バイク屋の備忘録

お気に入りのバイクをグッドコンディションで楽しむ

異常気象が収まりバイクを楽しめる天候が戻ってきたかと思えば暦の上ではもう立冬となり、バイクには厳しい冬がやってくるまであと僅か。

荷物をタップリ積んだYamahaのツーリングセローが通り過ぎていくのを見かけたが、おっさんライダーも近日中にSL230TMでキャンプツーリングを楽しむ予定である。

一般道では250クラス以下のバイクに荷物を積み込んで悠々と楽しんでいる姿をよく目にするようになったが、異常気象が続いた最中でも天候が回復しそうな気配になると、透かさずカブ110NWJCコンプリートでチョイ乗りツーリングや長距離を楽しんだ方が多かったようだ。

ライダーの平均年齢も53歳とか54歳と云われるようになりダウンサイジングは自明の理であり、250クラス以下の小排気量で十分に楽しめることが認知されてきたようだ。気軽にバイクライフを楽しむのであれば、まずは見栄や衒いを捨てさる事も肝要であるかと・・・。

いつものメンバーの村田さんが、ゴールドウイングとダウンサイジングによるバイクライフに関して、バイクの価値と価値観などについて興味深い内容をブログにアップされている。バイクライフを謳歌している「いつものメンバー」の生の声であるから、これからのバイクライフについて参考になるのでは。

バイクは健康療具『HONDAゴールドウイングからバイクの価値を考察』

長年バイクを楽しんできたベテランライダーであれば、バイクライフは緩やかな放物線を描いていることに気づいているが、右肩上がりの排気量や車格が本物志向であると思われている方々もまだまだお見えのようだ。いずれにせよバイクライフは十人十色だから存分に楽しんでいただきたいと思う今日この頃である。

メンテナンス番外編 KAWASAKI W400

トライアンフ空冷ボンネビルT100に乗るTさんから、バイク仲間の女性ライダーHさんが乗るKAWASAKI W400のメンテナンスについて相談を受けた。

W400の走行距離は47,000Kmを越えていた。小傷があるもののそれなりに綺麗で愛着がある車両のようだ。しかし、エンジンコンディションをはじめ色々と問題があるようで、これからも乗り続けて楽しむためには、どこをどうすればよいのかと・・・・。

カワサキ W400 1

メンテナンスはバイクショップ任せだったようでW400の各部を見回すと、消耗品であるエアークリーナは一度も交換したことが無いようで触るとボロボロと崩れ落ちていく。スプロケットも摩耗して使用限度をはるかに超えていた。

エンジンは、オイル交換のみで今日まで乗り続けられていたようで、エンジンコンディション云々のレベルでは語れない状態で、これを乗りこなして楽しむのは至難のわざでは・・・。

カワサキ W400 2

お気に入りのバイクを心地よく楽しみたいと思うのは誰しも同じであるが、年式が旧く走行距離も伸びてくると適切なメンテナンスを施していないとバイクと距離感が生じるのは当然のことであるが、「こんなものです」という対応が一般的のようだ。

ライダーに問題があるとは思えないメンテナンスに関する概略を説明して、Tさんからの紹介だから早々に作業を開始することとなった。

カワサキ W400 3

エンジンに関しては、バルブクリアランスをチェックしてみると基準値内にあったのは8バルブ中1バルブのみで、コンディションの悪いトライアンフ空冷モダンクラシックにも似たものであった。

バルブクリアランスに関しては、やっても変わらないとする声もあるようだが、その違いを体感したことが無いと云っているようなもので、その違いは明確に体感できることである。

メンテナンスシート

パーツを交換することも必要だが、タイヤの空気圧やチェーンは調整で乗り味が変わるように、エンジンコンディションに於けるバルブクリアランスは、バイクの乗り味そのものに大きく影響を与える基だから絶対に調整が必要となる重要なところであるのだが、ご存じない方があまりにも多いのが現実である。

今回のメンテナンスはエンジンコンディションを整えることを優先して、それに関連して使用限度を超えた消耗品の交換と、駆動系の消耗パーツの交換のみでその違いを体感してもらうこととした。

メンテナンスが終わり各部のチェックを兼ねて試乗してみると、2000回転も回っていれば楽々と走り、3000回転になると流れをリードする走りに変わり、W400に乗るのは初めてであったがそれなりの実力がある事を知った。また、トライアンフ空冷ボンネビルにも似た素朴な乗り味は おっさんライダーの好みでもある。

カワサキ W400 4

低回転から扱いやすく乗りやすいバイクのようで、次回のメンテナンスで足回りのコンディションを整えれば、W400本来の良さが発揮されて、速さより心地よさで走り続けるには最適のバイクとなり、Hさんのバイクライフにおいて良き相棒となるだろう。

メンテナスが終了した後日、早速に試乗されたHさんは、軽く静かによく走るようになったと満面の笑み。お気に入りのW400と共に、素敵なバイクライフを過ごされることが何よりであると思う次第である。

W400のメンテナンスを終えて

エンジンコンディションがすべてに最優先されることはレース界では常識であり、一般道を走るバイクに関しても基本性能が引き出される基となる事だが、あまりにも知られていないのが現実である。

違和感に関してはボルトオンパーツであるマフラーやサスペンション交換などが主流であるようだが、それらはエンジンコンディションが整ってからのことで、何を最優先するか検討の余地があるのでは・・。

消耗品の交換やボルトオンパーツだけでは違和感の払拭は出来ないできない場合が多く「こんなものです」となるのが一般的のようである。

コンディションの悪いバイクを乗り続けるためには、ライテクで補うという特別で高度なこともあるようだが、本来の基本性能を引き出してその良さを最大限に発揮させてこそライダーのスキルアップと共にバイクへの愛着も深くなり、充実感のあるバイクライフを楽しめる。とバイク屋North Wing JCでは常々そのように考えている。

新旧を乗り比べて、見比べて

旧いものより新しいモノがすべてに良いとした対応が一般的で、「こんなものです」は車両の代替を勧めることを優先する販売台数がすべてであることは相変わらずのようだが、お気に入りのバイクをGOODコンディションでいつまでも楽しみたい想いは、一人のバイク乗りとして同感である。

エンジンコンディションは調整で整えることが出来るが、サスに関して違和感を覚えたのは、NC700Xで距離は10,000Km未満であっても、あるところを境にFサスの極端なヘタリを感じて乗りにくくなり、コストダウンによる影響ではないかと思える極端な劣化を実感した始まりであった。

足回りに関しては、走行距離が少なくても静止状態でも自然にリアが下がったり、乗り味が極端に変化する車両もあるから、乗り続けている一般ユーザーからの生の声に耳を傾けてみることも参考になるのではないか。但し、新型を手にして感動している情報はアテにならないことも付け加えておく。

新製品に関する紹介やインプレは初心者でも云々とか存在感とか、耳に心地よいフレーズというか語感とでも云うのか、そのような表現が増えているようだが、耐久性も含み本音を聞くことが出来ればと思うが・・・。

最近の新しいモノがすべてに良いとは云えないところもあり、コストダウンによるアラは、五官で体感すれば違和感として見え隠れしているところもあるように思うのは、おっさんライダーだけではないと思うが・・・。

バイク屋North Wing JCでは、お気に入りのバイクをGoodコンディションに整えて、速さより心地よさで走り続ける楽しさと、乗れば乗るほど愛着が湧いて、時の流れに埋もれることなく輝き続けている。そんなバイクライフをバイク屋のバイク乗りとして提案できればと常々思っている次第である。

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