まさに「お箸でフルコース料理」の如く

5月に「トレッキングごっこ」をやってから、3ヶ月。最近はなんだか、バイクに乗っていて感じられることが増えてきた気がします。

VTRもSL230も、ツーリングマスター仕様として、荷物を積んだロングツーリングでも同じ感覚で走れるな、と思っていました。

けれど、「トレッキングごっこ」の後はそれぞれのバイクの特徴が、こんなに違うものだったっけ?と感じるようになりました。乗車姿勢の違いからくる自分のくせや、体重を移動させた時の反応など…。

トレッキングごっこの後、お店からXR230を借りて走らせた時も、SL230と似たようなバイクと思ってたけれどやっぱり違う部分も多いとか、やっぱりオフロード寄りの作りになっているという事も感じられたりしました。

それは、自分のバイクに対する感覚、センサーが働いて、磨かれて、これまでより多くの情報をキャッチできるようになってバイクとの一体感が増して来たということなんだろうと思います。

トレッキングごっこによって拡がったフィールド

最近は、バイクに乗って走れると思える道が増えたように思います。

VTRで未舗装路を走ることも、前はただ、ローギアでおそるおそるスロットルを開けてギクシャクしながらちょっと走れるという感じだったのが、この感じなら、このギア、このくらいのスロットルの開け具合で進んで行けば走れるな、という感覚が身についてきました。

また、以前は力の強いローギアで走ろうとしていたから、却って砂利を引っ掻いてギクシャクしていたんだなということも理解できるようにもなり、トレッキングごっこで何度も砂を掻いて走ったことがいい経験になりライディングに繋がってきているのだと実感してきています。

未舗装路を走るというのは乗り始めた頃では大変なことだと思っていたけれど、今の私の気持ちだと、ちょっとここを走れば抜けれるのにな、という時でも気にせず走っていけるという感じ。荒れた道はもちろん舗装路よりリスクがあるけれど、ダメだなと思えば引き返せばいい、という感覚で、選べる道が一層拡がってきたなという感覚があります。

これは私の勝手な思い込みかもしれないけれど、オフロードを走る、ということになるとより過激になっていく人が多い気がする。

以前のトレッキングの時も、派手な音を立てて、ハンドルにしがみついて必死に走っていく人が何十人と過ぎて行ったのを見て、普段と違う道を一生懸命走ることが、スリリングで、エキサイティングで、非日常で、走りきったという満足感があるのかもしれないなぁと思いました。

けれど私の中では、挑むとか、チャレンジとか、そういうことではなくて、荒れた路面の質感を感じながら操ることの楽しさとか、新緑の中を走ったときの木漏れ日の綺麗さだとか、そういうことが大事で、普段のツーリング、日常の延長線上になってきたのだと思います。

お箸のように

トレッキングごっこの最中、高田さんが何度も説明の時にバイクをお箸のようにつかう感覚について話をされていました。

例えばお豆腐のような柔らかい食べ物をお箸で食べようと思ったら、ちゃんと掴めて、しかも潰さない程度の力加減が必要で、箸を使い慣れない方だったらすぐには使えないかもしれない。未舗装路を走る時のスロットルの開け具合なんか、そんないつもの感覚と同じように感じられて、やっぱり、スロットルを開けすぎると(掴む力が強すぎると)路面を掻いて滑ってしまう(柔らかい食べ物を崩してしまう)。

これが、オフロード向けの高性能なタイヤだから、よくグリップするこのレースタイヤなら、このセッティングなら、と、より特化してしまうと、そのことについては難なくクリアできるかもしれないけれど、様々な道を長く走る旅においては、一部分はよくても他の道が楽しくなかったりして、全体を楽しむことには繋がらないのじゃないかと思っています。

柔らかい食べ物ならスプーンですくって食べよう、掴みにくいならフォークで刺そう。そうであればそれぞれは楽に食べられるだろうけれど、それは持ち替えれば良い食事においての話で。

実際にツーリングの最中では、路面に合わせてタイヤを変えたりセッティングをその都度変えたり、なんていうのは現実的ではないから、力加減さじ加減で多用途に使えるお箸のようにバイクを使おうということなんだろうな、と感じました。

そして、ライテクということではなく、箸を扱う時の持ち方、力加減を意識するような感性!というのがはじめてのトレッキングごっこで求められたことなんだろうなと。

バイクという「日常的な」道具

お箸のようにということもそうだし、使い方や力加減を誤ればリスクがあるという点では、カミソリなんかとも、とても似た性質だと思っています。これは冗談じゃなく、刃物を直接肌に沿わせるという恐いことでも、体を傷つけることなく身だしなみを整えることができているわけだから、いつ覚えたのかもわからないけど知らないうちに上手く力加減をコントロールできているんだなぁと。

それがバイクの場合は、エンジンという自分以外の力も使うから、使い方を誤るとリスクが大きいけれど、うまく使ってやれば自分の足じゃ登りにくい場所に行けたり、到底行けない距離まで行けるね、という身近な道具で、日常の道具と大した差はないんだよね、という気持ちでバイクという道具を捉えています。

今はコロナウイルス禍の中では叶わないけれど、またフラフラと出かけられるようになったら、そんな日常的な道具の延長線のような感覚で、旅ができたらいいなと思います。

綺麗な舗装路から未舗装林道、賑やかな街中から素朴な山村、街を見下ろす山から広く続く海まで。お気に入りの一台でそんな風に楽しもうというのは、使い慣れたお箸で和洋折衷のフルコースの料理を食べるようで、いろんなものを楽しみたい欲張りな私にぴったりだと思っています。

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