バイク屋の備忘録

GoldWingで恒例の東北ツーリング 2015

今年も恒例の十和田神社で行われる例祭の日が近づいてきた。今回の東北ツーリングは、何に乗ってどこを周ろうかと思い描くことも楽しみなことである。

昨年の東北ツーリングは悪天候に見舞われたが、心地よく走り続けられるベストコンディションに仕上がったスクランブラー2014仕様が4台と、2014仕様もどきが1台の計5台で東北ツーリングを楽しんだ。

いつものメンバーは、2014仕様の仕上がりを悪天候のロングツーリングで、其々の目線でチェックしていた。

2014仕様

同じ機種を共に走らせて、共感できることや意見など乗り手の声を聴くことは、バイク屋として大切な事だと常々感じている。バイク乗りとして問題点などについて共通の認識ができれば、「こんなものですから・・・」という対応は決して出来ない。だから、バイク屋のバイク乗りとしての実体験は欠かすことが出来ないのである。

昨年の東北ツーリングは、毎度の事のように悪天候に見舞われたが、色々と得るものがあり楽しいものだった。今年はどの車種をどう楽しむか、思いを巡らせているときが一番楽しい時間でもあるように思う。

NC750X

昔ながらのバイクらしい佇まいを持つCB1100では、東北ツーリングへ出掛けた事が無い。NC750Xが発売になり旧型となったNC700Xだが、NC750Xと比べて勝るとも劣らない仕様にバージョンアップしたから出来具合を再度走らせてチェックするか、ボンネビルも楽しそう、いずれかで東北ツーリングを楽しむ予定をしていた。

今年の東北はGoldWingで

5月下旬に、エンジンから足回りまでフルメンテナンスを行ったばかりのGoldWingを駆って、出雲へ久々のタンデムで日帰りツーリングを楽しんできた。

久々に乗るGoldWingはタンデムであるにもかかわらず、エンジンコンディションが整うと、低速域でも扱いやすく、クラッチレバーが掌を滑るようにクラッチを繋ぐと、スルスルと動き始めてタンデムでのUターンでも意外に楽々だったから、ほとんど乗る事が無くなったGoldWingも、タンデムで時々乗ってみるのも良いものだと思っていた。

GL1800

7月に入ったある日、いつものメンバーの中で唯一人GoldWingに乗る村田さんから、今回はGoldWingで一緒に行きましょう、と誘いを受けた。彼は私が使っているのと同じ車種を数台所有しているから、ロングツーリングも長年にわたって共に楽しんでいるが、GoldWingではロングツーリングを共に楽しんだ事が一度も無い。GoldWingか・・・、それも良いと思った次第である。

飛騨高山からは一般道で

今年も例年通り、雨模様に加えて台風11号が影響した悪天候のようだ。昨年と同じで村田さんと二人で、皆さんよりも一足先にGoldWingで走り始めた。

親不知1

今回も高山からは一般道を走り、富山県へ入るとR41から県道を走り繋いで立山方面へ向かい、田園風景を眺めながらGoldWingをのんびりと走らせた。入善よりR8号へ出て親不知を抜けて、海沿いをのんびりと北上して上越を目指した。

親不知2

雨の中を走ると大型スクリーンは雨を遮ってズブ濡れになることは無い。スクリーンに付く水滴は不快であるが、ワイパー付なので視界が悪くなることは無い。が、GL1500に装着していたドイツ仕様のショートスクリーンは雨の中でもヘルメットのシールドを下げることも無く使い勝手が良かったことを思い出す。

上越ではメンバーが揃ってから少し遅めの夕食をとりながら、翌日のルート等を相談した。明日は雨が降りそうな微妙な天気のようである。昨年は悪天候でスクランブラーに些細なトラブルが発生したため、懇親会に遅れて皆さんに迷惑をかけたから、今回は万全を期して自動車道を使って早めに十和田を目指すことにした。

上越から十和田湖へ

上越は今にも降り出しそうな空模様である。私以外は全員レインウエアーを着込んでいる。みんな肥満ぎみだからかレインウエアーをサウナスーツ代わりに着込んで、ダイエットに取り組んでいるようで大粒の汗をかいていた。

5月には列島縦断をカブ110Expressで楽しんだルートも少し走り、道の駅「あつみ」を過ぎると、カブ110では走れない日本海東北自動車道を走り、Nakaさんの要望で八郎潟の日本一低い山を目指す。

八郎潟

酒田から仁賀保へ向かう道中は、カブ110Expressで列島縦断したときと同じで、鳥海山は厚い雲に覆われてその姿を見ることが出来なかったのは残念である。

今回のツーリングは自動車道と交通量の少ない一般道を走っているが、時間に余裕があればカブ110Expressで走ったルートを辿って走り、車格の違いで何を感じるか比較してみたいとも思ったのである。それは、同じ景色を見ながらGoldWingで走るR7号と、カブ110Expressで走るR7号は同じ道でも気分に違いがある事に気づいたからである。

八郎潟1

カブ110Expressは小排気量でアクセルも大きく開けて、ガンガン走っているのだが悠々とした気分で走れたが、排気量の大きいGoldWingはアクセル開度も小さく、ゆとりを持って悠々と走れるのだが、何となくせっかちな走りのように思う。マスとソロの違いなのか、排気量や車格からすると逆のように思うのだが、何故だかわからないが面白いものだと思った。

八郎潟2

Nakaさんは、八郎潟で日本一低い山に登ってからフラットダートを走り、NC750Xに乗る小藤さんと八郎潟の中を散策していた。雨が降り始めたので再び走り始めて、大館より県道2号の樹海ラインで十和田へ向かう。

R80GS R80GS1

この樹海ラインを走る時は、同じ時期に訪ねるからかいつも雨のような気がする。登って行くと霧で視界が悪くなり、路肩には砂が浮き、枯れ木が時々落ちている路面もあり、GoldWingで走っても変化に富んだ面白い道である。登りきると発荷峠に出て、左に下れば目的地の十和田湖である。

樹海ライン2013 樹海ライン2015

下り坂では、橋の繋ぎ目の金属部分で時々フロントタイヤがツルッと滑ることがあった。大きなGoldWingだとその挙動にはドキッとするが、何度か味わうと慣れてしまうのかあまり気にならなくなる。コンディションが整ったバイクだからこそ、色々な体験を積み重ねることにより、バイクとの一体感が増して乗る程に愛着が深くなるのである。

十和田からの帰路

十和田神社での例祭が終わり、直会では九州から参列されている先輩から、古事記の話を伺うのが恒例となっている。古事記は顕と幽の両面から色々な解釈があるようだから、その話を聞くのも楽しい一時である。

主にカブ110や250クラスのVTR-Fなど軽量な車両で日本神話を訪ね歩くことを楽しんでいるが、Nakaさんや村田さん、Kさん達も興味を持って同行することがあり、この十和田神社での例祭へも参列するようになり、若い人たちが日本古来の伝承や伝説、遺跡などに触れる機会が増えた事は嬉しく思う。

環状列石

十和田をPM2:30ころ出発して、定番の休憩ポイントである縄文遺跡の大湯環状列石でルートを確認して、R341⇒R105⇒R341⇒協和ICから酒田を目指し、翌日は快晴のなかを心地よく走り続けて岐阜を目指した。其々がお気に入りの車両を走らせて、心地良く走り続けることを満喫していたようだ。

富山湾

バイク屋のバイクライフ

色々な車両を長距離で走らせると、其々に特性が浮かび上がって面白いものだ。が、長距離を走る時は必ず車両の問題点や違和感を取り除いて、心地よく走り続けられるコンディションに整っていることが大前提である。

乗り難い車両はライテクで乗りこなすのが一般的なようだが、バイク屋NWJCとしては、速さより心地よさで走り続ける楽しさで使いこなせる車両に仕上げることをテーマとしている。

ワインディング

メンテナンスにより違和感や問題点などコンディションを整える過程で、その変化をバイク乗りとして実体験することが重要であると考えている。それは、感覚的な事は経験により養うもので、知識では養えないからである。

Nakaさん

今回使ったGoldWingは、コンディションを整えているから低速での安定感とワインディングでも軽快な走りを得ることが出来る。下りの荒れた路面でのブレーキキングでもABSが過剰に反応する安っぽさも無く、トータルバランスが整ったGoldWingはレスポンスの良い滑らかさで、乗れば乗るほどに乗り手の意志に応えて一体感は深まり、その魅力と懐の深さを改めて実感することができる。

R341

何度も云うようだが、メーカー出荷状態の車両にナンバーを取り付けただけでは心地よい走りを得ることはできない。勿論HONDAのフラッグシップGoldWingと云えども例外ではない。

色々な車両を使っての長距離は、バイク屋ならではの楽しみ方ではあるが、それらの実体験から得たものをフィードバックできることが、バイク屋NorthWingJCとして大切であると考えている。

HONDAの原点であるカブから、フラッグシップのGoldWingまで、加えてBMW OHVモデルやトライアンフのモダンクラシックなど、色々なバイクを何時までもバイク三昧の日々で楽しむ事が出来れば幸いである。

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