バイク屋の備忘録

CB400SS-TMで定番の西日本を楽しむ

日に日に春めいてバイクを心地よく楽しめる季節がやってきた。コロナ禍による蔓延防止等により自由気ままに出歩けない状況はとりあえず解除となったが、一日も早い終息を天地神明に祈念する次第である。

2020年より再びトラディショナルSR500に乗る機会を得たことで、空冷Bigシングルを心地よく楽しむ為にGoodコンディションに整えて、自由気ままにフィールドを拡げて楽しめるTM(ツーリングマスター)へと深化させて新たなバイクライフを得る事が出来たのは何よりである。

飛騨のアツシは、SR500がTM(ツーリングマスター)へと深化したのを目の当たりにして、カミさんが長年楽しんできたモダンクラシックCB400SSをTMへと深化させたいと彼から相談を受けた。

アツシとバイク屋のおっさんによる意見交換にアツシの要望も含み早々と具体化する事もできた。

昨年の3月はSR500を駆って西の定番ルートを走ることから長距離を始めたが、今年の3月はモダンクラシックCB400SSをCB400SS-TM(ツーリングマスター)へと深化させて更にバージョンUPした仕様の最終チェックとSR500TMとの比較も兼ねて、今年初の西の定番ルートを楽しんできた。

定番ルートを走る

西の定番ルートについて問われることがあるが、中国道を背骨として、定ポイント以外は県道をメインに速さより心地よさで縦横無尽に楽しんでいるが、持てる時間と走らせているバイクのコンディションに天候が加わって気の向くままにルートが決まる。

風光明媚と云われる地でも季節はずれに訪れてみればまったく違う厳しい表情に出会うこともあり、四季折々の色彩を楽しみ、脇道へ逸れて意外な風景に出会えるのもバイク旅ならではの魅力である。

抜ける青空の時もあれば鉛色の空にもなり、薄墨色や朱に染まるときもあり、バイク屋のおっさんライダーは日本の四季と共に日本神話を訪ねることを楽しみながら素敵なバイクライフを満喫している。

今回は初日だけわずかに天候が崩れる予報だったからそれが外れることを期待して走り始めたが、しばらくはドシャ降りの中を走る羽目になった。でも、CB400SS-TM(ツーリングマスター)専用スクリーンの防風雨効果には納得で、ナックルガードとグリップヒーターは、おっさんライダーには必須であると実感である。

TM(ツーリングマスター)への深化は、旧型だからと思われているSTDのCB400SSからは想像もできない多用性と懐の深さを発揮して、フル積載であらゆる条件下を走らせるのも面白く楽しいことであり、新たなバイクライフを得たことを実感する。

雨で融雪剤が流れている峠では滑りやすい路面だったが扱いやすく、それなりにハイペースで雨の中を駆けぬける事が出来た。融雪剤の塩害によるサビは少し不安だったから、雨が上がった後は高圧洗浄機で大雑把に洗い流せたので、サビを気にすることも無く存分に楽しむことができた。

バイク旅を楽しむためのキャンプ道具などと、この季節ならではの寒暖に対応する装備も含めて100Lほどを積載して、残雪が背丈ほどの壁となっている九十九折れの峠を越え、ワインディングをハイペースで軽快に走り、流れに乗って60キロ前後でノンビリと走ることも、瀬戸内から日本海へと自由気ままに駆け抜けて、今年初の定番ルートでは1,800Kmほどの距離を心地よい走りで満喫できたのは何よりである。

CB400SSをCB400SS-TM(ツーリングマスター)へと深化させて

今回走らせたモダンクラシックCB400SSのSSはシングル・スポーツの略で、スリムな車体と4バルブ空冷Bigシングルの組み合わせによりスポーツライクな走りで日帰りツーリング等を楽しむには最適だが、ロングツーリングを心地よく楽しめるバイクではない。

バイク旅では積載力が必須だからリアキャリア等を装備すれば積載も可能となるが、フル積載でも心地よく楽しめる車両は数少なく、荷掛けフックすら装備されていないチョイ乗り車両が主流であり、リアキャリアを装着すると見かけはそれなりでも、積載状態では操縦性や直進安定性に問題が発生する場合が多々あり、バイク旅には不向きなバイクが多いのも事実である。

トラディショナルSR500やモダンクラシックCB400SSなど、軽量スリムな車体とアナログの空冷Bigシングルの素朴な乗り味はそのままに、フル積載で何日も何百キロと走り続ける道中を心地よく楽しむために、バイク屋のバイク乗りとして実体験に基づき深化させ蘇らせたのがTM(ツーリングマスター)である。

CB400SSも当時OPとしてリアキャリアが販売されていたが、不具合が出て対策品への対応で販売終了となった経緯がある。最近の不具合は対策品ではなく金銭での対応となり、何の為の純正OPパーツなのか、ユーザー不在で価値観が変わったようである。

CB400SSのシートレールは剛性感もなく積載には不向きで、ブレーキ性能はサスの影響もありモノ足らず、リアフェンダーもラバーマウントでクタクタのためサイドラックを装備することを前提にウインカーの移設も要検討となる。

リアキャリアを装備してフル積載できても心地よく走り続けることは難しく、何から手をつければよいのかを思案するのも、バイク屋のおっさんライダーには楽しみな事であった。

まずはエンジンコンディションを整えて積載の為のリアキャリアとサイドラックを新たに企画して、フル積載に対応できるよう耐荷重性を高めて実走行で各部をチェックして具体化する事が始まった。

SR500とは異なる軽快な鼓動感は飽きることなく、5速のまま2,000rpm~4,000rpmで走らせると、ひろう・つかせる等のキャブ車ならではの操作感はライダーの感性が刺激されて、よき時代の素朴な乗り味は、外観はモダンクラシックでも電子制御満載のバイクでは味わえない得も言われぬものである。

STDのサスではプリロード調整も出来ないため積載状態では心地よい走りが望めない。他の機種のサスを流用して前後のプリロードも含むバランスを整えた。

その結果、低速域から高速域まで安定感のある別物のような走りで、積載状態でもワインディングを軽快な走りで楽しめるようバージョンUPできた。

定番ルートをフル積載で走らせるとチョイ乗りでは判らない事や、どんな問題点が見えてくるのか、何をどのようにモディファイすればよいのか等々、バイクに乗らないバイクショップでは、消耗品の交換やボルトオンパーツの組付けとなるがライダーの感覚的なことは理解できないから、「こんなものです」という対応に終始するのは当然の事であろう。

提灯記事によるイメージでバイクという商品を売る事が最終目的ではなく、乗り始めてからバイク屋よりどんな楽しみ方を提案できるかによってその価値観には大きな違いが生まれると実感している。

よき時間を生み出す事やよき相棒の魅力を引き出すことなど、その楽しみ方は十人十色だが素敵なバイクライフへの提案はバイク屋の実体験に基づくことが必須であると、おっさんライダーは常々思っている次第である。

NWJCツーリングマスターで楽しむ

クローズドコースでの競技でもない一般道をチョイ乗りの普段使いからフル積載で何日も走り続けるバイク旅を楽しむためには、車格や排気量、スペック、カテゴリー等よりも、気負うことや持て余すこともなく、である。

「速さより心地よさ」「何かに特化することの無い曖昧さ」「和洋折衷のおおらかさ」をコンセプトに、道を選ぶ事も躊躇する事も無く、自由気ままにフィールドを拡げて楽しむためのNWJCツーリングマスターである。

長距離ツーリングやバイク旅では、下道の一般道でも排気量が大きい方が疲れないイメージだが、車格や排気量に関わらず移動時の平均速度は40Km/h前後。

そのため単調な高速道を移動するような大型のメリットはほとんど無く、バイクは無意識にバランスを取り続ける乗り物だから、大きな車体は安定感があるように見えるが小型よりも疲れてしまうのが現実である。

空冷BigシングルのSR500TMやCB400SS-TMなどで自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅も楽しめる仕様は一般的ではないイメージだが、大型ツアラーのように持て余すことも躊躇することも無く、その使い勝手の良さは、日本のバイク旅には最適であるとバイク屋のおっさんライダーは改めて実感している。

すべてに新しいモノが良いとするイメージが世の中の傾向だが、モダンクラシックCB400SSやトラディショナルSR500・400の昔ながらの素朴な乗り味は、これからますます希少になるから、トライアンフ空冷モダンクラシックのボンネビルやスクランブラー900同様に、1台でも多くをGoodコンディションに整えて、素敵なバイクライフをイメージではなく実体験で満喫して頂きたいと思う次第である。

4月に入り暖かくなってきたからCB400SS-TMを楽しんでいるアツシとリターンライダーのS・Yさんを誘って、春の木曽路をCB400SS-TMならではの軽快な鼓動感で悠々と楽しみたいと思う今日この頃である。

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