ボンネビルT100 2020年乗り納め
今年は、過去に経験のないコロナウイルス感染の猛威により、恒例の東北ツーリングなども中止にしてバイクライフを存分に楽しむこともできず、何かと考えさせられることが多くあった。
チョイ乗りではボンネビルT100やSL230TMを楽しんでいるが、今年はコロナ禍により県をまたぐ外出の制限もあり、CB250Rを旅仕様にするNWJCツーリングマスター企画と同時進行したヤマハSR500の旅仕様等の煮詰めに時間を割かれて、ボンネビルT100を存分に楽しめなかったことが心残りであった。
定番の西日本をボンネビルT100で楽しむ今年の乗り納めに出かけるタイミングを窺っていたが、コロナウイルスの感染者が増え続け、日本海側の天候も悪く令和2年も残すところあと数日となり、思案していたところ、大忙しでごぶさたの村田さんから「息抜きのため、一走りしましょう」と連絡が入った。
村田さん曰く、大忙しでバイクを楽しむこともできずだったが、11月はカブNWJCコンプリートを駆り12月中頃にも皆と木曽路を楽しんだことも聞き、今年最後の遠出を共に楽しみたいと思っていた。とのことで意外な展開となり、空冷スクランブラーとボンネT100によるいつものコンビで、真冬の木曽路を楽しみ2020の乗り納めを無事に終える事ができた。
村田さんとは30数年来の付き合いでコンビは20数年になり、村田さんがR1100GSに乗り始めたころからが始まりで、年に何度も長距離に出かけて共に楽しんできたがホンダ ゴールドウイングはおっさんライダーが乗るのをやめたときから村田さんも乗らなくなった。
カブ110NWJCコンプリート・R100RS・空冷スクランブラー900・SL230TMなど複数台をマイペースで楽しまれている。そんな村田さんと久々のツーリングである。
村田さんのトライアンフ空冷モダンクラシック歴もおっさんライダーとほぼ同じで、来年で20年目を迎える。ボンネビルT100から始まりスクランブラー900の走行距離は近々9万キロとなり、ボンネビルT100から始まりスクランブラー900へと2014仕様への深化の過程における試行錯誤もよくご存じである。
再び木曽路へ
11月にカブ110NWJCコンプリートで木曽路を楽しんだときは落ち葉のじゅうたんが綺麗だったが、12月中頃に皆と木曽路へ出かけたときは峠では雪と路面凍結となり、今回はさらに路面状況は悪く馬籠から妻籠への峠では凍結と圧雪路面で寒さも一段と厳しく今年最後の木曽路となる事は容易に想像できた。
R19から馬籠へ向かい、皆が辿ったのと同じルートでの峠越えは無理だと思っていたが、馬籠峠から妻籠宿への急な下りの九十九折れでも積雪と凍結路面となり、カブやSL230であればなんら苦も無いのだが、ボンネT100では少しビビったが難なく通過することができた。
人の営みが今日まで連綿と続く木曽路の街並みは、どのバイクで訪れても自然とアクセルを持つ手が緩みスローダウンしてしまうほど、文化が放つ緩やかな時間が心地よい。
三留野宿では細い迷路のような街中を抜け須原宿では水船を眺めてのんびりと、素朴な乗り味のボンネT100とスクランブラー900の大らかさは違和感なく街並みに溶け込むことができたように思う。
宮ノ越宿では道沿いの蕎麦屋で昼食を楽しみ、奈良井宿から贄川宿へと進み木曽路をお気に入りのボンネT100で楽しむことができた。訪れるたびに寒さは厳しくなり、出発から帰り着くまでバイクは1台も目にすることはなかったが、これからの季節を楽しむならば防寒対策は云うまでもないことである。
ボンネビルT100の防寒対策
グリップヒーターのないボンネビルを駆って寒い中を長時間走り続けると、寒さで血流が悪くなるのか指が攣って思うように操作ができないことが、時々あったが歳を重ねるごとに頻繁になり、この季節は防寒対策なしでは思うように乗れなくなってきた。
ボンネのハンドルバーはインチバーだからグリップヒーターも一回り太くなり、RSAレザーズの特製ウインターグローブでも操作感にはなんとなく違和感があり、グリップヒーターを装着することを避けていたが、ここらで観念してその感覚に慣れて楽しむことにしたら、その効果は絶大で指が攣ることは無くなった。
村田さんは、いまだナックルガードも装着せずグリップヒーターだけで楽しんでいたが、途中で手は冷たくないのかと訪ねてみて村田さんの手を握ると、おっさんよりも冷たい。でも手が攣ることはないと云う。何故だろうと思い聞いてみると、「手のひらは僕のほうが温かいはず」と云われて比べてみると確かにそのようで、要するに衰え始めたことのようであるが、防寒対策でまだまだ楽しめるから何ら問題はない。
ウインターウエアーのインナーは、RSAレザーズのおっさんライダー用の特別仕様で、おっさんライダーが長年愛用している冬の必需品であるが、長年使って少々くたびれた感もありそろそろ新調したいところである。
ボンネT100専用のハンドルカバーもRSAレザーズの足立さんに無理を云って年明け早々に準備してもらう予定で、防寒対策を強化して路面状態が良ければ大いに楽しみたいと思う次第である。
ボンネT100用のオリジナルスクリーンは風の巻き込みも少なく、当日は曇り空で日差しは全く無くて外気温が1度から4度程度の中を走り続けたが、前面から徐々に冷えて芯まで冷えるようなことはなく、そのフェアリング効果はバイク旅には必須であり、これからの季節の防寒対策には大いに役立っている。
ボンネビルT100 NWJC2014仕様
ボンネとの付き合いは来年で20年目を迎える。乗り始めは何とも云えない出来の悪さと云うかバランスも悪く、えらいモノ買ってしまったと後悔したのが正直なところであったが、何故だろうとその問題を突き詰めて独自のメンテナンスやモディファイを施すうちに、その良さを引き出す術を見つけた次第である。
思うように曲がらず、低速域からのツキも悪く、コーナーリングでは掴みどころも安定感も無く、ブレーキの操作性も思うようにならず、走り続けて遠くへ出かけると気疲れしてしばらくは乗りたいとは思えないほど色々あったが、トライアンフ空冷モダンクラシックの様々な問題を解決して2014への過程も楽しむことができた。
NWJCオリジナルのマルチキャリアやサイドラックは積載時の操縦性や安定感も考慮した仕様で、フル積載のタンデムでも長距離を楽しめる実力は最新のツアラーと比べて勝るとも劣ることはない。
それはスペック云々の数値的なことではなく、日本の道路事情の中で気負うことも無く自由気ままにフィールドを拡げて如何に心地よく楽しむことができるかということである。
外観だけ古めかしいアナログ風のバイクも増えて、昨今のバイクはABSブレーキ・電子スロットル・アクティブサスペンションなど電子制御満載でライダーの技量の低さを補うことのようだが、操っているつもりが実は乗せられていることに気づかない勘違いしたライダーも多く、危険な行為を目の当たりにすることがある。
バイク事故の記事は毎日のように目にするから、最新のテクノロジーが人に優しいわけではないと思う今日この頃である。
美しい方は更に美しく、そうでない方はそれなりに・・・こんなCMが流行ったのは80年代のことだったか、巧く操れる人はさらに楽しみ、そうでない方はそれなりに・・・と、80年代に流行ったCMと同じように昔ながらの素朴な乗り味のアナログバイクは、スペックや数値に関わらずライダーの技量が走りに反映されるから勘違いさせることも無く人に優しい。
ライテクに拘るよりも巧く使いこなすスキルアップの過程で、人の関わる領域が広いほど操る面白さがあることに気づけば、一体感が心地よいアナログバイクたち。ヤマハ SR・トライアンフ空冷ボンネビル・スクランブラー900・BMW OHV/Rシリーズなど、アナログバイクの持つ優しさは時代が変わっても色あせることはない。
大型バイクは生活の必需品とは言い難く、移動が目的の車は自動運転云々で電動化の時代となり、バイクも電動化が進むようで高齢化も加えて陽斜期だから市場は小さくなっているが、バイクならではの良さはアナログバイクの中にあるように思う今日この頃である。
バイクはタイヤ2本で何故倒れないのか
昨今ではABSブレーキシステム・トラクションコントロール・アクティブサスペンションなど、ライダーのスキルを補う電子制御が満載されているのが高性能で安全であるかのように謳われているが何かが違う。
電子制御で巧く走れるのではなく、バイクが道具として機能するには人車一体であることが条件だから、当たり前のことだが、バイクは人が乗ってバランスをとり操作をするから倒れることなく、走り、曲がり、止まる、乗り物だからである。最新のテクノロジーで倒れることを無くせばバイクでは無くなる。
工業製品としてのスペックやカテゴリーなどの進化よりも、昔ながらの素朴な乗り味のアナログバイクは、人車一体で操る楽しさでライダーを飽きさせることがないのだが、その魅力はコンディションが整ったバイクのみであることは云うまでもない。
世の中は疑う余地も無く、新しいほど良いと思い込む思考停止傾向にあるが、バイクは人の関わる領域が広いほど操る歓びと充実感があるから、空冷ボンネビルT100やスクランブラーが持つ昔ながらの素朴な乗り味のアナログ感は色あせることも無く、時代に埋もれることも無く輝いているのは何よりである。
おっさんライダーお気に入りのボンネビルT100NWJC2014仕様は、トライアンフ最後の空冷モダンクラシックで、そのアナログ感はおっさんライダーを飽きさせることも気疲れさせることも無い良き相棒であり、名車である。
Next Stage 2021
ボンネビルT100で2020年の乗り納めができたことは何よりで、来年も、速さより心地よさをコンセプトに、何かに特化することのない曖昧さと和洋折衷のおおらかさで自由気ままにフィールドを拡げて、お気に入りのバイクと共に素敵なバイクライフを満喫したいと思う次第です。よろしくお願いします。
皆さん、今年も一年お付き合い頂きありがとうございました。