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SL230TMレビュー / 疑似体験から実体験へ

2018年はSL230TMを目一杯楽しんだ1年でした。初めてのオフ車、SL230が手元に来てからちょうど1年が経ち、走行距離も10,000kmを超え、だいぶ慣れて来たところでこのバイクの印象を少し綴ってみようと思います。

SL230の印象

SL230はNWJCに遊びに行くとXR230とともによく見かけるバイクでした。経験したことのなかったオフ車のイメージは、低速寄りのギア比で遅く、単気筒は振動が多く高回転まで回らなくて辛そう、というものでした。

NWJCに遊びに来ていたお客さんが通勤で何十キロとか、荷物満載で日本一周キャンプツーリングしてきます。なんて話をしていたのを聞いた時には、頑張って走ってるんだなぁ…と思っていました。

その後にNWJCとは別の処でSL230を乗る機会があり、とても軽いのに驚いて、こんなに軽いなら気楽で良いかも…ただし60kmとかで走るなら…と感じました。

車両がすでに生産終了してかなり時間が経っていることもあり、手元にあったらいいなという程度でしたが、NWJCのSL230に試乗させてもらう機会があり、以前乗ったものとは走り出しの力強さ、速度の伸び方、安定感などに違いを感じ、また他メーカーのトレール車と比べてもやはり軽さは際立っていて、これに乗りたい!という気持ちが高まってきました。

オフ車の感触を確かめる

運良く私の手元に来てくれる一台がNWJCにあり、初めて乗るタイプのバイクの挙動と、シングル2バルブエンジンの特性といわれる スロットルの開け始めから力強さのある走りを楽しみました。

気楽なので積もった雪に入ってみたり、未舗装路に入ってみたりして…オフの経験がある方からしてみたら「なんちゃって」もいいところなのですが、それまで乗っていたオンロードバイクではそんな気は起こらなかったものですから、軽量なことが遊び心をくすぐるのでしょう。

SL230TM 仕様で初のキャンプツーリング

しばらくはそんな様子でラフな道でも気楽に走れるバイク、という感じで乗っていましたが、ちょうど暖かさも感じられるGW直前、NWJCオリジナルのツーリングキャリアを取り付けて足回りなどの調整も含めて旅仕様のTM(ツーリングマスター)へと深化しました。

元々、同じSL230TMで日本一周をされた里見さんのブログや、知人もキャンプツーリングを始めたのに触発されて旅をしてみたいと思っていたのですが、それまで乗っていたW650ではそこまでできず、いつか…という気持ちだけ残っていました。

持っていたシートバッグに、サドルバッグとタンクバッグまで取り付け、一気に旅ができる仕様になり、キャンプ道具は家族から借りたり、お店に遊びにきたベテランライダーの皆さんに話を聞いてキャンプ地の候補を教えてもらったりして、初のキャンプツーリングが叶いました。

初キャンプは福井県の大野市へ。テントは建てたものの足りないものが多いことに気づき、隣の福井市まで走って買い足したりしましたが、普段と違う場所でのんびりとした時間を過ごすことができました。

広がるフィールド

その後は連休があればキャンプに出かけるといった具合で、すっかりはまってしまい、行動範囲も広がっていきました。

基本的にインドア派で、車を持ってもあまり遠出しなかった私が数百キロ先まで出かけてキャンプ、というのは今までだったら有り得なかったことです。

積載しても未舗装路から高速まで何ら不満はなく、今だったら、SL230 /XR230で数十キロの通勤、日本一周と聞いても、気楽に走れて良いですよねと言えます。

また、専用にデザインされたNWJCオリジナルのキャリアは実体験がフィードバックされているのか、荷物を積んでもふらつきはなく、足回りも調整されているため荷物を積んでいることを気にせず走ることができました。

道を間違えて荒れた道に入ってしまっても、抜けれるならこのまま進んでみても面白いかな?そう思える安定感と安心感があります。

キャンプ泊でその土地のスーパーで買い物をしたりして、自分の知らない場所で、その土地の生活をすこし共有するような感覚はホテルに泊まる旅行とはまた別の感覚でした。

その季節、その時間でしか見られないものに出会えた瞬間は格別でしたし、ゆっくり落ちて行く夕陽を最後まで眺めたりした時間はなんともいえない充実感を得ることができて、今年1年今までに無い経験ができてよかったなぁと思います。

情報 と 実体験

昔から雑誌では様々なバイクのレビューが載っていたのだろうと思いますが、今はインターネット、さらにBlogやSNSの拡がりもあって個人のレビューもすぐ見つけることができ、情報過多と言っていいかもしれません。

レビュー記事を読んであたかも自分が経験したかのように感じている人が多いのではないか?という話を高田社長と以前したことがありました。

私も楽器という分野で同じことを感じていたため そんな話をしていたのですが、1年間 SL230TMに乗って、私も人の言葉だけでオフ車のことを疑似体験していたんだなぁと気付きました。

また、「速さより心地良さで走り続ける楽しさ」をテーマにトータルバランスを高めて、スペックやブランドなどに囚われることのないバイクライフを提案している、バイク屋NWJCのバイク乗り自らの実体験からのフィードバックということも、SL230の深化で実感する事が出来ました。

私の中で、気軽だけど非力さは我慢といった小排気量のオフ車のイメージはツーリングに向かないと思っていましたが、SL230TMには当てはまらず、「我慢しないで気楽にあちこち走れるバイク」=「速さより心地良さで走り続けて楽しいバイク」だなぁと、お気に入りになりました。

身をもって知るという言葉があるように、言葉は経験に伴って初めて自分の感覚で表現できる面もあるように思います。

人の言葉で知った気がしても自分で経験してみると意外にその差って大きいかもしれません。

この記事の車輌・パッケージ(仕様が異なる場合があります)

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