カブ110NWJC コンプリートType3の慣らしを楽しむ
- SL230-TMを楽しむS・Oさんが、カブ110NWJCコンプリート最後のスポーク仕様に乗り始めて、カブでの新たなバイクライフを楽しむことが始まり、カブレポートが届きました。
去年、生産終了になると聞いて購入を決めたJA42型のカブPROでしたが、代わりに手放す事を決めたVTR-TMもきちんと楽しみ、整えて、できれば楽しんでくれる人の元にいて欲しいという気持ちがあり、NWJCさんには納車を待ってもらっていました。
VTR-TMは無事に次のオーナーが決まり、せっかくカブ110NWJCコンプリートに乗るならカラーオーダーもしたい!とカラーにもこだわり、5月の末に納車となりました。
各メーカーから発表されるNEWモデルは電子制御が基本、よりパワフルな出力の車両が多い印象で、私の楽しみかたに丁度いいアナログなバイクはもう出てこないんだろうな、と思うと新車で手に入れるバイクはこのカブ110NWJCコンプリートが最後になるんじゃないかなとなんとなく考えていました。
その分、このカブ110NWJCコンプリートは全塗装もして自分だけの一台にしたかったし、ずっと手元に置いて使い切るまで楽しみたいという気持ちですね。
カブの慣らしツーリングは能登方面へ
今回カブNWJCコンプリートとしてはスクリーンなども付いていない一番ベーシックな仕様で納車してもらいました。頑張って最初からオプションフル装備のツーリング仕様でもよかったのですが、せっかくなら一つ一つの変化を楽しみながら仕上げていきたいなと思いました。
6~7月ごろは富山の麦畑を見に行くのが自分の中の定番の楽しみとなっています。
以前に初めて訪れたとき、麦の穂が日光を受けてキラキラと光る様子がとてもきれいで、感動したのが忘れられないですね。この時も天気は快晴、また心の残る風景を見ることができました。
これからは秋に入って稲穂の時期ですが、秋の稲の優しく穏やかな雰囲気と比べて、初夏の麦畑は元気よく、これから夏がくるぞ!とワクワクしてくるような気持にさせてくれる気がします。今年の夏はずっと梅雨…?というような天気でしたが(笑)
カブの楽しさの一つは停まりたいと思ってすぐに停めて寄り道しやすいところですね。
知らない場所に行けば目に留まるものも増えますが、いちいち足を止めてたら遅くなっちゃうよ、という気持ちで通り過ぎてしまうところを、ちょっと寄って見てこ!という気分にさせてくれます。
スロットル全開で頑張ってみても速度なんてそんなに出ないんだし、と(笑)
また、カブの良さの一つとして、日本で一番馴染みのあるバイクであるというのもあると思います。郵便カブはもちろんのこと、年配の方でも近所の畑仕事に田んぼの脇に入っていったりしますから、エンジンの音が聞こえてもツーリング仕様でちょっと見た目が違っていても違和感がないのかもしれません。
この日も畑仕事をしているおばあちゃんの近くに停まって石碑をみていたり、あちこちの麦畑の写真を撮ってうろうろしてましたが、どこから来たの?と声をかけられたり、逆に特に気にも留められなかったり、これもカブだからかなぁと感じます。
そう思うのは、VTR-TMやSL230TMで地元の方が生活している場所に通り抜けるときなどに、迷惑かなと感じる視線を受けることもあったからですね。250㏄くらいのバイクでもやっぱりエンジンが掛かればそれなりに騒がしくなるし、気になるところがあっても、迷惑にならないようサッと見て撮ってっていう気持ちになっちゃう、そういうことは多々ありました。
そういう、カブの持っている普通さ、何でもない雰囲気というのが、田舎でも山道でも気にせずうろうろしていたい私にはちょうどいいなと思いますね。
その日その時、一期一会の景色
この日に能登方面に向かったのは麦畑が見たかったのがひとつと、能登半島方面に向いたい時にどの道がいいかを知りたかったのもあります。金沢あたりから能登空港あたりまで無料高速がありますから、250㏄クラスの車両ならこれを利用すると朝に出て昼前には能登空港に着くのですが、カブだとちょっと道を変えないといけません。
何度も走って、走り慣れた道だったけれど、カブだと妙に新鮮に感じていろんな道が楽しく感じてくるのはなぜかな、とちょっと不思議な気分でした。新しい車両だから新鮮に感じるっていうのは間違いなくあるんですが、なんだかいろんなものが目に留まるのですね。
高田さんに聞いた話ですが、ビッグバイクを走らせている時は長距離を稼ぐことは楽でも重量のある車両を常に無意識でバランスをとっているから、結果として疲れは溜まるんだよねと。
高田さんは2015年にカブで日本列島縦断ツーリングなどもされてますが、かなりの長距離を走らせて帰った後ビッグバイクの時と比べて全然疲れていない事に気づいたときは、バイク屋として様々な経験をしてきたからこそちょっとショックでもあったと聞きました。
ストレスなく整った状態のカブであれば、無意識に緊張することがあまりなくて、その分いろんなことに気が付いて、楽しめる余裕があるのかなぁなんて感じました。
この日は水田に映る夕陽をゆっくり眺めて、夕陽が海に落ちるところで帰路につきました。
おおよそ620㎞の慣らしツーリングでしたが、小排気量であってもカブ110NWJCコンプリートであれば無理して頑張ってという感じではなくゆったりと一日を楽しめました。
慣らしを終えツーリング仕様へ
週末はたいてい雨、晴れていても夕方は雨という天気が続き、仕事を終えてからのちょい乗りもままならず、最初の1,000㎞の慣らしを終えるのに時間がかかってしまいました。
慣らしを終えてからは、気になっていたヘッドライト対策としてフォグランプの追加、スクリーン、シートスタビライザーを装備して一気にツーリング仕様に深化!これで長距離を気持ちよく楽しめるようになりました。
能登方面へのツーリングは楽しかったものの、帰りの真夜中の走行でのライトの見づらさ、防風のジャケットを着ていたとはいえ一定の速度から負担を感じる風圧、長く座っていると安定感がいま一なシートと、疲れ知らずで走れるSL230TMには及ばない部分も感じられました。
ツーリング仕様になって一番驚きを感じたのはシートスタビライザー。高田さんのJA10型のコンプリートをお借りしてキャンプを楽しんだ時、シートの安定感は大事だなと思いましたが、どちらかというとシートの張り替えの方が大事だと思っていました。
それがシートスタビライザーを装着したら一気に剛性がアップ!
前回CB400SSで西へ走りに行ったとき高田さんにアドバイスを頂いた、バンクさせている時の体の動かし方、つま先の向きといった姿勢の違いがダイレクトに車両に伝わるような感覚です。
見た目にはシンプルな部品で、車両全体からしたらわずかな割合ですが、こんなにフィーリングに変化があるとは驚きです。
その後、また別の日に、高田さん、様々な車両を楽しんでいる寺山さんと3人で短距離でしたがカブを走らせ楽しむこともできました。
先頭の寺山さんにリードしてもらいつつ、真後ろには高田さん。カブはゆったり楽しめるバイクだなぁと思っていたけれど、前を走る寺山さんのカブはペースを落とさず坂道でもぐんぐん加速していき、なめらかにカーブを抜けていく。
自分のイメージしていたカブと全然違うぞ…?とここで気付き、使い方が違うとこんな風に走らせられるんだとちょっとショックを受けました。
先頭を高田さんのカブにリードしてもらって走ったことは何度かあるけれど、全員カブで走ったのは初めてだったので、自分の使い方と違うんだなというのが分かりやすかったのと、こんな風に走っていけるカブというイメージができるようになり、いい経験ができました。
カブシリーズは一般的に気軽さが魅力的と言われると思いますが、NWJCのカブ110コンプリートはその良さを活かしつつ、経験豊富なライダーでも楽しめるようセッティングされているのが段々と分かってきたこの頃です。
使い慣れたSL230TMと比べても半分以下の排気量で出力は比べるまでもないわけですが、カブらしいゆったりとした時間を楽しめるところと、ワインディングを同じように走らせようとするとしっかりエンジンを回して使いこなしていく必要があるところが面白く感じます。
これからもっと一体感を感じられるようたくさん楽しんで、相棒と言えるようになりたいですね。
レポート S・O