バイク屋の備忘録

SL230NWJCツーリングマスターを楽しむ

朝晩は冷え込み寒くなってきたがバイクを楽しむには最適な季節となり、日曜月曜でキャンプを予定していたSL230NWJCツーリングマスターの村田さん、大矢君、おっさんライダーは、フル積載状態で準備を整えていた。

そこらで熊騒動を耳にすることもあり、山でのキャンプは万が一のこともあるから中止したほうが良いのではと、西やんからの心配する声に応えてツーリングのみを楽しむことにして、CRF250NWJCコンプリート、Yamahaセロー250ファイナルエディションを加えた計5台のデュアルパーパスモデルでツーリングを楽しんできた。

いつものメンバーと共にセロー250を旅バイクに仕上げるにはどんな問題点があるのかを探ることも含めて350Km程度の道のりでNWJCツーリングマスターとの違いを夫々の観点でチェックすることも楽しんできた。

おっさんライダーからの提案であるマルチパーパスのCB250R/NWJCツーリングマスター・コンプリートも同時に走らせて皆に乗り比べてもらって確かめたいと思っていたのだが、RBRのオヤジがロングツーリングの予定があるからと相談にやってきたから、セローだけでの比較ツーリングとなった次第である。

ライダーが心地よく走り続けられる環境

Yamahaセロー250は大人気の機種だからツーリングを楽しんでいる姿をよく見かけるが、セロー250をNWJC風旅仕様に仕上げるための問題点と方向性を探るため、夫々がNWJCツーリングマスターと比較してセローを走らせてからの聲によると、シート・足回り・積載性などなど様々な問題点が浮かび上がってきたからセローの旅仕様が具体的になり始めた。

気になっていたセロー250のシートは、セロー225やSR500同様に200Kmも走ればお尻が痛くなるから昔と何ら変わっていないようで、現行のCB250Rのシートは100Kmも走れば不快で酷いものである。

車格の最適化(ジャストサイジング)をテーマにバイクライフを見直すことは2011年10月にCBR250R(MC41)を駆って北海道ツーリングに出かけた頃から始めているが、当時のCBR250Rも現行CB250Rと同じような形状のシートだったがお尻が痛くなることも違和感も無く走り続けることができた。

現行のCB250RのシートでもMC41と同様にお尻が痛くないシートにできるのだろうが、コストダウンで質が落ちたのか落としたのか、乗り手の事よりもデザイン優先なのか、足つき優先なのか、チョイ乗りバイクだからか、おっさんライダーの実体験に基づくと酷いものであると云わざるを得ないし、大人の質感などという意味不明な言葉と同様でイメージのみで中身が伴わないのが現実である。

→CBR250Rで北海道ツーリング

余談だが、RBRのオヤジもCB250Rのシートの形状や質には怒りを覚えるほど不快であると、ライダーとしての実体験からの率直な聲には同感である。

ライダーが心地よく走り続けるための環境は、体格の違いも含めて片道100Km程度で不快になるシートでは片道300~500Kmとか何日も走り続けるバイク旅ではシートの仕様を変更せざるを得ないのが実情で、バイクと一番触れている時間が長くライディングポジションにも関わるシート・ハンドル・ステップなどは重要な機能パーツだが、シートに関しては足つきのみを重視している傾向にあるのが現実のようである。

今回のツーリングでは不評のセローのシートを社外品のシートに変更してその出来具合をチェックすることも目的の一つであり、SL230のメンバーは全員がNWJCコンフォートシートに変更しているため、形状、ポジション、快適性などその違いも皆が興味を持っていた。

しかし、そのシートは輸入品のため体格の違いか着座ポイントが後ろすぎるデザインのためライディングポジションに合わず充分に比較することができず残念であったが、現在進行中のセロー企画で一番長い時間と距離を走らせている西やんからは、ノーマルシートよりも快適であるとのこと。

また、スクリーンを装備していないセローに乗ることでSL230専用スクリーンによるフェアリング効果の恩恵も改めて実感できたとのこと。

また、我々には不評であるCB250Rのシートに関して売るがための提灯記事では曖昧な表現が多いのも面白く、足つきのみを重視した国内メーカーのシートに比べて外国車では快適に走り続けるためのコンフォートシートも準備されているから2輪文化の違いは明白だが、車格やスペックは日本の道路環境では疑問に思うことが多々ある。

SL230ツーリングマスターとCRF250NWJCコンプリートとYamahaセロー250

久々にSL230ツーリングマスターを走らせ空冷シングル2バルブエンジンの体感フィーリングの良さはお気に入りで「速さより心地よさ」そのものであり、おっさんライダーが気負うことなく自由気ままにフィールドを拡げてバイク旅を楽しめる「欲張りなおっさん仕様」を思い描いた原点である。

CRF250NWJCコンプリートに乗る土岐さんは水冷デグリーでトレッキングごっこを楽しみ、他の皆はSL230トレッキングごっこ仕様からSL230ツーリングマスターへと深化した仕様で、今までにない使い勝手と乗り心地でチョイ乗りからフル積載のキャンプツーリングなども楽しんでいる。

SL230に乗るいつものメンバーは、セローとの乗り比べで改めてSL230ツーリングマスターの良さを実感できたとのことだが、セロー250も様々な問題点や違和感が浮かび上がりメンテナンスやモディファイでコンディションが整って深化する過程もぜひ体感してみたいとのこと。

土岐さんは、それぞれに良さがありどちらも楽しかったとのことだが、CRF250の低回転域のトルク感は2バルブのセローと比べるのは無理でも、CB250Rよりも細いトルク感には不満があるとのこと。

燃費においてはセロー250が45Km/Lで最高値であったこともお伝えしておく。

深化するCB250R/NWJCツーリングマスター・コンプリート

マルチパーパスのCB250R/NWJCツーリングマスターも同時に走らせる予定だったが、RBRのオヤジに試作パーツ等を貸し出して中止とした経緯について少し伝えておきたいと思う。

「何かに特化することのない曖昧さと和洋折衷の大らかさで楽しむマルチパーパスのCB250R/NWJCツーリングマスター」は、緩やかな放物線を描くように小排気量から大排気量を経て再びSL230ツーリングマスターやカブ110NWJCコンプリートへと、気負うことなく楽しめる車格や排気量の最適化への過程でバイク屋のバイク乗りとしての実体験で培った発想である。

CB250RがNWJCツーリングマスター・コンプリートへと深化して西の定番ルートで各部のチェックが終わるとSR500NWJCツーリングマスターの時と同様で、RBRのオヤジが試作のスクリーンと仕様変更したコンフォートシートTypeⅡや積載力を増すリアキャリアKitにトータルバランスを整えたセッティング等も含みRBRのオヤジのCB250Rに組み込みチェックしたいとの事で朝から待ち構えていた。

RBRのオヤジ曰く「何かに特化することのない曖昧さと和洋折衷の大らかさで楽しむマルチパーパス」をCB250Rでイメージしてみたが、あまりにも奇想天外で感覚的にも想像し難いから、その裏づけとして自らがライダーとして確かめて納得できれば諸手を挙げて賛同できるし、皆にもマルチパーパスの魅力を体験談としても紹介し提案できるとの事だが、イメージできないもどかしさがビンビンと伝わってくる。

ライダーとしてもバイクライフを楽しんでいるRBRのオヤジは、CB250Rツーリングマスター・コンプリートの深化していく過程では遅れを取ることなく同時進行でチェックしたいようで、キャンプ道具などフル積載状態のCB250Rでワインディングからダートまで様々な条件化で長距離を走らせる実体験が何よりであるとのこと。

深化しているCB250R/NWJCツーリングマスターが、どのような評価となるか、マルチパーパスをどのように捉える事ができたか乞うご期待である。

緩やかな放物線を描く素敵なバイクライフ

若かりし頃、ブランドやスペック、カテゴリーに憧れて、好奇心を満たすためにライテクを磨いて素敵なバイクライフを追い求めてきた諸兄も多いことと思う。

憧れや好奇心でいつか乗りたいと思っていたビックバイクを手にした感動で、しばらくは頻繁にあちこちへ出かけて楽しんだものの、大柄で重く思うように扱えず持て余す車格と日本の道路事情ではその実力を発揮する事ができない動力性能などを実感すると、時間の経過とともに感動も薄れて乗る機会が少なくなるのが実情でもあり、多くのライダーが経験していることでもある。

経験を積み重ねる事により、衒いや見栄も含み流行りや廃りに惑わされることなく、扱える車格と使いこなせる排気量への最適化(ジャストサイジング)は、Bigバイクではマネの出来ない使い勝手の良さで、気負うことも無く自由気ままにフィールドを拡げて脇道へ逸れることも立ち止まることも厭わず楽しめるバイクライフを満喫して、価値観に変化が生まれていると実感されている諸兄が増えているが、価値観の変化は当然の事でバイク屋のおっさんライダーも同感である。

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