バイク屋の備忘録

相変わらず自由気ままなバイク三昧を

令和になって初めての元日から一ヶ月が過ぎた。歳を重ねて体力の衰えはやむを得ないことだが、老いを受け入れることのないおっさんライダーは、相変わらず自由気ままにバイク三昧の日々を過ごしたいと願う次第である。

夫々に今年のバイクライフについての抱負はあるだろうが、スペックやブランドなども含んで大型バイクや新型に乗り換えてから持て余すこともあり、気持ちも萎えて車検から車検までの走行距離は僅かで張子の虎となり、夢か幻の儚いバイクライフとなってはいないだろうか。

バイクライフの起点はそれぞれに異なるが、バイクブーム絶頂期の80年代は免許制度の限定解除による大型免許はライダーの憧れであったが、自動車学校で誰でもが大型免許を取得できるようになり、小型から大型へとステップアップすることも無いままに、スペックやブランドへの憧れや好奇心から、売るがための提灯記事やレビューに惑わされて、夢幻のバイクライフの繰り返しとなってはいないか。

持て余し気味の車格から気負わず心地よく楽しめる車格へとジャストサイジング(最適化)すれば肩の荷が下りたような安堵感で、気負うことや持て余すことも無く、脇道へ入り込むことも立ち止ることも厭わず、速さより心地よさと多用性で自由気ままにフィールドを拡げてバイクライフを満喫するのはどうであろう。

バイク屋のバイク乗りとしての実体験に基づいて

小型から大型へとステップアップしてもスペックやブランドへの好奇心や憧れだけでは、満たされることや充実感は得られないから、気負いや衒いを捨て去って、あるところを境に排気量を下げて緩やかな放物線を描ける価値観でバイクライフを楽しむのはいかがか。

車格を最適化するジャストサイジングや昔ながらの素朴な乗り味を楽しむアナログ回帰など、いかに販売するかよりも如何に楽しめるか、バイク屋のバイク乗り自らの実体験より伝えたいコトがある。

2011年

水冷シングルのHonda CBR250を駆って北海道を走り、大型ツアラーと乗り比べてバイク旅で積載力を高めて操縦性と安定性の両立が必須であることを改めて実感したが、昨今のHonda車では積載性が充実したバイクは皆無ではと思うほどで、Bigバイクもチョイ乗りから道を選ばず自由気ままにバイク旅を楽しめる万能よりも、チョイ乗りかスポーツライクな移動に特化したバイクが多いように感じている。

2011北海道

→CBR250Rの潜在能力を遠乗りで試す その1

九州へはCBR250の積載性を僅かに高めた仕様で出かけ、九州からの復路はGold Wing1800 2台と共に走り、バイク屋のバイク乗りとしての実体験からスペックやブランドだけでは満たされないコトを実感して、バイク屋として「速さより心地よさで走り続ける楽しさ」が必然となりテーマとなった次第である。

CBR250積載力

スペックやブランド・カテゴリなどに囚われることなく余すことなく使いこなせる車格と排気量を最適化するジャストサイジングや、昔ながらの素朴な乗り味へのアナログ回帰による「速さより心地よさ」がバイク屋North Wing JCのこれからのテーマとなると確信したのは2011年ころからである。

2013年

カブでの旅バイク化は2010年ころから始まり、JA07型のカブでNWJCコンプリートのプロトタイプを企画してお気に入りの西へ長距離を楽しんだ。

JA07カブ

その後2015年にはバイク旅必須の積載力と操安などトータルバランスを高めたJA10型で九州から北海道まで列島縦断を実施して、「速さより心地よさと多用性」の使い勝手はNWJCコンプリートType2から現行JA42型のNWJCコンプリート Type3へと継承している。

→カブで列島縦断

2014年

VTR-Fのツアラー仕様を駆ってBigバイクと共に北海道ツーリングへ出かけて、エンジンコンディションはじめNWJC独自のンテナンスとモディファイにより、トータルバランスを整えれば250クラスでも何ら遜色の無い走りを楽しめて、持て余すことのない車格への最適化(ジャストサイジング)は、日本の道を速さより心地よさで自由気ままに楽しめるコトを再び実感できた。

VTR北海道

→VTR―Fで行く北海道 その1

VTRはその後生産終了となったが、積載力を高めメンテナンスとモディファイでトータルバランスを整えてTM(ツーリングマスター)仕様として蘇らせて、新旧関わらずジャストサイジングによる新たなバイクライフへの一例としてバイク屋のバイク乗りの実体験に基づいた提案である。

VTR-TM

また、2014年は2001年から乗り始めたボンネビルT100やスクランブラー等のトライアンフ空冷モダンクラシックにとっても、メンテナンスとモディファイによりトータルバランスを高めてNWJC2014仕様へと深化させて、素朴な乗り味でアナログ回帰への魅力を提案できると実感した年でもあった。

T100

2016年

トレッキングごっこで活躍した旧いSL230は、軽量コンパクトな車格を活かしてカブ110NWJCコンプリート感覚で積載力を高めて、道を選ばず自由気ままにフィールドを広げて楽しめる「欲張りなおっさん仕様」をバイク屋のおっさんライダーのために試行錯誤を始めた。

スタンダードのSL230からでは想像もできない「速さより心地よさと多用性」で、普段使いからバイク旅まで満喫できるSL230TM仕様へと深化させて蘇らせることができた。

→SL230を楽しむ

ツーリングマスター(TM)仕様として蘇ったSL230TM・XR230TMのポテンシャルは、トレッキングごっこや林道・獣道ツーリングを共に楽しんできたバイク仲間にとっては、2バルブ 単気筒の心地よさとフル積載状態でも自由気ままにフィールドを広げて楽しめるトータルバランスの高さは意外だったようである。

SL230TM

ライダーの平均年齢も上がり続けている今日、スペックやブランド・Newモデルが総てに良いわけではなく、バイク屋でもチョイ乗りだけでは何も分からないのが現実であり、バイク屋のバイク乗りとしてカブからBigバイクを乗り続けた実体験により、判る事と解ったことが数多くあり、「速さより心地よさで走り続ける楽しさ」を標榜して9年目を迎えた。

売るが為の提灯記事やレビューによる疑似体験から、夢か幻の儚いバイクライフとなるのを数多く見てきたが、バイク屋のバイク乗りとしては、流行廃りの娯楽の小道具とは一線を画したバイクライフを満喫していただきたいと思う次第である。

気負うことなく 速さより心地よさと多用性で楽しむ為に

現行モデルのNWJCコンプリートはカブ110NWJCコンプリートとカブC125NWJCコンプリートのみだから、ジャストサイジングを望むベテランに提案できる現行モデルのCRF250やCB250R・レブルでNWJCコンプリートを検討していたが、速さより心地よさと多用性で楽しむことを具体化するには、ヘタリが早く厄介と思えるコトもある。

バイク屋として心地よい走りを楽しむ為に数多くの車両を乗りながら違和感や問題に対応してきたが、足回り等の劣化を顕著に感じたのはNC700Xが始まりだった。ある走行距離を境にフロントスプリングのヘタリが激しく旋回し難くなるからFサスのメンテナンス等で対応して旅仕様を企画した事がある。

NC700X

リアサスもプリロード調整も出来ず積載状態かタンデムをすればヘッドライトはハイビームよりも上を向くバランスの悪い車両だったから、メーカー出荷状態に純正パニアケースを装着すれば心地よく楽しめる車両ではなかった。乗り難さを訴える声もあったが、価格からすればこんなものと思ったライダーも多かったようだ。

CB1100

CB1100のフロントサスも残ストローク時に違和感を覚えて対応したが、サスは外観からでは分からないところもあるから実走行で確かめる必要がある。車格やスペックに関わらずコストダウンにより面白さを失っているコトを実感する車両も数多くあるように感じているが、こんなものと納得している場合が大半のようだ。

CRF250のサスも不自然に後ろ下がりになるほど劣化が早く、旧型XRのような高級仕様でもなくプリロードを掛けて対応できるレベルではないが、積載性を高めた仕様は要検討である。
ジャストサイジングを求めているベテランライダーからの要望があり、バイク屋のバイク乗りの実体験から積載性と防風性を含みトータルバランスを見直した現行モデルのCRF250NWJCコンプリートの試作が近々完成の予定である。

同時進行で進めているCB250Rは、「日常の移動を遊びに変えるSports Roadster」と意味不明なコンセプトで、流行のデザインとチョイ乗りの荷物も積めない積載性はゼロ。徹底して移動に特化した単能さは、バイクの手軽さの見解が違うようでうんざりだが、144Kgの軽量な車重には魅力を感じている。

CB250Rも NWJCコンプリートとして、速さより心地よさと多用性で楽しむには少しやっかいで、もう少し時間が掛りそうだ。

バイク屋North Wing JC Next Stage 2020

バイクライフは夫々だから、何台も乗り継ぐ人もいれば、1台のバイクをじっくり長年乗り続けている人もいる。乗り続けている人にしかわからない違和感や問題点などは、バイク屋のバイク乗りの実体験に基づいたNWJC独自のメンテナンスとモディファイによりトータルバランスを整えた対応により、「速さより心地よさと多用性」で素敵なバイクライフを提案出来ればと常々考えている。

空冷モダンクラシックも「旧いからこんなものです」という対応ではなく、昔ながらの素朴な乗り味で「速さより心地よさ」を実感できるよう、Goodコンディションに整えるメンテナンスを1台でも多くに提供して、アナログ回帰への魅力をじっくりと満喫して頂きたいと思う。

今年も成果主義や台数至上主義で売るが為の提案より、バイク屋のバイク乗りとしての実体験に基づいて、Goodコンディションに整えることも含めて、乗り始めてから判る価値ある1台を提案できることや、素敵なバイクライフの為のお手伝いができるバイク屋で在りたいと思う次第である。

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