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僕んちのバイクライフ カブ110NWJCコンプリートに思う

飛騨は、8月でようやく梅雨明けの北陸地方と同じような天候で、なかなか安定しない時期が長かったように感じる。ただ梅雨明けの途端に酷暑となり日中のツーリングには厳しい時期となってしまった。

まだ飛騨には雪の残るころ今シーズンに向けてカブ110NWJCコンプリートType4を増車した。当然Type4はカミさんでType3を駆る僕と二人で、飛騨の短いバイクシーズンをあちらこちらと出かけつつのんびり楽しんでいる。

前日より計画をするわけでもなく、朝食の会話の流れで『今日出かける?山?海?』なんて話しから行き先を決めつつ『お昼ご飯は?』と、ランチセットは使うこともあれば使わないときもあるが、僕んちのバイクライフでは必須アイテムだからカブ110NWJCコンプリートに積み込み走り出す。

SL230TMでは何度も行っている能登への道も、カブ110NWJCコンプリートで行くと視界が拡がりなんだか違う景色のように感じられる事もあり、更には行ったことの無い脇道も視界に入ってくる。

野に咲く花好きのカミさんにとっては、僕には理解し難い季節を山道で発見できるとあって脇道は大好物らしく、これまでは躊躇していた小径や山道へも『行くかい?』と問いかけると『行くでしょう!』と帰ってくる。

こんなところにこんな景色がなんて発見もあり、カミさんは『ここは半月ぐらい花の育ちが早い』『ここは飛騨と一緒』とか言いつつキョロキョロしながら付いてくる。おかげで帰宅後の洗車はちょいと大変になることもしばしばである。

CB400SSに乗っていた頃にはそんな余裕は無かったように思うし、SL230TMでもカブほどの余裕はなく、110NWJCコンプリートに乗り始めてから気負うことや持て余すことも無く、カブ110NWJCコンプリートならではのフル積載の状態でも突然フィールドが開けて自由気ままに楽しめるようになった感じです。

最近は、峠を越えたスーパーへ夕ご飯の買い出しへ110NWJCコンプリートT3とT4で行くこともあるのだが、片道30分ほどで着くはずが、ツーリングついでの買い物なのか、買い物ついでのツーリングなのか、2時間程度走ってやっとス-パーへ到着することもしばしばで、そんな笑い話を調味料に夕食を楽しむこともある。

僕がType3で先行することになるのだが、Type4で後ろに続くカミさんが景色を楽しみ過ぎて少し遅れ気味になってもすぐに追いついてくる。いろんな意味Type4は進化して違うなと感じるところもあり、カミさんに『代わってあげるよ』と言ってはみるのだが、なかなか承諾を得られない。

なので、カミさんがお稽古事でいない時に、どれどれどんな感じかな、と無断借用で出かけてみる。

僕がバイクに乗り始めた頃に飛騨から信州へ行くのに良く通った峠道を昨年はType3とSL230TMで走り、今年はお一人様で無断借用のType4に乗って出かけた。

昨年行くまでは四半世紀走ってなかった峠の九十九折れの道は未だ健在で、今でこそ車やバイクに数台すれ違うだけだが、峠をショートカットできるトンネルの無かった当時、観光シーズンは、車・バイクに加え路線バス・観光バスがどんどん入ってきて峠を越えるのは一苦労であった。

大型バスは切り返さないと曲がれないカーブがいくつも有り、バスとトラックや乗用車がすれ違う事が厳しい箇所では交通誘導員がいた様な記憶もあり国道ではあるが正しくは酷道であり、今では想像もできない風景がそこにあったことは懐かしくもある。

昔のことを思い出しながらType4で駆け上がると、なんだかType3とはずいぶん違う感覚で、思い描いたままにコーナーにすっと入っていく感じがある。近場のチョイ乗りでも感じてはいたが、今回ふらふらと300キロ程走ってみると「ゆとり」とでも言えばよいのかその違いを特に実感。

その乗り味は同じNWJCコンプリートであるType3が不調に思えるくらいの違いを体感して、Type4が羨ましくもあり、浅はかな僕はコッソリ外装を入れ替えたら、カミさんは気付かず乗るのではなかろうかと考えてもみた。 
『あっ!メーターが根本的に違う・・・・・・!!』

Type3をバージョンUP

不可能な計画はさておき、現実はType4に比べてType3のコーナーリングやブレーキングはマッタリした感じというか掴みどころというかメリハリが無いとでも言うのか大きな違いがあり、Type4と乗り比べるとその違いは違和感のようでもあり不調のようにも思える。

Type3をType4に近いシャープなコーナーリングと安定したブレーキングが出来る仕様になったりしないのかな・・?無い物ねだりの冗談半分でNWJCの高田さんに相談してみると、そっけなく「できるよ」と返事が返ってきた・・・・!『えっ!ホントに!!』と驚くしかない。

どうやら初期のType2はすでに対策済みらしく、高田さんのType2をはじめ何人かはその仕様を楽しんでいるようで、西やんとこのカミさんのType3もすでにバージョンUP済とのこと。

聞くところによると東京から空冷ボンネビルやType2でふらっと立ち寄られるUさんは、昨年バージョンUPしたType2は車格が上がったと感じるほど安定感が増して長距離がとても楽しくなったとのこと。

つい先日も東京から岐阜までの道中は太平洋側で、帰りは中仙道を楽しまれたそうで、秋には空冷ボンネビルT100で同じルートを楽しまれるとのこと。『いいですね~!羨ましぃ~!!』

思い込みと先入観

まさかT2がT3以上のブレーキングとコーナーリングなんてあり得ない。と思っていたが、多くのType2ライダーはすでにバージョンUPした仕様を楽しんでいるなんて信じられない。

何故この情報が聞こえてこなかったのか?疑問に思い、高田さんに聞いてみると、『アツシのSL230もSL230TMへと深化して今ではまったくの別物となっていると思うが、新しいモノが良いと思いこみ旧型は「こんなもの」とライダーが納得した時点で深化は止まり、所有欲や物欲が隙を狙って提灯記事のカモになる場合もあるのでは・・・』と、痛いところをつかれ事実はそうであり、SLが、CBが、と考えるとまさに御意である。

ただ、可能な事と不可能なことはあるはずで、例えばドラムブレーキをディスクブレーキと全く同じにすることは、コストを無視すれば可能なことかもしれないが、ドラムブレーキとしての性能をきちんと引き出すことは想像ができ現実的である。エンジンもブレーキもホイールも違うT4と比べたT3はこんなものと、自分の中で決めていたのも事実である。

高田さん曰く、『オッサンがそのままのType2に乗って「こんなものだから」と納得していたと思っていたのか?』と問われると、それは間違いなく違う、そこがオッサンの拘りであり、欲張りなオッサン仕様をはじめCB400ss-TM、SR500TMなど様々なNWJCツーリングマスターシリーズが物語っている。

新しいモノがすべてに良いとしていたワケではないが、今回のそれは、まさかの話、ただちょっと信じがたいと思っているのも事実ではあった。(想像の域を超えた話で、何で、どうして、そんなことを思いつくのか)

Type3をバージョンUP

早速に岐阜へとT3を走らせ、バージョンUPの作業を終えたT3で飛騨への帰り道でその違いを実感する。確かに違う!滑らかにというか、すっと入れるというか、意のままにというか、とにかく違う!!
これまでの違和感と表現した反応の鈍さが無いのですよ!信じられます?乗ると解るのだけど・・・!!

乗ると解ると言えば、バージョンUPしたT3を『すげーよ』とだけカミさんに伝え、ちょっと乗ってみと勧めた。

でも、内心は『解らんやろな~』とも思いつつではあったが、チョイ乗りしてきたカミさんの一言は、『曲り始めがなんや判りやすく、いままでより安定感があるような気がする』とのこと。正直驚きの一言であった。

飛騨で僕んちと同じようにT3とT4をご夫婦で楽しまれているOさんもT3のバージョンUPを終えて、雨降りでのブレーキングではタイヤの接地感にも手応えがあり不安が無くなったとのことで、やっぱり凄い変化だと改めて実感されていた。

素敵なバイクライフとは

高田さんから、『こんなもの!と思ったその時から深化と素敵なバイクライフは霧散霧消する』と言われた。また、高田さんが昔から言われていたことで、『メーカー出荷のSTDは工業製品としては完成品だが、道具としては未熟で未完成だから、如何に良きバイクライフの為の相棒として育てることができるかは、バイク屋として素敵なバイクライフを具体的に表現する事でもある』と常々言われてきたが、最近になってそのことが良く判るようになった。

それは、過去からの経験により大切に長年乗り続けてきた家族同然であるバイクに関して、相談や提案により様々な深化を目の当たりにして価値観と価値の違いを知った事は、娯楽の小道具では無く、価値ある道具による趣味としての僕んちのバイクライフが充実しているとハッキリ実感できることでもある。

私が言うのは変かもしれないが、どんなバイク屋さんとお付き合いがあるかによって楽しみかたの深さやバリエーションにも大きな違いがあり、バイク屋でありライダーとしての経験も豊富であれば、新旧に関わらず価値ある1台への提案は、愛着の持てる良き相棒と出会えることでもあると確信している。

でも、高田さんがよく口にする「こんなものです」とか「旧いから」が使い捨てと消費の日本の2輪業界を如実に表しているフレーズであり、現状「新しいモノが良い」は今日の一般的な考え方であり、ブランドやスペック、カテゴリー等により、そのように信じてきたのではないだろうか。

余談だが、『アメリカのバイクメーカーの日本法人に公取が立ち入り検査』は最近ネットでも話題になっているが、買手の所有欲を提灯記事などで煽り「たくさん売りなさい」戦略らしく、店頭にたくさん車両が無いと選択できないでしょみたいな勢いもあり、多くのディーラーが流通業者として苦しんでいるのが実情のようで、まさしく販売台数主導の歪んだ業界であり、それは我々エンドユーザーが食い物にされている事では・・・。

更には日本のメーカーもグローバルスタンダードなんて言葉が流行り始めたころからか、コストダウンしてるなって実感することもあり、いつの間にかユーザー目線から株主目線になっているようで、Made in Japanのもの作りがおろそかになってしまっているのが現実と感じるこの頃である。

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