バイク屋の備忘録

これからも「最後の空冷ボンネビルT100」を楽しむ

トライアンフ ボンネビルが復刻した2001年よりバイク屋のバイク乗りとしてトライアンフ最後の空冷モダンクラシックシリーズを楽しみ、「乗り続けないと判らないこと」「乗り続けて解かること」などに基づいて、速さより心地よさの為のGoodコンディションは、バイク屋自らがライダーとしての実体験から始まると考えています。

  • トライアンフ最後の空冷モダンクラシックのボンネビル・スクランブラー・スラクストンのいずれかを長年楽しみこれからも良き相棒として楽しむライダー
  • 新たにこれからトライアンフ最後の空冷モダンクラシックを楽しみたい若手ライダー
  • 新型も経験して体感フィーリングの良さから最後のBigバイクとして、これから或いは再びトライアンフ最後の空冷モダンクラシックを楽しみたい経験豊富なベテランライダー

トライアンフ最後の空冷モダンクラシックを楽しむライダーの多くは、最新技術を搭載した現行モデルでは決して味わえない、あくまでも操る人の感性を第一とした素朴な乗り味を求められています。

埼玉のK・Iさん これからも空冷ボンネビルT100を心地よく楽しむために

埼玉よりK・Iさんが、空冷ボンネビルT100のメンテナンスで久々に来店されました。

K・Iさんが数年前初めて来店されたとき、釣りのエキスパートでバイクと同様に釣りに関しても感性が大切であることを伺い、ハイテク装備で釣り上げることよりも魚との対決(カケヒキ)が釣りの醍醐味であることや竿のセッテイングなどの話も伺い、感性で楽しむバイクに通ずるものを感じました。

また、琵琶マスを釣るトローリング漁法を最初に琵琶湖に持ち込んだ第一人者でもあり、海外で釣りのガイドもこなすプロフェッショナルな方です。

以前来店されたときは、同じ埼玉のスクランブラー900に乗るK・Oさんとご一緒に来店されてスクランブラーとボンネの2台同時にほぼ同じ内容でステムBGの交換も含むフルメンテナンスとなり、K・Iさんのキャブが不調でセッテイングが決まらず、てんてこ舞いしたことを思い出しますが、何ら変わらずボンネビルを良き相棒として楽しまれているのは何よりで嬉しい限りです。

走行距離は前回の23,779kmから50,778kmへと延びて、これからも良き相棒と何ら問題なく楽しめるようエンジン・キャブレター・サスペンション・ブレーキ・電気系統など、すべてお任せのメンテナンス依頼を受けました。

空冷ボンネビルでのライディングは釣りと同じでイメージングと感性で楽しむことだからと、釣りに関することは何も分からないのですが、ボンネのコンディションに関する要求は感性で楽しむ為に必要な要件であることがすぐに理解できて釣りに通ずるものがあることを今回も実感した次第です。

エンジンコンディション

走行距離が延びているので、バルブクリアランスもチェックしました。

前回の調整で吸排気共に基準値外のところが数多く調子が悪く、カムシャフトも荒れていたのでEPL PL500を多めに添加して、クリアランスを基準値よりも最小値に近いところで調整した相乗効果も出て、カムシャフトもPL500効果か綺麗で基準値内の程よいクリアランスで安定していました。

空冷モダンクラシックの場合バルブクリアランスは広くなる傾向です。メーカー出荷状態からほとんどの車両が最大値を超えた基準値外の場合が多く、正常な状態よりもバルブが開くのが遅れて閉じるのが早まるからガソリンの充填効率が悪くなります。

ストールやオーバーヒート気味の熱ダレなどの症状が出た場合のみ、調子が悪いと思われているようですが、低速トルクが細く本来の良さを発揮していないのが実情です。

インジェクションモデルの場合はキャブレターとは異なり負圧が無くても電気的に噴射タイミングに燃料を噴射するため、INバルブにカーボンの堆積などの問題が発生する事となり要注意です。

カムシャフトの荒れ具合なども含みクリアランスを狭くする場合と最大値と最小値の中央付近に調整する場合がありますが、使用条件や使用するエンジンオイルによってクリアランスのバラツキがでます。1度きりの調整では安定せず再調整を必要とする場合が大半ですから定期的なチェックが必要となります。

エンジンのコンディションは、冷却効果は勿論のこと操縦性にも大きく影響する為、重要なチェック項目となります。

バルブクリアランスの調整など不要という声も多数あるようですが、調整前と調整後の違いは大きく、エンジンコンディションを整える事は、マフラーなどのボルトオンパーツや足回りよりも最優先するべきメンテナンス ポイントです。

その効果は操縦性や安定性にも大きく影響します。エンジンのコンディションを整えた後に乗れば、その違いは誰にでも実感できることですが、経験がないとその違いは判らないことです。

キャブレター

年式が旧く走行距離が延びていない車両は、キャブレターボディー内部の通路がつまり気味の場合が多く見受けられますから、清掃がポイントとなっています。ボンネビルやスクランブラーの場合、清掃は勿論のことキャブレターの調整はジェット類よりも油面チェックが最優先されます。空冷モダンクラシックのキャブレターは、油面調整が可能なタイプが標準仕様です。

電装系統

電装系のトラブルが多いのはピックアップコイル・IGコイル・レギュレター・断線など様々ですが、レギュレターは低回転ではある程度の電圧があり回転を上げると下がる症状が多く見受けられます。K・IさんのT100も同様の症状があり、低回転から電圧が高く電熱ウェアーやグリップヒーターの使用時には有効なニュータイプのレギュレターに交換しました。

ブレーキ&サスペンション

ブレーキはローターの摩耗も激しくブレーキのコントロール性が低下しているとのことで、ブレーキローターを前後とも交換しました。キャリパーのダストシール部分の汚れによりピストンが引きずり気味でしたので、清掃してシールキットも交換しました。

ブレーキに関してはSTDに比べて制動力と操作性が大幅にUPして大満足との事でした。

フロントサスは、シール類のチェックとフォークオイルを交換して前後のバランスを整えました。

各部のチェックとメンテナンスが終わり、コンディションとトータルバランスを整えたその走りに満足されたのは何よりです。K・IさんがこれからもGoodコンディションの良き相棒と共に素敵なバイクライフを末永く楽しまれることは嬉しい限りです。

トライアンフ最後の空冷モダンクラシックのコンディションについて

エンジンがかかってそれなりに動けば「こんなものです」という表現となるようですが、バイク屋NWJCが提案する「こんなものです」は、基本性能を引き出して素朴な乗り味を楽しめるエンジンコンディションに整えることをはじめ各部に独自のメンテナンスを施してコンディションを整えて、バイク屋North Wing JCとしての基準を示したいと思う次第です。

空冷ボンネビルT100は、コンディションを整えると低回転からトルクがあり、エンジン回転を上げるとDOHC特有の湧きあがるような力強さで、クラシックなスタイルを纏ってはいるものの、日本の道路事情には最適でスポーツライクに操る楽しさと、昔ながらの素朴な乗り味は格別です。

トライアンフ最後の空冷モダンクラシックをこれからも楽しむために

サーキットやクローズドコースではカテゴリーやスペックによる速さが求められていますが、一般道だからこそ速さより心地よさをコンセプトに、何かに特化することの無い曖昧さと和洋折衷のような大らかさで、普段使いからバイク旅まで、道を選ぶことも無く自由気ままにフィールドを拡げて楽しめる、NWJC独自の空冷ボンネビルT100とスクランブラー900の2014仕様は、バイク屋自らの実体験に基づいた提案です。

トライアンフ最後の空冷モダンクラシックは、最新技術を搭載した現行モデルでは味わえない素朴な乗り味が魅力です。

1台でも多くの空冷モダンクラシックをGoodコンディションで楽しんで頂くために、バイク屋North Wing JCではできる限りの応援をしたいと考えています。

何なりとお気軽にご相談ください。

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