空冷モダンクラシックのコンデションについて part2
長年トライアンフ空冷モダンクラシックに携わってきたバイク屋のバイク乗りの観点から眺めてみると、大きく分けて長年乗り続けてきた方々と、これから空冷モダンクラシックを楽しむ方々の二通りがあるようです。
トライアンフ空冷モダンクラシックのコンディションに関して、目に見える物理的なことが原因となっている感覚的な違和感は理解しやすいのですが、目で見て確認できない違和感は当事者にしか分からないこともあります。違和感を違和感として捉えることも無く「こんなものです」として扱われている場合が大半のようで残念に思います。
違和感や問題に関して、バイク屋が空冷モダンクラシックを楽しんで乗り続けるバイク乗りとして当事者の立場で捉えるか、バイク全般に関わっているものの空冷モダンクラシックに乗ることも無く第三者の観点に立つかによりその対応は大きく異なるように思います。
コンディションと走行距離
長年乗り続けて愛着のある空冷モダンクラシックのメンテナンスに関する相談の多くは、違和感や不満に関してはマフラーやサスなどのボルトオンパーツや電装周りのアクセサリーなど目に見えるパーツを組みつけて、消耗品交換を主体としたメンテナンスで若干の変化に妥協して楽しまれたようですが走行距離は意外に伸びています。
愛着のあるボンネビルやスクランブラーなどの空冷モダンクラシックにこれからも乗り続けたいと思っていても、調子が悪いところもあり相談をしてみると「旧いから・・・」と云われて代替えも考えて悩まれている方もお見えのようです。
メンテナンス相談を受ける空冷モダンクラシックの走行距離は、2万キロから3万キロ程度の車両が多く、距離が伸びている車両でも4万キロ前後のようです。
「速さより心地よさで走り続ける楽しさ」をコンセプトとして、コンディションを整えて道を選ぶことなく自由気ままにロングツーリングも楽しめるNWJC2014仕様を楽しんでいる方々の走行距離は8万キロ前後の車両が多く、走行距離が伸びている車両は10万キロを超えている車両も数多くあります。
空冷モダンクラシックの初期モデルは発売より20年近く経過していますから、経年変化も含みこれからも乗り続けて楽しむための問い合わせや相談の多くは、メンテナンスにより違和感や問題の改善も含み、空冷モダンクラシックを本来の良さでこれからも乗り続けて楽しみたい。そんな思いを強く感じます。
空冷モダンクラシックによる新たなバイクライフの為に
これから新たにトライアンフ空冷ツインモダンクラシックを楽しみたい方々は、個人売買や中古車で空冷モダンクラシックを得られていますが、大きく分けて二通りの選ばれ方があるようです。
最新モデルの留まることのない電子制御によるハイテク化には違和感や嫌気があり、バイクと人の間に電子制御などのハイテク技術が介在することなく、あくまでも操る人の感性が第一であるというアナログ回帰したかのような昔ながらの素朴な乗り味を再び楽しみたい方。
電子制御を装備した車両が主流の最新モデルは価格も高く、水冷化と電子制御を装備した新型水冷モダンクラシックへの代替も一巡して、空冷モダンクラシックは中古車としての価格も手頃となり、何となくモダンクラシックを楽しみたい方など、選び方楽しみ方は十人十色のようです。
空冷モダンクラシックを個人売買や中古車で新たに手にした方は、走行距離も少なく外観も綺麗な車両でもコンディションが整っていないと、空冷モダンクラシック特有の違和感や問題を体感して戸惑いもあるようです。
空冷モダンクラシック特有の違和感には「こんなはずでは・・・」と思われている方々も少なくありません。後悔もある反面、コンディションを整えて楽しむ為のメンテナンスについての相談や問い合わせは、空冷モダンクラシックによる新たなバイクライフへの思いを感じます。
バイクのコンディション
一般的にバイクのメンテナンスは、消耗品交換やボルトオンパーツの取り付けが主な作業となり、バッテリーなどは寿命が来れば交換です。
違和感や問題などはコンディションが悪いと判断すれば、旧いから寿命として代替えを推奨することが当たり前であるかのような風潮は80年代のバイクブームの頃から何ら変わっていないのが実情です。違和感や問題に関しては「こんなものですよ」とした対応はごく自然のようです。
新製品としての新車はすべてに良いというメーカーご用達のようなインプレは多く見受けられますが、人の手作業による組み立ては熟練度による精度や個体差によりメンテナンスが必要な場合もある事に触れていないことや、走行距離や時間による経時変化により消耗品はもとより調整等によりコンディションを整えることが必要である事に一切触れていないことは、バイク屋として違和感もあり残念に思います。
トライアンフの場合、組み立て精度は決して高いレベルとは思えない症例を数多く診てきましたが、メンテナンスによりコンディションを整えてから本来の良さを発揮するモノつくりは、Made in Japanとは異なる二輪文化を感じています。
バイクと人の間に電子制御などのハイテク技術が介在することも少なく、あくまでも操る人の感性が第一であるトライアンフ最後の空冷モダンクラシックは昔ながらの素朴な乗り味が魅力です。
1台でも多くの空冷モダンクラシックのコンディションを整えて、より多くの方にボンネビルやスクランブラーなど空冷モダンクラシックならではの素敵なバイクライフを満喫していただきたいと思います。