カブ110NWJCコンプリートTypeⅢ 慣らしツーリング

今年の2月、3月はかなり寒い日が続き雪にも降られましたが、慣らしツーリングに何度か出掛けました。

4月に入ると一気に暖かくなりました。NWJCコンプリートの冬の定番装備のスノータイヤとナックルガードを外して春に向けての準備も終わり、市内の桜が桜吹雪になり始めた頃、待望の428から420サイズへ変更したISA特製リヤスプロケットが出来上がってきました。

早速試乗車に取り付け、遅咲きの桜の花見を兼ねて慣らしツーリングへ行ってきました。

出発当日は少し曇り気味で、天気予報では高山方面は時々雪マークでしたが、ところどころに晴れも見えており、前日は暖かく快晴だったので、たぶん途中で晴れるだろうと出発です。

今回のルートは、市内を抜け関から金山、下呂方面へ向かい温泉街を抜け萩原の枝垂桜を見てからUターン。峠を越えて馬瀬村へ、金山湖畔を走り途中で郡上方面へ山越え、明宝村で枝垂桜を見て戻る予定です。

ファイナルレシオとチェーンサイズを変更

前回、前々回と慣らしツーリングでは、チェーンサイズは標準サイズの428で、STDのギヤ比はやはり配達業務に特化した、いかにもビジネス車らしい走りでツーリングにはチョット・・・と思っていました。

カタログの説明ではゴー&ストップを繰り返す配達業用としての耐久性を重要視した428サイズのドライブチェーンですが、428サイズはYAMAHA SR400等に装着されているサイズです。カブ110に400クラスで採用されているチェーンサイズが必要なのかな、と疑問に思っていました。

せっかくフロントキャリヤやスクリーンを装備しても、走りがいまひとつでは残念です。バイクは見た目も大事ですが、やはり走らせて操作して楽しむ乗り物ですから、エンジンコンディションと同じくファイナルレシオも重要なポイントだと前回までの慣らし運転で感じていました。

チェーンとスプロケットに関しましては、NWJCではJA10型のTypeⅡでも何ら問題も無く、耐久性、信頼性に関しては実証済の420強化タイプのシールチェーンと、ISA特製スプロケットでファイナルレシオの最適化を図り、JA42型 コンプリートTypeⅢとして用意しました。

先ずは市内を抜けるのですが、途中に長良川に架かる大きな橋があるのですがこの橋越えがギヤ比の変化が分かりやすい場所のひとつになっています。

市内の環状線に架かる橋ですので車の流れも速く、小排気量のカブにはちょっときつい場所でしたが今回は走りが違います。加速、伸び方、アクセルの反応など、走りが全域で滑らかで気持ちが良いです。

アクセルオフ時の減速でもギクシャク感が無く車体にも優しそうです。周りの車と同じ速度で流れに乗れています。それぞれのギヤでアクセルがしっかり回せて、加速が出来るからストレスが少ないと思います。

ファイナルレシオとチェーンサイズの変更でどれくらい走りに影響するのか? というのはやはり乗ってみないと分かりませんでしたが、110ccと小排気量で出力は僅か5.9Kwですから、出来る限り有効にパワーロス無く使いきる事が重要だと実感しました。今回は走り比べることが出来たのでとても勉強になりました。

交換作業前にチェーン+スプロケットをSTDとNWJCコンプリート仕様で重さを計り比べてみましたが、手に取って比べても想像以上に違います。共に回転部分の部品ですから数字上では僅か500gですが、その違いは、はっきりと効果として体感できました。

それと、スプロケットの加工精度も非常に重要になるようで、丸い部品ですからどれくらいの精度で真円を作れるかという事ですが、実はシンプルなパーツだけに奥が深く、非常に難しく工作機械の性能だけでなく卓越した技術や経験から生まれたISAスプロケットが滑らかな加減速をもたらしています。

純正の鉄製と、軽量な合金スプロケットを比べたときに、耐久性を心配されるライダーの方々もいらっしゃると思います。

通勤から長距離ツーリングもNWJCコンプリートTypeⅡで楽しまれている方が、バージョンアップに合わせてスプロケットの交換に来店されていました。DID強化チェーンにISA特製リヤスプロケットを使用して頂いており、距離はおよそ2万キロ使用されておりましたが、綺麗なアタリで摩耗も少なくまだまだ使用可能な状態で耐久性の高さを実証しています。

カブらしさのレッグシールド

市内を抜け県道関~金山線を流していると雲行きが急に怪しくなってきましたので、早めにカッパを着込んで備えました。暫く走ると、大粒のミゾレがスクリーンに着き始めてきました。しまった・・・ナックルガードを外すの、もう少し待てば良かった・・・。

タイヤはノーマルに戻していましたが、ミゾレ状態で路面が真っ白になる様な降り方ではありませんでしたので、少し迷いましたが行ける所までは行ってみることにしました。

運良く下呂市内を抜ける頃には雪雲も流れて所々に晴れ間も見え始め、下呂市内を流れる川沿いの堤防や山際には、満開の桜があちらこちらに咲いていて気分も盛り上がってきます。

カブに乗って思うことの一つに 防寒、防風効果があります。スクリーンの効果やナックルガードの効果も絶大ですが カブらしさのポイントでもあるレッグシールドには毎回助けてもらっています。

膝から足元まで 雨、風、水しぶきや雪等 色々な物からライダーを守ってくれますし、少々当てたり倒したりしても割れたりしません。

先日JA10型クロスカブでツーリングを楽しまれてみえる方から、新型のクロスカブも考えたけど、レッグシールドがないからね、カブらしさがね・・・というお話もありました。
『カブ らしさ』 なるほど、なかなか意味が深そうですね。 

速さより心地よさで

ミゾレも上がり、日が差し始めて暫くNWJCコンプリートTypeⅢで気持ちよく流していると目的地に着きました。

先ほどまでのミゾレのおかげで、休日の午後でしたが桜見物の方も少なく、静かに枝垂桜を見ることが出来ました。桜と神社とカブ、いいですねこの組み合わせ、日本的ですごくいいと思います。

参拝と撮影を終えて、すこし時間があればリヤBAGにコーヒーとお菓子を積んできていたので、花見で一休みといきたかったのですが、うーん・・・ちょっと時間がぎりぎりかな?
日が暮れる前に次なる郡上の枝垂桜を目指します。

萩原から郡上方面へはいくつか峠越えがありますが、ファイナルレシオが最適化されたことにより、加速がしやすく、スピードに乗せやすくなりました。前回のSTDのように引っ張りすぎてチェンジしたら回転が落ちすぎて失速気味となり、頻繁にシフトアップ、ダウンを繰り返すというような事はありませんでした。

各ギヤが少しワイドになったようで、ゴー&ストップを繰り返す市街地よりも、こういった場所だと特に違いが判り、ツーリングではストレスもなく非常に助かります。

こちらの枝垂桜も満開で、それはそれは見事です。この枝垂桜は道の駅の直ぐ近くにあるのですが、日が暮れ始めた頃でしたが無事に着いてぎりぎり間に合いました。
天候と時間が良かったのでしょうか、貸切状態です。ちょっと得した気分です。暗くなる前にカブを桜の木に寄せていい記念写真が撮れました。来てよかったです。

同じ景色を見るのも、車とバイクだと何故か感動が違います。達成感というか充実感はバイクの方が大きですね。日が落ちるまでしばらく岩に腰かけて眺めて家路に向かいました。

今回は季節外れの寒さとミゾレにやられましたが、後半は天気に恵まれて遅咲きの枝垂桜も沢山見れて、何より走りが飛躍的に良くなったカブ110NWJCコンプリートTypeⅢ本来の走りは、一日走り続けても疲れも少なく、速さより心地よさで走れて、充実した慣らしツーリングになりました。

走行距離もやっと1,000kmを越え、オイル交換とエンジン調整等のメンテナンスを済ませて、次回はもう少し色々と旅装備などに手を加えてノンビリと良い景色でも見に行きたくなりました。

(NWJC 細川 博昭)

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