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トライアンフ最後の空冷ボンネビルT100をこれから楽しむために

バイクも環境問題とコストダウンのために電子制御満載が時代の流れですが、トライアンフ最後の空冷ボンネビルやスクランブラーが時代に流されること無く守り続けてきたものは、スペックやハイテク技術を盛り込みバイクと人の間に電子制御装置などが介在するのではなく、あくまでも操る人の感性が第一であるという素朴な乗り味です。

しかし、新車状態からコンディションが整っていない車両がほとんどのため、その走りには「こんなものかな」と違和感を覚え、走行距離は僅かで手放された車輌も数多く見受けられます。

製造が終了した現在、外観の程度が良いとエンジンコンディションも良いと思われるのは当然のことですが、念願かなって手に入れた空冷モダンクラシックを走らせると「こんなものかな」と、その乗り味に違和感を覚える場合が多いのも事実です。

トライアンフ ボンネビルが復刻した2001年よりバイク屋のバイク乗りとしてトライアンフ最後の空冷モダンクラシックシリーズを乗り、「乗り続けないと判らないこと」「乗り続けて解かること」などに基づき、速さより心地よさの為のGoodコンディションは、バイク屋自らがライダーとしての実体験から始まると考えています。

サーキットやクローズドコースではカテゴリーやスペックが求められますが、一般道だからこそ速さより心地よさをコンセプトに、何かに特化することの無い曖昧さと和洋折衷のような大らかさで、普段使いからバイク旅まで道を選ぶことも無く、自由気ままにフィールドを拡げて楽しめる、NWJC独自の空冷ボンネビルT100とスクランブラー900のNWJC2014仕様は、バイク屋自らの実体験に基づいた提案です。

三河の久野さん、最後のBigは空冷ボンネビルT100で

BMW R1200RTに乗る三河の久野さんから、最後のBigバイクとして何が楽しめるかと相談を受けました。長年乗り続けたBMWは高速ツアラーとして移動には適しているが、日本の道路事情では心地よいと感じる速度域が高く、最近ではノンビリ走るとストレスになる事を実感されていたようです。

三河の久野さんは、バイク歴も長くゼファー750RSは初代から3代目までZZR1100Dも初代と2代目、デュアルパーパスはTTR250レイドやSL230でトレッキングごっこの経験もあるベテランライダーです。

BigオフはF650GSやR1150GSなどなど、F650GSダカールに乗られていた頃からのお付き合いで、もうそろそろ20年となります。

最新のBMWが日本でのバイクライフには不向きであることは、旧型のOHVは相変わらず人気があり現役で走っているが、目にするのは最新型ばかりで1100以後のモデルはスッポリと抜け落ちたように見かける事が少なくなったのも事実で、ノンビリと楽しむことにストレスがなく、スポーツライクに楽しむ事もできるBigバイクは何が最適かと検討されていました。

トライアンフ最後の空冷ボンネビルT100に乗り換えることも検討しているとのことで相談を受け、文字や言葉の説明では疑似体験となるため、ボンネビルT100NWJC2014仕様に試乗して判断することが手っ取り早く分りやすいので、早速試乗していただきました。

その後、ディーラーで現行の水冷ボンネビルにも試乗されて比較した結果、電子制御されたアクセル等に違和感があり、トライアンフ最後の空冷ボンネビルT100は最新技術を搭載した現行モデルには無い素朴な乗り味が魅力で、良き相棒となる事を直感されたようです。

生産が終了している空冷ボンネビルやスクランブラーは市場には中古車のみとなり、あいにく手持ちのボンネビルも無く、体力的なことでダウンサイジングのため手放される方はお見えになりますが、それ以外で手放される方は非常に少ないのが実情で、長年乗り続けて楽しまれている方が多くお見えになるのは嬉しい限りです。

久野さんには、程度の良いボンネビルが見つかればその後のメンテナンスはお引き受けすることをお伝えすると、程度の良さそうな中古車を近くの量販店で見つけ少し乗ってからそのうち来店するとのことでした。
その後、メンテナンス依頼で来店がありました。

久野さんの空冷ボンネビルT100のコンディションは如何に

外観は綺麗で走行距離は29,025Kmでエンジンは案の定というコンディションでしたが、外観が綺麗であれば異音やかかりが悪いとかストールするとかの症状が無い限り、エンジンコンディションは「こんなもの」と納得するのが一般的です。

しかし、久野さんの場合はGoodコンディションの2014仕様に試乗されたこともあり、コンディションがGoodでは無い事にすぐ気づかれたようです。

久野さんからT100のメンテナンス依頼を受け、各部をチェックしてから、まずはエンジンコンディションを整えることから始めました。

テスターチェックでは判断できないのがエンジン本体の機械式の部分で、電気式のセンサー等の補器類はその逆でテスターチェックが必須となります。テスターチェックではOKでも、エンジンコンディションの違和感や問題となる症状を裏付ける計測値が確認出来て、Goodコンディションを引き出すためのメンテナンスが始まりました。

違和感を覚える症状は、「こんなものです」では心地よい走りは楽しめません。その原因は計測数値に如実に表れていますから「こんなものです」ではなく具体的に対応できるのが現実ですが、皆さん何となく「こんなものかな…?」と、対応が出来ることをご存じない場合、何となく妥協されているのも現実ですね。

後日、久野さんからエンジンコンディションを整えたT100で信州をツーリングで楽しまれて、その後のコンディションに関するレポートを頂きました。

久野さんのボンネビルT100レポート

昨日今日と二日間長野県の御嶽山周辺を走り込んで来ました。はっきり言って劇的な変化で大満足です。ボンネビルの素性の良さを改めて実感できましたし、今まで知らなかったボンネビルの本来の姿や性能を自分のボンネビルで体感出来るようになったことが最高に嬉しいです。

やはり高田社長に相談してRTの乗り換え先としてボンネビルT100NWJC2014仕様を試乗させていただきオススメしていただいたことが素晴らしいバイクとの出会いになりました。

今後も是非よろしくお願いします。次はやはりサスペンションが気になり始めた次第です。

① エンジン低回転域

2,000~2,500回転において実用域で使える様になったこと。幹線道路で車の流れに合わせて法定速度でノロノロ走る際に高めの4速またはトップの5速ギアでもノッキングせずに、しかも低回転からトルクが増したことで楽に走らせることが出来る様になった。

② エンジン中・高回転域

ノースウィングJCでエンジン調整を行うまでは3,500回転以上回したくないほど上の伸びが無く、4,000回転以上回しても振動も多く車速も回転数だけが上昇するだけで気持ちよく加速しないためにノスタルジックな車体の雰囲気に合わせてゆっくり流す乗り方をしていたが、エンジン調整後はおそらくこれが本来の性能だと思わせるDOHCらしい高回転での伸びと力強さを感じることが出来る様に様変わりした。

実際にワインディングにおいて2速、3速で4,000回転~5,500回転で登りを走らせたが、アクセルワークにダイレクトにエンジンフィールがついてくることでスロットルの開け閉めでリアのトラクションと共に前後のピッチングを容易に行うことが出来たことで荷重変化を思いのままに出来、特にフロント荷重にした際にテレスコピックのフォークと相まってダイレクトな走りを手に入れることが出来た。

③ 駆動系・クラッチ

4,000回転またはそれ以上回転数を引っ張って加速してシフトアップする際に、各ギアのクラッチミート後の繋がりが実にダイレクトになりスムーズに加速しあっという間に〇〇〇㎞以上まで伸びて行くようになった。
クラッチのすべりが解消してダイレクトな加速フィールを手に入れることが出来た点が素晴らしい。上りや高速道路での追い越し加速など躊躇せずに出来るようになった。

④ 今後の課題

エンジンフィールが劇的に変化したことでツーリング時の平均速度、特にワインディングにおけるコーナーリング速度が上がったことで荒れた路面でバンク中に車体が暴れることが増えたので、今後は前後のサスペンションを見直す必要を強く実感することになった。
フェアリング効果も純正では物足らないのでスクリーンも交換することが必要だと感じた。

(※レポート内の写真はNWJC撮影)

「こんなものです」というコンディション

空冷ボンネビルT100は、コンディションを整えると低回転からトルク感があり、エンジン回転を上げるとDOHC特有の湧きあがるような力強さで、クラシックなスタイルを纏ってはいるものの、スポーツライクに操る楽しさと、素朴な乗り味の心地よさは格別です。

バイク屋NWJCがスタンダードとして提案する「こんなものです」という納得できるエンジンコンディションに整えることができました。エンジンコンディションが整うことで足回り等のバージョンアップが次の課題となりますが、その深化の過程も新たな楽しみとなる事でしょう。

トライアンフ最後の空冷ボンネビルT100をこれから楽しむために

久野さんのボンネビルT100も、エンジンコンディションが整ったことでその素性の良さを体感されて、良きバイクとの出会いとなったことが何よりで嬉しい限りです。

次回は足回りなど、深化の過程を久野さんレポートより、お伝えできればと思います。

1台でも多くのトライアンフ最後の空冷モダンクラシックをGoodコンディションで楽しんで頂くために、バイク屋NorthWingJCでは、できる限りの応援をしたいと考えています。何なりとお気軽にご相談ください。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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