バイク屋の備忘録

バイク屋のバイクライフ 2021年 3月 

コロナウイルスの猛威で、岐阜県は緊急事態宣言により不要不急の外出や県をまたぐ外出を自粛することになり、バイクで遠出することはままならぬ日々が続いていたが、緊急事態宣言は解除となり3月よりバイク屋のバイクライフも本格的に活動が再開できる。

ワクチン接種も始まり緊急事態宣言は首都圏を除き解除となったが、感染の再拡大も懸念され一日も早い終息と国家安泰を祈念する今日この頃である。

年末から天気も悪く、1月2月は岐阜市内も雪景色となり、定番の雪中ツーリングをカブ110NWJCコンプリートで楽しめそうだったが、木曽路への乗り納めで走らせた空冷ボンネビルT100では錆の発生がひどく、雪道を走る事を躊躇して雪中ツーリングの時期を逃してしまった。

1月中旬は飛騨のいつものメンバーと恒例の顔合わせを終えて岐阜へ引き返すとき、アツシから「融雪剤の成分が変わり錆の発生が瞬く間で車も下回りの痛みがひどくなるから、帰ったらすぐに洗車してください」と、聞いたことの無いアドバイスだったが、空冷ボンネビルT100の今までにない瞬く間の錆の発生も目の当たりにして、カブ110NWJCコンプリートによる雪中ツーリングを敬遠したことは少し後悔している。

カブC125はNWJCコンプリートへと深化して

コロナ禍による自粛で何かと出不精となっていたが、融雪剤が雨で流れたのを見計らって、カブ110コンプリートJA10・42型、C125コンプリート、CB250TM、SR500TM、ボンネビルT100-2014仕様など、NWJCオリジナルのパッケージモデルを駆って、岐阜近郊でチョイ乗りを繰り返して遠出ができる日を待ち望んでいた。

スーパーカブC125は、2019年10月の山梨への日帰りツーリングから大型トップケースを装備できるリアキャリアの試作が始まり、2020年末には長距離ツーリングも楽しめるカブC125NWJCコンプリートへと深化して準備OKである。

ホイールは17インチだがアルミ合金製のキャストホイールだから積載状態でも剛性感があり、チューブレスタイヤは万が一のパンクでも修理が簡単で、長距離ツーリングをのんびりと楽しみたいベテランライダーからは、カブ110NWJCコンプリートと同様のツーリングマスター仕様への要望が寄せられていた。

カブ110NWJCコンプリート同様に、長距離ツーリング必須の積載力をはじめ、カブ特有のレッグシールドとNWJCオリジナル専用スクリーンによるフェアリング効果の高さは、天候や季節に左右されずライダーが心地よく楽しめる環境を整えている。

巷ではソロキャンプが流行っているが、キャンプツーリングとは別の楽しみ方で民宿やビジネスHを有効に使いBigバイクとは異なる長距離ツーリングを楽しみたいベテランからは、長距離に必要な積載力だけでコンパクトにまとめた仕様を望む声もあり、キャンプツーリングも楽しめるよう積載力には幅を持たせて様々な用途に対応した仕様を準備することにした。

カブC125はダウンマフラーのため、重心も低くサイドバックもバランス良く左右に装備できて、NWJCコンプリートでは定番だったウルフマンやエンデュリスタンなどの海外製サイドバックから、C125NWJCコンプリートでは日本で企画され廉価で防水性の高いサイドBagも使ってみることにした。

重心を下げて扱いやすさを高めるためにサイドバックを装備すると、C125のウインカーの位置では後方側面からは視認性が悪く、ウインカーの取り付け位置を変更したサイドラックを装備することで視認性を確保して、サイドバッグで20+20で40L程度の積載力を確保して更にUPさせることも可能な仕様とした。

トップケースは其々の好みで選択できるよう、カブ110NWJCコンプリートでは定番のアルミ製トップケースも装着できるマルチリアキャリアを企画してバイク旅必須の積載力を高めた仕様とした。

カブC125NWJCコンプリートを駆るビギナーの女性ライダーからベテランまで、普段使いからキャンプや長距離ツーリングまで、その使い勝手の良さで其々のカブワールドを楽しまれている。

但し、カブで大容量を積載してどんな条件でも安定した走りで気負わず楽しむのであれば、カブ110NWJCコンプリートが最適であり他のカブでは敵わない。

NWJCツーリングマスター(TM仕様)

あるカテゴリーに特化すればするほど、限られた場所とそれに見合った使い方によりスペック云々で高性能というのは、言い方を変えると、それ以外ではその良さを存分に発揮できない。それはバイク屋のバイク乗りとしても納得である。

バイク屋NorthWingJCでは真逆の発想で、何かに特化することの無い曖昧さと和洋折衷のようなおおらかさで、メーカーのコンセプトやカテゴリー等に囚われることもなく、普段使いからロングツーリングまで、自由気ままにフィールドを拡げてマルチパーパスに楽しめるNWJC独自のツーリングマスター(TM仕様)は、バイク屋の実体験に基づく提案である。

NWJCツーリングマスター(TM仕様)は、現行モデルと生産が終了した旧型モデルの中よりベース車両を選りすぐり、実体験に基づいたNWJC独自のメンテナンスとモディファイにより、積載状態での操安性などトータルバランスを高めて、其々の良さを引き出してマルチパーパスに楽しめる仕様へと深化させている。

ライダーが心地よく走り続ける環境を整えるNWJCツーリングマスター(TM仕様)専用の機能パーツは、バイク旅には必須の積載力を高める専用のマルチキャリアKitをはじめ防風雨効果の高い専用のスクリーンなど、バイク屋自らがライダーとしての実体験に基づいた専用設計で、すべてハンドメイドの日本製である。

ジャストサイジング

速さより心地よさをコンセプトとして、何かに特化することの無い曖昧さと和洋折衷の大らかさで、普段使いからバイク旅まで道を選ぶ事も無く自由気ままにフィールドを拡げて楽しむためには、Bigバイクではマネができない使い勝手の良さで、持て余すことも気負うこともなく扱えるよう車格を最適化するジャストサイジングは、バイク屋NorthWingJCからの提案である。

バイクの車格選びにも通ずると思う面白い話を、バイクとはまったく縁が無い古書から「弓術」の話を見つけたので、ここに紹介したいと思う。

「弱弓を以って矢勢を強く射るは、総身の力、弓矢に和合する故、勢強きなり、これ射術といふものなり、重ねたる三領の鎧を貫きたるも同術なるべし、力に勝りたる強弓を引けば、弓の強さに我がを引き奪はれて、総身の力、弓矢と和合せざる故、却りて矢勢は弱きものなり、強弓を引けば、押手延びず、引き手は引けず、両手はふるひ、息つまり、胸へせき上げ、腹引込み、上はつりになり、腰も足も弱くなる、久敷たもつ事ならず、我が發たざる矢のほうより放れ行く、是れ総身のちから、弓矢に和合せざるなり、云々」

とあるが、扱える車格と使いこなせる排気量を最適化するジャストサイジングに通ずるものがあるように思う。衒い、好奇心、存在感などを誇示することよりも、素敵なバイクライフの為の道具選びが肝要である。

2輪業界の不思議

最近目にした新聞記事では、二輪業界は高齢化や環境規制対応など業界共通の課題を抱え、ユーザーの高齢化が進み市場の縮小は避けられない状況で、国内の2輪メーカーは、主なターゲットを国外に設定している。という内容で珍しく現実を伝えていた。

しかし、昨年の某輸入バイクのインポーター○○Japanでは何ヶ月も販売台数が過去最高で、前年対比○○〇パーセントUPで絶好調と、話題は線香花火のような提灯記事で作られ、絵に画いた餅のような成果主義か台数至上主義の上に成り立つ数字は虚数か実数か云うまでもない。

ユーザー不在のこの手の話は二輪業界の悪しき習慣で、都合のよいサンプルデーターで煙に巻くことが繰り返されて、気づけば市場は最盛期の10分の1以下に激減。

市場は成長したのではなく膨張しただけだから縮小して元に戻り、高齢化によりさらに縮小が進んで国外モデルを国内モデルの代品として、売るがための提灯記事によるスペックや機構についての説明やカテゴリーが云々など、提灯記事による話題つくりで売れればラッキーとなる相変わらず心無い唯物である。

提灯記事ではコンディションが良いことを前提に書かれているようだが、鵜呑みにはできないのが現実である。ある程度の距離を走ればエンジンコンディションをはじめ各部をチェックすることは当然であり、組み立て精度やコストダウンに問題の場合も多々あるが、メーカーや〇〇JPは当然承知していても触れようとしないのは何故だろう。

インポーター〇〇JPはそこまでも理解できていないのか、判っているが目をつぶっているのか、エンジンがストールする等のトラブルの原因は何か、「こんなものです」で対応できることではないし、テスターチェック、テスターでのアップグレード、ライダーのライテク等で解決できることだけではないだろう。

相変わらずの台数至上主義や成果主義だが、大型バイクが車のような生活必需品になりえることは決して無いから、市場規模が縮小するなか唯物で如何に売るかよりも、Good コンディションに整えることで、如何に楽しんで乗り続けられるかが求められていると痛感している。

クラシックスタイルが流行れば外観はそれっぽいが、ABS、フライバイワイヤー、トラクションコントロールなど電子制御満載では昔ながらの素朴な乗り味とは別物で、YamahaSRのような不変性も無く面白みや興味が失せるのは当然の事である。

時代遅れのおっさんライダーは流行り廃りに流されることも惑わされることも無く、人が関わる領域が広い昔ながらの素朴な乗り味の良さを楽しみ、如何に売るかの話題つくりの提灯記事による疑似体験よりも、Goodコンディションで如何に楽しめるかを提案することが肝要であると日々思う次第である。

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