ダウンサイジングを楽しむ親爺ライダーたち その3
VTRからバイクライフが始まったS・Oさんは、親子ほど歳が違う若者ですが将来の親爺ライダーです。SL230ではトレッキングごっこを楽しみ、VTRとSL230はバイク旅やキャンプツーリングも楽しめるツーリングマスター(TM)へと深化させた事で、バイクライフは最新のハイメカや電子制御などバイクに頼るよりも、旧型のアナログでもコンディションを整えて、バイク乗りとして感性を磨きスキルUPすることが充実したよきバイクライフを過ごせることを伝えられたのは何よりである。
持て余すことのない車格や使いこなせる排気量へのダウンサイジングにより、使い勝手の良さや気負うことのない充実したバイクライフを満喫しているS・Oさんよりレポートが届きました。
S・OさんのSL230TMによる充実したバイクライフのレポートが届きました。
2015年にバイクに乗り出した頃を思い出すと当時は街乗りが楽しくできればくらいに思っていましたが、今のように一日中走ったり、自由にいろんな場所へ走りに行けるようになるとは想像していませんでした。
メーカー系ディーラーで初心者ライダーの感じた不安感
初めてのバイクはVTR250で、メーカー系ディーラーなら安心と思って新車で購入しバイクライフをスタートさせました。一年ほどは散歩感覚で街乗りであり、たまにディーラーの企画するツーリングや、ライディングスクールなどに参加するなどして楽しんでいました。
初心者にはメンテナンスパックなどのサポートも有難く安心してお任せしていましたが、走行距離が数千キロを超える頃になると跨った時に足回りがかなり柔らかく感じるようになり、足つきは良くなったものの段差で衝撃を感じるくらい動きが大きく、特に高速道路で速度が出ている時の段差などでは不安を感じるようになり、停車時にもサスが沈み込んで、気を付けないと倒れそうになるなど違和感を覚えるようになりました。
初めてのバイクで、これが普通なのか分からないものの、走っていてフワフワした感覚では一日楽しめないとだんだん思うようになり、何か対処法がないかとディーラーで尋ねてみると、「250㏄クラスのバイクの足回りはそういうものです。良いサスペンションに変えたらよくなるかもしれないけれど、それならもっと上のクラスのバイクにステップアップした方がいいですよ」という返答でした。
ネットで見た情報だけれど、プリロードの調整で対処できるというのも見たが、そういうことはしてもらえないのかと聞いたら、「このバイクではできません。バイクって多少は我慢して乗るものですよ」と。
バイクは初心者だけれど、サスの構造を見ればアジャスタブルであることは見れば理解できたから、この時点でカーディーラーと同じようにそれ以上関わる事をしないと分かって、それ以上聞くことは無くなりました。
パーツの組み換えによるカスタムではない、メンテナンスやモディファイの重要性
それでもVTRを気に入っていたので、それからもバイクの調整については、個人のブログなどを見ている中で見つけたのが、バイク屋NWJCのメンテナンス記事です。
VTR-Fに荷物を積んで大型バイクと共に北海道へ行った記事や、VTRのハンドルポジション、足回りの安定感のなさ、スタンドを立てた時に転倒しそうになることなど、実体験により感じている問題点についても書かれていて、もしかしたら今の不満も改善できるのではと感じました。
既に車両を購入しているのに試乗をさせて欲しいと言うのをためらっていたものの、やはりこのバイクで楽しみたいという気持ちで問い合わせてみると、「電話で話すだけでは伝わらないことだし、感覚的なことは十人十色で好みもそれぞれだから一度試乗してみては」と言って頂けました。
実際にお店のVTR–を試させていただくと、まず跨った時点でフワフワした感覚がなく、加速時の滑らかさと力強さの違いにも驚きました。
走る、曲がる、止まる等の総てで違っていることに対して、何かカスタムパーツに交換されているのかと思いましたが、旅を楽しむための専用スクリーンやキャリアなどを装備しているものの、エンジンコンディションをはじめとしたメンテナンスは、足回りなど基本的な調整などが主体であること、その上で荷物を積むなどするなら純正部品では足回りが柔らかすぎるから、耐荷重性などで物足りない部分を補うためのモディファイに関する事となどの説明をしていただいて、自分のVTRもまだ楽しめそうだという希望が出てきました。
何度かNWJCに行って、「新車で納車されるバイクは工業製品としては完成しているが、楽しむための道具としては未完成で未熟。動くだけでなく楽しむためにはそれなりに手間をかける事も必要だから、あなたのバイクもこのように楽しめるよ」と言われて納得がいった一方で、購入したディーラーからは「そろそろ20,000㎞近くなってヘタリも出ているから乗り換えを検討した方がいい」と言われました。
乗り換えを奨めるところと、バイクライフを楽しむためにメンテナンスやモディファイを優先するところと、同じバイクを扱うところでも、にここまで違うものかと驚きでもあり残念に感じたのを今でも覚えています。
SL230との出会い、トレッキングごっこで広がったバイクの楽しみ
大型二輪免許をとって排気量の大きいバイクに乗ってみたりもしましたが、軽量で取り回しの良いSL230に乗り換え、VTRの2台体制でフィールドを拡げキャンプツーリングなどを楽しむようになりました。
この頃からバイクの楽しみが広がっていくにつれ、他にもこんな風に楽しみたい人の目に留まればと自分の感じた事を寄稿させていただくようになったのでNWJCの記事も読んでいただけたら嬉しいです。
その後、NWJCの高田さんに誘われてトレッキングごっこを体験し、歩くような速度でゆっくりゆっくりと足をつきながら砂地や河原の石の上、ちょっとした斜面を登ったり降ったり、トレーニングやライテクというより遊びのような感覚でSL230を楽しみました。
繰り返すうちにライディングの感性やセンサーが働くようになるとのことでしたが、うまくできたりできなかったりと、これがどうして繋がるのかは正直分かっていませんでした。
しかし、初めて林道に連れて行ってもらった時に、未経験の路面でありながらもゆっくりとついていけるようになっていたり、酷くガレた路面では足をつけば苦もなく乗り越えられたり、急斜面は勢いよりもタイヤを確実にグリップさせて登る事ができたりと、SL230で操る楽しさを感じる事が出来ました。
何度か参加したディーラーのライディングスクールでは教習所の延長線やおさらいのような感じで、自分のバイクで倒れたくないという気持ちもあり、課題をこなすことを重要視していたように思いますが、トレッキングごっこでは歩くようなゆっくりとした安全な速度感での成功と失敗を繰り返すことで、どのくらいなら安定させられるというさじ加減を掴んで行けたのだろうと思いました。
それからは、ロードモデルのVTRでも少し荒れた舗装路面やフラットダートでも臆することはなくなり、走れる場所がぐっと増えていきました。
SL230もVTRもツーリングマスターとして深化し、より自由に
その後はSL230もVTRも基本のメンテナンスと足りない部分を補うモディファイにより、ちょい乗りからロングツーリングまで気負わず楽しめるツーリングマスター仕様となって、何かに縛られることなくバイクを楽しめています。何かあるとすれば自分の体力くらいでしょうか(笑)
こうした自身の体験も人に話しても伝わらない事が多く戸惑ったこともありましたが、実体験って、一般的には話だけでは理解できないことだということもよく分かってきました。
人と違ったパーツを付けるドレスアップが主体の楽しみ方であれば、今のようにフィールドを拡げられるような楽しみにはならなかっただろうし、そもそもバイクに乗り続けていたかもわかりません。
自身のバイクライフも10年を超えてまだまだこれから。スリルや非日常的なものではなく、自分の生活や日常と繋がっていくような緩やかなバイクライフを続けて行けたらと思っています。


















