久しぶりの遠乗り
今年の気象は、猛暑、集中豪雨、地震、頻発した台風のなかには迷走して東から西へ向かうなど尋常では無いようだ。異常気象によりバイクを楽しむ時間が奪われたのは残念であるが、相変わらず自由気ままなバイクライフについて思いをめぐらせている今日この頃である。
異常気象により溜まりに溜まったウップンを晴らすように、速さより心地良さで走りに走って走り続けて、カブ110NWJCコンプリートType2と共に久々の遠乗りに出かけた。
台風25号の後を追うように未明の岐阜から富山を目指し、新潟県の糸魚川を経て塩尻へ周り木曽路を抜けて再び岐阜へ戻る道程で、カブ110NWJCコンプリートならではの使い勝手の良さや気軽さを存分に楽しんできた。
ビッグバイクでスピードを出すことや単調な高速で遠くへ走ることよりも、立ち止まったり、引き返したり、わき道へ逸れたりをカブ110NWJCコンプリートと共に何度も繰り返して複雑な線を描くと、その地に親しみが生まれ再びその地を訪ねたくなる面白さも再認識できた。
神話と歴史
長年のバイク仲間である歴史好きの野蛮人Gさんと、おっさんライダーの神話好きには共通点もあり、今回の遠出は一枚の手ぬぐいが発端でGさんから届けられた一冊の本により思いたった次第である。
歴史大好き人間のGさんは織田信長に関して造詣が深くライフワークと言っても過言ではないコダワリがある。織田信長も恐れた義の人上杉謙信が、武田信玄に塩を送った所謂「敵に塩を送る」義塩については誰でも知っていると思うが、Gさんからの本により塩が運ばれた「塩の道」について僅かながら知る事が出来た。
毎年恒例の東北ツーリングの通り道である糸魚川駅近くのR8沿いに、オオクニヌシノ命の后であるヌナカワ姫とタケミナカタ神の母子像が建っている。タケミナカタ神が主祭神の諏訪大社は古事記の国譲りまでさかのぼる古社であり、糸魚川から諏訪までの塩の道沿いに多くの諏訪神社があることも知ることが出来た。
以前から訪ねたいと思っていた境の宮も古の街道沿いにあることを知った。糸魚川から道すがら所々に立寄り、古の人々の敬神の念や畏敬の念などに触れて、現代社会の科学万能には違和感を覚えるところもあり古の智慧を垣間見て安らいだ思いである。
大らかな日本神話は文字と口伝も含み顕と幽が入り混じっているから、バイク乗りとしての実体験と同様に身を持ってその地に立ち、古に思いを馳せて神話の世界を楽しんでいる。
同様にバイクも車格や排気量などのスペックやハイテクに囚われることなく、感性で楽しむものだとバイク屋のバイク乗りとして自らの実体験により実感している。
日本神話は、全国津々浦々の神社の神事や祭りに伝承された日本人のルーツであるから、記紀をはじめ祭りや神楽など何らかの形で触れる機会を持たれることをお勧めする次第である。
カブ110NWJCコンプリートは、神話に関する道程でも立ち止まったり引き返したり歩くような速度で移動するなど、大型バイクでは想像もできない使い勝手の良さがある。また、気負わず自由気ままに速さより心地よさで走り続けると、意外にも距離が伸びている懐の深さも魅力である。
速さより心地良さで走り続ける楽しさ
未明の岐阜を長良川に沿って走り始め、関経由で美濃加茂からR41に入り富山へ向けて北上する。大型トラックを先頭にかなりのペースで快走して高山から神岡へ、神原峠では紅葉が始まっていた。
富山県へ入り、笹津から県道を走りつないで魚津よりR8に入り流れに乗って淡々と走り新潟県へ入る。R41では早朝のためかバイクを見かけることは無かったが、道の駅 越後市振り関では多くのバイクが停まっていた。好天に恵まれた久々のバイク日和に感謝である。
糸魚川では天津神社とヌナカワ姫が祀られている奴奈川神社へ参拝して、境の宮へ向かう途中でキャンプ場の様子を覗くため脇道にそれたところで偶然にも塩の道の道標を発見。その後国道へ向かう脇道のいたるところで「塩の道」と書かれた案内板が目に映る。
境の宮へ向かう道は舗装路から細く険しい登り坂になり、ギアを1速へシフトダウして登って行くと未舗装のジャリ道になったところで再び塩の道の道標が立っていて境の宮の参道となっていた。
境の宮は御柱祭りに関連して「薙鎌」なるものを御神木に打ち込む神事があり、諏訪神社の象徴でもある「薙鎌」が打ち込まれている御神木を拝観したいと前々から思っていた。参拝を終えて境内を見渡すとその御神木が在り思いが叶った次第である。
千国にある諏訪神社の参道の脇にも塩の道の案内板が建っていた。安曇野までの脇道では多くの塩の道の道標や新装された案内板もあり、古の道を後世に伝える息吹のよう。
安曇野へ入る手前で山へ陽が沈み雲も朱に染まりはじめたから、諏訪まで行くことを止めて帰路に就くことにした。
連休の最終日で白馬では渋滞もあり道行く人も多く、立ち寄る予定だった霜降宮切久保諏訪神社を素通りしてきたのは少し心残り。この続きは、安曇野のパンダさんを誘ってカブ110NWJCコンプリート2台で楽しみたいと思う。
安曇野からの帰路はビッグバイクなら迷わず県道からR19へ抜けるのだが、松本から塩尻まで渋滞が予想されるR19では半クラッチを使うことも無いカブならではの気楽さで通ってみることにした。
案の定ビッグバイクではうんざりする渋滞だったが、車重も軽く何ら気を使うことも無いカブならではの気楽さが発揮され、のんびりと街並みを眺めながら塩尻までノロノロと進み、塩尻からは交通量も少なく良いペースで快走となり瞬く間に奈良井宿へ、橋のライトアップが目に留まり小休止。
再び走り始めて岐阜まで快走して今回の遠出を終えた。本日の走行距離は680Kmだったが、大型バイクで遠出した時のような疲労感も無く、心地よく走りに走り続けて充実した一日となり満足である。
今回は新型のType3で出かけようかと迷ったが、走行距離が17,000Km程度のType2を走らせて、経年劣化により乗り味が変わり違和感に思える箇所をチェックすることも楽しみのひとつであった。
ロングツーリングやキャンプツーリングを楽しみ走行距離が延びているコンプリートも増えて、心地よい走りのために足回りなどメンテナンスが必要な箇所もあり、バイク屋のバイク乗りとしてメンテナス後の経過を感覚的に確かめる事が出来たことと、古の煌きを垣間見ることも出来た今回の遠出は有意義で久々にバイクライフを満喫した次第である。
其々にカブ110NWJCコンプリートを楽しむ
歳を重ねることにより、車格やスペック等も含みバイクの楽しみ方に変化があり価値観も変わり始めたが、ツアラー・スーパースポーツ・アドベンチャー・クルーザーなどのカテゴリーに囚われると型に嵌まって面白みを失ってしまうから、バイク屋のバイク乗りとして囚われることなく大らかに楽しみたいと思う。
長年慣れ親しんできたビッグバイクやダウンサイジングしたバイクを楽しむ仲間たちは、好奇心旺盛な遊び心でカブ110NWJCコンプリートを駆り、其々のスタイルでバイクライフを楽しまれているようだ。
豊田のキタロウさんはType2からType3へ乗り換えて、改善されたエンジンフィーリングやシフトタッチが好評で頻繁にキャプツーリングを楽しみ、最近では豊田から有峰湖までの日帰りツーリングを楽しまれたよう。
稲沢のHさんは、鹿と出会い共倒れになったショックから立ち直り、頻繁にキャンプツーリングを楽しみ先週は信州へキャンプとのこと。キャンプツーリングでの走行距離は毎回700Km前後を走られているが、カブ110NWJCコンプリートは、フル積載時の安定感と気負わず走り続けられることが特にお気に入りのよう。
SL230TMを駆って日本各地をキャンプツーリングで楽しんだ里見君は、久々にカブ110NWJCコンプリートを駆って往復700Km前後を走った能登へのキャンプツーリングで、走らせてる感を気負うことなく楽しみ、フル積載でも大型バイクのような疲労感がないのが不思議であり魅力でもあるとのこと。
BMW K1600GTを手放してカブ仲間となったTさんは、通勤快速として日々楽しまれているがトップケースやサイドラックを装備してキャンプツーリングを皆と楽しみたいとのこと。
京都のTさんは、ウェーブ125からカブ110NWJCコンプリートに乗り換えて積載時の安定感が特にお気に入りで、北海道や東北へのキャンプツーリングが恒例となったよう。
其々のスタイルで、カブ110NWJCコンプリートを満喫されているバイクライフは何よりである。