空冷モダンクラシックのコンデションについて

空冷モダンクラシックは、発売からまもなく20年経ちますが、コンデションはピンからキリまで色々です。距離はさほど増えていない車輌でも経年変化によるヘタリが出始めているところも見受けられます。

走行距離が4万5万キロと増え、全体にヘタリ感も出始め感覚的にも違和感や不快感を覚えるようになり、これからも乗り続けるためにコンデションを整えるメンテナンスを検討されている方々からのお問い合わせが寄せられています。

 

エンジンから足回りにいたるまでコンデションを整えて楽しんでいる車両でも、2万~3万キロごとの定期的なメンテナンスを怠ると緩やかにコンデションを崩して不調になることは否めません。

しかし、コンデションを整えるメンテナンスを一度も施していない車輌とは雲泥の差があります。コンデションの基準をどこに置くかによってもバイクライフの楽しみ方には大きな違いがあるようです。

トータルバランスを整えた、心地よい走りの空冷モダンクラシックを駆って相変わらずのバイクライフを満喫されている方々は、定期的なメンテナンスによりコンデションを維持して8万キロ10万キロと走行距離も延びていますが、違和感や不満は皆無のようです。

「こんなもの」というコンデション

今日まで数多くの空冷モダンクラシックのメンテナンス依頼に対応してきましたが、メーカー出荷の新車状態からコンデションが整った空冷モダンクラシックは皆無であったのが実情です。

 

点検、車検、オイル・タイヤなどの消耗品交換等のメンテナンスやマフラーや足回りのボルトオンパーツの組み付けだけでは、残念ながら空冷モダンクラシック本来の良さを体感することはできません。

低回転域ではトルクが細く、乗り続けるうちに症状が悪化してシフトダウンなどでクラッチを切るとエンジンが止まってしまうなど決して楽しめる状態ではない車両も多く、800・900の力強さが感じられず「こんなものかな・・・」と疑問を持ちながらも乗られているのが実情です。

 

不調に対する対策としてファイナルレシオを極端にロング化させている車両も見かけますが、低回転で力のないエンジンを高回転で回し続けるストレスをごまかすための設定のようですが、頻繁なシフトを繰り返すことはストレスも大きく決して楽しめる状態ではありません。

コンデションを整えてからファイナルレシオをロング化すると、全域で扱いやすくロングツーリングも楽しめます。

エンジンコンデションの悪い車両でのマフラー交換、メインジェットの変更やMapの書き換えなどセッテイングを変更して若干の変化は体感できても、基本性能を発揮させる効果はほとんど期待できません。

エンジンコンデションが悪いままにサスペンションなどを変更してもトラクションが十分に掛らない状態ではコーナーリング時その効果はあまり期待できません。乗り心地の変化が若干期待できる程度のことでしょう。

市街地走行で熱ダレが発生する状態の対策として、熱に強いとされる高性能オイルを使用しても冷却効果はほとんど期待できません。意外に思われる方も多いと思いますが、熱ダレ対策はエンジンコンデションを整えて燃焼室内への燃料の充填効率を高める事が冷却には最も有効な基本です。

 

新車状態からコンデションが整っていないため違和感も強く、走行距離も僅かで手放された車輌もありますから、外観の程度が良くて手にされた空冷モダンクラシックでも走らせると違和感を覚える場合が多いようです。

バイクショップに伝えると「こんなものですよ」という対応が多く、違和感について「本当にこんなものでしょうか」「何故でしょうか」「対策はありますか」という問い合わせも寄せられています。

「半信半疑」「一か八か」でメンテナンスを依頼

メンテナンス依頼をされる方の多くは、空冷モダンクラシックのコンデションには違和感や不満があるものの、専門店やバイクショップから「こんなもの」と云われると、妙に納得されている方が多いのは自然なことだと思います。

空冷モダンクラシックのメンテナンスに関してユーザーボイスとしてその一部を公開しています。

メンテナンス後のレポートをメール等で頂いた方には了承を頂いて公開しているのですが、その変化が劇的であるとか別物であるという表現が、「こんなもの」と思われていた車輌からは想像しがたいことのようですから、胡散臭さを漂わせているようです。

 

「こんなもの」と納得していた車輌のコンデションが、想像を超えた変化となれば納得しがたい事でしょう。

その胡散臭いと思われているメンテナンス話を「半信半疑」「一か八か」で依頼された方が、千葉から空冷スクランブラーに乗って来店されました。

 

車輌の状態について話を伺うと、「4月に購入されてから違和感に思うことについてどこのバイクショップで聞いても『こんなもの』と言われているから、こちらのメンテナンスにより劇的な変化とか、行きと帰りでは別物と言うのは少しオーバーな表現のように思うのですが・・・」、と率直は意見を伺いました。

しかし、この違和感は納得できないから本当にそんなに変わるものであれば・・・「半信半疑」「一か八か」でメンテナンスを依頼したとの事でした。

低回転域では力が無く発進では半クラッチを多用して、エンジン回転は上がるのにエンジンは唸るばかりで加速しない。とても900のバイクとは思えない。クラッチを切るとエンストすることもある。

純正のスポーツマフラーに交換してみたもののアクセルを戻すとパンパン音がしてあまり変化は無い等、違和感や不満と何とか気持ちよく走ることが出来ればと、これから空冷スクランブラーを心地良く楽しみたい気持ちが滲み出るような話を伺いました。

空冷モダンクラシックの実力とその良さを体感していただくために、コンデションの整ったボンネビルT100NWJC2014仕様を試乗していただきました(当店のスクランブラーはタイミング悪く車検切れで継続検査が翌週でしたからT100の試乗となりました)。

 

エンジン特性には若干の違いがありますが、コンデションの整った状態を体感していただくことは、「こんなもの」と思われていた空冷スクランブラーにどんなメンテナンスが必要であるかを説明する場合、違和感や問題点を物理的なことと感覚的なことの両面から分かりやすくお伝えすることができます。

後日エンジンのコンデションを整えるメンテナンスを施し、キャブ車特有の問題を対策するなど各部をチェックして、違和感に思われている箇所へのメンテナンスも施して作業が完了しました。

 

早速に試乗していただき、その違いに驚きもあり「力あるんですね」「走るんですね」「排気音が全く変わり歯切れが良くなりましたね」と空冷スクランブラーの実力を実感されたようです。

「ここまで状態が変わると激変とか別物と言われているのも良く分かりますが、『こんなもの』と思っていた状態から別物へと変わるこの違いは、体感した人にしか分からないことです。」と、大げさな表現で胡散臭く思えた思い込みとメンテナンス後の現実。そのもどかしさについて率直な感想を伺うことが出来ました。

 

「こんなもの」と思われていた空冷スクランブラーが、「半信半疑」「一か八か」のメンテナンス依頼によりコンデションが整い、新たなバイクライフの一助になれば何よりです。

雑誌、インターネット、バイクショップなどの一般的な情報により「こんなもの」と納得されている方々が大半ですから、メンテナンスレポートを本当かな・・と半信半疑に思われる気持ちはよく分かります。

その違和感や問題は、実体験に基づいたメンテナンスにより解決できることをお伝えできればと思います。

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