バイク屋の備忘録

バイク屋の令和2年5月

未曾有の出来事

今年はコロナウイルスによる非常事態宣言で遠出もままならず、生まれて此の方経験の無い日々を過ごすこととなっている。

疫病による国難は過去にもあるが、テクノロジーやITが云々と云われる現代でも古代と同様で疫病や自然の猛威の前では無力で、耐えることを思い知らされるのはいつもの事。

伊久良河宮1

記紀によると疫病が蔓延したことは古くは崇神天皇の御代にもあり、疫病で国が疲弊したことも含めて、豊鍬入姫命から倭姫命へと長い年月を掛けて天照大御神が伊勢に御鎮座されるまで各地を巡られ、美濃国の伊久良河宮(イクラカワノミヤ)にも4年滞在されたとある。

伊久良河宮2

所謂「元伊勢」と云われる美濃国の伊久良河宮(イクラカワノミヤ)の伝承がある神社は、すぐ近くの瑞穂市と安八町にある。

伊久良河宮3

出掛ける事もはばかられる今日この頃だが、各社を巡り「大神たちの広き厚き恩頼により、一日も速やけく、この悪しき流行を祓い却り給へ」と、コロナウイルスによる国難が1日も速く終息をすることを祈念した次第である。

伊久良河宮4

疫病除けの神事は全国各地に色々あり、6月末の夏越しの祓への茅の輪くぐりもその一つであるが、疫病退散を願う八坂の祇園祭も中止となったようで、人々の予定は已むを得ず中止や延期となっている。

伊久良河宮5

おっさんお気に入りのトラクターが働いている田園風景を城端辺りで眺めた後、金沢市のS・Sさんと共にカブ110NWJCコンプリートType3を駆って能登半島の神話を訪ね歩く予定だが、コロナウイルスが終息するまで延期となった。

伊久良河宮6

豊田のKさんは、C125NWJCコンプリートを駆って九州各地をキャンプで楽しむ予定で専用のサイドラック等心地よく走り続ける仕様を準備中だったが、今回はさすがに中止とされたようである。

伊久良河宮7

飛騨のアツシはアフリカツインCRF1000やSL230TMのオイル交換で来店の予定だったが、GWは飛騨から出ることを会社より制約されていたため、飛騨と奥美濃の境界付近でEPLエンジンオイルと好物の飛騨の中華そばを交換するためにおっさんライダーは出かけた。

伊久良河宮8

おっさんライダーは未曾有の出来事を悲観的に捉えるよりも、八百万の神々に1日も速い終息を祈念して、災禍を皆で乗り切れるよう願う今日この頃である。

久々のトレッキングごっこ

GWには九州を周る予定だったO君も予定を中止して時間を持て余して遊びに来て、トレッキングごっこについて語り興味津々のようで、言葉や文字では説明ができない感覚的なことばかりだから、早々と店を閉めて店先で基本についての実演となり楽しいひと時を過ごすことができた。

いつものメンバーの多くは、トレッキングごっこの為にSL230やXR230をトレッキングごっこ仕様にして操る悦びを会得し、其々のビッグバイクも楽しみフル積載でも速さより心地よさでフィールドを拡げて自由気ままに楽しむために、車格の最適化も含めてトレッキング仕様からツーリングマスター仕様(以下TM仕様)へと深化させてSL・XR230の懐の深さを堪能して新たなバイクライフを満喫している。

桜2

しかし、O君とH君はいつものメンバーとは真逆で、フル積載でも心地よく走り続けて旅を楽しめる其々のSL・XR230TM仕様はフロントスプロケットの変更のみで、ポコポコと歩くような速度でも粘るエンジン特性の良さを発揮するセミ トレッキングごっこ仕様へと深化させて、TM仕様として蘇らせたSL・XR230の懐の深さを実感することとなったようである。

草むらH

SL・XR230TMは、ツーリングマスター改めトレッキングマスターとして歩くような速度で草むらをポコポコと進んでいる。O君とH君はSL・XR230TMの懐の深さを未体験の様々な状況で実感しながら其々のトレッキングマスターとの一体感を高めて、新たなバイクライフへの期待でワクワクしているのが見て取れる。

斜面O

後日O君とH君には、ブランドやスペック・カテゴリーでは決して得られない操る悦びを少しでも体感することと、SL・XR230TMとの一体感により懐の深さを伝える事が出来ればと、XR230を駆って久々のトレッキングごっこに出かけた。
西やんと里見君が、サポートとしてSL230TMを駆って途中から合流となり感謝である。

XR230

バイク屋NWJC流のトレッキングごっこは、ライディングの原点である「操る悦び」は五官で感じ取る微妙な感覚の「コツ」を童の遊び心「ごっこ」感覚で身に着けることを目的としているから、O君とH君は知らず知らずのうちにフィールドを拡げ始めて、砂地やフラットダートからガレ場へと初めての林道でも気負うことも無く自由気ままにポコポコと楽しんでライディングのセンスが磨かれている。

→トレッキングごっこ

メーカー系販売店のライディングスクールに参加経験のあるO君は、GoodコンディションのSL230TMは使い慣れた道具の「お箸」と同様で微妙な感覚を伝えるセンサーであることの意味が解り始めたようだ。
体の延長線上にあるGoodコンディションのSL230TMであればこそ、ライディングはテクニックやスペックよりも感性が求められることで、トレッキングごっことライディングスクールの違いを改めて実感できたようである。

ブランドにスペックやカテゴリーなど提灯記事で所有欲を煽られて新しいモノはすべてに良い。それが世間の一般常識のようだが、近頃のバイクは燃料噴射でスロットルやブレーキにサスペンション等、各部が電子制御となってアクセルワイヤーも無くなりつつあるようだ。

林道O

速さより心地よさで楽しむために感覚的に微妙なところはアナログならではの良さには敵わないが、それらの感覚も新しさと引き換えに失われつつあるように思う今日この頃である。

バイク屋NorthWingJCは、台数至上主義のための提灯記事などで所有欲を煽るセールストークよりも、バイク乗りとしての実体験に基づいて乗り始めてから愛着を持って愉しめるコトを第一と考えている。

また、そのためのメンテナンスでは消耗品やボルトオンパーツ等の交換も必要だが、バイク乗りとして感覚的に違いが判る事もGoodコンディションに整えるための必須要件である。

しかし、乗らないバイク屋では判らないことでもあるから、バイク屋としての総合力を高めて素敵なバイクライフへの提案と応援ができればと思う次第である。

NWJC Traditional

Triumph空冷ボンネビルT100 BMW R100RT 新たに加わったYamaha SR500TM等、空冷シングルかツインエンジンでアナログならではの素朴な乗り味を大いに楽しんでいる次第である。

その昔お気に入りのCB450K1でGB500と能登へキャンプツーリング出かけたことがある。その時GB500を走らせたバイク仲間の地蔵さんが、CB450K1と同じエンジンのCB500Tに乗りたいから、おっさんが所有しているCB500Tを是非譲ってほしいと突然やってきた。

何台も乗れるわけではないのだが、おっさんライダー改め強欲じじいは躊躇してしまった。

CB500

地蔵さんもR100RSと空冷ボンネビルT100にC90とCT110、そしてGASGASパンペーラとXR230TM等々その他多数所有しているが、時間をつくり出して全車を万遍無く楽しんでいるのには頭が下がる。
強欲じじいのCB500Tは何年動かしていないだろう。

飛騨のアツシは、SL230TMの自由気ままに楽しめる乗り味とSR500TMの遠乗りレポートから乗り味を疑似体験してか、新車から所有している空冷シングルのCB400SSをツーリングマスターにして走らせたいとのことだが、近々SR500TMを貸し出して試乗後に再び検討の事とした。

CL400

名古屋のA・Wさん、トライアンフ空冷スクランブラーのエンジンコンディションは整いましたが、遠出は今しばらく我慢のしどころでしょうか。

スクランブラー

愛知県知立のO・Tさん、最悪のエンジンコンディションから脱してこれからというときに遠出を自粛するのは辛いとこですが、ボンネビルT100「ポデローサ」をピカピカに磨き上げてそのときを待ちましょう。

T100

東京のKさん、事態が少し収まれば空冷スクランブラーの件いつでもOKです。

Kさん

世の中は、疑う余地もなく新しいほど良いと思い込むのが現実だが、バイクは人の関わる領域が広いほど操る悦びがあり充実感があるから、素朴なアナログ感は色あせることもなく、時代の流れに埋もれることもなく輝いているのは何よりである。

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