バイク屋の備忘録

CB1100に乗って安曇野へ

GWも過ぎた五月中旬のある日、安曇野のK氏から水田に北アルプスが写り込んで綺麗ですよと連絡を頂き、田んぼとトラクター好きとしては、三度安曇野の風景を楽しませていただくことにした。

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早速、いつものメンバーに伝えて、その週の土曜日に安曇野に出掛ける事にした。R100RTとスクランブラーを走らせたので今回は、HONDA CB1100を走らせる事にした。

NakaさんとKさんは、試作のスクリーンを装着してスクランブラーに乗り、村田さんは、前回の安曇野では心地よい走りを楽しむ事が出来なかったからか・・・更に楽しむためか・・・GL1800に乗って参加していたが、狭い峠道を走る事で試したいことがあるようだ。

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現在使っているCB1100は、ハンドルが低いタイプ?で現在は販売が終了している。距離は35,000Kmを超えているが、エンジンはアタリも充分について滑らかに力強く吹き上がり本来の性能を発揮している。

中国地方へお気に入りのルートをスクランブラーと共に走った時に、社外品のハイシートを取り付けていたが、パイピングの部分が足に当り、とても違和感があったので、今回は新型として発売されたスポークホイール仕様のEXに装着されているシートに換装して走らせてみた。高さも硬さも中々良い感じだったし、デザインもCB1100のクラシックな雰囲気に良く似合っていてお勧めだと思う。

CB1100の乗り味を参考に、スクランブラーの各部を見直して2014仕様へと深化

中国地方の県道や国道を走り繋ぐお気に入りのルートでCB1100を走らせた時、加速感やコーナーリング時の安定感など全てにおいて、少し気遣いながらスクランブラーと同じペースで走るといった感じで、エンジンの組み付け精度や足回りなど、心地よく走るという観点からとらえてみても全ての面で、スクランブラーが劣っていたと思う。

CB1100と比較することは、無意味だという声もあったが、排気量の大小とか、2気筒、4気筒の違いによる動力性能などスペックに違いがある事は当然のことだと思う。しかし、日本の道を知り尽くしたHONDAのモダンクラシックCB1100に何度も乗ることにより、多くの事に気づきヒントを得ることが出来たのも事実であり、良きお手本として乗り比べることは有意義な事だったと思う。

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NWJC2014仕様に深化したスクランブラーを楽しむ、いつものメンバーとCB1100を一緒走らせて、その出来具合を其々の観点から確認することも含んで安曇野へ出かけた。

CB1100と比較するにあたって

スクランブラーに限らずカブ110からビッグバイクまで、取り扱っている車両の中からツーリングを楽しめそうな車両を選び出して、バイク屋NWJC独自の目線でチェックするために走らせるルートは、いくつかあるお気に入りの定番ルートを使って500Km~1,000Km程度の距離を新車状態とメンテナンス後の比較や問題点と思える箇所の対策後のチェックなど、色々な目的を持って、ツーリングライダーとして楽しんで走らせている。

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長い距離を走らせる事は、車両から発せられる色々な情報を得ることが出来る為、そのバイクを知る上でも必要な事だと思う。また、意外なことも解ってくる場合が多く、それらがヒントとなって違和感や問題点の対策を見つけ出す上でバイク屋NWJCとしては、欠かすことの出来ない重要な活動だと常々思っている。

単純にマフラーや2次エアーキャンセルなどアフターパーツの取り付けにより、何かに特化させることで、違いを生み出すことはたやすい事だが、其々の良さを理解した上で、スクランブラーやボンネにかぎらず車種を問わず其々のスタンダードの素性の良さを引出してコンディションを整えることが、最優先されることだとバイク屋NWJCでは考えている。

CB1100 vs スクランブラーNWJC2014仕様

スクランブラーは2気筒270°クランクのため心地よい鼓動感があり、心地良い走りを楽しめる。CB1100は、4気筒の滑らかで、全域で力強く吹き上がる心地良さがあり、乗り手の好みもあるため2気筒か4気筒かについて比較は出来ないと思う。

NWJC2014仕様に深化したスクランブラーは2007年式のキャブ車をベースに、エンジンコンディションをはじめ各部の見直しをはかり、一般的に行われている2次エアーのキャンセルやマフラーの交換等は、インジェクションモデルも同様に、全く行っていない。

高速巡航では風圧に対処して試作した少し小ぶりのスクリーンのフェアリング効果も大きく、最高速では劣るものの、荒れた路面でも何ら問題なく、かなりのハイペースで軽快に心地良く走り続ける事が出来るようになり、CB1100と比べても勝るとも劣ることは無いと思う。

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CB1100の加速は、エンジン回転の上昇とスピードの上昇が一致して心地良い伸びがあるが、スクランブラーの場合、エンジン回転の上昇に見合った加速感が無く、加速すると離れて行くスクランブラーを少し気にしながら、アクセルを開ける感じがあったが、対策したNWJC2014仕様では、スタンダードとは比較にならない心地好い加速感と伸びがあり、車間が拡がる事は全くなくなり、メンバー達からも以前とは違う加速感を味わえるようになり、CB1100との車間を一定に保って走る事にも余裕が生まれたと言う。

航続距離は、CB1100の弱点でもあり、スクランブラーのほうが航続距離は長かったが、新型のEXからは、タンク容量もUPしてミッションも6速になり改善されたから弱点は解消されたと思う。

足回りは、CB1100もスクランブラーも少し古めかしい乗り味で、ペースが上がると、特にフロントサスからくる不意に突き上げる感じは良く似ているが、スタンダードの状態ではCB1100のほうがはるかに扱いやすいが、スクランブラーは、前後のサスをNWJCオリジナルのWPに換装していることも有り、ワインディングでは明らかな違いが顕著に表れている。

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フロントサスのスプリングは双方ともにWPに換装されているが、フリクションの低減など手を加えたスクランブラーの方がしなやかさもあり、接地感も良好で、路面の荒れた峠道でも軽快感を損なうことが無くなり、以前はスクランブラーの走りを気にしながら走らせていたが、今回はスクランブラーに乗るいつものメンバー達の方に余裕があり、荒れた路面でCB1100がバタつくのを後ろから見て、以前のスクランブラーのようだと、気遣う余裕すらあったようだ。

スクランブラーやボンネなどトライアンフのモダンクラシック系の場合、サスペンションをWPに換装してもコーナーリング中にコーナーリングスピードやバンク角によってはフロントの接地感が極端に低下することがあったが、NWJC2014仕様では対策済のため心地よい走りを得ることができている。

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安曇野を一回りして往復で約600Km程度の距離を走らせて比較した結果は、NWJCのテーマでもある「速さより心地良さで走り続ける楽しさ」という観点からみれば感覚的な事が大半となるが、CB1100と同等かそれ以上に心地良く走り続けられる車両に出来上がったと思う。

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素適なバイクライフは、バイクのコンディションから始まる

ライダーとしてお気に入りの車両をバイク屋としてじっくりと時間を掛けて仕上げて行く面白さで、いつまでも愛着を持って楽しめるスクランブラーに仕上げることが出来たと思うが、バイクに乗る事を楽しまなければ分らない事も数多くあるし、一般に出回っているアフターパーツの取り付けだけでは決して本来の良さを知ることが出来ないと思う。

北アルプスを眺める.jpg

バイクに乗らないバイク屋よりもバイクに乗る事を楽しむ人達の意見が正しい場合が数多くある事も事実だと思うから「旧いから」とか「こんなもんですよ」という言葉に惑わされることなく、大いにバイクライフを楽しむためのお手伝いが出来ればと思う次第です。

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