バイク屋の備忘録

自由気ままに素敵なバイクライフを

今年は例年より雪も多く寒さも厳しい日が続き、いつも楽しみにしているシダレ桜はまだ小さな蕾でバイクを心地よく楽しめるのはもう少し先のことのように思っていたが、山桜も綺麗に咲いてバイクを心地よく楽しめる季節が帰ってきた。

昨年6月上旬は、SR500のツーリングマスター(TM)ならではの心地よい走りを満喫するために定番の西へ出かけたが、おっさんライダーは体調不良で長時間のバイク旅では疲れやすく思うが儘にならないこともあり、昨年の後半は定番のキャンプや近場へのチョイ乗りも控え皆と共に楽しむこともできず、素敵なバイクライフを満喫する為には心身ともに健康が肝要であると思い知らされた次第である。

おっさんライダーも高齢化が進んでいるようだが、日本の高齢化はペースが早く自動車工業会調べによると2022年度のライダー平均年齢は55.5歳となり、バイクが大好きなバイク屋のオヤジさんたちも流通業のみの成果主義には失望し高齢化も影響して廃業が増えているのは寂しい限りである。

コロナ禍によるバイク特需も終わり、現行のモノより新しいモノが良いとしたメーカー系専売所では高齢化に伴いさらに少ない需要を追う供給過剰市場となっている。

メーカー出荷のSTDは工業製品としては完成品でも楽しむための道具としては未熟で、ボルトオンパーツを組み込んでも積載状態での操縦性や安定性に問題が残る場合、乗り換えを奨める日本のバイク業界は相変わらずの消費文化が主流のよう。

Old Boysたちも高齢化が進む

バイクブームで盛り上がった1980年代から約45年が経過して、当時20代だった若者たちも歳を重ねて60代のOld Boysへと高齢化が進んでいる。

そのOld Boysたちのバイクライフも十人十色だが、鈴鹿8耐・スーパークロス・MotoGP・パリダカなどのファンであり、レース結果は高性能の証であり、ハイパワーのスペックはステータスであり、ブランドであり、カスタムであり、ライテク云々のマニアックなことは相変わらずで、少し背伸びをした窮屈な世界がライダーであるかのような呪縛から逃れられないOld Boysたちが多いことも事実である。

Old Boysたちもそれぞれに経験を重ね、スペックやブランド、流行り廃りなどに惑わされることも無く、自己顕示や見栄の小道具でも無く、持て余すことや気負うこと無く、身の丈にあったバイクライフを模索されているライダー諸兄が多い事も事実である。

身の丈にあった素敵なバイクライフ

二輪業界も高齢化が進んでいるが、バイクライフを満喫する為にバイク屋自らの実体験に基づいた提案は当然の事であり、高齢化に関しては経験した者にしか理解できないことも多々あり、車とは違い車格やスペックに新機構だけでは道具として機能しないからバイクライフを満喫できないことは云うまでも無い。

楽しみ方は十人十色だが、バイクは人車一体により道具として機能する乗り物だから、ライダーとして未熟でバイクの電子制御システムなどにすべてを依存する道具主義の場合、ライダーとしての感性は育ち難くその良し悪しは時間の経過によって気づくことだろう。

新しいモノが良いとしたあり方は何ら変わることなく、いつの時代も最新を手にする事が最善のように思われがちだが、五感で道具としての価値を知る事が出来る良き時代のバイクは日々消えていくのが実情であり、1台でもコンディションを整えてその良さを伝える事が出来ればと思う日々である。

乗ることよりも所有する悦びなどと情緒的な価値観をあおり如何に売るかは益々巧妙になっているが、気負うことの無い素敵なバイクライフは、バイク屋自らの実体験による提案は当然だが、実体験が乏しい場合、部品交換だけで違和感や問題への緩和や対策ができず代替を奨める場合が多いようである。

売るが為の提灯記事では余裕を持って走れる大型モデルがバイク旅には最適で人気とのことだが、大型モデルは車格や車重のため気後れして点と点をつなぐ単調な移動となる場合が多く、積載状態でも気負わず脇道や道草など自由気ままにフィールドを拡げて楽しめるダウンサイジングが最適のようである。

高齢化が進む二輪市場では、大型バイクは体力もある若いときに好奇心や所有欲などを満たすのであれば納得だが、経験豊富なライダー諸兄は、スペックやブランドよりも身の丈にあったと云うか、年齢や体力に見合った車格へのダウンサイジングによりそれぞれに素敵なバイクライフを満喫されているようである。

旅バイクとしての積載性と積載力について

小排気量の250クラスの場合、バイク旅には必須の積載状態で自由気ままにフィールドを拡げて楽しむためには、メーカー出荷のSTD車両にボルトオンパーツを組み込むだけでは安定性や操縦性に問題が残り、所詮は250だからと妥協することになるのが一般的のようである。

しかし、違和感や問題への対策は実体験に基づいたメンテナンスやモディファイによりトータルバランスを整えることにより、道具としての価値に気づくことから素敵なバイクライフが始まる。

また、メンテナンスやモディファイにより、積載時の安定性と操縦性を高めてトータルバランスを整える事が積載力を高めることであり、ボルトオンパーツにより積載量を増やす事が積載力を高めることでは無い。

おっさんライダーのバイクライフ2025

空冷ボンネビルに乗り始めた2001年ころからか、バイクは感性と人車一体で楽しむ乗り物だが、相変わらず成果主義のために所有欲をあおる使い捨て的な二輪文化には失望することが多くなったように思う。

欲張りなおっさんライダーは、カブ110NWJCコンプリートをはじめSL230TM・SR500TM・CB400ss-TM・空冷ボンネビルT100-NWJC2014など、速さより心地よさ、何かに特化することのない曖昧さ、和洋折衷のような大らかさをテーマとして、メンテナンスとモディファイによりトータルバランスを整えたNWJCツーリングマスター(TM)シリーズと共に普段のチョイ乗りからバイク旅まで自由気ままにフィールドを拡げてバイクライフを満喫したいと日々想いをめぐらせている。

カブ110NWJCコンプリートを楽しむ

カブ110NWJCコンプリートは2013年2月からカブProをベースとした旅バイク仕様の企画を始めて、2015年5月のGW明けからカブ110NWJCコンプリートの試作で九州佐多岬から北海道宗谷岬までの2853Kmを5日かけて列島縦断して違和感や問題点への対策もほぼ目処がついた。

一般道では積載状態でも移動時の平均速度は大型バイクと比べても殆ど差が無く、ポコポコと心地よく走り続けて気づくともうこんな処まで来たのかと、カブ110NWJCコンプリートならではの大型バイクと比べても遜色の無い積載力も含み、旅バイクとしての実力を列島縦断の道すがら実感する事が出来た。

40年前の1985年にXLV750とXT200の2台で楽しんだ北海道へカブ110NWJCコンプリートType2を駆り再び2台で訪ねるか、数年前にカブ110NWJCコンプリート2台で楽しんだ九州方面か、Type2は最新のType4にも勝るとも劣らない使い勝手の良い仕様へと深化を重ね、相変わらず欲張りなバイクライフを思い描いている おっさんライダーの今日この頃である。

SL230ツーリングマスター(TM)を楽しむ

ソロではSL230を駆って自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を楽しみたい。そんな想いから2016年5月よりSL230をベースにフル積載でも自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を楽しめるよう試行錯誤を始めたことが、欲張りなおっさん仕様の始まりとなった。

トータルバランスを整えた「欲張りなおっさん仕様」は、速さより心地よさ、何かに特化しない曖昧さ、和洋折衷のような大らかさをテーマに、SL230ツーリングマスター(TM)へと深化している。

SL230ツーリングマスター(TM)は、メンテナンスにより単気筒2バルブエンジン特有の心地よさは格別で、お気に入りの景色の中ではGo&Stopを繰り返し、ポコポコと気負うことも無く自由気ままにフィールドを拡げてもうこんなとこまで来たのかと思うあの感覚が、おっさんライダーのお気に入りである。

大型モデルと共にSL230を楽しんできたいつものメンバーも、フル積載のキャンプから脇道へ入り込む道草ツーリングまで、深化したSL230ツーリングマスター(TM)ならではの使い勝手の良さと懐の深さは意外なことばかりのよう。その深化は従来のSL230からでは想像もつかない特別な1台となり、これからのバイクライフを満喫するためのよき相棒となっている。

空冷ボンネビルT100-2014をタンデムで楽しむ

トライアンフ空冷モダンクラシックは、電子制御システムなどが素晴しく発展した時代に流される事なく、バイクと人の間に電子制御などのハイテク技術が介在すること無く、メンテナンスとモディファイにより感性を第一とした操作感は最後の良き時代のバイクであり、おっさんライダーのお気に入りである。

おっさんライダーも おじじライダーになりつつあるが、今シーズンから空冷ボンネビルT100-2014にてタンデムでも楽しめる仕様を駆り、自由気ままにフィールドを拡げてキャンプやいつもの定番ルートなどタンデム仕様ならではの大らかさで悠々と楽しみたいと思案中であり、レポートは近々UPの予定。

素敵なバイクライフの為に

高齢化に伴いさらに少ない需要を追う供給過剰市場となり、所有する悦びなどと情緒的で使い捨て的な二輪文化とは対照的に、時代の流行り廃りに流されること無く、乗り始めてから育む二輪文化のために感覚的なことも含みバイク屋自らの実体験に基づいた提案が少しでも役立てばと思うこの頃である。

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