バイク屋の備忘録

SR500-TMで定番の西を楽しむ

GWの遠出は久々のこと、昨年は一度も遠出を楽しむ事が出来なかったSR500ツーリングマスター(TM)を駆って定番の西を一泊二日で楽しんで来た。

のどかな里山の風景の中を人の関わる領域が広い昔ながらの素朴な乗り味のSR500-TMで素敵なバイクライフを満喫できて天候と健康に感謝である。

GWは渋滞などにより心地よく楽しめないことや、天候不順の影響もあり遠出は長年控えていた。また、ここ数年はコロナ禍の影響もあり人混みの中へ出かける事は避けている。

最近はいつもの事で早朝に目がさめるから、何気なく天気予報を見ると雨は降らなさそう。先月の下旬はCB400SS-TM3台で飛越方面を楽しんだ事もあり、昨年は一度も遠出が出来なかったSR500-TMを駆って里山の春を定番の西で楽しみたいと思いをめぐらせていたこともあり、天気予報を見た途端に思い立ったら吉日となり、まだ夜も明けぬうちから準備を始めてSR500-TMと共に走り始めた。

GoodコンディションのSR500NWJCツーリングマスター(TM)は、タッタッタッタ・・・タッタッタッタ・・・と蹴りだすようなBigシングルらしい鼓動感と、アクセルをオフにした空走の繰り返しは飽きる事が無く心地いい。

人の関わる領域が広い昔ながらの素朴な乗り味は色あせる事なく、まさに速さより心地よさでいつまでも駆け続けたい心地良さがあり、古き良き時代へといざなうタイムマシーンのようでもある。

山々は若葉が鮮やかで畦道の草刈を終えた田んぼには水が入り、トラクターがゆっくり動いて代掻きが始まったのを道すがら立ち止まっては眺めることを繰り返す。見慣れた日本の田園風景は心が和みアクセルを握る手も気づくと緩んでいる。

そんな四季の移ろいの中、あちこちで何度も立ち止まっては脇道へ入り込み道草を存分に楽しめる和洋折衷のような大らかさと、可もなく不可もない曖昧さを持ち味としたSR500ツーリングマスター(TM)は良き相棒であり、一泊二日で約1,500Kmを悠々と駆けて素敵なバイク旅を満喫できた事は何よりであり嬉しい限りである。

バイク旅を気負わず持て余すことなく楽しめる旅バイクを考察

今回、SR500-TMを楽しんだ定番の西ルートは、数十年前から定番の西として楽しんでいる。必ず立ち寄るポイントはいくつかあるが、特別にルートを決める事も無く気が向くまま、思うがまま、自由気ままに走りつないだり、神話を訪ねたりと、四季折々の風景も含みおっさんライダーのお気に入りである。

また、現行モデルや旧型モデルの中から選んだ機種によるNWJC独自のツーリングマスター(TM)へと深化させる過程では、実走行の定番ルートとして活用している。

勿論、SR500も定番の西を何度も走り、チョイ乗りでは判らないことも走り続けることにより違和感や問題点が見え隠れし始めるのと同時にヒントも浮かび上がる場合もあり、NWJC独自のメンテナンスとモディファイによりチョイ乗りから自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を楽しめるSR500ツーリングマスター(TM)へと深化させて蘇らせたことにより、SRに関しても積載時の安定感や耐荷重性など多くの事を実体験して対策など培うことができた経緯がある。

世の中は新しいモノがすべてに良いとする傾向にあり、メーカー出荷状態のスタンダードでは心地よく楽しむ事が出来ないのが現実であり、売るがための提灯記事は違和感や問題に触れることは無い。

ホンダの現行250クラスでメーカー出荷状態のSTDではキャンプ道具など積載状態でバイク旅を楽しめる機種は皆無だと思うが、売るがための提灯記事ではキャンプツーリングも楽しめるようなものを目にするが、現実的にはかなり無理があると実感している。また、経験豊富なライダー諸兄からのダウンサイジングすることへの相談も増えているが、提灯記事で対応できるような内容ではない。

そこで昨年はCRF250LをNorth Wing JC風の旅バイク・NWJCツーリングマスター(TM)へと深化させる過程で何度も定番ルートにのせて試すと、チョイ乗りでは判らない事や違和感などの問題点が浮かび上がり、何をどのようにモディファイすればよいか対策のヒントも浮かび上がってくるから面白いものである。

CRF250を定番ルートへのせて普段使いのチョイ乗りから荷物を満載のバイク旅まで、自由気ままにフィールドを拡げて楽しめるCRF250L-ツーリングマスター(TM)へと深化させた過程は、バイク屋の実体験による成果であり、ダウンサイジングにより緩やかな放物線を描けるバイクライフを満喫できる具体的な提案の一案となったのは何よりである。

しかし、バイクに乗らないバイクショップでは消耗品の交換やボルトオンパーツの組付けがメインとなり、ライダーの感覚的な違和感や問題は理解できず判らない事だから「こんなものです」として処理されているのが現実で、車格や排気量に関わらず物理的に僅かなメンテナンスやモディファイで対策できることも、実体験が無いと判らないから触れる事が出来ないのが実情のようである。

メーカーと提灯記事による疑似体験が創り上げたイメージや、新しいものがすべてに良いとする情緒的価値観に振り回されながら、台数至上主義や成果主義の2輪業界は何も変わらないが、如何に売るかよりも乗り出してから始まるバイクライフに於いて、流行廃りに流されることも無くバイク屋としての実体験に基づいて現実的に素敵なバイクライフへの提案が出来るバイク屋でありたいと常々思う次第である。

SRもカフェスタイルへのカスタムはボルトオンパーツを大量に組み付けることが定番であったようだが、バイク屋NWJCでは嘗て考えられなかった意外性と独自性により、SR500(400)の判りやすいところとモノ足らないところを独自のメンテナンスとモディファイにより、自由気ままにフィールドを拡げて楽しめる旅バイクとしてツーリングマスター(TM)へと深化させることが出来たことは、バイク屋であり一人のバイク乗りとしても大いに満足である。

SR500ツーリングマスター(TM)は、「速さより心地よさ」「何かに特化しない曖昧さ」「和洋折衷のような大らかさ」をコンセプトとして、チョイ乗りの普段使いからフル積載で何日も何百キロと走り続けるバイク旅に於いても自由気ままにフィールドを拡げて楽しめる意外性と多用性は、ブランドやスペック・カテゴリーよりも感性とアナログ回帰で楽しめることであり、バイク屋自らの実体験に基づいた素敵なバイクライフへの提案であると、おっさんライダーは思う次第である。

今回楽しんだSR500-TMは、エンジンや足回りブレーキなど旧い仕様だからとても判りやすく少し物足りないが、その判りやすさと物足ら無さは、ひろう・つかせる等のキャブ車ならではの操作感によりライダーの感性が刺激されて、人車一体で物足りなさを補うことが楽しく、昔ながらの素朴な乗り味がバイク本来の操る面白さであることを改めて実感した次第である。

それぞれのバイクライフ

今回のGW中におっさんが楽しんだルートでも地域により多くのバイクを見かけたが、気になるバイクは・・・。

持て余すことの無い車格と使いこなせる排気量へのダウンサイジングを望む経験豊富なベテランライダーからの相談が増えている事もあり、セロー250やCRF250Lをツーリングマスターへと深化させてその良さを実感したことで、本格的にバイク旅を楽しめる250クラスの動向が気になるところである。

セロー250の場合、リアキャリアに荷物とロールマットを積み込んだセローを数多く見かけていたのは数年前の事か、チョイ乗り風のセローには時々出会うが、積載状態の旅セローにはほとんど出会う事が無くなったのは何故か、どこへ行ってしまったのか。

積載状態では不安定で心地よい走りを楽しめないとの声も多くあったが、ダートフリークさんとのコラボにより「セロー250快適ロングツーリング仕様制作プロジェクト」に参加させていただき、セロー250ツーリングマスター版を企画して、定番の西をフル積載で何度も走らせたがその実力は予想以上で、旅バイクとしてのセロー250はフル積載でロングツーリングを快適楽しめる良き相棒になると確信している。

セロー250は、僅かに手を加えることによりバイク旅を心地よく楽しめる仕様へと深化させることは実体験が伴えば可能な事だが、実体験が無いと感覚的な事は判らないままボルトオンパーツの組み込みに終始して、違和感や問題の対策ができないのが現実であり、潜在する本来の良さを発揮させることは不可能となる。

「こんなモノです」の口車に乗せられると、価値あるバイクに乗ることを辞めることになり手放す結果となるから要注意である。

CRF250Lの場合、もともと荷物を積載してバイク旅を楽しんでいるCRF250Lに出会ったことが無く、メーカー出荷のSTDにデイパックを背負っているか、マフラーを交換したりハードなブロックタイヤを履いたりしたレーシーなCRF250Lを極まれに見かける程度である。

GW中は関東方面をXR230-TMで楽しんだMさんが、CRF250ラリーの足回りがヘタリ駐車場で倒れているのは見かけたが、ラリーであの程度の足回りですからあれがバイク旅を楽しめるバイクなんですかね、とのこと。

また、BMW・K1100LTからXR230-TMへと以前よりダウンサイジングして気づいた事は、大は小を兼ねる事はできないが、小は大を兼ねる事が出来ると、ダウンサイジング効果を実感されている。

CRF250Lはセロー250と同様にダウンサイジングしてバイク旅を楽しむために深化させると、アップライトなポジションは長距離を悠々と走り続ける自由度がある。

セミダブルクレードルフレームはCB250Rやレブル250で採用されているダイヤモンドフレームより剛性があるから積載時の安定性は高く、デュアルパーパス モデルだから道を選ぶ事も無く多用途に楽しめるのだがメーカー出荷状態のSTDでは無理なこと。

セロー250とCRF250Lは、バイク屋の実体験に基づいたメンテナンスとモディファイを施せば自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を存分に楽しめる価値ある道具となるのは実証済みである。

しかし、工業製品を売るための提灯記事などを真に受けると百害あって一利なしだから、まずはそれぞれのバイクをGoodコンディションに整えて、価値ある道具であり良き相棒として共に素敵なバイクライフを満喫して頂きたいと思う次第である。

今回多く見かけたのはカワサキ・Z900RS。鳥取の若桜方面ではスズキのハヤブサが多く居た。普段よりよく見かけたのがヤマハ・SR400。

女性ライダーが乗っているカワサキ・エストレアも多く見かけたのは意外だった。大型アドベンチャー系は以前に比べると見かけることが少なく、しばらく続いたブームが去ったことを思わせる。

今回のバイク旅では、2輪業界に於いて時代の流れによる流行り廃りの消費文化を垣間見たようにも思うが、そんなことより定番の西をSR500-TMの心地よい走りで、のどかな里山の春を道草で存分に楽しんで自由気ままに駆け抜けて、素敵なバイクライフを満喫できた事が何よりである。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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