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僕んちのバイクライフ SL230ツーリングマスター(TM)に思う

今年の異常な気候は、涼しいはずの飛騨も御多分に洩れずなかなか走り出そうとは思えなかった。ただ幸いなのは、小一時間暑いのを我慢して走れば標高1,000mを超える場所で涼むことができるのが飛騨山間部である。

とは言うものの、なんとなく海が見たくなりCB400SSTMで久々に福井に行ってみたりもした。

SL230ツーリングマスター(TM)は、6月に2024仕様へと深化したばかりだがまだ秘策があるようで、準備が整ったから岐阜へおいでと高田さんから連絡があった。『なんと!』この上にまだ秘策がと期待に胸躍らせてNWJCへ行くと、いつものSL230ツーリングマスター(TM)オーナー達が集結していた。

今回はリア廻りを更にバージョンUPするとのことで、リアタイヤを外しサスペンションとリンクあたりをガチャガチャと、いつものメンバーといつものように分解しつつバージョンUPした仕様へと。

西やん曰く、数週前に1台のSL230TMを今回と同じ仕様にしていたらしく、僕以外はその違いを試乗にて体感済みらしく、フル積載しても今までよりもっと安定してヒラリヒラリと走れ、荷物を積んでいることを忘れるくらいだと。

その深化は、飛騨への帰路で僕も体感することとなる。飛騨からお店(NWJC)まで片道170km弱、往復330kmほどで、毎回のことであるがビフォアー&アフターを目の当たりにすることができるのも楽しみである。

さて、今回の深化は!といつものルートを飛騨に向かった。『あら!何で?どうしてこうなった??』と疑問すら感じる程の接地感というか安心感がリアまわりから伝わってくる。

そのときはランチセット程度の荷物ではあったが、行きと帰りとでははっきりと違いが出て曲がるきっかけが格段にスムーズになり、コーナリング中の安定感は更に増していた。

こうなると、暑いだの酷暑だのは言ってられん。フル積載を体験しに『行かなければ!キャンプへ!!』である。

キャンプ道具一式を積み込み近所を一周りすれば、フル積載が体験できるのではあるが、それでは相棒のSL230TMがかわいそうに思え、ただのフル積載の荷物では無くフル積載で久々の一人キャンプへ向かった。

今回は飛騨管内の近場キャンプ場へ行ったのだが、何故か道中は富山県のワインディングを走っていた。

バイク旅で積載状態での常識

どのくらいがフル積載なのかは、個々により違うが1泊も3泊も着替えは増えるかもしれないが、ほぼ同じ装備を積む必要がある。正確には計ったことは無いが僕の場合は、大型シートバック70Lとサイドバック40Lと防水バック15Lの計120L強でおよそ40kg程度のキャンプ道具を積載して走ることとなる。

経験のある方なら解ると思うが、それをリアまわりに積み込むとリアサスペンションは沈みシートレールには加重によるストレスがかかり歪み撓りが出て更にはフロントタイヤの接地感にも変化が顕著となり、フル積載でのツーリングなのだから、『こうなってしまうよな』『こんなもんだろう』『しかたない』と、これが、僕の20代からの常識となっていた。

フル積載でのツーリングなのだから、『こうなってしまうよな』『こんなもんだろう』『しかたない』と何ら疑問に感じることも無かったのだが、CB400ss-TMでありSL230TMにカブ110NWJCコンプリートなど、NWJCツーリングマスターシリーズに出会うまでの常識だったが、こんなことができるなんて誰も思わないのが現実でもある。

しかし、年々深化が止まらないSL230TMには、『こんなもんだろう』『しかたない』などという言葉は全く見つけようがなく、フル積載で違和感なく走れてしまう。その懐の深さは、乗った方、それを体感したことのあるいつものSL230ツーリングマスター(TM)オーナー達なら嘘偽りが無いことに納得であろう。

そういえば、アフリカツインに乗り出した年のある夏の日のことである。高田さんが、「アツシ夏休みは何しとるの?」それに対し僕は、「能登方面へキャンプツーリングに出かけようかと」「あっそうなんだ、アフリカツインで旅ねぇ・・・俺はコレ(SL230TM)でバイク旅を楽しんでくるよ」と不思議な笑みで高田さんからの言葉「そうなんですね」と内心・・・{【旅?】どうしてわざわざSLなんやろ、ボンネ2014仕様とかの方が快適にツーリングできるだろうに、高田さんも好きやなぁ}とそのときは考えていた。

それからしばらくしたある日に、「アツシ、ちょっとこれに乗ってみ」と最近も聞いた覚えがある様な一言が・・・!コレが僕のSL230ツーリングマスター(TM)との出会いになり、初試乗のSL230ツーリングマスター(TM)で感じたのは、『えっ、コレがトレッキングしてたあのSL230なの・・・全く別物になってる』そしてその頃からかな、チョイチョイ話しに出てくる高田さんの【旅】というワードが気になり出した。

そんな出会いから現在に至り、今では『【旅】は、コレですよコレ、SL230ツーリングマスター(TM)をはじめCB400ss-TMであり、カブ110NWJCコンプリートでの【旅】ですよ』とすべて良き相棒であると感じている。
この欲張り感は何処かの欲張りなおっさんと一緒ではないかと気づいたのも事実である。

バイク旅なのかツーリングなのか

最近は、デジタルでいろいろな情報が飛び交い、SNS等での発信、配信で情報が溢れかえっている。そんな世の中で、どの情報が正しくどの情報が誤りなのか、どれが自分のスタイルに合っているのかは非常に判断し難い。だから有名人やより多くの[いいね]や[リプライ]がある情報が正しいとされているように感じる。

ただそれは、自己が処理しきれない情報に溺れ何をしたら良いか、何ができるのかが迷走しているかのようで言葉は適切では無いかもしれないが、『滑稽』だと感じてしまう。

工具を使うことが無い工具屋さんが、コレは最高傑作だという工具が有っても、それはどんなに営業をかけても使う側には心に響かず売れないはずであるが、その情報が提灯記事であれ実体験がなくても自分なりに納得できれば買ってしまって後悔することになるのが現実でもある。

確かに、最近のバイクの電子制御は凄いと思う。センサーが路面を感知して適切な状態にサスペンションをコントロールし、標高の高い場所でも、低い場所でもスムーズにエンジンが吹け上がり快適に走れるらしい。

一方それは、バイク側だけの制御であって乗っている人側は何を感じているのだろうか?と思うことがある。
こんなことに気付かされたのが、SL230TMの懐の深さで旅を満喫できている充実感があるからこそなのだろう。

Bigバイクからカブ110NWJCコンプリートまで

僕は、以前にも書いているが、大型免許(当時、限定解除)を取得してから、ST1100⇒BMW1100GS⇒ボンネビルT100⇒CRF1000Lアフリカツインと乗り継いで来た。

カミさんと全キャンプでタンデムしてST1100で行った北海道、娘が快適すぎて後ろで寝てしまった1100GS、出雲へカミさんのCB400SSと行ったボンネビルT100、何度目かの一生のお願いで手に入れた憧れのアフリカツイン、どれもいろいろな思い出がある。

思い出は残っているが、現在の楽しみ方とはちょっと違っていた気がする。予定を組み計画し今日はココ、明日はココまでそして帰路と、こんなツーリングだった様に思う。当時、若くはあったがバイクの大きさと車体重量はやはり、どこかしらに自分へ不安感を抱かせていたのだろう。体力、持続力は今よりも充実していたが、帰宅後の疲れは大きくあったように思う。一生懸命なツーリングだったのであろう。

今現在はというと、予定をたて企画はするが細部までの計画はしないで、ふらっと出かける。そして何度も来たであろう同じ場所でも、新たな発見とその景色に出会うまさに一期一会。そんなところが【旅】なのだと感じている。

積載量はBigと同じで走行距離はBigの時代よりも延びている事もあるが、疲れは小さく以前のツーリングとの違いはスペックや走行距離などの数値だけでは語れないバイクライフの奥深さを何となく判り始めたような気がする。

長距離ツーリングはやはり大型バイクだとか、悪路にも対応し不安の無い小型2輪だとかデジタル上では世間一般に言われているし、様々なインプレッションもある。はたして本当にそうなの?

50歳を超えてよりバイクライフを楽しむためには、持て余すことの無い使いこなせる車格と排気量による、気心の知れた良き相棒と五感での会話によりバイク旅を楽しんでいると感じることで有る。

カミさんもあのままCB400SSに乗っていたのなら、おそらく今はもしかするとこの記事も『僕のバイクライフ』となっていたのではと話すことがある。

僕のSL230TMはファクトリーマシン?

モータースポーツ界では良く聞くそれぞれのファクトリーマシン。レース等は観戦だけの僕としては、『カッコイイ』そのもので憧れていた様に思う。ライダーに合わせた開発やチューニングや走るステージに合ったセッテイングでその性能を発揮するそれぞれのファクトリーマシン。それは、あるステージに特化した性能で僕の居るステージでは決して無い。

余談だが、高田さんはモータースポーツがもっとも盛んだった80年代のあの頃、ワークスマシンやセミワークスマシンが大挙して某有名ライダー達でも予選落ちする激戦のロードレース全日本選手権IA250クラスで、プライベートチーム『Gifuサーティーズレーシング』を率いて、RS250やTZ250等を独自のファインチューニングにより常にポイントを獲得してきた実績もあるが、そのことについては「そんなときもあったな~」とまったく触れる事はないが、その時代から培ってきたものが熟成して今のNWJCツーリングマスターを生み出していると確信している。

高田さんが成果主義や台数至上主義により使い捨てと消費が主流の2輪業界において、所有欲をあおり売る事が最終目的であり、乗り始めてからのバイクライフについての事は二の次としたレポートに「売るがための提灯記事」とずばりの表現で切り捨てる事が出来る裏づけは、コンディションを整えることを第一としたバイク好きのバイク屋のおっさんライダーとしての経験がすべてではないかと思う。

僕の居るステージは【旅ステージ】である。だからこそ、欲張りなおっさん仕様の速さより心地よさであり、何かに特化すること無く、和洋折衷のおおらかさに加え、僕のために仕上げられた旅仕様のファクトリーマシンは最高の一台で良き相棒である。

僕のSL230TMとカミさんのSL230TMとは、サッと見た外観は一緒だが実は個々に違いがある。それは【旅】には欠かせない快適性と不安感を排除する自分専用の仕様で、旅仕様のNWJCファクトリーマシンと表現しても決して過言では無いと思う。

そして、それを自ら走らせて実体験を重ねそのフィードバックにより念入りに仕上げ熟成を重ねたコダワリの1台を造り出す裏づけは、高田さん自身が楽しむことを第一とした企画と技術と感性と強欲さであり、時代や流行廃りに流されること無く、同じスタイルを頑固に貫いているのは今も昔も少しも変わることなく、それはまさに『バイク屋NWJC』が『旅バイク工房NWJC』へと深化しているかのようでもある。

消費と使い捨てが主流の2輪業界へ持続可能なバイクライフについて思う事

SL230ツーリングマスター(TM)もそうだったが、当時の車両は走らすステージや使い方に合わせた車両コンセプトがメーカー側にあり、それに合わせた開発が受け継がれていたように感じるが、メーカー出荷のスタンダードは製品としては完成品でも趣味の道具としては未熟で未完成であるのが現実である。

最近では、リターンライダーや女性ライダーが増えていると言われているようだが、その市場に合わせて出てくる車両やメーカーオプションは、格好だけのスクランブラータイプや足ツキ性を向上させる為だけに特化したローシートや形はそれっぽいが積載力に欠けるリアキャリア等ばかりのような気がしてならない。

僕の父親が若き頃のバイクは、もっと生活の必需品として重宝されていたらしいが、現在のバイクは基本趣味領域での使い方をされているのが大半であり、本来なら趣味で使用する車両やパーツであろうが、実態はフォルムや装飾性を重視した開発がなされていて、更にはメーカーなのにその車両を生かす事のできる純正オプションは無く、社外品のパーツを推してくるといったことが現実なのではなかろうか。

海外のメーカーは純正パーツとしての拘りがあるというか、成果主義が第一の日本とではバイク文化の違いとでも言えばよいのか、メーカー系販売所での売り上げを上げるためのアクセサリーなのか、機能パーツとして必要とされているものなのか比べれば一目瞭然ではないか。

平成初期くらいまでだろうか、自転車屋さんがあって、そこにカブやスクーターが並んでいた記憶がある。今では後継者が居なく近所の自転車屋さんは無くなってしまったが、現在はというと、4輪と2輪が同じ店舗で売られているのを目にする。まぁ町の整備屋ならそれも納得するところではあるが、メーカー直営のディーラーがそれではいささか疑問に思うところが多々出てくる。

勝手な妄想ではあるがTVショッピングで良くありがちな、『今なら、この軽ワゴンを買うと、ピッタリ積めるこの電動バイクが何と20%オフで買えてしまう!』なんて売り方が今後展開されるのではないかと思ってしまう。

僕は当然ながら、2輪と4輪は全く別だと考えているので、車屋さんにはバイクは絶対預けたくは無いし預けない。そしてバイクに乗らないバイク屋さんにも預けたく無い。

バイクは、自分の体を表に出し走らせる乗り物であるための危険は伴っており、一つ間違うと人生を狂わせることがある。だからこそそれを確実に理解できる経験豊富で信用できるお店にしか任せたくないのが本音である。

とは考えているもののユーザー側としても多少は責任が有り、繰り返すようだが配信動画やSNS、メーカー側に忖度しているライター等々の情報が氾濫し決壊する中で、どの情報が正しいかを見極める力が欠乏していて、みんなが良いから自分も良いと勘違いしている部分もあるのが現実ではないか、或いは皆でやれば怖くないのが日本的かもしれないとも思っている。

飛騨は、稲刈りが進みススキが穂をつけて秋の気配が感じられるようになってきた、残念なことに後一ヶ月半もすると、バイクで走ることのできるシーズンが終わり、車庫での磨きシーズンになってしまう。

ここからの一月ちょっとをどう走れるかが2024シーズンの要だと感じている今日この頃で、いろいろな思いを巡らせ、もう一回くらいは気ままな旅をしつつキャンプができたらと、地図やカレンダーそして天候情報に独り言を聞いてもらう日々が続いている。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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