今回のバイク旅を満喫出来たのは何よりである。
コンディションを整えたVツインエンジンのフラットなトルク特性は、バイク旅には最適で5速で2500回転も回っていればスローペースでもストレスも無く悠々と走ることができて、夕方から300Km程度の移動と翌日は600Km程度を駆けて総走行距離は900Kmであったが、良き時代の250Vツインは昨今のモノつくりとは一味違う良さを発揮していることを改めて実感できたことも満足である。
また、長年バイクライフを楽しんで、持て余す車格や排気量よりもダウンサイジングによる、気負うことも無く自由気ままにフィールドを拡げて悠々とバイク旅を楽しむために、カブ110NWJCコンプリートをはじめSL230TM、VTR250TM、CB400ss-TM、SR500TM、CRF250L-TMなど、メーカー出荷のSTDからでは想像もできない、操る楽しさと体感フィーリングの良いNWJCツーリングマスター(TM)への深化は、バイク屋自らの実体験に基づいた提案であり、素敵なバイクライフを応援したいと思う次第である。
年内にSL230TMの最新版を駆って、もう一度定番の西へお出かけできればと密かに思っているが、どうなる事やら・・・。