バイクは健康療具

トライアンフ ボンネビルT100 VS フラッグシップモデル

大型バイクに乗って

今年も天候不順と私用でキャンプツーリングを楽しめていないのは残念だが、梅雨入り前に高田さんのトライアンフ空冷ボンネビルT100 NWJC ツーリングマスター(TM)仕様、KさんのアフリカツインCRF1000、TさんのBMW K1600GT、私のゴールドウイング1800という、今まで経験のない車両の組み合わせのツーリングを体験することが出来た。

参加メンバー4人は夫々長年にわたり大型バイクに乗り続けている。同時に現在はダウンサイジングしたSL230TMやXR230TMを駆り、ツーリングを楽しんでいる。だから、今回の大型バイクでのツーリングでは夫々の実体験を基にバイクに対する思いについての談議で盛り上がることが出来た。

そこには、バイクを永く楽しむヒントがあるように思えたので、私が感じたことを皆さんにお伝えしたいと思う。

面白いツーリングなのだが・・

私の場合、ゴールドウイングに乗って限りなく続くツーリングの歓び(カタログによる)というものを味わいたい、そんなホンダのフラッグシップモデルに対する憧れと好奇心を基に、熊本生産となり価格も抑えられたことなども考慮して、購入を決意した。

アフリカツインCRF1000のKさんもBMW K1600GTのTさんも、今回の参加メンバー夫々が、このバイクに乗れば自分の人生の中で何か得るものがあるに違いない、とか、このバイクに乗れば楽しい時間を過ごせるに違いない、と言う想いがあって購入を決意したと思う。

今回のツーリングでは、高田さんのボンネビルT100TM仕様を先頭に、私たちにとっては定番の西日本の一般道を一日中走り続けた。先頭を走る最年長でもある高田さんは、見るからに楽しそうで生き生きとしておられた。それは、とても充実した時間で面白かったのだが、最年少の私にとっては何か嫌な疲れのようなものを感じるツーリングでもあった。

今年の3月には、山口県からのルートで今回のルートを含む更なる長距離を、私がトライアンフ 空冷スクランブラー2014仕様に乗って、今回と同じ空冷ボンネビルT100TMに乗った高田さんと一緒に、同じようなペースで走っていた時には、同じように楽しんで走っていたのに・・・。

同じように楽しい時間を過ごす為に購入したはずのゴールドウイングでは同じようには楽しめなかった。何が違うのだろう。KさんもTさんも、私と同様に何か違和感がある様子だった。

気負わず自由気ままに

ボンネT100 NWJC TM仕様と高田さんの使いこなせる使い慣れた道具を操る走りは、一体感に溢れてとても楽しそうに走っておられる。一緒に行った3人が皆そう感じていた。

一方で、フラッグシップモデルを駆り快適に走行しているはずの3人はと言うと、面白いけれど楽しくはないツーリングを楽しいツーリングにしようと、三者三様に四苦八苦していた。

私たちにとって楽しいツーリングとは、「心地良く走り続けること」なのだというのが共通の意見だ。高田さんのボンネビルと同じペースで走ることは出来ても、何かが違っていたようだ。

ABS等は当然のハイテクを装備して、動力性能などのスペックも素晴らしく、より遠くへ快適に走れても満たされない何かがある。日本の道路交通事情に合わないところもある車両の特性を、乗りこなそうとしてしまっていたようだ。結果として、操作は雑になり四苦八苦してしまったようだ。

気負わず自由気ままに楽しむはずが、面白いけれど、決して心地良くはないし、楽しいとは言えないツーリングになってしまっていたようだ。

そう言えば、高田さんはブログの中でゴールドウイングに「乗るのを終えた」と表現されていた。2年前もゴールドウイングに乗って一緒に恒例の東北ツーリングした高田さんの姿を思い出すと、私はその表現に対して違和感を覚えていた。

今回のツーリングを経験して、その言葉の意味が何となく解った気がした。乗れるけれど、面白いけれど、決して楽しんではいない。だから、これからも気負わず自由気ままにバイクを楽しむ為に、気負う事もあり窮屈になってしまうゴールドウイングに乗るのを辞めた、と私は解釈した。

振り返ってみると

私の場合、大型免許を取得して大型バイクに乗ることは、学生時代に叶わなかったベテランライダーの一員になるという意味を持っていた。だから取得後直ぐに、ブロス400に乗っていた頃に憧れていたアフリカツインと同じ大型デュアルパーパスモデル(現在のアドベンチャーモデルを昔はそう呼んでいた)であるBMW R1100GSを購入した。

その当時は体力もあり、通勤から長距離ツーリングまで、BMW R1100GSに乗っていた。今と比べると、操作は雑でバイクとの会話は未熟で、今思えば危険な速度域で勢い任せで走り周り、凄い体験をしていると思いながら自分に酔っていた。

そんな時に、NWJCで’01ボンネビル800に試乗する機会を得た。1100GSと比べると、スピードは出ない、曲がり難い、止まり難い車両だったのだが、何故か不思議な魅力を感じたので’02ボンネビルT100に乗り換えた。

今思うと、その不思議な魅力は五官で判りやすく感じることが気負わず自由気ままにバイクを楽しむことに通じているような気がする。そこで私は、速さよりも心地良さで走り続けることが出来る素質を持った車両の、素朴な乗り味の片鱗に触れたのだと思う。

思う処があるけれど

素朴な乗り味と言うものが分かるようになったのは、ここ最近であると思う。バイクのコンディションが整っていないと、素朴な乗り味のバイクも乗り難いだけのバイクになる。そのことは、バイク屋でもありバイク仲間でもある高田さんとのバイクライフを通じて実体験させてもらっている(現在進行形)から、素朴な乗り味というものが分かるようになったのだ。

だから素朴な乗り味のバイクを楽しむには、実体験豊富なバイク屋さんが提案されているメンテナンスにより本来の性能を引き出すことと、場合によってはモディファイが欠かせないと思っている。
今回参加した3人は皆が、トレッキングごっこや林道ツーリングを楽しんだSL230やXR230を深化させて新たな一面を再発見して楽しんでいる。そして次回はダウンサウジングしたSL230TMやXR230TMでキャンプに出かけたいなと盛り上がっている。

年を重ねることにより、バイクとの関わり方が変わって来たことは、皆が感じ取っている事だった。今回乗って来た大型バイクについて、バイクとの付き合い方を真剣に考えているが故に、夫々思う処があったのだ。皆との会話を通じて、趣味のバイクの奥深さを感じ、私はとても嬉しかった。

ライダーとバイク屋さん

コンディションを整えることが大事だと言いながら、新製品効果による流行り廃りの情報に翻弄されながらバイクは普通に乗れれば?良いと思っているバイク屋さんが多いようだ。そういうバイクショップは、バイクが発する違和感を見極める感性が乏しいからか、「こんなもんですよ。」「ライテクを磨いてください。」という対応に終始しているようで、バイクライフを楽しく過ごすためにはその点を見分けてほしい。

一般的に、それっぽい店構えで、それっぽい格好で、それっぽい道具を使っているバイクショップであれば、バイクのプロだから全て任せれば良いと思ってしまう。

しかし、奇麗な病院に勤めていて白衣を着ていれば出来る医者に見えるけれど、格好だけのヤブ医者がいるのと同様に、ヤブ・バイクショップも相当数あるようだ。

プロショップを謳っていても、消耗パーツの交換作業に特化したバイクショップも多く、バイクが動く状態であればボルトオンパーツの装着などが主であるような印象を受ける。そういうバイクシショップは、患者の身体に触れることなく、パソコン画面を見て血液検査の結果だけで判断し、お薬を出す医者と大差はないと思う。ヤブではないかもしれないが、信頼できないと思う。

バイク愛好家のバイク屋さんも良いように思えるが、実体験不足を私たち素人同様にWebや雑誌の情報で補っている場合が多いと感じることがあった。そういうバイクショップは、ライダーを尊重しているかもしれないが、信頼性に欠ける情報や疑似体験なども織り交ぜているから、結果として質の高いバイクライフを応援する事が難しく、バイクライフが一過性の娯楽となるから要注意だ。

皆さんも、豊富な経験を持つ素敵なバイク屋さんに支えられながら、趣味のバイクライフを通じて、充実した余暇を楽しんで頂きたいと願う。

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