SL230TMとカブC125
最近の健康維持
今年の春もコロナウイルス禍の為、一部の都府県に3回目となる緊急事態宣言が出てしまった。一日も早く、この感染症に対する警戒レベルが下がることを願うばかりだ。
最近はツーリングへ出かけずに自宅にこもりがちとなっている。通勤で毎日のようにバイクに乗ってはいるが、楽しいツーリングとは言い難い。
そこで、楽しいツーリングに出かける機会を伺いつつ、バイクのメンテナンスをお願いしようと高田さんに連絡を取ったら、カブC125 NWJCコンプリートを駆り定番のルートを楽しんでおられる最中とのことだった。
これは何かの縁だと思い、メンテナンスを後回しにして、SL230TMを駆り、途中で合流させて頂くことにした。
高田さんの定番ルートツーリングに参加させて頂くことは、いつも充実した体験をすることが出来る。不要不急の外出を控えているが、私にとっては身体的精神的調和を維持するのに不可欠な、バイクを楽しむ時間を味わう。この贅沢で有意義な時間を楽しませて頂いた。
春とは言え、早朝の気温は4℃とか6℃とか、かなり寒かった。風は冷たく、装備が不十分だと5分もしないうちに指先まで冷え始める。そこには、風を切って走る爽快感は無くて、寒い、冷たい。更に、風の抵抗を受けて長時間走っていると、体力を削られて、しんどいなあと思ってしまう。
装備を整えると、ある程度の防寒は可能だ。それでも走り続けていると不快なことの方が多いと思う。歳を重ねる毎に辛さは増している気がする。高田さんもブログで防寒について書かれていたが、その通りだと思う。しかし、専用のスクリーンなどを装備しているSL230TMは防寒対策もバッチリだから、そんな思いをすることは無い。
コロナウイルス禍によって、バイクを楽しむ時間がとても貴重なものに感じられるようになったので、今回のツーリングでは、自分はバイクをどう楽しみたいのか今はどう楽しんでいるのか、を考えながら走っていた。
イメージと実体験
前を走る高田さんは、いつもと同じで何かをチェックしながら楽しんでいる。今回はいつも見ているカブ110NWJCコンプリートの走り方と比べると何処か違和感があった。後で尋ねてみると、ウネリのある深いコーナーを走っている時に、荷物を満載にしたC125ではバンク角を少し深くしないと向きが変わり難いとのことだった。
カブ110 NWJCコンプリートでは気を遣わずに済むようなところでも、C125コンプリートはほんの少し扱い辛そうに見えたところに、違和感があったようだ。
荷物を、キャンプする為のフル積載状態にしなければ、17インチのキャストホイールが生み出す安定感も良く、フル積載にして荒れた道を走る時にはカブコンプリートに軍配が上がるそうだ。これは、実際にフル積載させて、定番コースを楽しんでおられるから判る違いのようだ。
私が以前乗っていたドリーム125をフル積載状態にしてワインディングで剛性が足りない状態よりもキャストホイール分だけ剛性が高く、ドリームよりも110コンプリート寄りの感じかなと、高田さんらしい独特の表現は、私の経験を踏まえてイメージしやすく理解できる。
色んな条件下でバイクとの会話を通じて、バイクを深化させることを楽しんでおられる高田さんは、C125の問題点を対策したモディファイも検討されているようなので、いずれC125コンプリートに反映されることと思う。
バイク屋としての高田さんは、いつものメンバーをはじめ多くのライダーとツーリングを通じて、バイクはスペックやハイテクよりも感性で楽しむことだと、ライディングに関してはトレッキングごっこをはじめ、メンテナンス、セッティング、モディファイなども含めて、実体験に基づいた情報発信を続けておられる。
高田さんと同業のバイクショップさんと、カブやスクランブラーで一緒にロングツーリングをしたことが過去にあるが、何が目的の参加かと疑問に思っていた。
同じであるかのようなイメージ作りと情報収集で、NWJCもどき情報が発信されていたが継続性もなく、高田さんの云われる、売るが為の提灯記事と同じで、まさに似て非なるものかと。そう考えると合点が行った。
ライダーとしての実体験があれば、売るが為のコピペ情報や提灯記事は、商品説明と同様の紋切り型の表現だと感じるから違和感がある。経験豊富なライダーは、感覚的なことは自分の言葉で表現しているという特徴があり、説得力があるように思う。
アナログと実体験
ネットで自称ベテランライダーの記事を見ていると、バイク選びは一番楽しい時期だ、というようなことが書かれていることがある。バイクの楽しみ方が分からずに、雑誌の情報に振り回されていた学生時代、バイクに乗ることにマンネリ感を覚え始めた頃に私もそう思ったことがあった。
しかし、よく考えると、漠然としていても、何かを楽しむ為にバイクを買ったのだから、バイク選びが一番楽しいと感じてしまうのは奇妙なことだと思う。
バイク選びが一番楽しいわけでは無いにせよ、バイク選びはとても重要だ。選んだバイクによっては、楽しみ方が制限されてしまうからだ。
競技用のバイクを購入して競技に専念するのでなければ、楽しみ方の幅は広いに越したことは無いように思う。
あまりWebの情報にはないようだが、アナログ感のあるバイクの方が、電子補助装置の付いたバイクよりも、楽しみ方に幅があるということも注意したいところだ。
電子制御のサポート装置が沢山付いていれば、気軽に簡単にバイクに乗れて、楽しみ方の幅が広くなるように思うのが一般的だと思う。カタログも雑誌も大手のバイクWeb情報も、そう思わせるように、書かれている。
でも、実際に乗ってみると、電子制御は万能ではなく、危険な目に合うこともある。未舗装路を走りABSが作動すると制動距離が延びて止まれないというのが一番分かり易い例だと思う。
トライアンフの空冷ボンネビルから、スクランブラー900へと20年ちかく楽しんできた。ボンネビルが水冷タイプになり、高田さんのところで新型水冷ボンネビルを試乗した時、電子制御のサポート装置が付いていると、自分の操作とバイクの反応に埋めることの出来ない溝があるのを感じ取り、ここまで会話が噛み合わないものなのかと驚き、アナログの良さを改めて実感した。
私にとっては、アナログ感のあるバイクに乗って、速く走ることには拘らず、時にバイクとの会話を楽しみ、時に目の前に広がる景色や空気感を楽しみ、心地良く走り続けることが、最高に楽しくて贅沢な時間なのだ。
最新型の大型ツアラーがロードサービスを待っている姿やロードサービスで運ばれていくのを目にすることがある。電子制御が複雑になればなるほど、故障するリスクが高くなってしまうことも、ツーリングにとっては足枷になったりするから、不安要素は少ない方が良いと思う。
SL230TM(ツーリングマスター)
楽しみ方は十人十色で、私も色々と違った楽しみ方をする。幸いにも私は複数台のバイクを所有することが出来ているので、楽しみ方に合わせてバイクを選んでいるが、GoldWing1800は、超大型ツアラーとはどんなものかと好奇心を以って楽しみ、自由気ままには楽しめないことも知る事ができてその役目が終わった。
今回はカブC125を駆る高田さんと岡山の蒜山で合流することになったので、高速道路を走れて、カブと同じペースでもストレス無く楽しめて、それでいて小回りの利くSL230TMを選んだ。
十数年前トレッキングごっこを楽しんでいる最中に、突然、タイヤが地面を掴む感じが体の中に入って来た。ディスクローターがパッドに挟まれてタイヤが踏ん張りブレーキが効く感じと、効き過ぎてグリップとスリップの臨界も感覚的に判るようになり、言葉には出来ない感覚が体の中に入って来た時から、私とバイクとの会話が始まった。
高田さん自らが楽しむ為に深化させたのが始まりのSL230TM(XR230TM)は、空冷単気筒2バルブのエンジンフィーリングはとても心地良くて、心をおおらかにさせてくれるような気がしてとても気に入っている。小排気量のオフ車だけれど日帰りで500km以上走っても辛くない。
因みに、モディファイがされていない状態のSL230では心地良く走れない。やせ我慢をすれば何とか500km走り切ることは出来るけれど、150km走るとしんどくなって嫌になり始め、200kmも走ったら閉口してしまい、500km走ったら心身ともにクタクタで暫くバイクに乗りたくなくなってしまう。
トレッキング仕様のSL230とは異なる新たな楽しみ方を提案されたTM仕様のSL230は、エンジン特性は同じでも、フル積載で高速やワインディングをストレス無く走れて、色々なことを私に語り掛けてくれる。私の力量で楽しめる範囲で、おおらかな気持ちでバイクに乗っていると、心身共に清々しさを感じる。
今日も一日充実したバイクライフを送れたことに、バイクを趣味として楽しむことが出来る環境にいることに感謝しつつ、バイクに乗ることの楽しさを実感した。
私はこうして健康状態を維持しているのである。