バイク屋の備忘録

ダウンサイジングを楽しむ親爺ライダーたち その5

最近では電子制御満載の車両が主流となり、苦手な事はバイクがすべてをフォローしてくれるような傾向だが、どんなバイクでも乗り始めは違和感や問題など一体感には程遠いところから始まるが、アナログはスキルアップによりその使い方や楽しみ方が判る事から素敵なバイクライフが始まる事を伝えておきたい。

歳を重ねることによる持て余す車格や排気量よりも、気負う事や無理をすることの無いダウンサイジングによる新たなバイクライフは、経験豊富な親爺ライダーたちからの提案である。

若かりし頃はより速さを求めて峠からサーキットへ、RS250を走らせレース活動を続けたのちCRMで林道ツーリングを楽しみ、BigオフのR1100GSでも林道を共に楽しんだ40年来のバイク仲間で親爺ライダーの西やんから、アナログとダウンサイジングを楽しむレポートが届きました。

人の関わる領域が広いほど操る楽しさは格別と、益々盛り上がっている西やんからのレポートです

45年ほども前か、RZ50でバイクライフが始まりRZ350で速さを求めて峠を攻めていた。そんな頃サーキットライセンスを取得してCBR400Fで走っていたが、先輩の勧めで当時HRCのサービスショップで全日本ロードレース選手権でも活躍していたNWJCのRacingチームに入り本格的な活動が始まった。

当時は予約も取れないサーキットではどれだけも走る事はできないし、上手くいかないことが多いから、サーキットへ行く時間とお金を節約することもできる基礎編として体力づくりに始まり、バイクはロードバイクからTLRやCR80などでフラットダートを走り、パワーバンドの狭いピーキーな80ccには悪戦苦闘して、TLRでは極低速からの丁寧なアクセルワークを反復する基礎練習から多くのことを学ぶ事が出来た。

CR80は性能を維持するために定期的にエンジンを開けて消耗品となっているピストン関係のクリアランス測定で消耗の程度を確認しての部品交換から、偏心検査器でクランクの芯出しまで、メンテナンスには驚く事ばかりで、奥の深さを目の当たりにして、気合だけでは速く走れないと実感できたことを思い出す。

CBR400FからRS250に乗り換えてサーキットを走り始めると同時に地方選と全日本併催の地方選にもエントリーして走っていたが、経済的にも厳しく数年後に昇格した時点でレース活動は終えることにした。

サーキットから林道へ

トレーニングとしてCR80やTLRに乗ったことがキッカケで、オフロードの面白さを知り、レース活動を終えた後は、オン・オフツーリングを楽しみ、CRM250 VS 高田さんお気に入りのXR250ME06の図式で梅雨時の雨のなかでも毎週末には林道へ走りに行った事は忘れられない良き思い出である。

スプリント的な林道では軽量でパワフルなCRM250がXR250を圧倒していたが、遊び心一杯で懲りない親爺の高田さんは、XR250のエンジンなどにあれこれと手を加え、CRM250が追いかけられて後ろからスーパートラップの排気音が近づいてくるようになり、再び引き離す為に、CRM250も段つきは当然のこと、掃気ポートのタイミング等を遊び心一杯の高田さんにファインチューニングしてもらったこともRS以来の良き思い出である。

Bigオフに好奇心を持ちR1100GSに乗る

CRM250は3台乗り継ぎ、大型はCB1000から始まりタンデムでも楽しめるBigオフには好奇心があり、当時NWJCはBMWの正規ディーラーだったこともあり、当時はR1100RTが人気でGSは誰も見向きもしない不人気車だったが、NWJCの高田さんはそんな事はまったく気にすることもなく、ツーリングバイクとしてR1100GSを楽しむ準備をしていたこともあり、R1100GSに乗り始めた。

あの頃林道を一緒に楽しんだバイク仲間の多くは流行に関係なく、村やん・杉山さん・アツシ・高原さん・モッチ・明・山本ちゃん達は次々とGSに乗り、当時としては珍しくGSが増えて皆でBigオフに乗って林道へ行く事が始まったそんなある日、R1100GSで九死に一生を得た大事件が起きた。

高田さん、高原さん、アッシたちと奥飛騨へキャンプツーリングに出かけた時のこと。いつものことで開けられるところではガンガン開けてR1100GSを走らせていたが、荒れた路面でリアサスがフルボトムしてGSが大暴れ、コントロール不能で深い谷へと・・・・・。

崖の途中にバイクが乗る程度の小さな平らな出っ張りがあり、運良くか、奇跡的か、そこにピッタリと納まるようにタイヤから着地して九死に一生を得て命拾いした。

R1100GSはサスストロークが短く突き上げられる欠点があり、巨大な車体はバランスを崩すと何ら為すすべも無く酷い転倒をしたことは何度もあるが、よりによって奥飛騨の深い谷のある林道での転落となったが、無事に今日までバイクライフを楽しんでくる事が出きたことは、神々の御加護によることであると強く思い日々感謝している。

R1100GSの足回りは特にサスストロークが短く、バランスを崩すと250Kgを超える巨体の重量には為すすべもなく、ロードバイクでフラットダートを走る以上の緊張感や集中力が無いと大変なことになる。

その後NWJCではWPのサスでストロークを長くした仕様を数台のみ試作して、その乗り味はファイナルレシオとの相性も抜群でまったくの別物となり、その1台は飛騨の高原さんが今でも所有している。

R1100GSからトライアンフタイガー955iに乗り替えて時々は林道で、一般道のツーリングやワインディングを楽しんでいたが、少しタイミングが遅れた場合車重が苦になるようになり、歳も取ったせいかスピードを出す事が楽しいとは思わなくなり、丁寧な操作が求められるOHV-R100CSに乗り替えて、ライテクや速さより感性にてバイクとの心地よいコミュニケーションを楽しんでいる。

SL230へのダウンサイジングとモディファイに思う

20数年前にカミさんのトレッキング用に用意したSL230は、新車のままの状態で走らせると軽量であることは使い勝手の良さだが、少し荷物を積み込んで走ると足回りはクタクタで軟らかかったが、CB400SFに乗っていたカミさんには、トレッキングごっこによりバイクは感性で楽しむことに気づく良い経験となった。

Bigオフや林道を楽しんだメンバーもトレッキングごっこが一段落した10数年も前か、高田さんがSL230で長距離も楽しめる旅バイクで所謂「欲張りなオッサン仕様」を試行錯誤し始めて、ダウンサイジングということをよく口にするようになり、気になり始めていたこともあり、その経過を遠目に眺めていた。

あのSL230からでは想像もできない欲張りな使い方でも、フル積載で軽快にワインディングを駆け抜け高速道での安定感は意外と云うか驚きで、「欲張りなオッサン仕様」がSL230ツーリングマスター(TM)に深化して、あのSL230が今では最高の1台であり、遊び心一杯で懲りない親爺の高田さんのコダワリが相変わらず健在である事も嬉しいことです。

SL230はメーカー出荷の工業製品としては完成品でも、バイクライフを楽しむ道具としては未熟で未完成だと高田さんはよく言っているが、全く同感だと思う。

世の中では「250はこんなもの」だからバイク旅は大型で車重のあるバイクであれば安定感や快適性があると思われているがそれは少し違うように思う。

歳をとった親爺ライダーが、大型に荷物を積み込んで250クラスと同等に気負うことも無く道を選ばず自由気ままに楽しめるだろうか、250クラスでも物足らないところを補うモディファイをすれば、車格や排気量に関わらず操縦性と安定性が両立することを実感しているが、経験が乏しいと対応できないことだろう。

経験豊富なバイク屋の親爺であれば、物足らないところを補うモディファイでトータルバランスを整えることは当然のことで、モディファイを終えた土岐さんのCRF250L―TMと高田さんと僕のSL230TM2台のダウンサイジングした車両は、定番の西を下道メインに800Km程の日帰りは今までにない楽しみとなっている。

また、250クラスでそれだけの距離となれば疲れると思われがちだが、意外にもBigほどの疲れが無い事など、軽量でトータルバランスの良さが発揮されていることは皆が納得していることも伝えておきたい。

SL230TMとCRF250L-TMのどちらもフル積載でワインディングを駆け抜ける走りは、ノーマルにボルトオンパーツを組み込んだ程度では想像もできない操縦性と安定性が両立した良さがあり、流れに乗ったペースは空冷シングルの良さが存分に発揮され、NWJCツーリングマスターの「速さより心地よさ」「何かに特化しない曖昧さ」「和洋折衷のようなおおらかさ」をモディファイにより具体化している事を実感できて、どんな楽しみ方にも最適で良きバイクライフの相棒として大切に乗り続けたいと思っている。

カブ110NWJCコンプリートを楽しむ

カミさんも同じように歳を取り、女性だから重量的な事は負担となり、CB400SFやSL230にも乗らなくなり、カミさんの親父が乗っていたカブ110(JA07)をお下がりでもらって来て乗るようになっていた。

カミさんはカブプロJA07型を足に使っていたがカブ110NWJCコンプリートType3を用意して、JA07型NWJCコンプリートはプロトタイプとして数台のみだが、07型プロトタイプ仕様に専用でサイドラックや防風雨効果の高いスクリーンを追加してもらってカミさんと二人でカブライフも楽しんでいるが、SL230TMと同じようにNWJCコンプリートならではの一味違う楽しさがあることを実感している。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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