バイク屋の備忘録

CRF250Lをバイク旅で楽しむために

6月中旬にCRF250Lツーリングマスター(以下TM)のコンフォートシートの仕様変更とスプロケットをISA製に交換して木曽方面でチェックした後は、梅雨で悪天候が続きそれが過ぎると猛暑で一休みとなるが、気づくともう8月中旬で時の経つのが早いと思う今日この頃。

猛暑が続く日々だが、仕様変更によりさらに深化したCRF250L-TMを走らせて、岡山県にある元伊勢や出雲神話にゆかりの神社を訪ねてよき時間を過ごす事が出来た。

往復で900Km程度だから日帰りで一般道のワインディングを走りつなぐのがいつものこと。でも、猛暑だから時間短縮のため名神高速の安八ICから岡山道の総社ICまでを駆けることにした。

早朝5時過ぎの岐阜は僅かに小雨で、仕様変更したスクリーンの防風雨効果のチェックには最適で濡れた路面からの飛沫でヘルメットのシールドはほとんど汚れる事も無く結果は上々。

総社ICを出た後は、県道を走りつないで山の中へと入り込み、細い九十九折れと僅かなダートを抜けて10時前には岡山県倉敷市真備町にある穴門山神社へ無事到着して参拝を終えた。

次の目的地である岡山県高梁市川上町にある元伊勢の穴門山神社へ向かう。その道すがら神楽公園で朝食のおにぎりを食べて一休み。公園内には神代神楽の石碑があり神楽の中に登場する神々の看板が並んでいる。

また、成羽の甘くて美味しい神楽最中は好物であり、雲海が見られる別の街道では道沿いの橋の欄干に神楽面がデザインされていて、到る所に神話が生きている。

小休止のあと再び走り始めて穴門山神社の鳥居に到着。大きな鳥居から深い谷の険しい道を降りて無事に到着して参拝を終えることができた。その後のどかな田園風景の中を悠々と駆け抜けてCRF250L-TMによる速さより心地よさを楽しみ、最後の目的地である備前一宮 石上布都御魂神社へ向かう。

日本書紀 神代上の八岐大蛇は出雲神話で、備中神楽の中にもある八岐の大蛇退治で素戔嗚尊が大蛇を退治したときの十握の剣が収められたのが山頂に磐座がある備前一宮 石上布都御魂神社。退治した大蛇の尾から出た剣が「天叢雲剣」で熱田神宮に収められている「草薙の剣」である。

日本神話は日本人のルーツであるが、戦後は教育の場で神話が語られることが無くなり、神話を持たない民族とまで云われる様になったことは残念な事だが、思うままに想像力を膨らませながら神話に触れる楽しいひと時を過ごすことができたのは何よりで嬉しい限りである。

☆今回の目的地である「穴門山神社」「備前一宮 石上布都御魂神社」「備中神楽」に関することは省略しますが、簡単な概略はインターネットなどで確認ください。

猛暑でもお気に入りの神話の地を訪ねてバイク旅を楽しむために、2ℓのキャメルバックを背負って給水も万全のつもりだったが、おっさんライダーは猛暑に耐えられずオーバーヒート気味となり、予定を変更して走るのを少し早めに止めて一泊することにした。

翌日は、大山方面から妻木晩田遺跡付近の田園風景の中をのんびりと楽しみ、鳥取では38度の猛暑の中を駆け抜けたあとは峠道へ入り棚田を眺めながらクールダウンして、心地よい走りのCRF250L-TMを自由気ままに走らせ道草を楽しむことも出来た。

余談

空冷バイクは猛暑の中でオーバーヒート気味になることをよく耳にするが、エンジンの冷却に最も有効なのは吸気のガソリンだが、バルブクリアランス等のエンジンコンディションが整っていない場合ガソリンの充填効率が悪くヒート気味になりノッキングなどの症状が出るのは当然の事。

インジェクションの場合、キャブ車以上に充填効率がシビアになることをお伝えする次第である。

メーカー出荷のSTDは工業製品としては完成品でも道具としては未完成

CRF250LはBigアドベンチャーに比べて100Kg以上も軽量だから、持て余すことの無い軽量な車格と使いこなせる排気量によりバイク旅を楽しめると思っていたが、ボルトオンパーツを組みつけた程度ではキャンプ道具などのフル積載状態では操縦性や安定性などに違和感があり、思うようにならず乗りにくく楽しみたいとは思えなくなったライダー諸兄も多いと聞く。

ツーリングのスタイルは十人十色で、日帰りから宿へ泊まることやキャンプを楽しむなど、積載量には違いはあるが、車格や排気量に関わらずカブと大型ツアラーを比較しても必要な荷物の量に大差は無い。

CRF250Lにリアキャリアを装備して積載状態にすると、全体に後ろ下がりで速度があがると僅かなギャップでも後ろから突き上げてバタつき突然ハンドルが振れだす事もあり、ブレーキの効きは甘く、キャンプ道具など積載量が増すとクタクタの足回りでは乗りにくさが顕著になり、ワインディングなどでは思い通りにならず不快な症状に悩まされたライダー諸兄も多いと聞く。

車格や排気量に関わらず積載量を増やすことは簡単に出来るが、操縦性と安定性に違和感や問題があっては心地よく走り続ける事はできない。フル積載の状態でも違和感や問題が無く自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を楽しめるのが積載力であり、積載量と積載力は同じではない。

しかし、売るための提灯記事では良いことばかりで、楽しめるような話ばかりで違和感に触れることは無いが、乗り始めてから心地よく楽しむためのメンテナンスやモディファイによりコンディションを整えること等に触れ無いのは何故か。

タイ・ホンダ製のドリーム125は、リアサスにソロとタンデム時のプリロード調整を分りやすくする人形マークが付いる。道具を上手く使いこなしその良さを発揮させる事が分りやすい仕様となっている。

東南アジアでは、タンデムや積載状態でリアサスにプリロードを掛ける事は道具をうまく使いこなす為に当然のことのよう。日本では、道具を上手く使いこなす情報よりも足つき性UPにはリアサスのプリロードを下げてシートを低くするローダウン化が販売のため優先されている。

市場はモノから道具への質的な向上や成長よりも、成果主義のためにモノの量的な膨張と縮小を繰り返しているだけで何も変わらない。

積載のためにはキャリアやトップ・ボックスのボルトオンパーツで装備完了となり、上手く乗りこなすためのライテク云々の話はどこにでもあるが、乗り始めてから上手く使いこなす提案により道具として価値を高める情報やアドバイスは無きに等しいのが実情で、バイク屋の役割は何だろうかと思う次第である。

CRF250Lをコンパクトツアラーに仕上げてバイク旅を楽しむ

CRF250Lも同様でリアキャリアやトップ・ボックスを装着すると積載する僅かなスペースが確保できたか荷物を固定できるようになった程度のことで、近場の道の駅までのチョイ乗りでは何ら問題も無く快適でも、積載状態で様々な道を走り続けるバイク旅では違和感など色々な事が見えてくるから面白いものである。

CRF250Lでバイク旅を楽しむために積載状態にすると違和感があり、その対策としてボルトオンパーツを組み込んでみるとか、サスペンションにプリロードを掛けてみるとか、悪戦苦闘した末に違和感を覚える速度域や積載量を避けて「こんなもの」と妥協しながらの長距離はストレスが増すばかりで、心地よく楽しむことができない事は多くのライダー諸兄が実体験した事でもある。

CRF250Lは、アフリカツインCRF1100や他の大型アドベンチャー等と比べても約100Kg以上も軽量で、足回り等のモディファイと積載時のオーバーハングは最小としてホイールベース内への積載を意識したNWJCオリジナル・リアキャリア・キットの装着より、トータルバランスを整えるとメーカー出荷のSTDとは比べるまでもなく積載状態での操縦性や安定性は極上の仕上がりとなる。

CRF250L-TMは、気負うことや持て余すこともなく、速さより心地よさで自由気ままにフィールドを拡げて何度も道草をしたくなるようなバイク旅を楽しめる極上のコンパクトツアラーへと深化して、新たなバイクライフの広がりをイメージできることは何よりである。

日本の一般道における高性能について一言

世間一般では何かに特化することが高性能のように思われがちだが、クローズドコース等での高性能と一般道の高性能は意味合いが大きく違っている。コースではより速く走るなどある事に特化した高性能が求められているが、一般道ではあらゆる使用状況に対応できる万能な高性能が求められている。

タイヤを例にとってみると、サーキットでは雨、低温、高温、距離でそれぞれに使用するタイヤが異なっているが、ツーリングやバイク旅ではカテゴリーに関わらず舗装路・簡易舗装・脇道のフラットダート・雨・低温・高温など、すべてに一種類のタイヤで対応する万能な高性能が求められているのが現実であり、高性能の意味合いは奥が深く何を目的としての高性能か要熟考であろう。

バイク屋North Wing JCでは実体験に基づき、スペックよりも「速さより心地よさ」 カテゴリーよりも「何かに特化することのない曖昧さ」 気負う事や持て余すことのない「和洋折衷のような大らかさ」による多用性が一般道で求められている高性能ではないかと考えている。

売る事が最終目的では乗り始めてからの違和感などは「こんなものです」という対応となるようだが、バイク屋NWJCではバイクに乗りだしてから始まる素敵なバイクライフの為には、バイク屋自らの実体験に基づいた改善や提案は必須であると考えている。

CRF250Lやセロー250でバイクライフを存分に楽しむために

CRF250Lやセロー250でメーカー出荷のSTDでツーリングに出かけると、リアキャリアを装備しても用途が違うのか使い方が間違っているのか、キャンプ道具等積載量が増えると操縦性や安定性に違和感があり、すべてに良いことばかりの提灯記事とのギャップが大きくとても使い物にならないのが現実である。

違和感に関して「こんなものです」とした対応に追従して「こんなものだから」とあきらめる事ではない。

SL230は欲張りなオッサン仕様に端を発してSL230-TMへと、セロー250はセロー250-TMへと、CRF250Lは意外にも極上のコンパクトツアラーCRF250L-TMへと深化させることができた。

速さより心地よさで自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を楽しむために、実体験に基づいて何をどうすればと思案する事もまた楽しいことである。

250クラスの軽量コンパクトな車格による持て余すことのない使い勝手の良さを活かして、バイク旅には必須のフル積載状態でも、速さより心地よさで自由気ままにフィールドを拡げて楽しむために、NWJCツーリングマスター(TM)化を提案したいと思う。

STDのセロー250では長距離は苦痛で何かと違和感もあるが、できる事ならお気に入りのセロー250をこれからも長く乗り続けて心地よくバイク旅を楽しみたいと、TM仕様へのモディファイを要望された東農のM・Yさんより、セロー250-TMへと深化した仕様でのツーリングレポートを頂けるとのこと。セロー250ユーザーの生の声を近々お届けできると思います。

CRF250Lやセロー250で「こんなものだから」と諦めることや後悔することなく、バイクライフを心置きなく満喫したいライダー諸兄を応援するために、メンテナンス等も含めて何なりとお気軽にご相談ください。

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