SL230ツーリングマスターに思う
バイクを育て、楽しむこと
バイクを楽しむのにちょうど良い時期になってきて、また、仕事も忙しい時期を超えたので気ままにSL230ツーリングマスター (TM)とカブNWJCコンプリートであちこちを楽しんでいます。
GWはベテランライダーのみなさんとデイキャンプに行きましたが、キャンプ場で楽しい時間を楽しむためにいろいろ詰め込むとすぐ荷物が増えてしまうけれど、去年から新しく装備した大容量のサイドバッグやSL230TM専用のタンクバッグなども出来ていて、積載量に関して不満がなく、耐荷重性を考慮した足回りへバージョンアップもしていることでフル積載の状態でも不安もなくいいペースで走りを楽しめています。
荷物を積んだ時でも怖い思いをせずにすむためには、気になる山道を安全に通り抜けるには等々、未舗装路でも舗装路でも一台のバイクで多用途に楽しんで走るためには・・・という想像と欲張りが形になったSL230TMはもう手放せない旅の相棒となっています。
数年前にキャンプツーリングを楽しみ始めた頃と見比べると最近の荷物の積載量は明らかに多いが、ただ積載量を増やすだけでは不安定になり怖い思いをすることになるのは同じ経験をした人であれば分かってもらえるかと思います。
それでもこのバイクでこれをやりたいという欲張りとわがままを通すために、様々なアイデアを盛り込んでいるところがTMシリーズの好きなところです。
違和感なく楽しむために
NWJCの提案しているTM(ツーリングマスター)仕様は、別名おっさんライダーの欲張り仕様ですが(笑)、私自身の欲張りとわがままなところを言えば、操作感に違和感を持ち続けながら走りたくないとか、一台でどこでも行きたい、気になった道へは入っていきたい、などがあります。
そもそも乗り出した時点で20年前の初期型SL230でそろそろ30年目ですから、細かな部分は乗りながらメンテナンスをして走っていましたが、手に入れてから50,000km以上走っていくうちにスイッチ類は経年劣化もあり新品パーツがあるうちにほぼ交換、ワイヤー類やサスペンション等も交換またはバージョンアップという形で違和感を解消していきました。
長く乗っていくうちにどこをメンテナンスしてあるかがわかっているので、何か違和感を覚えた時ある程度は自身でトラブルシューティングもできるようになったと思いますし、走行距離や年式の経った車両であっても、安心していろんな場所へ走りに行けます。
長い付き合いであるほど車両の挙動は掴みやすいと思いますし、知らない場所や山道を走る時も、最新の高性能なバイクを乗るよりも一番長く乗っているSL230TMのほうが感覚的にも状況に対応できると思えるような信頼感がありますね。
林道は林道でも、道を間違って山仕事をする方も普段通らないような荒れた道に入った時でも、積載状態でもポコポコと走れてしまうので道を間違えたことに気付くのが遅くなった事もありました(笑)
少しのスペースがあれば引き返せるから気になる道は走ってみようが癖になっていますが、おかげで観光スポットに乗っていない、こんな景色あるんだって思うような場所を見つける事ができたりもして、そういった経験を経てSL230TMに道具としての価値を感じています。
道具の価値とは
少し、楽器という私の仕事の話と絡めてみますと、同じ製作者やブランドであっても長年弾き込まれて傷も目立つが手入れされている楽器と、弾かれずに新品・極上というようなきれいさを保っている楽器では、評価が分かれることがあります。
演奏を主として道具として見ている方は、前者は傷が多くても弾きこまれて育っているとか道具として弱点を対策しつつ使われていたりするのを好ましいと思ったりするかもしれないが、外観がきれいであっても道具としてのコンディションが整っていなければ後者は選ばれない事があります。
逆に、所有感などを大事する方や市場価値を大事にする販売店などであれば前者には高い価値を感じず、後者に価値を見出す事の方が多いでしょう。
バイクの場合年式と走行距離、オプションパーツなどで価格をつけそうですが、私のSL230TMなどはそろそろ30年目・80,000kmを迎えそうな程度で傷なども多くあり、市場での価値や価格は大したことはないと思われます。
ですが、バイクの楽しさや自分のフィールドを拡げてくれたこのバイクに、私は人に何と言われても他の車両とは比べられない価値を感じています。
楽器ではたびたび「弾いて育てていく」と言いますが、高田さんも最近のブログで「流行り廃りに流されることなく、車両を良き相棒として育てる」という言葉を使われていて、私の楽器への感覚とも近いなと思いました。
自分の楽しみ方に応えてくれる相棒として育て・楽しむ、ということが、バイク業界のなかではあまり一般的ではないようですが、バイクを育て、そのバイクで自分もライダーとして育っていけるようなバイクライフをこれからも過ごせたらいいなと思っています。